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造反

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第一章

               造反
 アトレウスはミュケナイの王位を父を母を同じくする弟テュエステスと争った、その争いは実に酷いものであり。
 ミュケナイだけでなく他の街の者達もその争いを見て思い言った。
「幾ら何でもだ」
「二人共醜い」
「王位を手に入れる為とはいえあんまりではないか」
「そこまでするのか」
 その酷い兄妹間での争いにどうかとなっていた。
 それでだ、彼等はこう思った。
「かつては母親が違う弟を殺している」
「では今度はお互いを殺すな」
「そうでなくとも酷いことをするぞ」
「あの二人は何をしてもおかしくない」
「これはより醜い方が王になるだろう」
 こう思っていた、そして彼等のことはオリンポスの神々の間でもどうかとなっていた。それでだった。
 ヘラは夫のゼウス、アトレウスが崇拝する神である彼にこう言った。
「あの者については」
「わかっている」
 ゼウスは正妻である彼女に答えた。
「そなたが言いたいことはな」
「はい、手を貸しては」
「王になってもな」
「今でもあれだけ醜い行いを繰り返しているのです」
「王になればな」
「何をするか考えるまでもありません」
 醜い行いを続けるがその醜さが増すというのだ。
「そうなります」
「わかっている、しかしだ」
「崇拝している者の願いを聞き入れることも」
「神の務めだ、私はあの者をミュケナイの王にする様に動く」
 彼が崇拝する神としてだ、そうするというのだ。
「これからな」
「左様ですか」
「金羊の毛はあの者のものだ。だが聞くのはこれ限りだ」
 こうヘラに言った。
「もうこれからはだ」
「あの者がミュケナイの王になれば」
「聞くことはしない、幾ら私を崇拝していてもな」
「それでは」
「うむ、今は助ける」
 こう言ってアトレウスの後ろ盾になり彼に力を貸してミュケナイの王とさせた。王位を争う兄妹間の争いはアトレウスの勝利となった。
 だが玉座に座ってだ、アトレウスは酷薄な笑みを浮かべ周りの者達に言った。
「テュテイウスの息子達を捕らえるのだ」
「捕らえるのですか」
「そうせよと」
「そうだ、それからはまた言う」
 こう言ってだった、彼は弟の息子達のうち今ミュケナイにいた三人を捕らえさせた。皆それを見てすぐに察した。
「これはまずいぞ」
「恐ろしいことをしでかすぞ」
「あのアトレウスだ」
「これまでも弟を殺し醜い行いを続けてきた」
「ならばだ」
「また何かするぞ」
「しない筈がない」
 確信さえしていた、それは王の周りの者達も同じだった。
「今度は何をされるのか」
「今までも目に余ったが」
「今度は何だ」
「どの様な酷いことをされるのだ」
「弟を殺された方だ」
「では甥もまた」
 殺すと思っていた、そして実際にだった。
 彼は自ら彼等を殺した、この時彼は平然として言った。
「この者達の母は誰であったか」
「はい、それは」
「その方は」
「余の妻だ」
 このことを言うのだった。 
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