| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十四話 ローマに戻りその十二

「元はです」
「塩の産地だったな」
「私達の世界でもそうですし」
「こっちのザルツブルグもな」
「多くの良質の塩を産します」
「それじゃあな」
「早いうちにです」
 ローマを掌握してからというのだ。
「幸いローマから遠いとは言えない場所ですし」
「ザルツブルグ手に入れるか」
「金山や銀山よりも」
「そうしていくな」
「それでは」
「そういえばローマでも塩売ってるしな」
 ここでだ、久志は目を光らせて言った。
「それじゃあな」
「塩の投機もするか」
「ああ、とにかくまず金作ってくれよ」
「それこそローマ買えるだけの銭集めてくるわ」
「頼むぜ」 
 こうしてだった、一行はまずは美奈代に金を集めてもらうことにした、そして実際に彼女はセビーリアから人を呼んでだった。
 金儲けに専念した、投機で利益を得て有望な店を買収出来そうなら片っ端からして傘下の店に収めてだった。
 商人や職人、様々なギルドを瞬く間に手中に収めていった。美奈代はそれを全て金と人の力で行った。
 久志達は気付けばローマの総資産の半分以上を持つまでになった、ここで久志は美奈代に対して言った。
「まさかな」
「ここまでやな」
「ローマの総資産の半分以上とかな」
「むしろまだそれだけ他の連中が持ってる」
「そう思うことか」
「うち等は商人や職人の勢力を手中に収めただけや」
 ローマの中のというのだ。
「しかしや」
「まだだよな」
「そや、まだ貴族やら教会がおるやろ」
「その連中も下に入れていかないといけないからな」
「そやからな」
 それだけにというのだ。
「今はや」
「まだだよな」
「そや」
「むしろはじまったばかりってな」
「他ならぬ自分が言うたな」
「ああ」 
 その通りだとだ、久志も答えた。
「金儲けが目的か」
「それが目的やったらな」
「そりゃそっちも大変だよ」
 美奈代は誰が見ても全身全霊を尽くして儲けた、ギルドを抱き込み店を買収し元の店長や店員達をこれまで採用することを約束する書類まで用意してだ。不眠不休でここまで儲けてきてローマの富の大半を手に入れた。
 それがどれだけの苦労だったかだ、久志達も見ていてわかっていた。彼等もかなり協力してきたしだ。これも自分達の行動としてだ。
 しかしだ、それでもと言うのだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