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英雄伝説~灰の軌跡~ 閃Ⅲ篇

作者:sorano
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第75話

新海都フォートガードに到着後パトリックと別れて特務活動を開始したリィン達は、フォートガードに実家があるミュゼの家族に挨拶をする為にミュゼと共にイーグレット伯爵家を訊ねた。

~新海都フォートガード・イーグレット伯爵家~

「――――お待ちしておりました。お帰りなさいませ、ミュゼお嬢様。」

「ふふ、ただいまセツナさん。お出迎えありがとうございます。」
リィン達がイーグレット伯爵家に入ると既に控えていたメイド―――セツナが恭しく礼をし、ミュゼは礼をしたセツナに微笑んだ。

「こ、こんにちは。」

「突然の訪問、申し訳ありません。自分達は―――」

「トールズ第Ⅱ、Ⅶ組の皆さまですね。お嬢様より伺っております。ふふ、ちょうど今しがたお茶のご用意もできたところですわ。」

「あん…………?」

「いくらなんでも準備が良すぎるような……」

「もしかして予知能力?」

「そんな非常識な事ができるのはゲルドさんだけかと。」
セツナの準備の良さに疑問を抱いたアッシュとクルトが不思議そうな表情をしている中、首を傾げて呟いたゲルドにアルティナはジト目で指摘した。
「ふふ、実は手紙に到着時間の大体の予想を書いていまして。”たまたま”ピッタリ当たってよかったですわ♪」

「…………たまたま…………」

「って、場当たり的すぎでしょ!?」

「…………」
ミュゼが真相を口にするとアルティナはミュゼを疑うかのような視線で見つめ、ユウナは疲れた表情で指摘し、リィンは静かな表情で黙ってミュゼに視線を向けた。
「――――よく戻ったな、ミュゼ。」

「ふふっ、お帰りなさい。」
するとその時ミュゼ達の来訪に気づいて部屋から出てきた老夫婦が2Fから声をかけた。
「ふふっ、お久しぶりです。お祖父様、お祖母様。」

「ふふっ、貴女こそ変わりないみたいで安心したわ。そして、そちらの方々が…………」

「高いところから失礼―――お初にお目にかかる、ミュゼの祖父セオドア・イーグレットだ。歓迎するよ、Ⅶ組の諸君。そして”灰色の騎士”どのと”聖竜の姫君”どの。」
そしてリィン達は応接間でお茶を御馳走になっていた。


「うわあ、美味しい…………!」

「これはいい茶葉ですね。」

「スコーンも焼き立てでかなりの美味かと。」

「オレドのファーストフラッシュでね。セツナの焼き菓子もよく合うだろう?シュバルツァー教官どのは東方剣術の使い手だったか…………龍来(ロンライ)産の緑茶の方がよかったかね?」
生徒達がそれぞれお茶やお菓子を楽しんでいる中お茶について説明をしたイーグレット伯爵はリィンに確認した。
「はは、とんでもない。堪能させていただいています。しかしミュゼの着ていた着物といい、多彩な趣味でいらっしゃるんですね。」

「フフ、隠居してからは少々暇を持て余し気味なのでね。海港都市ゆえ、遠い船来の品がそれなりに届くというのもある。」

「ふふ、狭い家ですのに物ばかり増えて困っていますけど。」

「せ、狭い家ですか……」

「普通の家よりも十分大きいと思うけど……」
シュザンヌ夫人の話にセレーネは苦笑し、ゲルドは首を傾げて周囲を見回した。


「まあまあ、お祖父さまの数少ない楽しみの一つですから。」

「まあ、折角こうして来てくれたのだ。どうか遠慮せず寛いで欲しい。――――生憎、猟兵団については教えられる情報は持っていないが。」

「な…………!?」

「どうしてそれを……?」
自分達が猟兵団についての情報を探っている事をイーグレット伯爵が察している事にクルトは驚き、アルティナは目を丸くして訊ねた。
「なに、新海上要塞に寄ったと聞いてね。近頃のエレボニア西部の情勢や今の時期に諸君らが来るという状況を合わせてカマを掛けてみたのだよ。」

