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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE156 召集されたSAO生還者たち・・・教祖登場!

SAOサバイバーバトル!ALO初となる現実での金――賞金200万円と言う大金が掛かったSAO生還者限定のデュエル大会!開催日当日、SAO出身のALOプレイヤー達は大歓喜!何を思ったのかは分からぬが、粋な計らいを見せるALOの新運営団体であるユーミルに対して称賛の声を送り、大会本番の30分前となり、参加申し込み受付が開始となった……by立木ナレ


ALO全域にSAOサバイバーバトル大会の参加受付の開始がアナウンスされたのは丁度今だった。アナウンスの指示によるとメインメニューの下方部から参加の申請が可能であるとアナウンスされたので、俺は早速アナウンスの指示通りウインドウ画面を出現させて右手の指で下方部までスクロールすると……ログアウトメニューの更に下に『SAOサバイバーバトル大会』と表記されたテキストを発見し俺は早速それをタッチする。

俺「多分これって、SAOのデータを引き継いでるかどうかでSAOサバイバーだって事を認証してるんだろうな……」

だとしたら、SAO生還者だとしてもSAO時代のキャラデータを引き継がなかった場合はSAO生還者としてシステムが認識できず、キリトの様にキャラデータをリセットした者などはSAO生還者でも今回のバトル大会は参加できない事になるんだろうな。

俺「いきなりリアル情報を寄こせときたもんか……」

ある程度分かってはいた事だが、リアルで金の受け渡しをする以上は、リアルでの情報を送信する必要があるのは仕方のない事のようだった。
メニュー画面に表示されている、運営側が要求するリアルの情報は住所と本名と生年月日、そして優勝した場合の金の受け渡し方法に関しても、どんな方法を希望するかの記入を求められていた。

取りあえず俺は自分の住所である東京都台東区日本堤と入力。更に本名である小田桐弭間(おだぎりはずま)と生年月日の西暦2008年9月9日をさっさと入力する。

俺「問題は金の受け渡しなんだよな……」

俺はまず銀行口座と言うのを持っていない。地元の銀行に掛け合えば、身分証明書を持たない様な者や、未成年の俺でも銀行口座を開設する事は可能かもしれないが既に大会の受付が始まった段階で出来るか否か不透明な口座開設に掛けて口座振り込みにするのは不安が残る。

俺「だが、家に直接送らせるのは論外だ……!」

家には金に飢えている爺と親父がいやがる。奴らの手に200万円なんて大金が渡った日には酒、たばこ、ギャンブル、女、ありとあらゆる豪遊によってその大半が瞬く間に塵と消えゆくのは想像に容易く、絶対にあり得ない。

俺「やっぱし、直接受け渡ししかねぇな……」

俺は金の受け渡し方法に直接の受け渡しを指名したいのだが、既存の受け渡し方法一覧にそんな方法は存在しないので、俺は備考欄に受け渡し方法のすべての詳細を事細かに記入する事にした。


そしてオズマ、全ての受付申請を済ませ得る……賞金200万円という目も眩む大金が掛かったSAOサバイバーバトル大会への参加資格を得る! 大会本番までまだ幾分かの時間があるのでそれまで参加資格を得たSAO生還者達は待機……永遠とも思える数十分間をひたすら待機! by立木ナレ

アナウンス「お待たせしました、SAOサバイバーバトル大会の開催時刻となりましたので、参加者の皆さんをステージへご案内いたします」

開催時刻丁度になった瞬間、ALO全域に聞こえる無機質なアナウンスの声がバトル大会の開催を告げると同時に参加者の一人である俺の身体は白い発光に包まれたと思った瞬間、視界が一気に暗闇に包まれたかと思ったが、次の瞬間には―――

俺「なんだよここは……?」

そこは、周囲一帯が灰色のコンクリートに覆われた建物の中だった。天井から周辺一帯の壁に至るまで――そこはまさに地下室なんじゃないかと思われるような場所だった。

「おいおい、これからどうやってバトル大会が始まるってんだよ?」

「ALOにこんな場所あったのかよ?」

「これからどうすればいいのよ……」

俺以外にもこの場所に転移させられた参加者のプレイヤー達がこれから大金を掛けたバトル大会が始まるかと思いきや、どう言うわけかALOの世界観にまるで合わないコンクリートに覆われた部屋に動揺が広がっていた。

クライン「おう、オズマじゃねぇか!」

そこに現れたのはこのALOでも趣味の悪いバンダナで悪目立ちしている刀使いのサラマンダーのクラインだった。

クライン「オメェもやっぱり参加してやがったな―――って、これって本当にデュエルの大会なんだよな?」

俺「そのはずだろ。まさかとは思うが――」

まさかまたログアウト不可のデスゲームではないかという、根拠のない不安を感じた俺はメニュー画面を開いてみたが、やはりその一番下の方にはログアウトボタンが表記されているままだった。
プレイヤー達の中には苛立ちを露にする者も現れ始め、怒鳴り声や不安の声が沸き上がる最中だった――


