| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

オズマ施設収容編
  FILE175 時代遅れの走りの世界

 
前書き
と言うわけで、SAOサバイバーバトル大会に続くオリジナルストーリーです。 

 
……広がり続ける新世界!!……拡大し続ける新世界!! by立木ナレ


茅場晶彦が開発したコンパクトなサイズのVRMMORPG作成・制御用のフリーソフト……ザ・シードを受け取ったキリトがそれをネット上に拡散したことによって、ALO事件により将来が危ぶまれたVRMMOはその形勢を呆気なく逆転させ、仮想世界は爆発的な拡張を続け、様々なVRワールドを生み出し続けていた!

そんな出来事から数カ月ほどが経過し2025年7月、SAO時代に攻略組のエースとして、灰色の剣士、補足転移使いのオズマと呼ばれた小田桐弭間ことオズマも―――by立木ナレ


「凄いぜあの車、何者だァァァ!?」

「ユ、ユーノスだ!ロードスターの初代……NAロードスターの……しかもありゃ800代限定モデルのJリミテッドだぞ!!」

「ユーノス・ロードスターJリミテッドだって……!?さ、三十年以上も昔の車だぞそりゃ!!」


ここは神奈川県横浜市権田坂(ごんださか)。今や公道から姿を消しつつある、高速道路や山岳道路などの公道でスピードの極みを追い求め続ける所謂、走り屋と呼ばれる者達の砦にて、一台のライトウェイトスポーツカーがギャラリーたちの視線を集めていた!! by立木ナレ


「下りのブレーキングドリフト完璧だぁぁぁ!立ち上がりもうめぇぇ!」

「し、しかもガードレールギリギリだぜ!しかももうすぐヘアピンだってのにオーバースピードだぞ!ブレーキイカレタかぁぁぁぁ!?」

「い、いや……曲がり切った!あのオーバースピードで曲がり切りやがった……前を爆走してたGT-R抜きやがったぞぉぉぉぉ!!」


圧倒的興奮……圧倒的歓喜……圧倒的大喝采!!彗星の如く峠道に姿を現し、その圧倒的な走りを披露するJリミテッドにギャラリーたちの魂は激しく震え……燃え上がる!! by立木ナレ


弟「あ、兄貴……あれってマジで初代のロードスターなのかよ……なんだってロードスターがハイパワー四駆のGT-Rを抜いちまうんだよ……!?」

兄「……確かに、常識で考えれば初代だろうと、最新型のNEだろうと、ロードスターがGT-Rに勝つなんて考えられないだろうさ」

そんなギャラリーたちの中で、驚嘆の表情を浮かべつつも、魂を激しく奮い立たせている金髪でキバオウのような声の弟と、冷静に状況を分析している黒髪のオベイロンのような声の兄がいた!彼らは通称……ロータリー兄弟!走り屋たちの間では関東でも催促の走り屋兄弟として名高いRX-7使いの二人であった!

兄「だが、あのJリミテッドに至っては何もかもが常識外れ……ドライバーは勿論だが、あの車のチューニングもな」

弟「そりゃ、俺だってあのJリミテッドがかなりのチューニングがされてる事くらいは見れば分かるぜ、あのエンジン音、間違いなくターボだしよ……マフラーだってノーマルなわけがねぇ……」

兄「まあ、ロードスターは幸いにもアフタパーツが豊富だからな……オーナーの知識と金次第では弄り様は色々とあるさ。事実、あのJリミテッドもターボ付きエンジンとマフラーの交換で馬力はおそらく200以上……それでいてロードスターの根本的な利点である軽さと車体の前後の重量配分50:50のバランスの良さを損なわず……あの車を仕上げたのは相当ロードスターについて詳しく知り尽くした人物だろうな」

弟「け、けどよ!だとしたってロードスターってのは普通は早さを追求した車と言うよりも走る楽しさを優先した車って言うだろ……そんな車を幾らチューニングして、ドライバーの腕が良くたってあのGT-Rを抜くなんて考えられねぇぜ!あのGT-Rだってドノーマルってわけじゃねぇ!馬力は軽く300以上……しかもドライバーはそんなパワーの塊見てぇなGT-Rを手足の様に使いこなす腕前なんだぜ!」