「ふふっ、お祖父様ったら。」

「ハッ、孫が孫ならっつーか……隠居を決め込んでる割にはなかなか鼻が利く爺さんだな?」
イーグレット伯爵が説明した理由を知ったリィン達が冷や汗をかいている中ミュゼは苦笑し、アッシュは呆れた表情を浮かべた後意味ありげな笑みを浮かべてイーグレット伯爵を見つめた。
「ちょ、ちょっとアッシュ!」

(………イーグレット伯……さすがは先々代カイエン公の相談役を務めていただけはあるというか。)

(そうですわよね……先々代カイエン公の件で気になりましたけど……もしかしたら、イーグレット伯はユーディット皇妃陛下達とも知り合いの可能性はあるかもしれませんわね。)

(ああ。先代カイエン公はイーグレット伯の干渉を嫌ってイーグレット伯を相談役から外したとの事だが……先代カイエン公が亡くなった事で、ユーディット皇妃陛下達と連絡を取っている可能性は十分に考えられるな。)

「ふふ、隠居してもなお、色々と噂は聞こえてくるのでな。個人的にはかの”灰色の騎士”どのにお会いできて光栄だ。孫娘のことを思えば、今後も末長い付き合いになるやもしれぬしな。」

「ふふ、いやですわ、お祖父様ったら♪」
遠回しにリィンがミュゼの将来の夫になる可能性がある事を指摘するイーグレット伯爵の言葉にミュゼが嬉しそうな様子で微笑んでいる中リィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。


「いや、それは…………」

「確かにこの祖父にして、ですね。」

「うん、二人ともとても似ているわ。」

「ていうかミュゼ、手紙かなんかで絶対に仕込んでるでしょ!?」

「もう、ミュゼもあなたも、あまり困らせてはいけないわ。ごめんなさいね。久々に孫の顔が見れたからって舞い上がってしまって。」

「フフ、冗談はさておき、君達も微妙な時期に来たものだ。明日からの領邦会議に向けて諸侯も訪れるこの時期、いろいろと気を使う事だろう。」

「ええ…………そういえば閣下は会議には参加されないのですか?」

「ああ、伯爵以上は権利があるとはいえ長らく隠居している身なのでね。それに今年は議題も議題だ。大人しくしているつもりだよ。」

「議題……―――そうか、考えてみれば当然あって然るべき話題ですね。」

「ええ、クロイツェン州よりもむしろ深刻な筈ですし…………」

「ハン、なるほどな。平民のオレでも見えてきたぜ。」

(………?アル、なんの事かわかる?)

(いえ、新海都については内戦前後の情報しかもっていませんので…………)
イーグレット伯爵の話の意味をリィンとクルト、アッシュが察している中意味がわからないユウナとアルティナは小声で話し合っていた。

「ふふ、会議の内容については憶測まじりになると思いますし、そのくらいにされては?」

「ハハ、それもそうだな。」
その後リィン達はイーグレット伯爵達からミュゼの幼い頃の話等を聞かされた後、イーグレット伯爵達に見送られて特務活動を再開した。

特務活動を再開したⅦ組は要請内容の一つである海辺にいる手配魔獣を倒した後、フォートガードに戻ろうとするとある異変に気付いて立ち止まった。

~エリセン海岸道~

「…………」

「これは…………」

「…………ハン…………」

「?…………どうしたの?」
それぞれ何かに気づいたリィンとセレーネ、アッシュの様子にユウナは不思議そうな表情で訊ねた。

(………静かに。)

(ハッ…………身をかがめてろや。)

「ッ…………」
そしてリィン達がその場で身をかがめると複数の武装した猟兵達がどこかへと走り去った。

(こ、これって…………)

(…………数名の移動音…………)

