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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE164 サバイバーバトル本戦・・・再開する者達!+脅された役員

いよいよ、今日がSAOサバイバーバトル本戦の当日だった。本戦の開始時間は夜の9時からとなっているので、俺はその当日も普段と変わらぬ……地元で適当な日雇いの仕事をしていたのだった。
もっとも、実働1分弱で8500円と言う、俺達にとってはありがたいあの日雇い労働はマスコミの取材のせいでほとぼりが冷めるまでの間行われないので、今俺がやっているのは日給で8000円だが……8時間みっちりと建設現場に出張させられての労働だ。


オズマ……愚痴に愚痴りながら一日の労働を終えて、日給の8000円を受け取った後、自宅アパートに向けて帰宅する途中にタバコ屋でタバコを一箱を購入、さらに一日に一本までと言われている酒……キリンビール一本を購入し、その場で缶のプルタブを開けて、飲みながら帰宅している最中であった――

オズ「取りあえず……予選くらいは通貨したようだな弭間……いや、オズマって呼ぶべきか?」

俺「ちゃんと車を売れるようにしておいた方が良いぜ、俺が優勝賞金をゲットしたとしても、アンタが売るまでの手順に手間取ってたら、気が変わるかもしれねぇからな」

自宅アパートの前で俺に声を掛けてきたのは、薄汚れたホームレス風の風貌で、ハット帽を深く被っている男……浮浪者のオズだった。
俺に目当ての車を紹介してきた男は、俺がSAOサバイバーバトルでの様子をネット中継されていたのを見ていたようで、既に俺のキャラクターネームのオズマまで知っていたか。

俺「アンタ、ネットで動画を見る手段なんてあったのかよ?」

オズ「おいおい、こんな時代なんだぜ。……スマホくらい俺見てぇな浮浪者だって持ってるんだよ……契約はしてねぇけどな」

オズが微笑しながら俺に見せたのは、おそらく10年以上前に発売された旧式のスマートフォンだった。契約をしていなくとも、ネットへの接続くらいならWi-Fiで出来ると思うが……

俺「アンタ……どこでWi-Fiやってんだよ?」

オズ「どこでも良いじゃねぇか。今のご時世、この辺り一帯の安宿ですらWi-Fiはあるんだからよ……お前んところのアパートだって共用のWi-Fiがあるじゃねぇか」

俺「Wi-Fi泥棒って奴かよ」

ようするに、このオッサンはその辺のアパートや安宿で使われているWi-Fiを勝手に利用して、契約されていないスマホをネットの接続しているようだった。
まあ、こんな事をやっているのは、この辺り一帯じゃ決して珍しくもないがな。

オズ「オメェが優勝するかどうかは……今の所五分ってところだな」

俺「どういう事だよ……そりゃ」

本戦出場者の中で俺以外で攻略組の主力として活躍していたのはクライン位だ、そのクラインですら俺ほどの強さではなかったのだから、本戦に出場した8人の中では俺が一番強いはず……だが、オズはSAOすら知らないにもかかわらず、俺の優勝確立を五分などと評しやがる。

オズ「オメェが持ってる……オンリーのスキルあるじゃねぇか?」

俺「ワープビジョンの事だよな……確かに、あれはSAOからふしぎな飴を持ち越して、それをALOの央都アルンでインプが使って『インプの結晶石』になって初めて修得できるスキルだからな」

少なくとも、今現在、ALOでワープビジョンの使い手として確認されているのは俺一人のはずだ。

オズ「けどよ……オメェ以外でよ、SAOからそのふしぎな飴とやらを持ち越して……結晶石のスキルを持ってる奴がいたら?」

俺「何だよそりゃ?そんな奴がいやがったら、今頃ALOの掲示板とかで知れ渡ってるっての」

俺はこれ以上浮浪者のおっさんの相手をする気にはなれず、その場から立ち去り、自宅アパートに戻るのだった。
このおっさんとも車の売買が完了したら、特に付き合いを続ける必要はないだろう。

オズ「……アイツはホントにエゲツなかったんだよなぁ……今からもう一度やりあったら……流石に勝てねぇかもしれねぇ」


※ ※ ※


教祖「この儀式まで辿り着いた8人の勇敢なる戦士の皆さん……いよいよこの中からたった一人、救済者が決定します」

9時前、8人の本戦出場者達は全員教祖によって強制転移させられていた。転移させられた俺達が早々に目の当たりにしたのは相変わらず、座禅を組んだ体勢のまま空中に浮遊する微笑みの教祖だった。

