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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE167 刀使い対決、猛獣化する少女

準決勝第二試合、元風林火山のクラインVSALF(アインクラッド解放軍)のカレラのデュエル!オズマはその戦いを個室のモニターで観戦――自身の決勝戦の対戦相手がどちらになるのかを見守る為に観戦!! by立木ナレ


教祖「デュエル開始まで30秒前です……」

クライン「わりぃけど、オズマと決勝戦でやり合うのは俺以外あり得ねぇからよぉ、ここでお終いにさせてもらうぜ嬢ちゃん。決勝でアイツが待ってるからよぉ!」

いや、別に俺はどちらが勝ち進もうが一向に構わないが……クラインはまるで俺と事前に『決勝で待ってるぜ』的なやり取りでもしてきたかのような態度で、親指を立てて歯をニヤッとさせて見せつけていた。

カレラ「お兄さんってさぁ……アタシら軍が無様に第二十五層でズタボロになった後に攻略組に登り詰めてさぁ……ゲームクリアまで誰も死なせずに戦い抜いたギルドのリーダーなんだってね?」

クライン「お?おう……風林火山って言うギルドのリーダーやってたぜ」

クラインに対してカレラは無感情な目付きで見透けて、抑揚のない声で語り掛けて、クラインは若干狼狽えた様子で応答していた。

カレラ「スゲェよなぁ……6人かそこらの小規模ギルドだって言うのにさぁ……攻略組の一角にまで上り詰めて、誰も死なせずに戦い抜いて……アタシらなんて数ばっかりで、木偶の棒揃いで……増えては死んで、増えては死んで、そりゃ何人も死んだよ……アタシの兄貴なんて軍の沢山いる戦死者の一人に過ぎなかったよ……」

クライン「あ、あのよぉ……お前さん、一体どうした―――」

教祖「デュエル開始まで5秒前ですよ……」

クライン「――っ、話はここまでにしようぜっ!どんな事情があろうとデュエルじゃ容赦しねぇ!」

カレラはクラインに対してSAO時代の軍に起きたネガティブな話を黙々と続けて、クラインを動揺させかけたが、クラインはデュエル直前に気を取り直し、刀を抜いて戦闘態勢に入っていた。
そして、カレラも自身の得物である――クラインと同じ刀を抜いていた。

俺「二人揃って刀使いなのか……」

教祖「では、始めて下さい」

デュエル開始と同時に刀を構えたクラインとカレラはほぼ同時に互いに斬りかかっていた。お互いの刀が相手の刀と競り合いになる。
二人の刀使いのサラマンダーとケットシーは刀でお互いに相手を競り倒そうとし合っている。身長差で長身のクラインが上からカレラを抑えつける様に、小柄のカレラは下から迎え撃つように競り合い続ける。

カレラ「―――ッ!」

だが、流石にクラインの方が技量も筋力ステータスも勝っているようでカレラがスグに体勢を崩し掛けていた。
カレラは自分が不利とすぐに察したようで完全に競り負ける前に刀を左腰に構えた状態から振り抜いていた。

俺「刀ソードスキルの絶空(ぜっくう)だな……」

クライン「――っとぉっ!少しばかし甘いんじゃねぇか!?」

カレラ「なにっ!?」

だが、クラインは流石に刀を使った戦い方を熟知しているだけはある。相手の刀ソードスキルの対処も優れているようで、カレラが振り抜いた単発の一撃が眼前に迫りつつもそれを殆ど首を軽く横に振るだけで回避していた。

当然、ソードスキルを避けられたカレラは技発動後の硬直を課せられて、それはクラインを前に致命的な隙を生む事になるのは言うまでも無かった。

クライン「決めるぜぇぇぇぇ!!」

カレラ「うあ――――!」

まずは通常の刀の斬り払いがカレラを襲った、更に即座にクラインはソードスキルを彼らを狙い発動する。
刀ソードスキルの三連撃技の緋扇(ひおうぎ)は上下の連撃、更に一拍溜めて突きの動作でその全てが完全に決まり、最初の斬り払いのダメージも含めてあっという間にカレラのHPバーは半分以下を切っていた――それに対してクラインは未だに無傷のHPフル状態だった。

俺「流石に、クラインの方が優勢だな」

分かってはいた事だが、風林火山のリーダーだったクラインと、アインクラッド解放軍の一員に過ぎなかったカレラは互いに、刀使い同士と言う対等の条件下ではその技量の格差が大きく戦いに反映される形となっていた。
この本戦トーナメントの準決勝にまでコマを進めてきた当たり、相応の実力は身に着けたのだろうが、それもここまでだろう。