(…………一般人じゃあり得ない。訓練を積んだ者の動きだろう。)

(新海都近郊…………人通りの少ない裏道で、ですか。)

(ウォレス准将から話に聞いていた”猟兵”である可能性は高いでしょうね。)

(よく気づいたな、アッシュ。)

(ハッ、鋭いのがテメェらだけとは思うなよ?)
猟兵達の足音が完全に聞こえなくなるとリィン達は立ち上がった。


「…………准将からの注意事項も受けていたところだ。念の為正体を探ってみるがみんな、ついてこられそうか?」

「勿論です…………!」

「私も体力や魔力はまだまだ余裕だから大丈夫よ。」

「ハッ、誰に言ってやがる。」

「…………全力を尽くします。」

「では、参りましょうか。」

「海岸道の脇道…………丘陵方面に入ったあたりですね。」

「いつ戦闘になっても迎撃できるように、最大限に警戒しつつ進みましょう。」
そしてリィン達は気配を消して猟兵達の後を追って行った。


(いた…………!)

(あの人達が”猟兵”…………)

(………教官、どうします?)

(教練通りだ。まずは退路を押さえる。セレーネ、アルティナ、アッシュ。回り込めるか?)

(大丈夫ですわ。)

(了解。)

(ハッ、余裕だぜ。)
リィンの確認の言葉にそれぞれ頷いたセレーネとアッシュは急斜面を走り、アルティナはクラウ=ソラスに乗って猟兵達の退路へと回り込み始めた。


「…………どうだ、竜どもの布陣は?」

「思ったとおり、迂回路側の警戒は手薄のようだな。このまま背後を突いて南西エリアを落とせば…………」

「ああ、何とか連中を退けて意地をみせてくれる…………!」
一方リィン達に気づいていない紫装束の猟兵達は相談しあっていた。そして猟兵達の退路へと回り込んだセレーネがリィンを見つめて頷くとリィン達はそれぞれ武装を構えて猟兵達に駆け寄った。

「動くな…………!」

「なっ…………!」

「敵か…………!?」
リィン達に気づいた猟兵達が驚いている中リィン達はそれぞれ戦闘態勢に入り、セレーネ達も飛び降りて猟兵達を包囲した。
「クッ…………!?」

「――――」

「動かないでください。」

「クク、背中は取ったぜ。」

「退路は断った上、人数もこちらが上です。―――まずは武装を解除してください。」
猟兵達の背後を取ったアルティナ達はそれぞれ猟兵達に向けて宣言した。


「制服…………女子供もいるようだが。」

「この地に演習に来たという士官学校とやらか…………?」

「しかしその傀儡は…………」
猟兵達がリィン達を警戒している中リィンが一歩前に出て名乗り上げた。
「トールズ士官学院・第Ⅱ分校、Ⅶ組特務科の者だ。哨戒活動中の不審行動――――できれば検めさせてもらおうか?」

「リィン・シュバルツァー!?それにセレーネ・L・アルフヘイム!」

「灰色の騎士に聖竜の姫君…………どうしてこんな場所に!?」
リィンとセレーネの顔を見て二人の正体がわかった猟兵達はそれぞれ驚きの表情で声を上げた。

「やはりといいますか”プロ”の方々みたいですね。」

「ああ…………しかもどうやら俺とセレーネに何らかの因縁があるらしいな?」

「考えられるとしたら2年前の”七日戦役”や内戦、もしくは”北方戦役”に関係しているかもしれませんわね。」

「っ…………」

「…………貴様らに直接恨みはない。感謝している部分すらある。」
リィンとセレーネに図星を突かれた事で猟兵の一人が息を呑んでいる中、他の猟兵は意外な答えを口にした。
「え………」

「感謝、ですか………?」

「だが、貴様らがエレボニアに協力している限り、邪魔されるわけにはいかん!」

「立ち塞がるなら容赦はしない!」
リィン達と戦う覚悟をした猟兵達はそれぞれの武装を構えた。
「対象集団を”猟兵”と認定!これより制圧を開始する!戦術リンクON!反撃には十分注意しろ!」

