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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE163 執拗なフリーライター

SAOサバイバーバトル大会の予選が行われた翌日に、相変わらずSAO時代からの顔も知り(リーファ以外は)連中と俺はALOで集まってた。
本戦トーナメントは一日間を開けて翌日に行われる事になっている。そして、俺達の話題は当然、昨日行われたSAOサバイバーバトル大会の予選の話になるかと思いきや―――

シリカ「うぅ~、ここの問題の計算式の解き方が判らないですぅぅ」

リズ「ああ、アタシもそこんところは苦労させられたわねぇ~」

シリカ「ですよね、私だってこんなに苦労してるんですから」

リズ「……な、何よそれ?まるでアタシがアンタよりもバカって意味に聞こえるじゃない!」

キリト「君達さ、さっきからそんな調子であんまし進んでない気がするのは俺の気のせいか?」


キリト、リズベット、シリカの三人はテスト勉強!VRMMOゲームであるALOの中で学生の宿命であるお勉強!!by立木ナレ


俺「お前らさ……なんで態々フルダイブしてまでテスト勉強なんだよ……?」

リズベット「仕方ないじゃないのよ、明日はいよいよテスト本番の最終日なのよ!残りの教科の範囲内のテスト勉強がてら勉強会の為にログインしたってわけよ――学校に行ってないアンタには分かんないでしょうけどね」

せっかくのVRMMOでテスト勉強をしている連中に対して俺が呆れて言うと、逆にリズベットから皮肉交じりの反発をお見舞いされた。

クライン「ったくよぉ……せっかく俺もオズマも無事に予選突破して、今日はオメェらに本戦出場を祝ってもらえるって期待してたってのに……学生さんにとっちゃんな事よりもテスト勉強なんだなぁ……」

俺の隣でクラインがグラスに入ったワインをチビチビと飲みながら、不遇な俺達の扱いを嘆いていた。実際、もしこれが俺とクラインではなく、キリトとアスナであれば今頃は『二人とも本戦トーナメント進出おめでと――』とか騒いでる頃なんだろうがな。

エギル「仕方ねぇだろ――ったく、何しんみりしてやがるんだよ」

この仮店舗の借主であるエギルが、消沈気味のクラインに対して情けない奴を見るような眼で言いながら酒の摘みになりそうなチーズを更に乗せた状態で置いていた。

リーファ「あはは、だけど二人ともたった8人しか出場できない本戦トーナメントに出られるなんて――やっぱり攻略組って凄かったんですねぇ~」

クライン「おうよ!俺はぁオズマはキリト程じゃねぇけどよぉ。そんでも攻略組じゃあ主力ギルドの頭張ってたんだからこれくらいは当然よぉ!」

リーファに実力を称賛されたクラインは途端に得意気な表情になって、自慢げにそう語り出すのだった。

キリト「まあ、明日の本戦トーナメントは俺達も丁度テストが終わった当日になるからさ、じっくりとフルダイブしながらモニターでオズマとクラインの活躍を見させてもらえそうだぜ。他の予選通過者もきっと相応な実力者だろうけど、少なくとも俺の見立てだと優勝するのはお前たち二人のうちのどちらかだと思うぜ」

俺「当然だ、俺にとって一番の懸念事項だったお前はキャラデータリセットで弱体化してるから不参戦――アスナに至っちゃテストを理由にフルダイブすら出来ないなんて言う状況となっちゃ……あのSAOで俺よりも強い奴なんていやしねぇからな」

まあ、実際にはもう何人か……俺と同等以上、或いは俺にかなり近い実力のプレイヤーも何人かいるにはいるのだが、そいつらはそもそも、このALOにアカウントすら作っていないからな……

エギル「そう言えば、リーファはテストはまだ大丈夫なのか?」

リーファ「はい、私たちの学校のテストは7月になってからなんです。それに私はスポーツ推薦組だから、学校の方からも基本的には部活動優先で良いって言われてるんですよ……ま、流石に赤点を幾つも取っちゃうと追試で合格するまで部活出来なくなっちゃいますけどね……」