兄「ああ……相手のGT-R使いだって間違いなく強者と言い切れる腕前だ……だが、それでもあのJリミテッドは間違いなく、俺達が見ている前で抜き去った……恐らく奴には峠道でハイパワー4WDの車を相手に互角以上に走る何かを持っているんだろう……それが車の性能か、ドライバーの腕前か、どちらにせよゾクゾクして来たぜ」


※ ※ ※


シリカ「オズマさーん!は、早く助けて下さぁぁい!!」

俺「なんか変な植物モンスターに好かれてやがるなアイツ……」

俺が神奈川県の峠道でGT-Rに勝利したその次の日、ALOで何時ものメンツ(俺、キリト、アスナ、リーファ、リズベット、シリカ、クライン)で狩りに出ていたのだが……(エギルは仕事で不在)クエストの達成条件である植物モンスターを時間内に一定数討伐する為に焦りが生じたのだろうか……シリカが植物モンスターの触手のようなツルによって足を掴まれそのまま持ち上げられて、更に逆さづり状態、手に持っているダガーを使えばツルを切る事も出来るはずだったのだが、何を思ったのか両手を使って捲れそうなスカートを抑える為にダガーを床に落とすと言う……まるで初心者(ニューピー)かと疑いたくなるような凡ミスによって自力での脱出手段を失っていたのだった。

リーファ「オズマさん!呑気なこと言ってないでワープビジョンで助けましょうよ!」

リズベット「そうよ!ここは洞窟内で飛行出来ないんだからアンタがやるっきゃないのよ!」

宙づりにされて振り回されているシリカの哀れな姿を俺が呆然と眺めていたら両隣からリーファとリズのダブル叱責だった。
仕方なく俺は少ないMPを消費してワープビジョンでなんとか宙づりになっているシリカの目の前まで瞬間移動し、空中で剣を振り払いシリカを捕まえていたツルを切り飛ばすのだったが……

シリカ「ひぃやぁぁぁぁ!!」

俺「飛べねぇ洞窟内でワープビジョンでこんな事したら、こうなるわな……」

なんせ6~7メートルほどの高さで宙づりになっていたシリカを助ける為に俺はワープビジョンで空中に瞬間移動してしまったのでその後はスグにワープビジョンを発動出来ず地上に真っ逆さま、そしてそれはツルから解放されたシリカも同じなのだった。

キリト「クライン頼む!」

アスナ「って、何してるのよキリト君!?」

クライン「おわぁ!?き、キリの字……オ、オメェなにを……」

キリトが声は真剣だったが、表情は半笑いでクラインを背中から強く押すと、背中を押されたクラインは俺とシリカの落下地点のちょうど真下になった為――

クライン「どわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

キリト「二人とも無事か!?」

俺「ああ、なんとか助かったなぁ~」

シリカ「ク、クラインさんが助かってませんよ!!」

俺とシリカのダメージはクラインが下敷きになった事により最小限に収まったが、下敷きにされたクラインはMAX状態のHPから一転して一気にレッドゾーンの状態にまで激減……まさにパーティープレイ故の犠牲と言う事だろう。


※ ※ ※



クエスト達成後、丁度仕事がひと段落して、ログインしたエギルのアインクラッドの仮店舗にて俺達は集合していた。
――が、当然ながらキリトの咄嗟の機転によって散々な目に遭ったクラインの愚痴がキリトにぶちまけられるのは言うまでも無かった。

クライン「―――ったくよぉ~……あの場で咄嗟に俺を下敷きにするか普通?」

キリト「だから悪かったって、お前もなんだかんだでDeadしないで済んで、ちゃんとクエストも完了したじゃないか」

アスナ「キリト君……さっきから全然悪びれてるように見えないわよ……むしろ楽しそうに見えるんだけど……」

クラインの愚痴に対して、肩を軽くパンパンと叩きながら適当に謝るキリトに対してアスナからも呆れ気味に言われていた。

クライン「だろ~?あんな事を笑いながらやりやがるコイツはぜってー人間じゃねぇよ!」

キリト「ま、この世界の俺達は人間じゃなくて妖精だからな」

俺「ファンタジー世界の夢をぶち壊しにする鬼畜な妖精だな……」

ひとまずクエストの報酬のスキルポイントと(ユルド)を受け取り、軽く談笑。店主のエギルが店の中にあるテレビを付けてくれたので、それを見ながら話は続いていた矢先だった。この時間帯にリズとリーファが欠かさず見ているドラマが終わり5分程度のニュースが流されるのだが――