「イエス・サー!」
そしてリィン達は猟兵達との戦闘を開始し、協力して猟兵達に深手を負わせた。


「くっ、灰色の騎士と聖竜の姫君はともかく、学生ごときと侮ったが…………」

「…………どうやら認識を改める必要がありそうだな…………」

「これが猟兵…………さすがに手強いわね…………」

「ハッ、これ以上抵抗するなら叩き潰してやるだけだがなァ?」
猟兵達が生徒達を警戒している中、生徒達も猟兵達を警戒していた。
「…………その戦闘力、かなりのランクの団と見受ける。いったいアンタたちは―――」
そしてリィンが猟兵達に訊ねかけたその時、それぞれ何かに気づいたクルトとミュゼは血相を変えた。
「…………教官!」

「2時方向です!」

「下がってください――!」

「クラウ=ソラス!」
そしてセレーネが警告をしたその時、崖上からリィン達に向けて銃撃がされ、アルティナのクラウ=ソラスによって展開した防御壁によって銃撃は防がれた。

「チッ…………」

「新手…………!?しかもこんなに…………」

「…………」
崖上にいる新たな紫の猟兵達を確認したアッシュは舌打ちをし、ユウナが不安そうな表情をしている中ゲルドは一切動じず静かな表情で周囲を見回した。そして崖上の猟兵達は崖から飛び降りてリィン達を包囲した。


「ハハ…………形勢逆転だな。」

「到着が遅いと思えば、まさか灰色の騎士と聖竜の姫君とは…………」

「…………この遠き地で因果な邂逅もあったものだ。」

「…………繰り返し問うが俺とセレーネを知るアンタたちは何者だ?その戦装束に武装…………正直、見覚えは無いんだが。」

「見た所”猟兵”のようですが、少なくてもわたくし達が今まで戦った猟兵の武装ではありませんわ。」

「フン…………貴様らが知る必要はない。」

「…………命までは取らんが痛めつけるくらいはするか。この地で我らが意地を貫く邪魔をさせないためにもな…………」
猟兵達はリィンとセレーネの問いかけに答えず、戦闘続行の意思を見せた。
「…………っ…………」

「…………総員、離脱準備。俺とセレーネが血路を切り拓く。」

「ですが…………!」

「ハッ、誰がアンタに借りなんざ作るかっての!」

「――――大丈夫。教官達が私達の為にそこまでしてくれる必要はないわ。」

「ゲ、ゲルドさん…………?もしかして何か”視えた”のですか…………?」
リィンの指示にクルトとアッシュが反論する中静かな表情で答えたゲルドの答えが気になったセレーネが戸惑いの表情で訊ねたその時
「――――そこまでだ!」
リィンとセレーネにとって聞き覚えのある青年の声が聞こえてきた!


「ハイヤアアアッ…………!」

「ぐう…………っ!?」

「は、速い…………!」

「ユーシス…………!」
すると白馬に跨ったユーシスが猟兵達の背後から現れてそのままリィン達に向けて突撃させながら剣を振るって猟兵達を次々と怯ませ、ユーシスの登場にリィンは驚いた。
「いっけえええ~~っ!」

「ギャンッ!?」

「グルルルル…………!」

「あ、新手の傀儡…………!?」

「あ、あの時の…………!」

「ミリアムさん…………!」
更にミリアムがアガートラムに軍用魔獣達を攻撃させて牽制し、ミリアムの登場にユウナとアルティナは驚きの声を上げた。


「…………なるほど。危惧は当たっていたようだな。」

「ひーふーみー。捕まえるのは難しそうかなー?」

「…………数はまだそちらが上だが、既に包囲網は崩れた。それで、まだやり合うつもりか?」

「フン…………そのつもりはない。ここで戦力を減らす意味など皆無だからな。」

「D4、S5!」
リィンの問いかけに対して猟兵の一人が答えると、他の猟兵が懐から出した何かを空中へと放り投げ
「…………!」

「チッ…………!」

「総員、対衝撃閃光(スタンフィッシュ)!」
猟兵が放り投げたものが閃光手榴弾である事に気づいたリィンがセレーネ達に指示をすると同時に、閃光手榴弾は炸裂して強烈な光を放ち、光が消えると猟兵達はリィン達から距離を取って撤退を始めた。

