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許されない罪、救われる心

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108部分:第十話 襲撃の後でその七


第十話 襲撃の後でその七

「彼女のことは」
「行ってみる」
 弥生はその思案の末に言った。
「一度」
「何処に?」
「あの娘の家に」
 そこにだというのだ。
「行って来るわ」
「病院には?」
「それはまだ」
 それはと答えた。
「まだ。考えさせて」
「本人には、なんだ」
「ええ、まだにしたいの」
「どうして、それは」
「まだ。そこまで許せないから」
 それが理由だった。
「だから」
「そう。まだなんだ」
「けれどお家には行って来るから」
「お家も大変なことになってるみたいだね」
「お家にもデモ隊が来たのね」
「今も来てるらしいよ」
 岩清水は事実を話した。
「だからね」
「そうなの。今も」
「それでも行く?行ったらいるかも知れないけれど」
「それでも行くわ」
 弥生は決めていた。
「あの娘にお家に」
「わかったよ。それじゃあ」
「室生は行かないの?」
 弥生はここで彼の名前を出して問うた。
「あの娘のお家に」
「僕はまだ」
 葉月は視線をやや下にやって述べた。
「まだ。行けないね」
「行けないのね」
「まだ許せないから」
 それが彼が行けないと言った理由だった。
「だから」
「酷いことをしてきたのは事実だからね」
「だからね。あの映像は見たから」
「私も。それでも」
「行くって決めたんだね」
「ええ。やっぱり行くわ」
 また言う弥生だった。
「お家にね」
「気をつけてね」
 デモ隊を意識しての言葉である。
「それじゃあ」
「わかってるわ。じゃあね」
「うん」
 こう話してだった。弥生は如月の家に行くことにした。だがその前にだった。
 神無と二人になった。場所はトイレだ。そこの鏡のところでだ。向かい合って話すのだった。
「あの、いいかな」
「あのことよね」
「今のあの娘達どう思う?」
 こう彼女に問うのだった。
「あの娘達。まだ許せない?」
「ええ」
 神無は弥生の問いに沈んだ顔で頷いた。
「あの時死にたかった。今でも思い出すと」
「そうよね。けれど今は如月がね」
「死にそうなの」
「友達だった・・・・・・いえ、友達だから」
 弥生の心が変わった。いや、元に戻った。それが言葉に出たのだ。
「私はあの娘に死んで欲しくない。けれどね」
「けれど?」
「椎葉さんも友達だから」
 こうも言うのだった。
 
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