キャスター「この2020年代において、安全性に問題のある旧世代の20世紀の車で峠道を我が物顔で走る自称……走り屋たちの危険極まりない行動を我々はカメラに収めました」

キャスターがそう言って、映像が切り替わるとそこは真夜中の峠道……俺が昨日GT-Rと競った権田坂だった。
そして、カメラが映し出すのはこの時代においては安全性に問題があるとしつこく指摘されている80年代~90年代に人気を博したスポーツカーが権田坂で競う様にバトルを繰り広げる光景だった。

俺「…………」

昨日の権田坂で見た覚えのあるS13シルビアとトヨタ・スープラが軽く100キロを超すスピードで競って峠を攻める映像を見た俺は嫌な予感を感じていた。
そして、その映像を見た女性人達からは辛辣な苦言が次々と発せられるのだった。

リーファ「本当に常識外れな人達ですよね!あそこって法定速度40キロとか50キロなんでしょ?あの人達、公道の峠道をサーキットかなにかと勘違いしてますよね!」

リズベット「アイツらって自分達の事を走り屋とか自称してるけど……バイクの暴走族と大差ないじゃない!」

リーファが法定速度を超過して走りまくるスポーツカーたちを見てキツい表情を浮かべて、手厳しい言葉を発し……それに同調するようにリズベットが走り屋たちを非難していた。

シリカ「あんなのを近くで見て喜んでる人達もおかしいですよね……私だったら怖くて近づけないですよぉ」

シリカは走り屋たちのバトルを見て興奮して騒いでいるギャラリーたちの姿に一切の理解を示せず、苦言を呈していた。

アスナ「そもそも、あの人たちが乗り回してる車自体が問題なのよね。あの古い車だから自動運転機能はレベル0でサポートAIも未搭載の上にMTだなんて……私だったら危なっかしくて同乗出来っこないわよ……」

アスナに至っては走り屋たちが乗り回している車そのもの安全性を指摘し否定する有様だった。その後もアスナ達は車は実用性が第一だとか、エンジン音がうるさいだとか、散々言いたい放題で――

リポーター「あ、見て下さい!たった今、黄色いオープンカーが凄まじいスピードで曲がり道をドリフト走行で走り抜けていきました!殆ど速度を落とさないまま大変危険なドリフトです!」

クライン「おおっ!?今のロードスターってオズマのJリミテッドと同じじゃねーか!?」

エギル「お、確かに――オズマの車も黄色の初代のロードスターとか言ってたっけな?」

カメラに映し出されたのはまごう事なき、昨日の俺のユーノス・ロードスターJリミテッドで、リポーターがドリフトを決めた俺のJリミテッドを遠くで見ていただけの癖に危険だとほざき喚いていた。

そして、クラインやエギルの言葉からも分かる様に、俺は既にSAOサバイバーバトル大会の優勝賞金である200万円の大部分を使い車を買った事をこの連中に伝えて、その車を見せたのだった。
成人男子であるクラインやエギルからは『良い車』『今の時期にはもってこいのオープンカー』と中々の好評を得られ、バイクの免許所得を考えているらしいキリトからも『古いけど悪くはない』と言われたのだったが――女どもからの意見は思い出しただけで吐き気を感じるほど散々で――

リズベット「アンタ正気じゃないわよ!なんでよりにもよってこんな古くて運転し難い上に実用性も無い車買っちゃったのよ!もっと実用的な軽自動車とか色々とあるじゃない!」

リーファ「え、自動運転機能やサポートAIどころかカーナビすら付いてないんですか!?」

シリカ「オズマさん、今からでも返品してもっと他に良い車にした方がよくないですか?」

アスナ「このエンブレムって見た事ないんだけど……もしかしてこの車って外車なの?」

こんな感じでまさに耳栓を付けたくなるような言われようだった。所詮今時の10代の娘共にスポーツカーを乗り回す楽しさとか、早い走りを追求する楽しみなどは理解できず、奴らにとって車はあくまで移動手段なんだろうと、俺はこいつらと同年代ながらジェネレーションギャップを感じていたのだった。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