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とんでもない迷路

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第四章

 そのしずと共にだ、三人で迷路に入った。だがここでホビットの係員が弥生達に話した。
「この迷路は地図がないです」
「どういうことですにゃ」
「常に形が変わるのです」
 そうした迷路だというのだ。
「何層もあるうえに」
「何と、そんな迷路ですにゃ」
「その日によって迷路の中が変わり」
 そしてというのだ。
「地図がないのです」
「そうした迷路ですにゃ」
「しかも広く」
「何層もあってですにゃ」
「そうそう踏破は出来ないですよ」
「今まで何人踏破したんだい?」
 玲子は係員にこのことを問うた。
「それで」
「一人も」
「道理で賞金が高い筈だな」
「そういうことです、では」
「ああ、じゃあね」
「今から踏破しますにゃ」
 弥生は胸を張って自分が先頭になって迷路の中に入った。そしてだった。
 迷路の中に入るとだ、弥生はしずにこう言った。
「大丈夫ですにゃ」
「地図もない迷路でもですか」
「全く問題ないですにゃ」
 こう言うのだった。
「私は猫人ですにゃ」
「それはわかりますが」 
 見てとだ、しずは弥生に答えた。
「そのことは」
「猫人の五感は鋭いものがありますにゃ」
 猫だけあってというのだ。
「それで、ですにゃ」
「今からですか」
「その五感と」
 そしてと言うのだった。
「術をふんだんに使ってですにゃ」
「先に進んで行かれますか」
「そうしますにゃ、こうしてですにゃ」 
 まずは自分だけでなく玲子としずに超速の術を何度もかけた。それから分身の術と浮遊の術にだった。
 その二つの術を使ってだ、しずに言った。
「動きを速くしてですにゃ」
「空にも浮かんで」
「地面を歩くよりも宙を歩く方が速いですにゃ」
「だからですか」
「そうですにゃ」
「それ故にというのだ。
「だからそうしましたにゃ」
「そうですか」
「あとこの迷路は色々ある様ですにゃが」
 それでもとだ、さらに話す弥生だった。
「隠し扉も何でも安心ですにゃ」
「壁抜けは出来ないけれどね」
 玲子はこのことを指摘した、見れば実体がないゴーストや壁抜けの術でもそうした行為は禁止だと入り口の注意書きに書いてあった。
「他の術は使っていいか」
「使えるものは使ってですにゃ」
「それも全部だな」
「迷路を踏破するにもですにゃ」
「術をふんだんに使ってか」
「そうしてですにゃ」
「乗り越えるものだよな」
 玲子もそのことをわかっていて言うのだった。
「だからか」
「そうですにゃ、術を使っていきますにゃ」
 様々な術を使えるだけ使う、実際にそうしてだった。
 弥生は二人の先に立って迷路を進んでいった、分身達を先に行かせたり術で道の先を見たり分身達を前以て行かせたりしてだった。
 一階一階踏破していった、そして夕方にだった。
 弥生は迷路を出た、当然玲子としずも一緒だ。すると出口のミノタウロスの和牛の顔の係員は驚いて言った。
「出て来たんですか」
「サイオニックと時魔術師の術をふんだんに使ってですにゃ」
 そうしてとだ、弥生は係員に話した。
「踏破しましたにゃ」
「そうでしたか」
「壁抜け以外はいいですにゃ」
「はい、それでしたら」
「そのことは確かめてもいいですにゃ」
 弥生は係員に自信に満ちた笑みでこう言った。
「是非」
「いえ、それはわかりますので」
「そうですにゃ」
「若し壁抜けをすればすぐにわかる様になっていますから」
「そうした壁ですにゃ」
「ですから」
 壁抜けの反応はなかった、だからだというのだ。 
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