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クロスウォーズアドベンチャー

作者:setuna
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第3話:進化とデジクロス

 
前書き
大輔のエクスブイモンは派手な活躍はないけど、見応えのあるバトルが結構あったりするんだよね… 

 
賢と一応の和解して翌日。

微笑みの里から北に数里歩いた所にあるという、マッシュモン族の集落である茸の里にシャウトモン達に案内してもらいながら向かうことになった。

「そう言えば一乗寺。お前、優しさの紋章はどうなった?」

「D-3Xの中だよ。このデジタルワールドに着いた途端に紋章が吸い込まれたんだ。」

賢がD-3Xを大輔とヒカリに見せると、D-3Xのディスプレイに優しさの紋章が浮かび上がる。

隣でシャウトモンが道案内を任されたことに愚痴をこぼしながら騒いでいたが、自分達にはどうすることも出来ないので取り敢えずスルーの方向で行くことにした。

「うっが~!!何で俺がそんなことの道案内しなきゃいけないんだよお~!!」

「なあ、シャウトモン。お前はタイキ達に命を救ってもらったんだろ?マッハレオモンの戦いだってタイキがいなけりゃ逃げられたかやられてたかもしれないんだし…お前も男なら恩ぐらい返せよ」

「ぐぎっぎぎぎぎぎぎぎ!!分かってらあ、それくらい!!でもキングだぜ!?デジタルワールドの王様だぜ!?こんな誘いを受けて何で平然としてられるんだよおーっ!!」

「まあ、俺達民主主義の国の生まれだから。あ、デジノワ食う?」

「俺、そういうの興味ねえし…頂きます」

「僕も王様はちょっと…」

「みんなが幸せに暮らせればそれでいいじゃない」

タイキ、大輔、賢、ヒカリに言われたシャウトモンは叫ぶ。

「ガーーーッ!!近頃の若いもんはっ!!でもデジノワは下さい!!好物なんで!!」

ガフガフとデジノワを食いまくるシャウトモンにゼンジロウが呆れたように見遣る。

「わあっ…!!」

「アカリさん?どうしたの?……あ」

アカリの声に反応してヒカリがアカリの視線を追うと、そこには美しい花園があった。

「「綺麗…!!」」

「グリンゾーン名物、微風の花園だぜ!」

2人が顔を輝かせながら花園を見つめているとスターモン(初めて見た時、大輔達が知るスターモンとは全然違うため、最初はスターモンと信じられなかったのは言うまでもない。)が花園について説明してくれた。

「大分歩イタ。少シ休憩シヨウ」

バリスタモンが休憩を言い渡すのとほぼ同時にアカリは花園に向かう。

「ちょっと見てくるっ!!」

「アカリさーん、デジモンに気をつけて下さいねー!!」

「分かってるー!!」

大輔がアカリに向かって叫ぶとアカリからも返事が返ってきた。

「……ねえ、大輔君。どうしてアカリさんには敬語なの?アカリさんは京さんと同い年なのに…」

「なあ、ヒカリちゃん。京とアカリさんを比べるなよ。アカリさんに凄く失礼じゃないか…アカリさんは少し気が強いけど面倒見が良くて明るくて優しいし、おまけに家事とかも出来るし…ドジでうるさい京と比べるなんて失礼だぜ…」

アカリも気が強いが、京みたいに面倒な女子ではないため、大輔はアカリをさん付けしているのだ。

「………ふーん」

大輔がアカリを褒めるのを聞いていると胸がモヤモヤするような感覚をヒカリは覚えた。

「ヒ、ヒカリ…!!く、苦…しい…!!」

抱かれていたテイルモンがヒカリの腕を叩く。

どうやら気付かぬうちに抱いていた腕に力を入れていた模様。

「あ、ごめんねテイルモン」

「本当、タイキさんはいいですよね。アカリさんみたいな幼なじみがいて。俺の幼馴染みはうるさいだけだし、はっきり言ってアカリさんが幼馴染みのタイキさんが滅茶苦茶羨ましいです。」

「はは……あいつには本当に世話になりっぱなしだよ。俺が無茶出来るのもあいつのおかげだし、アカリにはこれからも俺の傍にいてもらわないと…って、どうしたんだお前ら、顔が赤いぞ?」

