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八条学園騒動記

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第四百九十四話 水泳の後はその七

「私は」
「だから宇治金時の味知らないんだね」
「あれ美味しいのかしら」
「そう言われると僕もね」
「宇治金時生クリーム乗せね」
「金時はなくてもいいけれどね」
 小豆の方はというのだ、ジョンは小豆も嫌いではないが今はそちらにはさして興味を感じなかったのだ。
「宇治に生クリームはね」
「食べたいのね」
「ちょっと食べようかな」
「じゃあ学園の中のかき氷屋さんで食べたら?」
 七美はジョンにすぐに提案した。
「そうしたら?」
「ああ、そういえばあるね」
「あそこ夏は繁盛してるけれど冬はね」
「そんなにだよね」
「そこがアイスと違うのよね」
 同じ冷たく甘いものでもというのだ。
「アイスとかソフトって冬でも売れるけれど」
「暖かいお部屋の中で食べるといいんだよね」
「ワインにも合うし」
「あれ凄く合うよね」
 この場合は赤ワイン等渋い味のワインだ、こうしたワインとアイスクリーム等洋菓子はよく合うのだ。
「僕も好きだよ」
「けれどかき氷はね」
「この学園のかき氷屋さんは建物だけれど」
 野外にある店ではないのだ。
「冬はあまりお客さん入ってない気がするね、夏よりは」
「お酒に合うかっていうと」
「そうでもないから」
「買ってすぐに食べないといけないし」
「氷だからね」
「アイスは買って冷蔵庫に保管出来るけれど」
 このこともアイスにとっては有利なことだ。
「ソフトと同じでね」
「その場で食べないといけないから」
「アイス程売れないのよ」
「冬は大体ソフトと同じ位の売れ行きかな」
「そうでしょうね」
「ううん、そうなんだね」
「ええ、それでも食べてみたら?」
 その宇治のアイスをというのだ。
「あんたがそうしたいなら」
「じゃあそうしてみるね」
 ジョンは七美の言葉を受けて乗った返事で答えた。
「今日お昼食べたら」
「デザートでね」
「そうするよ」
「そうしたらいいわ、それにしてもかき氷って」
 七美はそのかき氷自体のことも話した。
「あれよね、元手凄く安いわよね」
「お水とシロップだからね」
「お水を凍らせてね」 
 そして氷にしてだ。
「砕いてシロップかけて出す」
「それだけだからね」
「滅茶苦茶安いわね」
「元手はね、けれど安い食べものだから」
「昔は氷って貴重だったけれど」
 冷凍技術がない時代はだ、徳川幕府では将軍に献上された様に限られた層だけの夏の馳走だったのだ。
「それがね」
「今はね」
「うん、凄く安いよね」
「だから沢山売ってね」
「儲けるものだね」
「元手が安いけれど」
 何しろ水とシロップ、後はストローと紙コップ位だ。
「元手が安い分だけあって」
「それだけに安く売るもので」
「まあ味も変わらないでしょうけれど」
 七美はこうも言った。
「いいお水だったらいい氷になって」
「美味しくなるけれど」
「あれも失敗する食べものじゃないね」
「夏に人が集まる場所で売れば」
 それだけでというのだ。 
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