クライン「さて、だいぶ差が付いちまった見てぇだけど……どうするよ?降参(リザイン)するってんなら、俺はそれでも構わねぇんだけどな」

女に対して必要以上に攻撃しない紳士でも気取っているのか、クラインはそんな事を言って降参をカレラに勧めていた。
今日は帰還者学校ではテストが終わっただとか言っていたので、キリト達もこの試合を見てるだろうが、大方クラインの下手な紳士っぷりに呆れてる頃だろうな。


そんなオズマの予想的中!ALOにフルダイブした状態でエギルの仮店舗に集まり、クラインの試合を見ていたキリトらの女性陣らの反応は―――― by立木ナレ


リズベット「何て言うか……微妙にムカつくわね……」

アスナ「リズったら……まぁ、私も女だからって理由であれやられたら少しむっとするかもだけどねぇ」

リーファ「あはは、クラインさん……自分ではきっと今凄くカメラ映えしてるとか思ってるのかもですね……」

シリカ「と、取りあえず!クラインさんもこれで決勝進出ですね!良かったですね!ホント良かったです!」


御覧のとおり、全体的に微妙な反応であった! そんな女性人らの反応を近くで目の当たりにしているキリトとエギルは、そんな事に気が付く由もないクラインを不憫に思いつつも、ひとまず、決勝進出はほぼ確定である事をささやかに心の中で祝福! by立木ナレ


クラインに降参(リザイン)を促されたカレラだったが、その返事は一向に出ない。カレラとしては軽るんじられているような気分で不快に感じているのか、その小さな身体は大きく震えていた。

クライン「あ、あれ……も、もしも~し?き、機嫌を損ねちまったならあ、謝るけどよぉ……」

今更自分の紳士気取りな台詞が相手にとっては気分を損ねたのかもしれないと気が付いたクラインは冷や汗を掻きながら消えそうな声でカレラの気分を窺うのだが、そんな事をやっていられるのも一重に自身の勝利をほぼ確信しているが故の余裕だろう。

だが――

カレラ「謝る必要なんて無いよ。だって――アタシの方こそ、お兄さんに降参(リザイン)を進めようかなぁって考えてたんだからさぁ!!」

クライン「―――――な、なんだってんだ!?」

唐突に……カレラの全身から赤紫色のオーラが噴き出すように溢れ出ていた。それを目の前で唐突に見せられたクラインの驚愕はモニター越しで見ている俺たちの比ではないだろう。
そして、カレラは全身から赤紫のオーラを発しながら……その身体は徐々に肥大化し、屈強な姿へと変わり果てつつあった。

俺「そう言えば、クラインが言ってたな……」

クライン自身が予選が終わった後に行っていた事を俺は思い出していた。奴が言うには猛獣のような姿に変化したプレイヤーが紛れており、決勝トーナメント進出を果たしていると。
あの時俺はさほど真面目にクラインの話を聞いていなかったが、まさか―――

俺「アイツだったのか?」

そして、クラインの言った言葉はそのまま即座に正しかったことが証明される事になる。しかもそれはクライン自身がその猛獣と対峙している状態と言う形であった。

カレラ「アンタにはアタシのこの姿を予選の時に見られてたっけなぁ?だったら今のアタシの怖さはちゃんと知ってるんだよなぁ?」


それは、まさにクラインが予選の際に姿を見せた猛獣そのものであった!体長三メートルほどの巨大な体躯で二足歩行をし、それまでの装備は変わり果て、百獣の王に相応しい王族を思わせる衣装を纏っていた! by立木ナレ


クライン「お、お、オメェさんがあのデカい猛獣だったのかぁ!?ど、ど、どうやって――どんな魔法だよ一体!?」

カレラ「魔法だって?ああ、違うよ違うよ。確かにスプリガンがお得意な幻惑魔法で化け物に変化する魔法とかもあるけどよぉ……あんな見てくれだけの幻惑魔法と一緒にすんじゃねぇよ。つか、アタシはスプリガンじゃねぇし」

獅子の顔のカレラは表情の変化は伺い難く、今は得意気に笑っているのか、それともつまらなさそうな顔をしているのかは分からないが、どこかクラインに対して小馬鹿にしているような態度は明らかだった。

