| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

FILE181 キリト一向、いざ小田桐家へ!

 
前書き
今回は久しぶりにキリトの視点の話になります。 

 
ムラマツ「すまないジャミラ、許してくれ……でもいいだろ?地球の土になれるんだから」

イデ「「犠牲者はいつもこうだ。文句だけは美しいけれど…」

時生「あ~あ、ホントにこの話は救いも何もあったもんじゃねぇ欝な話だよなぁ~」

恭史郎「まーた古い特撮みて、なにしんみりしてやがんだ40過ぎのバカ息子がっ!」

俺「いや……俺達の話聞いてたんですか!?息子さんの事でお話があるんですって!」

ここは東京都台東区山谷。俺達がなぜ小田桐弭間ことオズマの実家に来ているのかについてはオズマが連れていかれた直後にまで話を遡る事になる。


※ ※ ※


シリカ「オ、オズマさんが本当に連れて行かれちゃいました!」

リズベット「アイツの保護者がオズマをあの治療施設とか言う場所に入所させるようにって言ったみたいだけど……本当なの?」

シリカとリズベットは急な事態に戸惑っているのが分かる。俺も同じ気持ちだった。そんな中唯一の大人のエギルが俺達を落ち着かせる目的もあってかバリトン声で俺たち全員に対して言う。

エギル「取りあえず、オズマの家はここから近いから今から行ってみる……あのオヤジさんと爺さんが今更オズマの事でんな事を気にするとは思えねぇしな……」

と言うわけで、同じ台東区内であると言う事もあり俺もリズベットもシリカもエギルについて行く形で山谷に向かう事になった。

エギルは店を奥さんにしばらく任せてオズマの生まれ故郷である山谷に辿り着いた俺たちなのだったが――

シリカ「なんか、ここって変な感じですよね……」

リズベット「ホントね……やたら中高年のおっさんが多いし、路上で寝転がってる人達とか、公園でテント張ってる人達とか……ホームレスだらけじゃない」

シリカは山谷のオズマの実家に近づくにつれてスラム街のような雰囲気を漂わせる山谷独特の空気に不安を感じ声を強張らせて、リズベットもその辺りに何人もいるホームレスの中高年男性たちの姿を見てここが本当に東京なのか疑問に感じてるようだった。

俺「なんだかな……ここって俺のホームでエギルの店があった第50層のアルゲートにどことなく似た雰囲気な気がするんだよな……」

そう言えば、オズマの奴も50層が解放された当初からあそこをホームにして、俺と隣人になっていたのを思い出していた。
俺があの場所をホームにしたのはホームが安い事以外に雑多な雰囲気が何となく気に入ったと言う漠然とした理由だったが、もしかしたらオズマの場合は、あのアルゲートが自分の生まれ故郷の山谷に似ているのを理由に選んでいたんじゃないかと思えてきた。

エギル「……気を付けろよ、お前ら」

初めて訪れる山谷に戸惑っている俺達に対して、山谷に最も近い、同じ台東区内で済んでいるエギルが普段のバリトン声を比較的低いボリュームで注意を促してきた。

エギル「この辺は外国のスラム街に比べりゃ遥かにマシではあるが――日本じゃ大阪のあいりん地区、神奈川の寿町と並ぶ日本の三大ドヤ街って呼ばれてる街でな……見ての通り無職のホームレスや浮浪者に日雇いの労働者……んでもって生活保護受給者がゴロゴロといやがるもんだから、食い逃げ程度の軽犯罪や盗品や違法品の売買とかも公然と行われてる所だからな」

リズベット「アタシだったらこんなところに生まれたら5歳くらいで親に引っ越せって言うわよ……オズマの奴、こんなところで今まで良く生活してこれたわよね……」

エギルの話は俺もネットで聞いたことのある程度だったが実際に来てみると、現代日本の資本主義社会から取り残された者達の溜まり場と言うか……少なくともオズマがそうだったように社会に出てバリバリ勉強して、しっかりと働こうと言う考えに納得が出来ない者たちが行きついたような場所なのかもしれないな。

