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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE154 怪しげなフリーライター

俺の思わぬテレビ出演?がキリト達に見られてしまってから翌朝の事だった。その日は日雇いの仕事をする気にもなれず、俺は山谷の仕事の紹介場に立ち寄る事も無く、タバコ屋に立ち寄りそこで普段買っている一番安いひと箱250円のフォルテを購入する。

おばちゃん「まいど、250円だよ」

俺「相変わらず商売っ気のない接客だなおばちゃん」

おばちゃん「接客の仕方なんてこんなもんだろうに、少なくともここじゃあね」

俺はタバコ屋のおばちゃんと銅でも良い会話を交わして料金を支払いタバコを受け取る。レシートの発行も無ければ年齢確認すら行われる事は無い。
と言うか向こうは俺がまだ未成年だと言う事くらいは知っているんだろうが、このタバコ屋ではそんな事で一々タバコは売れないなどと言われる事は無く、昔ながらの唱和時代の言い訳の如くで、親からのお使いとでも言えばタバコも酒も買えるような店だった。

ほかにこれと言った用事などはなく、そのまま真っ直ぐと俺は家に帰ろうとした矢先だった。

「ちょっと失礼っと!」

いきなり30歳かそこらの、髪形をポニーテールにまとめた胡散臭そうな男が、妙に上機嫌そうな表情を浮かべながら俺に声を掛けてきた。
まさか俺がさっきタバコを買った事について、年齢はどうなんだとかとか聞いてくる、私服警官か?――俺がその男に対して警戒心を抱いたのを向こうは感づいたのか、上機嫌そうな表情で笑い声をあげながら言うのだった。

「はははははっ!そう身構えなくたっていいよ。俺は別に君の年齢だとか何を買っただとか気にしちゃいないさ」

俺「バッチリ把握してやがるじゃねぇか……」

この男、俺が未成年である事はもとより、さっきタバコを買った事も分かって声を掛けて来てやがる。だが、それで気にしちゃいないだとか言うのは警官らしくない。

俺「アンタ何だよ?俺になんか用があるならさっさとしろよ」

「ままま、リラックスリラックス!こんなところでお話もなんだしさ、少し洒落たお店に行かないかい?お金は俺が払うからさ」

俺「アンタここがどんなところか知ってんのか?洒落た店なんてねぇよ」

結局、俺はこの胡散臭いポニーテール男と共には言った店は俺の小学校時代の同級生の柏木充(かしわぎあたる)の実家が経営するノミ屋に入る事になった。
普通ならこんな時は適当な喫茶店とかを話の場にするもんだが、この山谷にはそんな店などあるはずもなく、この時間帯故に営業していない店も少なくないので、結果的に営業中で入れる店で俺達は堂々と違法やギャンブル店へと足を踏み入れる事になった。

「おお、ここが噂に聞く山谷のノミ屋って奴だね、ホントに公共のギャンブルの賭け事がこんなところで出来ちゃうんだね~」

俺はこんな違法なギャンブル店に足を踏み入れるのには慣れているとして、この男は初めて入るにいては、本来は法的に違法な店であると分かっているにしては妙に楽観的で、恐れなど全く感じていない様な振舞だった。

「ここって違法なギャンブル店だけど飲み物とお摘みくらいは売ってるんだね、取りあえず何にしようか?」

俺「あんましデカい声で違法だとか言ってると、店の人間や常連の客に睨まれるぞ」

事実、既に客の何人かが大声でこの店の事を違法だとか堂々と言ってのけているこの男に対して敵意の籠った視線が向けるものがいる。
そんな奴と一緒にいて、俺としてもとばっちりになりかねないのでさっさとこいつの話を終わらせて、それでおさらばしたいもんだ。

「おおっと、こいつは失礼!」

ワザとらしく両手をパチパチと叩きながらポニーテールの男は笑い飛ばす。

「まず俺なんだけどね、俺はフリーランスのライターやってる者なのさ」

俺「フリーライターだって……俺なんか取材してどうするってんだよ?単なる学校にも行かず、定職にも就かない、遊び人の未成年なんて記事のネタにはなりゃしねぇだろう」

俺はそう言って見せるが、既にこの男は俺の事を有る程度調べている、俺なんかを取材の対象にするのだとしたらそのネタは一つしかありゃしない。
それと、昨日のリズ達の会話がこの男に対する警戒心を強めていた。

