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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE179 オズマ収容・・・ネットゲーム依存治療施設へ!

それは……オズマの日常の激変だろうか?エギルの店を後にした直後に、突如としてハイエースの中から10人ほどの集団が次々とオズマに襲い掛かり、強引に確保し車内へ拉致!
自体が全く飲み込めない状況下で、助手席に乗っていた集団のリーダー格と思わしき男がキリト達の前へと姿を現し……by立木ナレ


「始めまして皆さん、これは仕事上止む終えずの事ですのでどうか落ち着いて、干渉せずにお願いします」

その小太りの満面の笑みの男はオズマを車内に連れ込んだ事で咎めるキリト達の前に現れるや否や、自分達の行いを仕事上などと平静と語るのであった。

キリト「仕事だって……大体何なんですかアンタは……?」

エギル「何処の誰か知らないけどよ……未成年をいきなり集団で車に連れ込んで仕事だから止めるなとか言われて、はいそうですかって納得する分けねぇだろう」

大柄で黒肌でスキンヘッドエギルに凄まれれば大抵の者は萎縮してしまうのだが、目の前のエギルよりも大幅に小柄で、体型も腹の出て荒事や運動とは無縁そうなこの男は特に動じる事も臆する事も無く、笑みを浮かべたまま照れくさそうにスーツ姿の懐から一枚の名刺を差し出すと同時に自己紹介を始めるのであった。

大月(おおつき)「おおっと……これは失礼しましたね。私はネットゲーム依存症治療施設の施設長を勤めております、大月太郎(おおつきたろう)と言う者です」

リズベット「え……ネ、ネットゲーム依存症治療の施設って……確かぁ~」

シリカ「あ、あれですよ!いわゆるネトゲ廃人って呼ばれてる人達を隔離して最終的にネットゲームを止めさせちゃうって言うあれです!」


そう……ネットゲーム依存症治療施設は、一日の大半を……人生の大半をネットゲームに費やし学校や仕事などと言った私生活に著しい支障をきたすほどに熱中する所謂――ネトゲ廃人と呼ばれる者達を隔離、収容、ネットゲームはおろか、インターネットすらも出来ぬ環境下に置かれ、最終的にネットゲームから足を洗わせる事を目的とした施設であった!

2022年に世界初のVRMMORPGゲーム『ソードアート・オンライン』のサービス開始以降、アルヴヘイム・オンライン、更にはザ・シードによりVRMMOゲームが拡大する事により、ネットゲーム依存症者が増えるにつれて近年、VRMMOゲームを良く思わない保護者層や教育者などたちを中心に注目を集めているのであった!!


大月「我々は都から正式に施設の運営を任されていましてねぇ~。最近ホラ……VRゲームなんて言うのが流行ってて、それに伴いネトゲ廃人になっちゃう人達が増える一方ですから需要が拡大して大変なんですよこれが……」

大月はニコやかに笑みを零しながら自分達の仕事の事を説明して楽しげに笑っていたのだったが、この
男がネットゲーム依存治療施設の施設長……しかも都から正式に運営を委託されている業者であると知り、キリト達は一斉に背筋が凍るのであった――そう、VRネットゲーマーであるキリト達にとってこの男は悪魔的天敵!例えSAOを早期クリアに導いた黒の剣士と言えど……決して戦ってはならぬ相手なのであった!

エギル「あ、あのよ……オズマ――いや、あの小田桐弭間(おだぎりはずま)はなんで――アンタらの施設で治療が必要なほどのネトゲ廃人だって話になっちまったわけだよ?そもそもさ、誰かから依頼が無くちゃオタクらは積極的に動いたりしねぇだろ?」

大月「ええ、無論これは、小田桐弭間君の保護者さんの正式な依頼を受けて、そして彼がネットゲーム依存症であると言えると言う事も我々の調査で判明したが故の行動ですので」

何とか大月に対してオズマがネトゲ依存治療施設に収容される理由を聞き出そうと問いただすエギルに対して、大月は淡々と――まるであらかじめ予想されていた質問に対してマニュアル通りの答えを返すように答える。

リズベット「アイツの保護者からの正式な依頼ってどう言う事よ!?それに、何処をどう調べたらアイツがネトゲ依存症なんて言えるってのよ!?」

大月「うふふふふ……それはちょっと調べたらすぐにハッキリわかりましたよ」

リズベットの問いただしに対して大月は相変わらずの笑みを見せたまま含み笑いをする、そして――

大月「小田桐弭間君――彼はSAO生還者ですよね?2年間も危険なVRゲームに囚われて、人生に大幅な悪影響を及ぼされてしまったにも拘らず、彼は未だにアミュスフィアと言うフルダイブ機器を使ってVRゲームをやっている事が判明しました」

キリト「げっ……」

エギル「ぐっ……」

リズベット「うっ……」

シリカ「はうっ……」

自分達にも当てはまる事を指摘されて、キリト達はまるで胸を針で刺されたかのような精神的ダメージを食らった!が、大月の説明はさらに続く!