リーファは微妙に不安があるのか、照れくさそうに苦笑しながら自分の学校の事などを軽くエギルと談笑し始めていた。

クライン「そう言えばよ―――」

グラスのワインを一気に飲み干したクラインが、隣に座る俺の方に顔を向けて話しかけてきた。

クライン「結局、誰だったんだろうな……あのバカでかいトラだかライオンだか猛獣になってた奴って?」

俺「……バカでかいトラ?……ライオン?……猛獣だと?」

クラインがいきなり何を言い出しているのか俺には全く理解不能だった。

クライン「あれ……?オメェは見なかったのかよ、二足歩行のあの猛獣だよ!」

クラインが意外そうな表情で妙に必死になりながら話し出すが俺には全く見覚えが無い。

俺「予選のデュエルの様子は確か動画サイトとかで中継されてたんだよな?その動画はあるのか?」

クライン「いやぁ……」

俺の質問に対してクラインは歯切れの悪そうな、自身の無さげな言葉を漏らしていた。

クライン「オメェも知ってると思うけどよぉ……一度に同時に二つ以上のデュエルが行われた場合――その場合は先に始まったデュエルの方が優先で公開されてたんだよ」

俺「つまり――そのクラインが見たって言う猛獣のデュエルは、動画で流れず仕舞いだったのか?」

クライン「ああ、予選が終わった後に動画を確認してみたんだけどよぉ、俺が見た猛獣が戦ってるデュエルは一つも無かったんだよ……」

クライン曰く、二足歩行で巨大な体躯を持つ猛獣は牙や爪を使った攻撃で対戦相手のプレイヤーを完膚なきまでに叩きのめしていたらしい。
だが、そんなチート染みた強さの猛獣に変身できるようなスキルも魔法もALOには存在しないはずだ……俺等が知らない様な、例えば俺が持っているスキルのワープビジョン並みに特殊なスキルがあると言う事だろうが?


結局、疑問は何も晴れぬまま……オズマとクラインは翌日のSAOサバイバーバトル大会の本戦トーナメントを迎える事となるのであった! by立木ナレ



※ ※ ※


アスナ「キリト君ってば遅いな~、全くレポート出し忘れて急に急いで出してくるなんて……妙に抜けたところあるんだから……」

この日は帰還者学校の試験最終日であり、既に放課後。アスナは恋人であるキリトと何時もの様に駅まで一緒に向かおうとしていたのだったが、キリトは急遽職員室に出し忘れていたレポートの提出の為にアスナはキリトが戻るまで校舎の外で待ち惚けとなっていた。

SAOで結ばれた掛け替えのない彼氏のたまに見せる……そんな一面もアスナは自分がパートナーとして支え甲斐のある一面として割と好意的に受け入れて、キリトが戻って来るのを待っていたのだったが――

アスナ「何なの……この音楽?」

それは、幾度かテレビで聞いた記憶のある某宗教団体の音楽であった。妙に不快に感じるその音楽は現在開催されているSAOサバイバーバトル大会で教祖を自称する男が自身のテーマソング感覚で使っているBGMそっくりであり、その不快なBGMはみるみる近くなってくる。

アスナ「……あの車からなの?」

それはスズキのワゴンRと言う軽自動車だった。その軽自動車から聞こえるBGMは改めて近くに来られたことにより、より一層に耳を塞ぎたくなるような大ボリュームの音量で、帰還者学校の近くである事も重なり、下校する生徒たちは不快そうな視線を次々と向けていた。
アスナも、学校のすぐそばで大音量で音楽を平然と鳴らし続けている車に対して、その非常識さに苛立ちを感じて、今すぐにでも運転手に文句を言ってやろうかという気分になっていた時だった―――

運転席のドアが開き、姿を現したのはポニーテールの髪形をした、陽気な笑みを浮かべている男だった。
どう言うわけかアスナはその男を見た途端に妙な不快感を身に感じ――それは即座に的中する事になった。

佐凛「ちょいと失礼しま~す!」

アスナ「――な、なんですか……?」

アスナの方に視線を向けたその男は、急にスキップするような動きでアスナに急接近し、アスナのすぐ傍まで近寄ったのだった。
見ず知らずの一回りも年上の男にいきなり話しかけられて、アスナは先程以上にその男に対する警戒心を強く感じていた。

佐凛「いやね、俺はフリーライターの蛭原佐凛ってモンなんだけどさぁ」

アスナ「フリーライター……あ、貴方もしかして、一昨日学校に来てウチの生徒たちに絡んでたって言う人ね!」

佐凛「あっちゃぁ……学校の噂の広まる速度半端ねぇ~!もう俺ったらこの学校でそんなにも知られちゃったのかぁ~」

アスナは、帰還者学校の同級生でもあるリズベットから、シリカがポニーテールの髪形の自称フリーライターにしつこく取材を申し込まれたと言う話を既に聞かされていたので、その特徴とまるっきり一致するその男が、リズベットが怒りを帯びた様子で話していたフリーライターと同一人物である事を看破するのだったが、それを見抜かれても佐凛は特に困った様子を見せたり、動揺した態度を取る事も無く、むしろアスナの敵意を剥き出しにした態度を楽しむかのようにおどけた振る舞いを取るのだった。