俺「アンタさ、もしかして昨日か一昨日か、SAOの帰還者学校のガキ共に強引な取材をやろうとして追い出されたフリーライターじゃねぇの?」

「う~ん、どうだったかなぁ~?確かに俺もライターとしちゃあの学校に取材に行きたくなるのは理解できるんだけど、そんなつい最近に行ったっけなぁ~?」

俺「俺の知り合いにその帰還者学校に通ってる奴がいてな、昨日アンタの事で散々愚痴ってたぜ。ポニーテールのフリーライターがしつこくてムカつくってな」

俺がその男の最大の特徴であるポニーテールの髪形を指摘するとその男は唐突に今、ピンと来たかのように広げた状態の左に握り拳の右手をポンと叩いて言う。

「あ、思い出した!あのソバカスの女の子の事だよね!?」

やはりリズをご立腹させていたポニーテールのフリーライターと言うのはこの男の事だったらしい。成程、確かに接する相手を苛立たせるようなヘラヘラとした態度だな。と言うかやっぱりこいつ、つい昨日帰還者学校に行ってやがってるんじゃねぇか。
そしてその男は、豪快に笑い声をあげながら机をバンバンと叩きまくって周囲に喧しい音を響かせていた。

「ホントあの子には参っちゃうねぇ~!手当り次第に生還者の子達に声をかけまくってたらさ、凄い剣幕で『アンタいい加減にしなさいとね!ここはアンタみたいなデリカシーも配慮も無いような奴が来るところじゃないんだから出てきなさい!』ってお説教されちゃったぁ~。全くこの年齢になるとね、一回り年下の10代の女の子の説教はメンタルに響くんだわさ~」

俺「んで、俺に聞きたいことがあるんじゃねぇの?」

関係のない話は打ち切らせてもらい、さっさと本題を済ませてコイツとの話を終わらせなくてはならない。
するとポニーテールの男は自分の胸ポケットから一枚の紙の名刺を取り出していた。

佐凛「取りあえず自己紹介させて貰うよ。俺の名前は蛭原佐凛(ひるはらさりん)ってんだ、よろしくな小田桐弭間君!」

俺「俺の名前も既にご存じだったか、よくもまあ調べてくれたな。……つか、佐凛って女見てぇな名前してやがるんだな」

俺がそのフリーライター、蛭原佐凛の名前について指摘すると、蛭原は再び楽し気な笑顔を浮かべて、姿勢を前のめりに乗り出してきて言う。

佐凛「よくぞ聞いてくれました!俺の名前の由来はね俺の生年月日が1995年の3月20日生まれ……そう、あの宗教団体が地下鉄にサリンをバラまいた事件の日に生まれた事が由来ってわけさ!」

俺「ああ、そう言えば何年か前に死刑執行された元宗教団体の尊師様とやらが起こした事件だっけか?」

それは俺が生まれる10年以上も前の事件なのだったが、その尊師が死刑が執行された際はこぞって大ニュースとして取り上げられたので俺もそいつの事は覚えていたが―――

佐凛「いや~、ウチの両親ってばさ、当時あの事件を面白おかしく調べまわってたもんでね。テンション舞い上がって俺にこんな名前付けちゃったてわけさ~」

俺「軽いノリで息子にとんでもない名前付けてくれやがったんだな、アンタの両親は……」

目の前のこいつはヘラヘラとひょうきんに振舞ってるが、その名前のせいで過去に何かしらの苦労を味わっていたりする事も十分考えられる。

佐凛「ま、今となってはフリーライターとして自己紹介する時に話のネタに出来るから良いんだけどね!だから弭間君も俺の事は遠慮なく佐凛ちゃんって呼んでくれて良いんだぜ~!」

俺「さっさと話しを終わらせようぜ蛭原さんよ」

親指を立てて親し気にそんな事を言ってくる蛭原だったが、俺にとっては決して親密な関係になりたくない相手なのでその呼び方は徹底的に忌避する事に決めた俺だった。
蛭原は頭をポリポリと掻きながら『つれないね~』とぼやいた後、楽し気な目付きが妙に鋭い眼光になり―――