大月「そして数カ月ほど前、確か――ALOと言われるゲームの大会で優勝を果たしている事から、彼はこのゲームに相当打ち込んでいる事が分かりますねぇ~――そして何よりも……彼は16歳と言う年齢であるにも拘らず、学校に行っておらず、定職に就いているわけでもない!!これは由々しき事態ではありませんか!?」

キリト「…………」

エギル「…………」

リズベット「…………」

シリカ「…………」

閉口する四人、そして大月はキリトらを見渡し、満面の笑みを浮かべながら今度は逆に自分からキリトらに対して問いかける!

大月「えっとぉ……皆さんは弭間君とは一体どう言うご関係でしょうかね~?」

リズベット「え……!――あ、アタシ達?」

大月「さてはさては……皆さん方も弭間君と同じ、ネットゲームに依存してるお仲間―――」

エギル「さて、仕事戻るか!ウチは夜は繁盛するからな!」

キリト「え~とぉ、7月のうちに完成させなくちゃいけないレポートがあったんだっけかな~?」

リズベット「やっば!アタシもこの後勉強会があったんだわ!」

シリカ「はわわ!ピナにご飯あげなくちゃいけなかったです!」

4人揃って緊急回避!!自らもネットゲーム依存症治療施設に目を付けられては溜まった者ではないと言う共通の認識の元……取りあえずここは身を引くしかない!決してオズマを完全に見捨てるわけではないと自分に言い聞かせつつ……by立木ナレ

大月「うふふふ……皆さんはネットゲームは程々にしなくちゃいけませんよぉ~。我々も今は収容者が一杯一杯で大変ですからねぇ~」

キリト達の様子を見てニンマリと笑みを浮かべて、そんな言葉を送り――大月はハイエースの助手席へと戻り、そのままキリト達の目の前で走り去って行ったのだった。



※ ※ ※


気が付けば・・・・・・オズマは地の獄・・・・!どこかわからぬ・・・・・・収容所の奥の底・・・・・・・・亡者巣喰うネットゲーム依存症治療施設にいたっ・・・・・・・・!
治療・・・・・・!治療しなければならないっ・・・・・・・・!この地の底で・・・・・・ネットゲーム依存から脱却したと認められるまで……っ! by立木ナレ


職員「刑務作業終了!!さっさと並べ並べ!!」

ここに収容されている推定80人前後に及ぶ収容者達はまるで刑務所の囚人の如く全員お揃いの緑一色の服を着せられて、就労意欲と働く意味を学だとか、ネットゲーム依存治療の一環だとかの名目で、日曜日以外の週に6日……土曜日と祝日も含めた毎日朝の8時~17時まで施設内の労働施設での様々な強制労働を強いられている。

俺が収容されて早々に担わされているのは、何に使うのか分かったもんじゃない木材製品のパレットを釘打ち鉄砲などを使って製作する作業だった。
そして、この日も作業が終わったら、収容者達の共用の風呂兼シャワールームで短時間で身体を洗い流すわけだが……何せ80人ほどいる収容者の内の50人以上は男の収容者なのでゆっくりと湯船に入っている時間などほぼ皆無だった。

俺「――ったく、ふざけやがって……っ!!クソ……っ!!なんなんだよこりゃ……っ!!」

そして、急かされるように身体を洗い終えた後は食堂で食事……食事内容は大抵は茶碗に軽く一杯の飯とたくあん……他のおかずは精々一品、良くて二品程度と言う侘しさ極まりない食事だ。

そして、食事を時間内に済ませた後は一般的な学校の教室の2倍ほどの広さの部屋に戻るわけだが――この部屋に80人ほどの収容者たち全員が共有で過ごす事になっているためとにかく狭い!!

一応、この部屋に二つある扉側から見て右側と左側にはそれぞれにはまるでカプセルホテルにあるような小じんまりとした簡易な宿泊スペースが並んでおり、男は右側を、女は左側を使う事になっているわけだが……ここはホテルではなくあくまでネットゲーム依存者の治療施設なので各々の狭い個室にはテレビなどと言った娯楽の設備の類は当然皆無――まさに寝る為だけのスペースが並んでいるにすぎない有様だ!