アスナ「私の友達に言われたばっかりですよね……生徒に対する許可のない取材は一切お断りさせてもらっているって?」

佐凛「そそ、あのソバカスの子にこっぴどく叱られちゃってさぁ~。反省を生かして今回は校舎の外で取材を申し込んじゃおうって思ったわけよ!」

ドヤ顔で得意気に語るそのフリーライターの男の態度はアスナの神経を逆撫でさせ、アスナは険しい表情を剥き出しにし、攻略の鬼と呼ばれたころを沸騰させるような気迫を発し佐凛に対して立ち向かう。

アスナ「貴方のような悪質なマスコミに話す事なんて一切ないわ!興味本位で私達の事を嗅ぎまわって――犯罪者予備軍呼ばわりしたり……余計に偏見の目で見られるような記事を書いたり……私達は貴方達のような輩の見世物にされるために生き延びたわけじゃないのよ!貴方のような人を食い物にして……面白い話のネタにして楽しんでいるような下劣な品性の人とはこうして向かい合ってるだけでも不愉快よ!」

佐凛「はははっ!!こりゃ勇ましい……実に勇ましいねぇ~」

アスナから強く非難の言葉を浴びせられた佐凛。アスナ程の美少女から徹底的に嫌悪感を向けられ、辛辣な言葉を浴びせられるのは男にとって多かれ少なかれ、精神的にダメージが及ぶのはありがちな事ではあるが、むしろ佐凛の態度はアスナのその物言いが、期待通りであると言わんばかりの様子であり―――

アスナ「―――いい加減にして」

佐凛「……やっぱりさ、それ位の勇ましさが無くちゃ――攻略の鬼は務まらないよね?」

アスナ「―――――!?」

それは、アスナがSAO時代――血盟騎士団の副団長として畏怖の意味も込めて称された二つ名でもあった!
なぜ……?SAO生還者でもないようなこの男がアスナのSAO時代の呼び名を知っていると言うのか?まさかこの男もSAO生還者なのか?それとも――アスナにとっては想像したくない事なのだが、SAO生還者の誰かが自身に関する情報を目の前の男に漏らしたと言う可能性も捨てきれない。

佐凛「君なら……一介のプレイヤーが知らない様な面白い話とかも聞けちゃったりするのかなぁ~……閃光のアスナさん?」

アスナ「貴方……いったいどこまで!」

更に閃光のアスナと言う呼び名まで知っていると言う事にアスナは身震いを感じずにはいられなかった。
アスナにとってSAO時代の話はむやみやたらと他人にペラペラと話せる様な事ばかりではなく、特にSAO生還者に対して偏見の目を持つ者も多い非VRMMOゲーマーなどには、話しただけで奇異の目を向けてくる事も有り得るが故に、目の前の男がアスナの余り話してほしくはない事まで知っているのではないかという不安に駆られたその時であった――

キリト「悪いんだけど、取材はそこまでにしてもらえないかな?」

アスナ「あ……キ、和人君!」

キリト「悪い、レポート出すのに時間掛かっちゃって、来るのが遅れたな」

まさに救世主!アスナが言い知れぬ不安感に襲われていた所にキリトが現れただけで……アスナはそれまで目の前の男に対して抱いていた恐怖感をあっさりと振り払い、何者も恐れぬ勇気を抱いたのであった!

佐凛「おや……?もしかしてだけど……これからデートだったのかい?」

キリト「どう取るかはアンタの勝手だけどさ、しつこく付いてくるようならこっちだって相応に手を打たせてもらうぜ」

佐凛「へぇ~、閃光のアスナさんには随分と心強い騎士(ナイト)がいるって事なんだねぇ~」

声は静かだが、キリトの表情は佐凛に対して明確な敵意を燃やし、これ以上アスナを怖がらせるような事を断固として許さないと言う意思を露わにしていた。

結局、佐凛は駅に向かって歩き出したキリトとアスナをそれ以上追う事は無く、離れて良く背中を見ながら呟くのだった。

佐凛「閃光のアスナに黒の剣士キリトね……全く今回のサバイバーバトル大会に参加しないのが惜しい連中だぜ。出てくれたらもっと色んなことが分かったんだけどねぇ~」 
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