蛭原「ずばりさ……君はSAO時代になんて呼ばれていたプレイヤーだったのかぁ?」

俺「やっぱり、そう言う事を探ってやがるのかよ」


そう、蛭原佐凛の目的はズバリ、SAO生還者たちのSAO時代のプレイヤーネームの特定!この男は決してSAO生還者であれば誰彼構わず興味があると言うわけではなく……SAO生還者たちの中でも特に名の知れた実力者たちなどであった!
特に興味があるのはSAOをクリアに導いた黒の剣士キリト……アインクラッド最悪のPK集団を率いた黒ポンチョのPoH……そしてSAO屈指の美貌を誇る血盟騎士団の副団長のアスナなど……SAO時代の噂を調べた結果名前を特に聞いた者達であった!


蛭原「へへ、少なくとも、俺の一番のお目当ての黒の剣士キリト君はあの帰還者学校に通ってるのは確かだからさ、ぜひお会いしたいと思ってあの学校に行ってみたんだよね~、リアルじゃ一体どんな少年なのかと思ってね」

俺「会ってどうするんだよ?SAOでは英雄だとか呼ばれた二刀流の黒の剣士様だってリアルじゃ単なるゲーマーの高校生なんだぜ」

蛭原「いやいや、大衆はそんなSAOサバイバーと呼ばれる者達の素の姿を知りたくて知りたくてたまらないんだよ!そして、その中にはもしかしたら君も含まれてるかもしれないと思ってね……君は今現在16歳で高校2年生相当であるにも関わらず……帰還者学校どころかどの学校にも通って無いみたいだけど、それって何か深い理由があったりして~?」

蛭原は相手の心中を覗き込むように左目だけを大きく見開きこちらに近づけてくる。こういう態度や振る舞いも含めて、リズはご立腹していたんだろうな。

俺「少なくとも俺はアンタの一番のお目当ての黒の剣士じゃねぇよ」

蛭原「それじゃ、黒ポンチョのPoHだったりして!?」

俺「心外だな、俺が最悪のPK集団のリーダーだって言いてぇのかよ?」

蛭原「じゃあじゃあ!閃光のアスナとか!?」

俺「何処をどう見違えりゃ俺が女に見えるんだよ……あてずっぽうで適当なこと言ってりゃ当たるとでも思ったのかよ……?」

蛭原「なら―――補足転移使いのオズマ君とか……ね?」

俺「知らねぇよ。仮に当たってたとしても馬鹿正直にハイそうですなんて言うかよ」

最後にあてずっぽうで当ててきやがったが、俺はそれを認める事は無く、素っ気ない態度でそう言い返した。
蛭原はそれ以上はあてずっぽうで聞いてくる事は無く、『それじゃあねぇ』と前置きしてから言った。

蛭原「今度ALOでさ、SAO生還者限定の現実の大金が掛けられた大会が開かれるって話だけどさ、弭間君もそれを狙ってる口?」

俺「ま、確かに目も眩むような大金だしな。俺の腕で優勝できるかどうかは知らねぇけど、せっかくのチャンスなんだし食らい付こうとは思ってるよ」

これに関しては別に否定する必要もないのでそう言っておく。これだけの大金が掛かった大会であれば参加できる物であれば参加したいと心情的に思っていても別におかしくはないはずだ。

蛭原「成程ぉ~、弭間君がALOでどれほどの実力者なのかは未知数だけどさぁ……」

おちょくるような物言いの後、再び左目を大きく見広げて近づけて、蛭原は続きの言葉を口にする。

蛭原「黒の剣士キリトや閃光のアスナが参加してるかもしれない今回のSAOサバイバーバトルに勝てるのぉ……君にぃ~?」

俺「どうだろうね、何せどっちもSAOじゃ名の知れた屈指のプレイヤーだったからな~」

心配そうに俺は装うが、実際にはキリトもアスナも参加しないのでその二人の脅威は既に最初から取り除かれているも同然だ。
結局蛭原は、その質問を最後に『今日はおつかれさま、よい一日を』と妙な事を口にして店を後にするのだった。

俺「変なのが嗅ぎまわってやがるんだな……」


既に大会まであと2日!二日後にSAOサバイバーバトル大会が開催される……優勝を目指し200万円を目指すオズマ!果たして、今度こそ大金を掴み得る事が出来るかオズマ!? by立木ナレ 
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