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レーヴァティン

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第八十五話 護民官その一

                第八十五話  護民官
 美奈代の尽力で多くの金を得た久志達だが久志は屋敷に仲間達を集めてそのうえで強い言葉で言った。
「今度ここで選挙があるって聞いたんだよ」
「護民官の選挙ですね」
 夕子がすぐに答えた。
「ローマの政治上の最高権力者の」
「ああ、俺それに出てな」
「合法的にですか」
「ローマの主になろうと思うんだけれどな」
「いいことですね、既にです」 
 夕子は久志の言葉に確かな声で答えた。
「我々はローマの商人、職人そして各職業のギルドを掌握しています」
「船乗りや漁師のまでな」
「そのギルドの票は確実です」
 それは確保出来るというのだ。
「そして実は」
「ああ、そっちもか」
「教会も。票をです」
「約束してくれたんだな」
「主席枢機卿と次席枢機卿が」
 夕子にとってかつての上役であった彼等がというのだ。
「その様に」
「あんたの仲間である俺が選挙に出るならか」
「しかもこの世を救う方とのことで」
「だからか」
「教会もです」
 まさにというのだ。
「約束してくれました」
「そうか、後ろ盾は得なくてもな」
「票ならですね」
「いいな、まあそれでも教会にはこれからもな」
「おもねりませんね」
「特定の宗教にはおもねらないでな」
 公平にというのだ。
「そうしたいからな、こっちの世界では」
「様々な宗教が存在しているだけに」
「ああ、しかも平和に共存しているし」
「それなら余計にですね」
「一つの宗教にはおもねらない」
「それは私もお二人にお話しました」
 久志の宗教への考え方をとだ、夕子は彼に話した。
「そしてそのうえで、です」
「枢機卿さん達は納得してくれたんだな」
「この世界の為に」
「それは有り難いな、こっちの世界のバチカンはわかってるな」
「私達の世界の中世の時とは違って」
「あのバチカンはとんでもなかったからな」
 権勢と腐敗を極め悪の限りを尽くしていた、それは歴史にある通りだ。
「あんなのだったらな」
「この度もですね」
「何をしていたか」
 久志が出るという護民官の選挙に対してだ。
「自分達に都合のいい護民官候補出してな」
「そうしてですね」
「やりたい放題やろうとしていただろうな」
「実際にそうしたことをしてきましたし」
「そうしたバチカンじゃないからな」
 だからだというのだ。86
「いいな」
「こうした時も」
「じゃあ納得してくれてるならな」
 自分の宗教についての考えをとだ、久志は確かな声で述べた。
「その様にやらせてもらうな」
「それでは」
「ああ、しかし支持基盤が固まってきたな」
 久志はギルドとバチカンの話を聞いてこう述べた。
「有り難いな」
「このまま出ても」
 清音も言ってきた。
「結構以上に票が得られそうね」
「ああ、けれど選挙ってのはな」
「どうしたの?」
「いや、開票するまでわかrないあっていうだろ」
 こう清音に言うのだった。
「そこからわかるってな」
「そうね、当選しなさそうな人が当選したり」
「逆だってあるな」
「選挙には付きものね」
「だから今の状況じゃな」
「油断出来ないっていうのね」
「油断どころかだよ」
 まさにと言うのだった。 
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