教祖 教祖 教祖教祖教祖 ALO教祖♪教祖 教祖 教祖教祖教祖 ALO教祖♪


それは……何故だか不気味な歌であった。どこからともなく、誰が歌っているのかも分からぬその歌は、どう言うわけか集められたSAO生還者たちに薄気味悪い不安感を与える! そして、そんなSAO生還者たちを他所に歌は続く……さらに続く! by立木ナレ


日本の教祖 世界の教祖 地球の教祖♪教祖 教祖♪光を放ち 今立ち上がる 若きエースに帰依しよう♪僕らの日本を守るために 教祖の力が必要だ♪教祖 教祖 ALO教祖♪


クライン「おいおいおい……良いのかよこれ?俺、確かこの歌聞いたことあるぜ……」

俺「俺だって聞いた頃あるぜ、俺もクラインも生まれる前だけど、ネットの動画サイトとかで今でも幾らでもアップされてるしな……」


教祖 教祖 教祖教祖教祖 ALO教祖♪教祖 教祖 教祖教祖教祖 ALO教祖♪過去の仏陀 現在の仏陀 未来の仏陀♪教祖 教祖光を放ち 今立ち上がる 十方諸仏の変化身♪僕らの心を守るために 教祖の力が必要だ♪教祖 教祖 ALO教祖♪


プレイヤー達の中から更に不満と怒りの声が激しく沸き立っていた。「バカにしてんのか!」「何よこれ怖い!」何てのは甘い方で中には「舐めてるとどうなるか分かってんのか!?」「早く金出せよ金!」等と物騒な言葉や、既に金を寄こすように急かす声まで上がっていたが、そんな喚き声を嘲笑う様に何処からともなく聞こえる歌は続く。


教祖 教祖 教祖教祖教祖 ALO教祖♪ 教祖 教祖 教祖教祖教祖 ALO教祖♪過去生の如来 現世の如来 死後の如来♪教祖 教祖♪慈愛を放ち 今立ち上がる マイトレーヤの変化身♪僕らの魂を守るために 教祖の力が必要だ♪教祖 教祖 ALO教祖♪


怒りや不安の声はやがて悲鳴を交えた声に変わっていた。ここに集まったのは全員SAOで2年間のデスゲームに囚われていた者達ゆえに、あの時の不安を感じずにはいられないのだろう。


教祖 教祖 教祖教祖教祖 ALO教祖♪教祖 教祖 教祖教祖教祖 ALO教祖♪心の教祖 供養の教祖 光の教祖♪教祖 教祖♪供養するぞ! 供養するぞ! 救済するぞ! 救済するぞ! 救済するぞ! 帰依するぞ! 帰依するぞ! 帰依するぞ! 救済は成功する!


そして、歌は終わったのか……不気味なメロディと歌が収まり、静寂が一帯を包み込む!だが、それをひと時の安息と呼ぶには未だにプレイヤー達には分からぬことが多すぎる状況!自分達は夢の賞金200万円の掛かったデュエル大会に参加しているはずだと言うのになぜ、このような場所に集められて不気味な歌を聞かされたのか分からぬまま……誰かが言葉を発しようとした時だった――― by立木ナレ


「皆さん、お待たせしました……私が貴方達をここに導き、救済する者です……」

俺「……は?」

クライン「んだよ……ありゃ?」

誰もが呆気にとられていただろう、そいつはプレイヤー達が妖精となるALOに相応しく、背中の虹色の翼を羽ばたかせ唐突に上空に出現していた。
だが、そいつは妖精と呼ぶには余りにも……と言うか単なる髭ボーボーで髪の毛の伸ばし放題の不潔なおっさんにしか見えない顔だった……そしてそのおっさんの妖精は仏如来のような、俺達を安心させる、或いは騙すような笑顔を浮かべて話し始める。

教祖「私は、このALOの教祖にして……この中からたった一人、救済の儀式で救済される人を見出す使命を帯びています」

あの教祖ってのはNPCか?これはゲームイベントの一環と言う奴で、救済される一人って言うのがデュエル大会で優勝して200万円を得られるプレイヤーと言う意味で捕らえて良いのかもしれない。

教祖「今回ここに集まった救いを求める者達は29人……残念ですが私はこの中からたったの一人しか救済が出来ません……」

29人と言う参加者が果たして多いのか少ないのかは判断が難しいな。SAO生還者は6000人強だが、その中で今現在、ALOにアカウントを作ったプレイヤーはどれくらいかによるし、その中からさらに今回の大会に参加しているのは更に限られるだろう。