「あー、タイキさん…自覚ないんですね?」

「天然というか何というか…」

「アカリさん、苦労しそうだわ…」

無自覚の惚気を喰らった大輔達に微妙な空気が流れる。

次の瞬間にアカリの悲鳴が聞こえて、大輔達が慌てて向かうとそこには…。

「あれは…昨日のバグラ軍の逃げ残りか!?」

ブイモンが去っていく丸裸のライノモンを見遣りながら言うと、アカリと兎のようなデジモン、そして複数のドリルを持った獣のデジモン…。

「ドルルモン…!?」

「あん…?」

タイキが初めて会うはずのデジモンの名前を言い当て、ドルルモンは目を見開いた。

そしてドルルモンから事情を聞いて、ドルルモン達も茸の里に向かうようであり、折角なので共に向かうことになった。

「へえ…じゃあ、ドルルモンとキュートモンはキュートモンの両親を捜してんのか…にしてもここのデジモンには家族まであるのか」

「あんたらのいたゾーンは違うのかい?とにかく、バグラ軍の侵攻で離れ離れになっちまったらしくてな…まあ、俺自身は特にアテのない旅だったんだが、道連れになった縁で親捜しを手伝ってんのさ。しかし驚いたぜ!そこの人間の兄ちゃんが俺の名前をズバリ言い当てたのはよ!辺境の少数部族なんだが…何だい、知り合いでもいたのかい?」

「あっ…ああ…そんなとこ…」

「?…」

タイキの言葉にアカリが不思議そうに見遣る。

「あれ?タイキさんはデジタルワールドに来るの初めてですよねアカリさん?」

「う、うん…そうだけど…」

ヒカリの問いにアカリは頷いた。

「旦那も茸の里にゃ寄る予定なんだろ?折角だから俺達と一緒に行こうぜ!」

「群れんのはあんま好きじゃねえんだけどなぁ…まあ、あいつも久しぶりに楽しそうだし、たまにゃあいいか…」

スターモンの言葉にドルルモンの視界に映るのはブイモン達やピックモンズとはしゃぐキュートモンの姿。

それを見てドルルモンはタイキ達と共に茸の里に向かうのであった。

「確か、コードクラウンって言うのを貸してもらうんだよな?」

「うん、それがあれば私達のいた場所に帰れるかもしれない。早く帰らないと」

「早く帰らないと、あの女が何をするか分からない。ただでさえ1日過ぎているんだ…」

大輔達が元の世界に想いを馳せる中、茸の里に着いて、長老の家に向かったのだが、マッシュモンズに妨害されてしまう。

「ならんならん!我らマッシュモン族の秘宝の力をタダで借りようなどと、不貞不貞しいにも程があるっシュ!!」

「余所者はとっとと立ち去るがいいっシュ!!」

「何だと!?少しくらい貸してくれてもいいじゃねえかよ!!」

「そうよ!!ちょっと借りるだけじゃない!!」

「遙々訪ねてきた隣の里のもんにその言い草は無しだろ!!」

余りの言い草に大輔、アカリ、スターモンが怒鳴るがマッシュモンズはどこ吹く風である。

「お前ら微笑みの里の者がだらしないから、このグリンゾーンをバグラ軍にいいように荒らされてるっシュ!!」

「おかげでこっちも迷惑してるっシュ!!」

「おいお前ら…戦いもしない癖によくもそんな勝手なことを言えるな!お前らを焼き茸にして食うぞ!!」

「何だったら腕っ節をてめえらで試して見るかあ!?」

キレたブイモンとシャウトモンがマッシュモンズの言葉に激怒して殴りかかろうとした時。

「まあ、待ってくれ。微笑みの里の若者達よ…」

「「長老!!」」

家から出て来たのはマッシュモン族の長老であった。

「聞けばその者達、異世界から迷い込んだ人間の子供だと言うではないか…しかも伝説のXローダーとそれに似た機械を持ち…デジクロスと不思議な力でバグラ軍の部隊を撃退したと言う…。そのような者に力を貸したとあっては、この里がバグラ軍に狙われるかもしれん…ここは引き下がってくれんか若いの…」