事実この場所では明らかに俺達の方が浮いているのが目に見えて分かり、さっきから俺達の事を妙に訝しむ様に睨んでくる住人たちは一人や二人どころではなく、直後にトラブルは起きた――

老人「お嬢ちゃん、ワシを――ワシの相手をしてくれぇぇぇ!!」

シリカ「ひゃぁぁぁぁぁっ!?」

リズベット「ちょ……っ!急に何の用なのよお爺さん!?」

後ろを歩いていたシリカの唐突な悲鳴とリズベットの警戒心を孕んだ叫び声に前を歩いていた俺とエギルは同時に振り返り身構えると、そこにはボロボロの薄着を身に纏ったヨレヨレの老人がシリカに近づき声を掛けていた所だった。

老人「ワシは……ワシは哀れな老人なんじゃよ……っ!ワシは5年前までは生活保護を貰って悠々自適に暮らしておったんじゃよ……」

リズベット「ちょっとシリカ、こんなの真面目に相手する事ないわよぉ」

ヨレヨレの老人は一方的に身の上話を始めていた。あまり真面目に相手をしていてもキリがないと思うが、シリカは生粋の人の良さからか――あるいは相手が老人だからか――『はぁ……』と気の抜けた返事をしながら聞いていた。

そして老人は、目から涙を零し始めて、感情を爆発させたように悲痛な言葉を発する。

老人「それなのに……それなのに……っ!役所の奴らめっ!ワシがたったの一度・・・・・・ついのほんの出来心で野球賭博に手を出して逮捕された位で……生活保護を打ち切りおったんじゃっ!!」

シリカ「え・・・・・・それってお爺さんが悪いんじゃ・・・・・・?」

まさにシリカが漏らした通りだ――エギルもリズも老人の身の上話が何かとひとまず聞いてみたものの、全く同乗出来ない話だったからか、目を丸くして立ち尽くしていた。

老人「おかげでワシは今となっては無収入のホームレスになってしまった……っ!このままじゃワシは死ぬに死ねんっ……!死ぬ前にせめて、せめて一度だけで良いから21世紀生まれの若いピチピチな娘を抱きたいんじゃぁぁぁぁぁっ!!」

シリカ「ええぇぇぇぇぇっ!!」

リズベット「爺さん、アンタそれ以上喋ったら犯罪よっ!」

リズベットの言い返し方は流石に極端だが、本格的にこの爺さんと関わるのは止めた方がよさそうだと俺も思った。
シリカもまるで性犯罪者を目の当たりにしたかのような叫び声を上げているわけだが――この辺り一帯の人達はまるでそんな事に関心など無いと言った様子で全く見向きすらしない有様だった。

エギル「ほらほら、そこまでだ爺さんっ!」

流石にエギルがシリカの前に割って入る様に巨体を老人に近づけて制止に入っていた。

エギル「アンタの世知辛い身の上話なら御徒町にある俺の店、ダイシーカフェって店で聞いてやるからこの娘に絡むのは止めな止めなっ!」

エギルにそう張りの利いた声で止めるように言われた老人は仕方がなくシリカから離れていった。そんなちょっとした騒ぎが起きていたのにもかかわらず、相変わらず行き交う人たちは特に関心を見せる様子など無く、平然と素通りしていく一方だった。

リズベット「ったく・・・・・っ!なんてメンドウでスケベな爺なのよっ!それに周りの人達も年頃の女の子がホームレスの年寄りに絡まれてるってのに誰も止めないなんてどうなってんのよこの街はっ!」

俺「こりゃ、早い所オズマのアパートに行った方が良いな……」

けど、具体的にアイツがどこのアパートのどの部屋に住んでいるのかはエギルでも分かっていないらしい。
この辺り一帯はアパートが多数あるほか、一泊2000円前後と言う嘘みたいに格安の宿が至る所に並んでおり、大して広くない山谷でありながらオズマの住居を探すのは難しそうだった。

