| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

おぢばにおかえり

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四十八話 合格してその二十一

「陰湿で残忍で執念深くて」
「そのどれもがかなりで、っていうのね」
「はい、そんな人間ですから」
「そんなことしていいの」
「そうします」
 していいとは言いませんでしたけれどこう言いました。
「そうした相手には躊躇なく」
「じゃあ阿波野君が長池先輩にそういうことされたら?」
「忘れずに機会を見て徹底的にやり返しますよ」
「そんなの絶対に許さないからね」
 先輩にもすると聞いて私は阿波野君に厳しい目を向けました。
「先輩にそんなことしたら」
「わかってますよ、あの人とてもいい人ですよね」
「あんないい人いないわよ」
 私は一年ずっと先輩と同じお部屋でした、それでよくわかっているつもりです。あの人がどんな人なのか。それで阿波野君にもこう言いました。
「優しくて穏やかで公平で」
「けれどそうした人でもですよ」
「でもって?」
「間違えたりしますからね」
「それで間違えたらなの」
「僕がそうしたことされたら忘れないですよ」
「それで機会見てやり返すの」
 阿波野君にまた尋ねました。
「そうするっていうのね」
「はい、僕だったら」
「阿波野君がそう言うなんてね」
「ですからそうした人間ですから」
 自分はというのです。
「悪い癖性分なのはわかってますよ」
「そうした癖性分は絶対になおさないと駄目よ」
 心から言いました。
「周りにも阿波野君にもよくないから」
「やっぱりそうですよね」
「悪いんねんも積んでいくし」
 このことも考えられました。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