「なっ…何だとぉ!?てめえそれでも一族の…」

「いいんだシャウトモン!!」

長老の言葉に怒鳴ろうとしたシャウトモンだが、タイキがそれを止める。

「タイキ…!!」

「長老の言うことも尤もだ…別の方法を探すさ!!」

こうして大輔達は茸の里を後にして、里の近くで夕食を摂ることになった。

「ケェーーーっ!!どいつもこいつも腰が引けてやがる!!」

「まあ、マッシュモン族は昔っから意地悪で有名だからなぁ…」

「そういうとこは私達のいた所と共通ね」

ドルルモンがそう言うとテイルモンがスープを飲む。

「おめえも澄ました顔してんじゃねえよ!!里でそいつの親御さん捜すんじゃなかったのかよ!!」

「里で似たような奴は見かけなかったそうだ。」

「やっぱ猫舌なのか?少し冷ますか?」

「おう、悪いね兄ちゃん」

ドルルモンは猫舌なためにスープは冷ましてから食べることに。

「何だよ!何で俺ばっかカリカリしてんだよお~!!?」

「くっそ~!あの腰抜け茸共!タイキに止められなかったらぶっ飛ばしてやるのに!!」

「ブイモ~ン!お前だけだぜ俺の味方は!今日は自棄だ!!食うぞ~!!」

「おーう!!」

「お前ら、貴重な食い物を自棄食いすんなー!!」

自棄食いしようとする怒れる2匹に大輔が怒声を上げた。

「ふう…」

夕食からしばらくして、眠れないために夜空を見上げていた大輔だが、賢がそちらに歩み寄る。

「本宮君…お疲れ…」

「おう…あいつらには参ったぜ…貴重な食い物で自棄食いしようとするなんてよ」

最終的に大輔がシャウトモンとブイモンを殴って鎮圧した。

「なあ、一乗寺。お前少し楽しそうだったな」

「あ…ごめん…僕は……」

「いいんだよ、前みたいに人を見下しきった顔よりずーっと良い顔してるぜ。少なくても、ここにいる時くらいは肩の力を抜いてもいいんじゃねえか?ここじゃあデジモンカイザーなんて知らねえんだし」

「そう言う訳には…」

「一乗寺、確かにお前はデジモンカイザーとして色々悪いことしちまったかもしれねえけどさ。今のお前は前と違うんだ。他人の痛みだってちゃんと分かる。お前が必死に罪を償おうとしているのは俺もヒカリちゃんも分かってるぜ。」

「…………」

「でも……どうしたって償いきれない罪もある」

突如、後ろから聞こえてきた声に振り返るとそこにはドルルモンがいた。

「ドルルモン?」

「悪いな、色々聞こえちまったんだよ。でも、兄ちゃんはまだ幸せな方だ。あんたを理解しようとして受け入れようとしてくれる奴がいるんだからな…確か、大輔だったよな?理解者は大事にしなよ」