オズマに連絡をしようにもやはりスマホは取り上げられて電源を切られているらしく全く繋がらず、本人から聞く事もままならない状態だった。


どん詰まり・・・・・・っ!オズマの住まいを割り当てるのに苦戦するキリト達一向。どうにかしてすぐにオズマの住まいを見つけられないものかと悩んでいた矢先であった――― by立木ナレ


老人の声「テメー倉崎ぃぃぃっ!!俺が数分ほど玄関の前に置いておいた酒と摘まみが無くなってるのテメーの仕業だろうがっ!観念して酒と摘まみを返して、慰謝料払いやがれ寄生虫野郎がぁぁぁぁ!!」

倉崎と呼ばれた男の声「あぁぁんっ!?人聞きの悪りぃ事ほざきやがるんじゃねーぞ小田桐のナマポ爺っ!テメーの買って来る安っぽい酒の摘みなんて誰が盗るってんだっ!!」


―――ん?小田桐……小田桐だと・・・・・?

エギル「おい、聞いたかお前らっ!?」

俺「あ、ああ・・・・・・小田桐って言ってたな・・・・・」

シリカ「はいっ!オズマさんの本名の名字でしたもんね」

老人と思わしき喚き声と、倉崎と呼ばれた汚らしい声の騒々しい口喧嘩によって、俺達は思わぬ形で手掛かりを得た事になった。

リズベット「あのお爺さんが小田桐って呼ばれたって事は、お爺さんが住んでる部屋に行けばそこがオズマの住んでる所ってわけね!」

俺「ああ、声の方に向かうぞ・・・・・っ!」

俺達は未だに互いを口汚く罵り合う口喧嘩の聞こえる方に向けて一斉に走った。遠くからでも喧しい声は瞬く間に更に喧しくなり、そして曲がり角を曲がると―――ついに口喧嘩の聞こえるアパートが正面に現れて――当人たちの姿も目の当たりにするのだった。

小田桐「誤魔化そうとしてんじゃねーぞ害虫野郎がっ!テメーの部屋の中にちっとガザいれりゃ、すぐに証拠が見つかるんだろうからよっ!」

倉崎「いい加減にしやがれ汚物爺がっ!テメェ・・・・・・俺の部屋に一歩でも入りやがったら慰謝料取るぞっ!」

小田桐「何時からテメーの部屋になったんだ居候がっ!」


一同「「「「…………」」」」


俺達はスグに理解した。年甲斐も無く隣人の太った不潔な風貌の男と騒々しい口喧嘩をしているあの老人がオズマの――小田桐弭間の祖父なんだろうなと。

そして、俺達はもう一つの事に気が付いていた―――

リズベット「あの爺さんって―――山谷の一日実働数分で日給8500円の日雇い労働を取り上げたネット番組で取材の人達に謝礼寄こせとか、厚かましい事言ってた……」

真っ先にリズが引き攣ったような表情でそう指摘していた。そう――俺もすぐに思い出していた、あのネット番組でやたらキャラの濃い……実働数分程度の適当な清掃作業で8500円も受け取っておきながら、取材の記者たちに謝礼を請求していたあの厚かましい老人をっ!

シリカ「もしかして私達……これからあのお爺さんの住んでる部屋に上がり込むんですかぁぁぁ!?」

シリカの驚嘆の悲鳴が盛大に響き渡った瞬間だった。

俺「ある意味、さっきの爺さんよりも厄介で面倒な相手になるかもしれないな……」

リズベット「不審者やホームレス塗れなここで何時までも待ってるのも危なっかしいけど……あの爺さんが喚き散らしてるあの部屋に入るのも気が滅入るわね……」

俺「大丈夫だ皆っ!!」

俺は半ば俺自身にも鼓舞するように大ボリュームな声でそう言っていた。

俺「俺達はちょっとあの家の人達に本当にオズマをネットゲーム依存治療施設に預ける様に依頼したのかどうかを確認するだけ!すぐだ……きっとすぐに終わるはずだっ!」


が・・・・・っ!そんなキリトの期待虚しく、小田桐家に意を決して足を踏み入れたキリトらは冒頭の通り、話の通じぬオズマの父と祖父によって翻弄される事となるのであった!! by立木ナレ 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