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仙女の正体

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第四章

「そうだよね」
「はい、他にも吸血鬼はいますが」
 中国にはとだ、声は話した。
「キョンシーが主流ですね」
「キョンシーは首を引き抜いてその首や頭から血を吸うんだよ」
 そうすることをだ、麻友は指摘した。
「何で喉を切るんだい?しかも子供の手足を縄で縛って」
「これ吸血鬼じゃないだろ、ましてあんたの気配は家の中にいてもわかるぜ」
 幸田も指摘した、それは声の主のことだ。
「あんたはな」
「決してですか」
「そうだよ、邪悪な気配がないんだよ」
「あたし達はそれ位わかるよ、それであんたもだね」
「はい、お二人の強い気を感じますが」
 声もこう答えた。
「邪悪さとは正反対の正しさを感じます」
「それは何よりだ、じゃあこれからじっくり話したいがいいかい?」
「それでは」
 庵の扉がようやく開いた、すると庵の中から小柄な狐人の女が姿を表した。落ち着いて穏やかな雰囲気で着ている服は道士の女のものだ。その女がだった。
 二人を庵の中に入れた、庵の中は質素であり書や薬の元等はあった。だが邪なものは一切なかった。
 仙女はここで修業をしていると二人に話した、名は胡夏青と答えた。
 夏青は二人に話した。
「四川で師に教わってから一人だちしまして」
「この森に来たんだね」
「はい、やがてはある山に登ってです」
「さらに修行を積みたいんだね」
「そう考えていますが」 
 麻友に答えた、三人で茶を飲みつつ話をしている。
「そこで、です」
「今みたいなことになっているんだね」
「そうです、それで実はこの森の奥にはです」
 夏青は麻友そして幸田に暗い顔で話した。
「狂信的な教団が潜んでいて」
「その連中がだね」
「子供を殺していたのです」
「それがあんただって誤解されているんだね」
「そうなのです、彼等は子供を生贄に捧げ」
「そこで血を抜いてるんだな」
 幸田はここまで聞いて既に怒りを露わにさせていた、そのうえで夏青に尋ねた。
「そうだな」
「はい、子供達の血を」
「そうしたとんでもねえ教団は何処でもいるな」
 まさにとだ、幸田は忌々し気に述べた。
「とんでもねえな」
「吉君、ここはね」
「ああ、すぐにだよ」
 まさにとだ、幸田は麻友に答えた。
「そのいかれた教団のところに行ってな」
「成敗だね」
「連中を一人残らずな」
「そうするね」
「ああ、おいら達のやることは一つだ」
 まさにというのだ。
「連中の隠れ家に殴り込みかけてな」
「そうしてだね」
「一人残らずやっつけてやるぜ」
「二人でね」
「お二人共かなりのお強さと見受けます」
 このことはだ、夏青は二人の気から察して述べた。
「必ずそれは出来るでしょう、ですが」
「あたし達その隠れ家の場所知らないよ」
「そうですね、ですが」
「胡さんはだね」
「知っています、いつも彼等はここに来て」
 そうしてというのだ。 
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