「しまった…………!」

「ざけんな、コラアアッ!」
撤退していく猟兵達を見たユウナが声を上げている中、アッシュは自身の得物から鎌の刃を解き放つギミックで追撃しようとしたが、攻撃は届かなかった。
「灰色の騎士と聖竜の姫気、トールズ第Ⅱとやら!今回は退いてやる!だが、次は容赦しない!」

「…………」

「取り逃がしたか…………」

「チッ…………」
猟兵達の撤退を見届けたリィン達はそれぞれ武器を収めた。

衝撃閃光弾(スタングレネード)………油断していましたね。」

「うん、あたしたちが上手く反応できてれば…………」

「…………私も咄嗟の反応に遅れたわ。」

「ああ…………力不足だな。」

「……………………」

「いや、あの場合は自分の身を守れただけで上出来だ。それ以上の対応は次の課題として繋げればいい。」

「ええ…………皆さんは入学時と比べると着実に成長している証拠ですわ。」
生徒達がそれぞれ力不足を感じている中リィンとセレーネは生徒達に褒め言葉をかけた。
「はい………!」

「精進します。」

「………同じ失敗は繰り返しません。」

「ケッ…………」

「フッ、もっともらしい事を。」

「あはは、ちゃんと教官してるみたいだねー。」
二人の褒め言葉にユウナ達が返事をした後リィン達に近づいたユーシスとミリアムがそれぞれ声をかけた。



「久しぶりだな、ユーシス。ミリアムも2ヵ月ぶりか。でも、今日の夜に到着するんじゃなかったのか?」

「なに、飛行艇の準備が予定よりも早く完了してな。つい先程フォートガード空港に到着したところだ。」

「で、パトリックに聞いて当たりをつけて追いかけたってわけ!ニシシ、完全に偶然だけどナイスタイミングだったみたいだね!」

「そんな短期間でわたしたちの行方を…………」

「フフ、お二人とも相変わらずですわね。」
ミリアムの話を聞いたアルティナは目を丸くし、セレーネは苦笑していた。

「ハハ、白馬で登場なんて流石にあざとすぎるんじゃないか?」

「フッ、別に狙わずとも俺なら自然に絵になるというわけだ。」
リィンの指摘に対してユーシスはリィンとセレーネと軽くハイタッチをした後静かな笑みを浮かべて答えた。
「あーっ、ボクもボクも!」
そしてミリアムも続くようにリィン達と順番にハイタッチをした。

(や、やっぱりあの人も旧Ⅶ組の…………)

(ああ、それも”四大名門”の亡き前アルバレア公の跡を継いだ”アルバレア侯爵家”の当主だ。)

(………クク、でちっこい方がチビ兎の身内ってわけか。)

(そういえばあの子はアルと色違いの傀儡を操っていたわね…………)

(別に身内というわけでは…………)
アッシュとゲルドの小声の指摘に対してアルティナが複雑そうな表情で否定すると、自分達を見つめて囁きあっている生徒達の様子に気づいたリィン達が振り向いた。


「――――失礼、名乗りが遅れたな。」

「改めて―――ボクはミリアム!ミリアム・オライオンだよ!」

「アルバレア侯爵家当主、ユーシス・アルバレアという。見知り置き願おうか―――新Ⅶ組の後輩たち。」
その後リィン達は情報交換をする為にユーシスとミリアムと共にフォートガードへと戻って行った―――
 
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