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永遠の謎

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665部分:エピローグ 至高の救いその三


エピローグ 至高の救いその三

「だからこそだ」
「それ故にですか」
「あの方は理解されたかったのですか」
「そうだったのですか」
「そう思えるのだ」
 大公は城の中を歩いていく。そのワーグナーとバロック、ロココの中をだ。
 白を基調にして青と金が所々にある。今は観光客のいない城の中を見回りワーグナーが描かれた絵画、王が細かい部分まで指摘したその絵も観た。
 それからだ。共にいる側近達に述べたのである。
「だからこそこの城も他の城も開放したのだ」
「そして陛下はこれからもですか」
「多くの者の記憶に残る」
「そうなるのですね」
「そうだ。そして考えられ」
 王についてだ。そうだと言ってだ。
 そのうえでだ。側近達に述べたのである。
「理解する者が現れたならだ」
「それならいいのですね」
「それが殿下のお考えなのですね」
「そうだ。私はあの方に何もしてあげられなかった」
 後悔と共にだ。大公は述べた。
「だから今せめてだ。こうしてだ」
「陛下の為に」
「為されますか」
「あの方は永遠の謎だ」
 大公はその白い床の上を歩きながら述べる。
「だが。少しでも理解できる者が現われることを祈る」
「そうですね。では我々も」
「これからも陛下のことを愛し思わせて頂きます」
「そうしてくれると何よりだ」
 大公は顔をあげてだ。そのうえで上を見た。そして王に想いを馳せつつだ。王の築いた城の中を歩くのだった。
 王はこの時だ。森の中にいた。その先導には。
 あの騎士がいた。白銀の鎧と白いマント、それに剣を手にした彼が王を先導する。その騎士が王に言うのだった。
「この森のことは御存知ですね」
「無論だ」
 王は答える。その森は。
 深くはない。奇麗な緑の葉が花の様に咲き誇りそのうえでだ。
 白い日差しが差し込む。その中をだ。二人で進みだ。
 王は自然と美しいものを見る目になっていた。そのうえでの言葉だった。
「私は旅の終わりにここに来る運命だったのだ」
「そうです。そして今がです」
「旅の終わりだな」
「陛下は私を御覧になられ」
 そうしてだというのだ。騎士も微笑みつつ王に話す。
「接吻を受けられました」
「クンドリーのあの接吻をだな」
「そして旅を終えられてです」
「今私が入るべきだった城に入ろうとしているのだ」
「そうです。だからこそ」
 それ故にだというのだ。
「入られましょう」
「そうだな。それではな」
「間も無く城に着きます」
 森は自然に動きだ。二人を導きだ。
 そしてそのうえでだ。二人はある城の前に来た。その城は。
 ノイシュバンシュタイン城を思わせる。白く見事な城だ。緑の森と青い湖に囲まれている。その城の前に来たのだ。ここで騎士は王に顔を向けて言ったのだった。
「着きました」
「そうだな。遂にだな」
「では中に入りましょう」
「それではだな」
 王も応え。そうしてだ。二人は門、樫の木の見事な門の前に来た。するとだ。
 王は自然に清められた。聖油がその頭にかかりその服がだ。
 騎士のそれと同じだがそれ以上に豪奢な銀の鎧、それに白い服とマントになりだ。
 その姿で門に向かって進む。するとだ。
 門は開いた。自然に。その門を潜ると。
 廊下もその左右にある部屋もだ。ノイシュバンシュタイン城を思わせるものだった。
 
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