教祖「皆さんはとても素晴らしい……そう……素晴らしい8人です。私は……貴方達と巡り会えたことを嬉しく思います……貴方達なら……2年間に及ぶデスゲームを勝ち抜けたのも頷けますね……」

それからも、教祖の話はウダウダと続くが、真面目に本気で聞いている奴などこの中に一人すらいないだろう。

ケットシー「ウザ……オヤジってなんで長話が好きなんだか……」

隣の小柄な女ケットシーが小声で毒づいていた。そして、他の参加者たちの中にも、本格的に苛立ちを感じさせる表情を浮かべるものが現れ始めていた。

そして――

教祖「さて、それでは私の話はそろそろ終わりにして……」

ようやく本戦トーナメントの説明に入るところか、俺達が揃ってやっと教祖の話が終わった事に安堵したが――

教祖「歌いましょう……教祖マーチを……」

クライン「って――んだよそりゃ!!」

ケットシー「本当にウザい……」

ここにきて更に引き伸ばしやがるか……!俺もそろそろモンクの一言二言言ってやりたい気分だが、奴の進行を妨げたりすると、‘ ポア‘されてしまいかねないのでここは仕方なく教祖と共に奴の教祖マーチを歌う羽目になった。


そして……伸ばしに伸ばしまくり……引き延ばしに次ぐ引き延ばしの後になり、ようやく発表される本戦トーナメントの説明であった!

デュエルの方式はこれまでと同様、一対一の完全決着モード。参加者たちがSAO生還者である事を考慮し、飛行は禁止。
一回戦と準決勝は一本勝負であるが、決勝戦に限り、先に二勝した方が勝利となる3本勝負ルールと言う事であった! by立木ナレ


教祖「では……トーナメントの組み合わせを早速発表します」

俺達の目の前に、一斉にウインドウ画面が出現すると、そこに映し出されているのはトーナメントの組み合わせだった。
その中から俺は直ぐに自分の名前を見つける、俺は一回戦では第二試合で対戦相手のプレイヤーネームはアギトだった。

俺「って……アギトって確か――」

聞き覚えのある名前である事に気が付いた俺は、SAO時代に何度かパーティーを組み、フロアボス戦を共に戦った事も有るそのプレイヤーの顔が脳裏に浮かぶと同時に、その当人が声を掛けてきたのは直ぐその後だった。

アギト「やっぱり……ここまで残って来たんだね」

俺「そうか……そっちも流石は、元血盟騎士団メンバーでアスナの護衛に就いてた事はあるんだな……」

声を掛けてきたノームは見た目こそ、ノーム特色の肌色などが現れてはいるが、その凛々しく整った、一方でどこ掻き真面目そうな顔つきは攻略組最強ギルドKoB(血盟騎士団)の一員で、アスナの護衛をしていたプレイヤー、アギトそのものだった。

アギト「こうして見てみると、ここまで残った者達は、残るべくして残って来たって感じだよ」

俺「そうかもな……お前以外にも知ってる名前が何人もいやがるしな」

俺とアギト、他にも第一試合で早速戦う事になるクラインと、その対戦相手であるのは聖竜連合に所属していたプレイヤーだった。
第4試合にはアギトと同じ血盟騎士団のメンバーでクロススピアの使い手であったサンボの名前もある。そして、そのサンボの対戦相手の名前も、微かに覚えのある……ほんの一時であったが攻略組の一員であったプレイヤーだった。

俺「カレラって、アインクラッド解放軍……いや、解放隊時代のカレラだな」

そこで、俺はようやく何度か声を聞いたさっきのケットシーがカレラだった事を思い出していた。確か、彼女が初めてフロアボス戦に参戦し、俺達MBTのパーティーと組んだのは第24層のザ・ジャンボ・スノーマンとの戦いのときで、その時は兄であるボクスターも同じパーティに参加してたんだっけな。

俺「けど……アイツらと組んだのは次の25層で最後になっちまったが……」

アインクラッド第25層は、第24層以下とは桁外れのボスの強さに加えて、迷宮区内のモンスター達の強さも別格であり、攻略組にとってはそれが初めて体験するクォーターポイントの恐ろしさでもあった。特にキバオウ率いるアインクラッド解放隊はこの戦いで主力メンバーの大半を失う大損害を受けた結果、攻略組から完全に脱落する羽目になり、命を落とした解放隊メンバーの中にはカレラの兄のボクスターも含まれていた。
俺も、レイナも、エルダも、ユッチも目の前で兄を失い、ボス戦が終わった後に床に蹲り涙を零していたであろうカレラには一言も声を掛けられぬ仕舞いのままパーティーは解散となり、その後――誰も彼女と会った奴はいなかった。