ほかにある物と言ったら、古新聞や古雑誌……後は囲碁やトランプに将棋や麻雀と言ったアナログで簡単なゲームがある程度に過ぎない。
ここで俺は四六時中同じ収容者の連中とずっと一緒……朝から晩までずっと一緒と言うわけだった。

そして朝の5時過ぎになると、サイレンの音と共に収容者全員が一斉にたたき起こされて、施設の掃除と朝食を済ませた後に刑務作業が開始。
昼の12時ごろの昼食を挟み毎日がそれの繰り返し……オズマはこの外部とネット環境から完全に隔離され施設で、ネットゲーム依存症から完全に脱却できたと見なされるまで´治療´を受け続けるのであった!!


※ ※ ※


俺「クッソォ……っ!どういうことだよ?俺がネットゲーム依存患者だと?誰だ……どこのどいつが俺の事をこのふざけた施設に売りやがった……っ!?」

俺が施設に入れられてから早くも一週間が経過した土曜日の夕食の後。俺は唐突にこんな不自由と息苦しさにまみれた施設になぜ自分が入れられなくちゃならないのかまるで分らず、一人煮えくり返る思いを吐き洩らしていた。
このタコ部屋は常に監視カメラに見張られていて、俺達収容者の脱走を常に警戒しているのが分かる、無論……この部屋の外の各部屋、廊下も監視カメラが仕掛けられているのは既に俺は知っていた……

俺「だが、外部と接触する手段が全く無いわけじゃない……」


そう、この施設内では各収容者達が金を溜める事によって得られる勤労オプションと呼ばれるものが存在していた!その中で特にオズマが外部との接触手段として目を付けているのが一番高値の一日外出券と二番目に高値のコンピュータールーム一日使用券であった! by立木ナレ


俺「けど、その金が高い……っ!一日外出券は30万マネーだ……そしてその次に狙い目のコンピュータールームの一日使用券ですら15万マネー必要になる……!」

そんな中、80人の収容者が狭苦しくひしめき合うタコ部屋に訪問者が現れる。その男は俺を拉致した時にハイエースの助手席にいた男――

大月「はい、皆さんご注目を~」

施設長の大月だった。相変わらず胡散臭い満面の笑みを浮かべながら、後ろに側近とらしき男の職員を引き連れている。
その側近の男は一台の車輪付きの荷台を引いており、その二台の籠の中には酒や煙草、それ以外にも多数の摘みや嗜好品が詰まれていた。

自然とタコ部屋の中の収容者達の視線は大月とその部下に向けられる。だが、無理もないだろう。今日、土曜日の晩飯後はここの収容者達にとって一週間の中で最も待ち遠しい一日だからな。

大月「今日も一日、更生の為の作業をご苦労様でした。明日は日曜日ですので一日ごゆっくり休んで体を休めて下さい……そして今日はお待ちかねの給料日で~す!!名前を呼ばれたら順番に取りに来てくださ~い」

大月の言葉に娯楽に飢え、日々の刑務作業に苦しんでいる収容者達は見て分かるほどに表情をだらしなく歪ませていた。
重度のVRMMOゲーマー達の集まりとだけあって収容者の年齢層は大半が10代後半から20代半ばの若者たちだった。


そして……オズマ、施設入所から一週間後の初給料!その額は24000マネー!マネーとはこの施設内でのみ通用する限定貨幣であり、その価値は丁度日本円の10分の1となる……すなわち、この24000マネーは2400円!一週間の内の労働日数が6日間の為日給にして丁度400円であった!

一週間……VRMMOはおろか、一切のネット環境から切り離され、娯楽も皆無の状況下で刑務作業を毎日8時間こなし……僅か日給400円であった!!

しかし、これでも施設側としては大盤振る舞いとの事であり――この施設の運営、収容者達の治療などなどに掛かる費用を、収容者たち自身が自ら働き……賄う事により……収容者達が自ら施設の運営を支えつつ、ネットゲーム三昧の日々から脱却する為の更生に繋がるとの事であった!とは言え、日給僅か400円と言う破格の格安給料にオズマの未来のすべてが掛かっているのであった! by立木ナレ


 
 

 
後書き
今回登場した施設長の大月の元ネタは分かる人は分かると思いますが、カイジに登場したハンチョウの大槻です。 
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