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戦国異伝供書

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第二十一話 天下布武を固めその二

「だからじゃ」
「いざとなればですな」
「敵がそうして攻めてくれば」
「その時はですか」
「そうして戦いますか」
「そうじゃ、ここで武田に勝てばじゃ」
 信玄、彼にというのだ。
「後は武田の領内に入ってじゃ」
「降せる」
「そうもなりますな」
「この戦いで決まる」
 武田家を降せるかどうかがというのだ。
「だからこそじゃ」
「武田信玄がどう攻めようとも」
「それを弾き返す」
「そうしますか」
「そうじゃ、また言うが敵が強い」
 このことを誰よりも強く意識している信長だった、だから言うのだ。
「武田信玄はな、だからお主達もじゃ」
「決して油断するな」
「例え数と武具で勝っていても」
「それでもですな」
「少しでも油断すれば」
 その時はというのだ。
「わかっておるな」
「はい、我等がですな」
「逆に負ける」
「そうなりますな」
「この布陣でも」
「川と柵で防いでおるが」
 それでもというのだ。
「この二重の守りでもじゃ」
「武田信玄なら破る」
「そうしてきますか」
「あの御仁なら」
「そこまでしても」
「あの者と上杉謙信ならばな」
 この二人ならとだ、信長はまた述べた。
「そうしてくるからじゃ」
「若し一点で攻めてくれば」
「そこに鉄砲を長槍を集め」
「そのうえで防ぎ」
「すぐにですな」
「わしはこの本陣で戦全体を見ておる」
 総大将としてだ、そうするというのだ。
「だからな」
「はい、我等はですな」
「殿のお言葉に従い」
「そうしてですな」
「うむ、頼むぞ」
 こう話してだ、織田家の家臣達は。
 信長の言葉に頷いてそうしてそれぞれの兵達の采配を採ることになった、信長の命に従ううえで。そして信長は全ての兵達に言った。
「たらふく食っておくことじゃ」
「戦に備え」
「それで、ですな」
「そうじゃ」 
 自分の後ろにいる毛利と服部に答えた、いつも自身を守る彼等に。
「皆な」
「そうしてですな」
「戦で力を出すのですな」
「出せるだけの力を」
「そうせよというのですか」
「お主達もじゃ」
 二人にも言うのだった。
「よいな、たらふく食ってじゃ」
「いざという時にですな」
「殿をですな」
「護ってもらうぞ、お主達がおればじゃ」
 信長は二人に笑って話した。
「わしも常に安心出来る」
「はい、我等がおる限りです」
「敵に指一本触れさせませぬ」
「何かあればご安心を」
「我等がおります」
「頼むぞ、しかしお主達も食うからにはじゃ」
 たらふくだ、そうするならというのだ。 
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