カレラ「アタシさ、SAOがクリアされた時にね。大抵のプレイヤーがスグに使っちゃうレベルをアップするアイテムの――ふしぎな飴を残したままだったんだよ」

クライン「―――ま、まさか、オズマと同じか!?」

クラインもカレラがSAOでふしぎな飴を残したままゲームクリアを迎えたと言う事を聞いて、俺と同じ考えに至っていたようだった。

俺「央都アルンでふしぎな飴をケットシーの結晶にして、あのスキルを獲得したって事か……」


そう、カレラはオズマ以外で初めて……SAOから持ち越したふしぎな飴によってのみ修得が可能とされている種族ごとの専用結晶スキルの習得者であると言う事であった!
カレラはどういう経緯か、ふしぎな飴を保持した状態のままSAOクリアを迎えて、このALOにSAO時代のキャラクターデータをコンバート、そしてオズマと同様にアイテムの中で唯一ふしぎな飴のみが残されて、それは央都アルンでケットシーの結晶と言うアイテムとなり、使用と同時にカレラにケットシー専用結晶スキル『ビーストスタイル』を与えたのであった! by立木ナレ


カレラ「ビーストスタイルになったアタシくらいどうとでも出来るよなぁ?なんたってアンタは風林火山のリーダーなんだろ!?」

クライン「のおわぁぁぁぁっ!!」

巨大な獅子と化したカレラが大きな足音を立ててクラインに迫りくる姿は丸でフロアボスモンスターが迫りくる緊迫感に近いのかもしれない。
少なくとも対人戦であるデュエルでは本来味わえないだろう。

そして、鋭く尖った爪を立てた状態のカレラの巨大な右手がクラインに襲い掛かっていた。クラインは圧倒的に巨大な姿と化したカレラの迫りくる爪を刀を使い必死に堪えていた。

だが、右手の爪の猛攻を抑えるのにクラインは両腕の筋力ステータスをフルに使ってようやく辛うじて持ち堪えている状態だった。
カレラの爪は当然左手の方にも備わっており、その左手は既にクラインの頭上から振り下ろされようとしていた。

カレラ「真っ二つだぁぁぁぁ!!」

クライン「―――がっ!!」

右手の爪の競り合いで精いっぱいだったクラインは左手の爪の降り下ろしに対応しきれず、完全にその爪によって身体を抉られてダメージを負う羽目になっていた。
溜まらずにクラインは辛うじて刀を手に持ったまま即座に巨大なカレラから逃れる様に瞬時に走り、距離を可能な限り取っていた。

カレラ「どこ行こうってんだよ!この闘技場でデュエルしてる限り、アタシからは逃げられねぇって分かってんだろ!?」

クライン「んなこたぁ、分かってんだよぉぉ!!」

クラインはすっかり余裕を失った声を荒げながら、身体を反転しカレラの方に正面を向いた状態に向き直すと、ソードスキルの構えを取っていた。

カレラ「今度は何をしようってんだよ?」

クライン「こうすんだよっ!!」

クラインは垂直にジャンプと同時に身体を大きく捻っていた。あれは重範囲攻撃技の旋車(つむじぐるま)。第一層のフロアボスのコボルドロードも得意とし、その当時のレイドパーティーのリーダーであったディアベルが最終的に唯一の戦死者となる事になったソードスキルの起点技だった。
クラインはその当時のコボルドロードを沸騰させる動きで、ジャンプからの着地と同時に、周囲に360度の薙ぎ払い攻撃を放ち、当然その射程にはカレラも含まれていた―――のだったが。

クライン「んだと―――!?」

カレラ「残念、ソードスキル失敗ってな!」

360度の薙ぎ払いを放つはずのソードスキルなのだが、カレラの大きな左手に刀を掴まれて、そのソードスキルの薙ぎ払いは180度にすら及ばないまま止められてしまっていた。

俺「なんっつうバカ力だよ……」

システムアシストの恩恵を受けたソードスキルの勢いを、素手で受け止めるなんて事が対人戦で起きるなど、SAOでも相当なレベル差が無くては起き得ない事であり。ましてやレベルが存在せずスキル制のALOではプレイヤー間のステータス格差が大きくないが故に起き得ないと思われたが――猛獣と化したカレラはそれをやってのけてしまった。

カレラ「ほらほらぁ~、刀を取り戻さなくて良いのかよ?」

クライン「くそったれ!離しやがれ――――」

カレラは左で掴んだ刀を放す事は無く、掴まれた刀を取り戻そうとしたクラインだったが、そんなクラインに対してカレラは首を一気にクラインに近づけると同時に大きな口を全開に開き、ズラリと鋭く生え揃った牙がクラインに噛みつくのだった。


ケットシー専用結晶スキル『ビーストスタイル』を習得し巨大な獅子と化したカレラの前に圧倒的窮地のクライン!まさに悪魔的形勢逆転!この窮地、脱する事は敵うか!? by立木ナレ 
 

 
後書き
と言うわけで、アインクラッド編の第24層のフロアボス戦以来の本格登場のカレラです。こちらも覚えてる方は少ないでしょうね・・・ 
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