ドルルモンは賢に寂しげに微笑むとそのまま目を閉じようとしたのだが。

爆音が響き渡り、全員が茸の里を振り返る。

「茸の里が…!!」

「ありゃあ、プテラノモンの爆撃編隊だぁ!!」

「酷い…!!」

「嫌な奴らだったけど、だからって放っておけない!!デジメンタルアップ!!」

「デジメンタルアップ!!」

「ブイモンアーマー進化、轟く友情!ライドラモン!!」

「テイルモンアーマー進化、微笑みの光!ネフェルティモン!!」

「ワームモン、僕達も!!」

「うん!ワームモン進化、スティングモン!!」

ブイモン達を進化させるのと同時に茸の里に向かう大輔達。

「べ、別のデジモンになったっキュ…」

「デジモンが別のデジモンに変化するなんて聞いたこと無いぜ…」

「俺達もあいつらに負けてられねえ!俺達も行くぜ野郎共!!」

「Year!!」

先に向かうライドラモン達を追うようにシャウトモン達も茸の里に向かう。

「お…おいおいおい。お前らにゃ関係ないだろうが!?余所の里の奴らの問題だろ!?」

「い…一応様子は見に行った方がいいか…?」

「ああ、そうだな!!」

タイキやゼンジロウも茸の里に向かい始める。

「あらら…お前らもかよ!?全くお節介な奴らだな!付き合ってらんねえや!行こうぜキュートモ……なあーーーっ!!?」

目を離していた隙にキュートモンはバリスタモンに乗って茸の里に向かっていた。

「バ…バグラ軍に街が焼かれるのを黙って見てられないキュ!」

「いや…だからって、お前がついてってもどうなるもんでもないだろうがよ!!ったく、どいつもこいつも…っ!!」

そして先に着いたライドラモン達はマッシュモン達に迫るミサイモンを迎撃する。

「ブルーサンダー!!」

ライドラモンが放った電撃弾はミサイモンを粉砕した。
大輔は周辺を見回した。

少し前まで平穏だった里が、理不尽な攻撃を受けており、此方に気付いたプテラノモンがライドラモン向けて爆撃を仕掛けてくる。

ブイモンのアーマー体には飛行能力がないため、プテラノモンに苦戦を強いられる。

ネフェルティモンもスティングモンも数を減らそうとするが、プテラノモンの数が多いために激しい爆撃は続く。

「よくも…よくも茸の里を…許さねえ…てめえら絶対に許さねえぞ!!!」

バグラ軍の理不尽な暴力に対する怒りが頂点に達し、大輔のD-3Xが光り輝いた。

「こ、これは…」

光に気付いたライドラモンは進化を解除し、D-3Xの光を受け入れた。

「ブイモン進化、エクスブイモン!!」

今まで出来なかった通常進化がダークタワーがないことと、理不尽な暴力に対する怒りによって出来るようになった。

「ブイモンが…進化した…」

嬉しいことにエクスブイモンには翼があり、アーマー体ではマグナモン以外は出来なかった空中戦が出来るようになった。

「よし、これなら…!行くぞ!!」

不慣れながらも翼を羽ばたかせ、エクスブイモンはプテラノモンに突撃し、そしてシャウトモン達もミサイモンの攻撃からマッシュモン達を助けていた。

「お…お前、何故ここにっシュ!?」

「っせーな、通りがかっただけでぇっ!!」

シャウトモンが叫んだ時、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。

「グフフフフフフフ…まさか…こんなに早く貴様に復讐出来る日が来ようとはな…」

「何ぃ…!?」

地面から飛び出したのはマッハレオモンと6体のドリモゲモンである。

「ガハハハハ!!ドリモゲモン共の鼻では少々不安だったが…ついに手に入れたぞ、グリンゾーンのコードクラウンの器…!!」

「あいつ…!!そうか…あいつか…あいつが里を…一乗寺、ヒカリちゃん。プテラノモン達を頼む…!!」

「え!?」

「本宮君!?」

エクスブイモンはマッハレオモンに向かってかなりの勢いで急降下する。

「げっ……あ…あいつ…あそこまでボコボコにされたのに生きてやがったのかよ!?」

シャウトモンが驚くが、長老はマッハレオモンが手にしている物に気付く。

「あ…あれは地下神殿にコードクラウンの器として安置しておった我らが里の秘宝…奈落のトリュフ!!」

「猛将にして知将!!我が主タクティモン様は長らく下調べをしておられたのだ。ここの地下神殿に持ち主に無限の力を与えると言う奈落のトリュフがあることをなあ…!!」

「そうかよ…てめえはそんなことのために里を襲ったのかよ!!」

「ぐおっ!?」

背後からエクスブイモンの奇襲の蹴りをまともに喰らい、勢い良く吹き飛ぶマッハレオモン。

「うおっ!?危ねえ!!」

咄嗟に長老を押し倒したことで巻き添えを避けたシャウトモン。

「き、貴様は…あの時の…また変化したのか…!!」