教祖「では……これより救済の儀式の手筈を説明させて頂きます。まずは……」

「おい、少し待ってくれ!」

教祖と名乗るおっさんが休載の儀式の手筈と言う名目のデュエル大会の説明を開始しようとした時だった、一人のプレイヤーが制止を求める声を荒げていた。

教祖「どうか……なさいましたか?」

俺「なんだ、プレイヤーの声にちゃんと反応するんだな……」

クライン「きっと、ユイちゃん見てぇなスゲェAIか、もしかしたらNPCじゃなくてプレイヤーがログインしてるアバターなんじゃねぇか?」

もし後者だとしたら、また随分と見てくれの悪いアバターを設定してしまったもんだ。ALOの一般プレイヤーのアバターの容姿はランダム生成故に、見た目が気に食わなければアカウントを破棄して、再びアカウントの作成料金を払いアカウントを作り直すしかないのだが、それにしたってランダム生成のアバターでもあれよりも見苦しいアバターは流石に想像し難い。
そして、そんなどんなALOのアバターよりも見苦しい教祖に意見したプレイヤーは自分の話を聞いてくれそうなその教祖に対して焦りを帯びた声を上げる。

「俺、さっきの優勝賞金の受け取り方法で……口座振り込みにしたんだけどさ、やっぱりそれだと都合悪いかもしれねぇから選びなおさせてくれよ!」

そのレプラコーンのプレイヤーが要求したのは優勝賞金の支払い方法の変更だった。流石に金額が金額だけに受け取り方法次第では自分の元に届く前に誰かに見られて横領なんて不安も拭えないので、後になってそう言う事を言いだす奴がいたとしても不思議ではないだろう。

そしてそれに便乗するように更にケットシーの男プレイヤーと、シルフの女プレイヤーも同じように支払い方法の変更を要求していた。

―――だが

教祖「残念ながら、儀式を円滑に進める為に、支払方法の変更は認められません」

教祖は微笑みを浮かべたまま3人のプレイヤーの要求を呆気なく却下した。だが、それでその三人もあっさりと引き下がる事は無く、声を荒げて食い下がる。

レプラコーン「待ってくれよ!そんなのすぐに済む話だろ!」

ケットシー「頼むよ!俺未成年だから200万円なんて大金が家に届いても親に見つかったら将来の為の貯金だと言って取られちまうよ!」

シルフ「なんとかしてよ!これじゃあ大会に集中できないじゃない!」

三人の更なる食い下がりに対して、教祖は相変わらず汚らしい老け顔で微笑みを浮かべたまま答える。

教祖「先程も申し上げましたように……儀式を円滑に進める為に、支払方法の変更は認められません」

一切取り合おうとする事も無く、円滑に進める為というその一転を理由にして要求を再度却下するのだった。
すると、その三人は全く取り合う様子の無い教祖に対して不満を爆発させる。

レプラコーン「ふざけんなよテメェ!200万円って言う大金が掛かってんだぞ!」

ケットシー「これで俺が手に入れた優勝賞金が親にぼったくられたらどうしてくれんだよ!」

シルフ「この程度の事融通利かせなさいよ!簡単な事じゃないのよ!」

いつの間にか3人のプレイヤーは一箇所に集まり、一斉に宙に浮かぶ教祖に対して糾弾の言葉を次々と浴びせていた。
教祖は一切笑みを崩すことなく、自分を糾弾する三人のプレイヤー達にその視線を向けて、ただ一言だけ言葉を発したのだった。

教祖「ポアします……」

そんな訳の分からない言葉を一言呟き、三人のプレイヤー達から更なる怒りの反感を買うかと思った矢先だった――三人のプレイヤーの身の回りを薄い透明な煙のような何かが包んだ様な気がした直後だった……

レプラコーン「うぐ……!!」

ケットシー「あが…………がっ!」

シルフ「うぅ!うあぁぁぁっ!」

三人のプレイヤーが一斉に苦しみだすと同時にそのHPバーが可視化されると、著しい勢いで減少を始めていた。

クライン「な、な、なんだありゃぁ!?あ、アイツら何されちまったってんだぁ!?」

隣でクラインが呆気にとられたような驚嘆の声を上げていた。俺もその唐突に始まった現象から目が離せず視線を釘づけにされていたが、3人のプレイヤーを待ち受ける結果は予想通りだった。
いっせいに三人のHPバーは底を尽きるが、本来であればALOでDeadした場合はその場に小さな火の魂のようなエンドフレイムが残るのだったが、その三人のいた場所にはエンドフレイムは残らず、代わりに無機質な『log out』とアルファベットの表記が残されただけだった。


 
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