選ばれし8人……その者達はまさにSAOで幾多の激戦を潜り抜けてきた……いわば、残るべくして残った8人であり……同時に、再び相まみえる事によって互いにSAO時代のあらゆる記憶を呼び覚ます者達でもあった! by立木ナレ


※ ※ ※


西暦2025年4月某日の出来事であった……

役員「今晩が楽しみだなぁ~」

だらしなく笑みを浮かべながら午前中の仕事を終えて、外食に向かおうと会社を出た50歳ほどの、頭がハゲ気味のこの中年男はALO(アルヴヘイム・オンライン)の運営をレクトから引き継いだベンチャー企業「ユーミル」の役員の一人であった。
この良い年した中年男がだらけた笑みを浮かべる理由である今晩の楽しみ、それは―――

佐凛「役員さ~ん。そんなにニタニタと傍から見たら気持ち悪いったらありゃしない顔しちゃってまぁ~、どうなさったんですかねぇ~?」

役員「え……な、なんですか急に……?」

そんな浮かれた気分から一転して現実に引き戻される。ポニーテールの髪形の男は楽しげな様子で役員の心中を見透かすように接してくるのだった。

佐凛「始めましてユーミルの役員さん。自分はフリーライターをやってる蛭原佐凛と言うケチな者っすよ」

役員「佐、佐凛……?」

佐凛「ええ、佐凛って言う名前はね、自分が95年の3月20日生まれ。つまり例のサリン事件が起きた日に生まれたもんで、ウチの親たちが面白がって付けちゃった名前なんっすよねぇ~、役員さんくらいの世代の人ならご存知でしょ?」

確かに、事件当時20代の若者であった役員の男には衝撃的な大事件として報道されていた記憶を鮮明に残すほどの事件として覚えているほどである。

だが――

役員「フリーランスのライターさんが何の用か知らないが、私は君の相手をしてるほど暇じゃないのだ、あっちへ言ってくれ!」

役員は冷や汗を掻きながら佐凛を追い払おうとするが、佐凛はクスクスと不敵な笑みを浮かべて、更に顔を近づけて小声で囁くのだった。

佐凛「そりゃ~、俺みたいな輩にせっかくのいい気分を邪魔されたくないっすよね?なんたって今日は懇意にしてる女子高生とホテルで遊べる日なんですからねぇ~」

役員「――――ば、馬鹿を言うな……!い、いい加減な事を言っていると……名誉棄損で訴えるぞ!!」

そう、この役員の男が浮かれていた理由はまさに佐凛の指摘した通り、今夜は懇意にしている女子高生との援助交際の日!自身が高校時代には一度も味わう事が無かった10代の張り艶のある……若く、締まりの良い肉体を思うが侭に味わえる事を楽しみにしていたのであった!

無論、そんな事を認めるわけにはいかず、必死な形相で否定し、法的手段を示唆して、佐凛を追い払おうとした役員であったが――

佐凛「相手の娘は沼井亜由(ぬまいあゆ)さん。高校2年生の16歳……自らの容姿を利用し、中高年男性相手に援助交際を中学1年生の頃から月に4度のペースで行っている、まさに援助交際のプロってところっすかね~?」

役員「―――っぐっ!」

援助交際の相手の少女の名前と年齢で言い当てられ、その表情は更に焦りの色を強く帯びるのであった。

佐凛「良いっすねぇ~、10代の若い身体は!自分も高校生の頃は同年代の女子と何人かやりましたけど、20歳過ぎた女とはモノが違いますからねぇ~……特に、あそこの締まり具合とか……あの若い身体をもう合法的に食う事は出来ないかと思うと寂しいもんっすよねぇ~」

役員「金か……?私に金を要求しているのか……?」

険しい顔つきで佐凛の要求を定番である金銭目当てであると考えた役員であったが、佐凛は役員を軽く小馬鹿にするように『ククク』と微笑した。

佐凛「お金かぁ……確かにお金も手に入れたいんすけどね。自分もライターの端くれなもんで、ここでアンタを脅してお金を巻き上げるって言うのはなんだか面白みがない――そこでね、自分がお金を稼げて、尚且つライターとしての好奇心も満たせる一石二鳥な提案があるんすけど……協力してくれませんかね?」 
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