「そんな物の為に里を焼いたのか…なら、俺達はてめえを許さねえ!!」

大輔の怒りがエクスブイモンの力になるかのようにマッハレオモンの顔面を殴り飛ばす。

「がっ!?」

「喰らえっ!!」

仰向けに倒れたマッハレオモンに何度も拳を叩き込み、最後は全力の一撃を鳩尾に叩き込んだ。

「す、凄え…」

「寧ろブイモンが里を滅ぼすんじゃ…」

エクスブイモンの容赦のない猛攻にシャウトモンは思わず呟き、アカリも思わず呟いてしまった。

「あ…ぐ…ば、化け物め…奈落のトリュフの力があれば貴様など…!!」

マッハレオモンは奈落のトリュフの力を使おうとするが、それを見た長老が慌てる。

「い…いかん。その力は危険じゃ!!お主自身の身を滅ぼすぞ…!!」

「グ…ハハハハハ…!!それくらいの力でなくては手に入れた意味がないわ!!奈落のトリュフでパワーアップした力に後悔しろ化け物め!!」

奈落のトリュフを握り潰したマッハレオモンは部下のドリモゲモンの元に向かい、ドリモゲモン達を吸収した。

「な、何!?あいつももしかしてデジクロスを!?」

「いや、あれは合体と言うより吸収だ。」

ヒカリと賢が吸収されていくドリモゲモン達を見つめながら言うと、マッハレオモンが巨大化していく。

「グフッフフフフフフ…ファファファファファファ!!こっ…これが奈落のトリュフの力かあぁぁぁあ!!?」

「あいつ巨大化しやがった…て言うか、臭っ!?何だありゃあ!?」

マッハレオモンから漂うあまりの悪臭に大輔は思わず鼻を摘まんだ。

「ファファ…ファ…な…何と甘美な香り…!力が…力が溢れて来るぞおおおおおおお…」

「な…生ゴミみたいな臭いしかしないぞぉ!?」

「あ…あいつ、目つきが変だよ!正気じゃない…!!」

ゼンジロウとアカリがマッハレオモンの悪臭と異常さに引く。

「長老、奈落のトリュフとは何なんですか!?パワーアップにしては少し異常ですよ!?」

マッハレオモンのあまりの変わり様に賢がスティングモンから飛び降りて長老に尋ねる。

尋ねられた長老は少しだけ戸惑いながらも奈落のトリュフの説明をした。

「あ…あの、奈落のトリュフは禁断の茸!!コードクラウンを守る最後の罠として仕掛けてあった物なのじゃ…」

「罠…!?」

「そうじゃ…力弱き者が手にすればその強力な幻覚作用により魂までも吸い尽くされ、力ある者が手にすれば、魂と肉体が暴走し、一時的に強大な力を得るが、やがて魂をすり減らして自滅する…!!」

「何だって!?」

「そ…そんなっ…!じゃああいつ…」

「ひょっとして…上司から騙されて…コードクラウンを手に入れるための捨て駒にされたのか…!?」

「けっ…!どちらにしろ、奴を倒さねえと自滅される前にこの里が滅びちまう!!ロックダマシー!!」

「メテオスコール!!」

「ホーンブレイカー!!」

「クヒッヒヒヒヒィ!!なぁんだその蚊が刺したような攻撃はぁ~!?」

シャウトモン達が攻撃を仕掛けるが、ドリモゲモンを吸収してパワーアップした今のマッハレオモンには並大抵の攻撃は通用しない。

「ウオ!?オオオオっ!!」

直接攻撃を仕掛けてきたバリスタモンの角を掴み、シャウトモン目掛けて叩きつける。

「シャウトモン!!よくも!!エクスレイザー!!」

「ロゼッタストーン!!」

「スパイキングフィニッシュ!!」

「グオオオオオ!?」

エクスブイモン達の一斉攻撃を受けたマッハレオモンはいくらか後退し、今のうちにタイキはシャウトモンの元に向かう。

「シャウトモン!!」

「来んじゃねえ!!」

シャウトモンの怒声にタイキは思わず足を止めた。

「お前らの言う通りさ…確かにこりゃ俺達デジモン同士の戦争だ…!お前らを巻き込む謂われはねえ…さあ…逃げなタイキ!!」

「だ…だったら、お前がこの里を守る理由もないだろ!?あんなに悪く言われて…」

「へっ…そういうわけにもいかねえ…例えこんな奴らのにやけ顔だろうとな…誰かの笑顔が曇ってんのは俺は見過ごせねえんだ!それが微笑みの里者の粋ってもんよ…!!」

シャウトモンの言葉にタイキは何かに気付いたかのように口を開いた。

「…!そうか…!!放っとけない…放っとけないんだなお前は…!デジタルワールド全体が笑顔を失っているのが…!!それを取り戻すために…このデジタルワールドの戦国時代に終止符を打つ!!それが…お前の言う王様になるってことなんだな…!?」

しかしシャウトモンはそんなタイキの言葉に疑問符を浮かべる。

「はあ…!?何だよタイキ。俺がそんな優等生に見えるか?俺様の夢はなタイキ…そうやって平和になったデジタルワールドのてっぺんから俺の魂のロックを響かせて…世界中をドハッピーに盛り上げることよ!!それが俺様の目指すキングだ!!」

