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老ガンマンへの心遣い

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第一章

                老ガンマンへの心遣い
 佐藤忠志と佐藤香菜の兄妹は今アメリカのハリウッド郊外にいた、この時代のハリウッドは世に出はじめた映画を創りだしている状況だ。
 まだモノクルの画像で音もないという状況だ、しかし兄妹は今郊外を歩きながら残念そうに話をしていた。
「折角ハリウッドに来たっちゅうのに」
「映画やなくて仕事やさかいな」
「これが仕事やけど」
「どうにも残念やな」
 こんなことを話しつつ歩いていた。
 そしてだ、佐藤は香菜に言った。
「そんでこの辺りやったな」
「そや、ここでうち等の仕事や」
「それが待ってるな」
「試練がな」
 香菜はこう兄に言った、そしてだった。
 あらためだ、彼にこんなことを言った。
「そんで兄ちゃんええか」
「何や」
「この辺りの山にドラゴンの話があったな」
「ああ、えらく凶暴なレッドドラゴンが出るそうやな」
「そのドラゴン退治か」
「いやいや、もうドラゴンは大昔に退治されてる」
 香菜は佐藤にこう答えた。
「二千年も前にな」
「こっちの世界でか」
「そや、そやからな」
「僕等の試練やないか」
「そもそもドラゴン位や」
 香菜はドラゴンの話もした、ハリウッドも郊外になると人も家も少なくなってきている。まだ賑やかなのは中央部位だ。
 その郊外を歩きつつだ、香菜はこうも言った。
「うち等やったら充分倒せるやろ」
「星のモンやとな」
「そや、それでや」
「そうしたことは試練にならんか」
「なるとしたらな」
「もっとやな」
「複雑な話や」
 そうなるというのだ。
「そやからな」
「ドラゴンやないか」
「また別の話やろ」
「そうか、ほなやな」
「兄ちゃんの試練はこの郊外で出会う」
 香菜はふと目に入ったステーキハウスを凝視しつつ兄に話した。
「その試練に二人で立ち向かおうな」
「そういうことやな」
「ドラゴンやなくてもな」
「ああ、それで強くなって」
 佐藤は妹に答えて述べた。
「新たな神具も手に入れるか」
「ここに来るまでによおさんの敵を倒してるしな」
「ここで試練も達成してな」
「強くなるで」
「ほなな」
「それでや」
 ここまで話してだ、香菜は兄にあらためて告げた、その告げたことはというと。
「丁度お昼の時間やし」
「昼飯にするか」
「あそこ入らん?」
 今もステーキハウスを見ている、そのうえでの言葉だ。
「そうするか?」
「そや、それでや」
 そのうえでというのだ。
「ステーキ食べようか」
「ええな、分厚いレアを何枚もな」
 ステーキと聞いてだ、佐藤は笑って応えた。
「食べて腹ごしらえするか」
「そうしよな」
 二人で話してだ、そのうえでだった。
 昼食を食べる為にステーキハウスに入った、そうして二人共ティーボーンステーキのコースを頼んだ。
 二人用の席で向かい合ってまずはサラダ、スープ、マッシュポテト、鮭のムニエルの次にステーキだった。 
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