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星河の覇皇

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第六十九部第四章 国境外縁部その十六

「今の中央政府大統領も高校から下士官候補生になりだ」
「士官になり、ですね」
「途中夜間大学に入り卒業し」
「政治家に転身してですね」
「祖国の地方議員にはじまり」
 市会議員からはじまった、出身地である小さな都市の。そこで功績を挙げ所属していた改革派のその星の責任者に着目されてなのだ。
「惑星議会の議員になり」
「そこでも多くの見事な政策を提案、実現を果たし」
「その国の議会に行き」
「そして中央議会」
「それから今に至りますね」
「とんとん拍子だったが苦労して実績を出した」
 一介の下士官候補生からというのだ。
「そのうえで大統領になった」
「大衆から出てですね」
「そのうえで、ですね」
「中央政府の大統領に至った」
「これもまた連合ですね」
「この国はそうした国だ」
 誰もが大衆であり大衆がそれぞれの実力で地位を手に入れる国というのだ。
「ユニオン=ドリームというが」
「成功すれば成功を手に入れる」
「実力と運があれば」
「それによってですね」
「かつてのアメリカンドリームと同じだ」
 掘っ立て小屋からホワイトハウスにだ、スラム街からブロードウェイ、少年院からメジャーリーグである。苦学生が発明王になった話もある。
「しかしアメリカンドリームは成功すれば大きかったが」
「運がなければですね」
「そして少しでもしくじれば」
「後は奈落でしたね」
「そうだった、しかしだ」
 それでもとだ、グータルズは己の見解を述べた。
「連合は夢を掴めなくてもな」
「それでもですね」
「それなりの地位と資産を手に入れられますね」
「この国は」
「それだけの豊かさがありますね」
「無限の資源、開発地と開拓地があるのだ」
 それ故にというのだ。
「だから失敗してもな」
「それなりの場所にです」
「辿り着くことが出来ますね」
「この国は」
「そうした国ですね」
「豊かさが違う」
 連合はというのだ。
「サハラから見れな途方もない」
「我々も飼い殺しとはいえです」
「相当な報酬を得ていました」
「家も建っていました」
「そしてサハラでは信じられない生活を送っていました」
「そうだ、ユニオンドリームはアメリカンドリームとはそこが違う」
 それなり以上に失敗しても得られるものがある社会だというのだ。
「だから挑戦しようという者は何度でも挑戦する」
「その夢に」
「幾度もですね」
「そうした国だ」
「そして、ですね」
「そうした国であるので」
「階級意識を基本的に嫌いだ」
 そうしてというのだ。
「元帥も兵士もだ」
「同じ場所で同じものを食べる」
「そうした国なのですね」
「サハラとも違い」
「そして勿論エウロパとも」
「そうした考えの国だ、そして食堂にはだ」
 今度は食堂の話にもなった、その場所についてのだ。
「音楽がいつもかけられるな」
「食事中は」
「連合軍は必ず、ですね」
「正規軍については」
「そうなっていますね」
「それも軍歌だけでなくだ」
 連合の軍歌は無数にある、各国の軍歌をそのまま連合軍の中に入れてそのうえで演奏したりしているのである。 
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