それを聞いた全員の視線がシャウトモンに集中した。

「(…タ…タイキ以上の馬鹿を初めて見た…!)」

「…アカリ…ゼンジロウ…ごめん。どうしよう…俺、こいつの夢、放っとけない…」

「なっ、何いい~!?」

「ああっちゃあ…大馬鹿が超馬鹿に宛てられちゃったか…」

「良いじゃないですかアカリさん。シャウトモンの夢はとても素敵だと思うな私」

「え!?ヒカリちゃんも!?」

「まあ、前向きな夢でいいと思います」

「賢君も!?」

「やっぱり男は夢をでっかく持たないとな!!」

「大輔君まで~…みんなあの超馬鹿に宛てられちゃった…」

タイキと大輔達はシャウトモンに歩み寄る。

「付き合うぜシャウトモン!!2人でキングになろう!!今日から俺の夢はお前の夢で…お前の夢が…俺の夢だ!!」

「タイキ…!!」

「俺達も出来るだけ付き合うぜシャウトモン。お前のキング姿を見せてくれよ!!」

「お前ら…っ…へっ!!」

タイキと大輔の言葉にシャウトモンは涙を拭って笑みを浮かべた。

「だが、楽な相手じゃあないぜ!?X2の力でも勝てるかどうか…」

「いや…楽勝さ!エクスブイモン達もいるし…何より、今日はあいつだっているしな!!」

「うおっ!?」

タイキの視線を追うとそこにはドルルモンがいた。

「(ドルルモン…凄え…タイキさんはこんな時だってのによく周りを見てる…)」

大輔がタイキに感心すると、ドルルモンが降りてきた。

「(気付いていたのかよっ…この急場でよくもまぁ、周りを見てる奴だな…)」

ドルルモンも大輔と同様のことを思いながらタイキの元に向かう。

「見せてやろうぜ!!1つになった俺達のロック魂って奴をさ!!」

「ななななななぁにをブツブツ言っているのだだああ~!?真面目に俺とととたたた戦う気がないのならああぁああ…とっととと潰れて消えてしまええぇええ!!!?」

「やらせるか!エクスレイザー!!」

「カースオブクィーン!!」

「ムーンシューター!!」

奈落のトリュフの影響を受けたミサイモンをエクスブイモン達が迎撃した。

「「「タイキさん!!」」」

「おう!!シャウトモン!!バリスタモン!!ドルルモン!!」

「お…おい!何を…」

「デジクロス!!」

シャウトモン、バリスタモン、ドルルモンの3体が合体し、誕生したデジクロス体はヒカリの目を見開かせた。

「あれは、オメガモン!?」

「いや!!今の俺はシャウトモンX3だ!!こいつは俺に任せな!!行っくぜえ!!!」

どことなくオメガモンを彷彿させるシャウトモンX3はマッハレオモンと組み合うが、完全にシャウトモンX3がマッハレオモンを上回っている。

「凄い、あのパワーは完全にエクスブイモン達を上回っている!!」

賢がシャウトモンX3のパワーを見て驚愕する。

「いっ…今の姿の俺がパワー負けしているだとおおお!!?」

マッハレオモンは奈落のトリュフでパワーアップしたはずにも関わらず何故押されるのか理解出来ていない。

「ぐわっ…何故っ…何故雑魚共の力を足し合わせただけでこれだけのパワーがああっ!!」

「X(クロス)だって言ってるだろ!!足し算じゃないんだ!!」

「それが分からない時点でお前の負けなんだよ!!」

タイキと大輔が叫ぶのと同時にシャウトモンX3は拳を振り上げる。

「ハイアドモスフェリックプレッシャー!!」

手首のタービンを高速回転させ、強烈な一撃を繰り出すと、大輔が指示を飛ばす。

「エクスブイモン!!今だ!!」

「ああ、決めようぜシャウトモン!!」

「おうよ!!」

シャウトモンX3とエクスブイモンは同じように両腕を交差させ、同時に必殺技を放った。

「エクスレイザー!!」

「スリービクトライズ!!」

2体から放たれた2つの光線を同時に喰らったマッハレオモンは一瞬で蒸発し、そしてタイキは落ちてきた物体をキャッチする。

「それがコードクラウンなんですか?」

「多分…」

マッハレオモンの消滅と他に敵がいないことを確認したヒカリ達はタイキと大輔の元に集まる。

「タイキ!も…物凄かったな今の…!」

「これがあれば、元の世界に帰れるかもしれないの?」

「あ…ああ…」

「(何てこった…まさかこの俺が、デジクロスしてバグラ軍と戦うとはな…皮肉なこともあったもんだぜ…)」

「でもさ、これどうやって使うんだろ?」

「…何かただのSDカードにしか見えないけどなぁ…」

「あ、もしかしてXローダーとD-3Xに差し込むんじゃないんですか?ほらここ…」

「正解よ、本宮大輔君」

「え?」

振り返るとそこにはタイキやゼンジロウと同い年くらいの女の子がいた。

「ウフフフフフ…♪初めまして、本宮大輔君、工藤タイキ君。やっぱり綺麗!あなた達の色…」

少女の視線の先にはタイキのXローダーと大輔のD-3Xがあった。 
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