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Fate / the beelzebub comes.(魔王来たりて)

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第5話 魔城構築

 
前書き
まだまだコツコツ引っ越し中(笑) 

 


「・・・・・・・。」

神代の魔女―――そう呼ばれていた事もあったキャスターことメディアは、

目の前に広がるあまりに非常識な光景に、

半ば呆然と立ち尽くしていた。
















(キャスターサイド)

今、私の眼前には自身が立っている山頂の祠を中心に、悪意あるモノの侵入を拒む強固な結界が展開している。
この山はかのクノッソスの迷宮の様に、堅牢かつ脱出不可能な魔城と化していた。

この山に入ったが最後、もはやソレが生きてこの山を出る事は無いだろう。

まあ、一般人は立ち入れない様に、人払いの魔術も施してあるから、侵入してくるのは間違い無く敵の魔術師かサーヴァントという事になる。

つまりは全く問題は無い・・・のだけれど、違う意味で問題があった。

「問題は、コレをたったの1日で創造り上げたという事なのよね・・・。」
正確には半日なのだけれど。

そのせいで、神代でも上位の魔術師である筈の私のプライドはズタズタよ。
というよりも、彼にとって私は必要なのかしら・・・?

私はもう一度、現在のマスターの事を脳内で振り返る。

―――桁違いの魔力を保有し、それを使いこなす確かなセンスと魔術の熟練度。
そして、彼の操る未知の魔術の数々・・・

更には最速のサーヴァントであるランサーを弄んだ体術と話術、交渉術。

それらは、マスターの外見からは予測は出来ないだろう。
どう見ても、マスターは二十歳前後にしか見えないものね・・・

結論から言えば、聖杯戦争においての勝利はほぼ揺るぎないという事。
それは、飽く迄も私の主観ではあるけれど。

拠点候補の3つの内1つ―――山頂の祠とマスターが有り余る程の膨大な魔力と、
虚空から取り出した数々の魔道具―――中には宝具級の代物もあった―――を山中にバラまき、
アッと言う間に山中を要塞化してしまったのだ。

そして、3つの内のもう1つ―――街の端にある小高い山の中腹に立つ寺院。
こちらの方は私が中の人間に暗示を掛けて、私達が住職の遠い親戚であり、兄妹という設定で居候している事にした。

だが、この寺院の人間には、私達が居候していると認識させているだけであって、実際には此処には住んではいない。
何故なら、寺院内には人間の数が予想以上に多く、皆魔術に関わりの全く無い一般人ばかりだったからだ。
マスターの意向で、予備的な拠点でダミーとして以外は使用しない事に決めた。

・・・で、
「後は、この武家屋敷を拠点に出来れば、まず負けはあり得ませんわね、マスター?」

「そういう事だ。後はこの屋敷の家主の少年と交渉して、屋敷内にゲートを作らせてもらえば上出来だ。」

「その事ですが、本当に私が催眠の魔術を施さなくてもよろしいのですの?
 その方が簡単ですのに・・・あの寺院の場合でもそうなさいましたのに。」

「ああ、飽くまでも交渉で話を進める。
 第一、あの寺院とこの屋敷では事情が異なる。あそこは人数が多かったし、殆どが一般人だったからな。
 出来るだけ面倒事は避けたかった。それに此処には少年1人しかいないし、屋敷の周囲に張ってある探知結界から魔術にも関係があるみたいだしな。」

確かにマスターの言う通り、この屋敷の周囲には結界の様な魔術が施されたいる。・・・本当に微弱な物だけれど。

「それに・・・」

「それに?」

「この街に来てからの知り合いが、魔術で作った関係の人間しか居ないってのは、正直味気が無さ過ぎる。」

「・・・・・・フ、フフフ。」

「笑う事は無いと思うがな。」

「いえ、マスターがあまりに人間臭い事を仰るものですから・・・」

「・・・少なからずの期間この街に居る事になるんだ。ライフラインは多く構築しておくに越した事は無い。ま、理由としてはまだあるんだがな。」

ピンポーン!
マスターは偵察の時にも見掛けたという赤毛の少年と交渉すべく、玄関先のベルを鳴らすのだった。















(シリウスサイド)

ピンポーン!

結構大きな家―――こっちでは武家屋敷って言うのか?その玄関前に立った俺は、玄関脇にあった使い古された様子の呼び鈴を押す。

「・・・・・。」

「・・・?反応が無いな。」

ピンポーン!

念の為、もう一度呼び鈴を鳴らす。

「はーい。今出ます。」

漸く中から返事が返ってきた。
そして、ドタドタと走ってくる足音が聞こえてきた。

ガラララ・・

「どちら様です――――か?」
スライド式の玄関が開くと、中から如何にも純朴そうな顔をした赤髪の少年―――確かエミヤと呼ばれてたな―――が出てきた。

その時―――俺は何故か目の前の少年を無性にからかいたくなった。
何故かと問われれば、魔が差した・・・としか言い様がなかったんだが。

「・・・・・どうかしましたか?」

「Hello――――Mr.Emiya?」
―――で、結局俺は誘惑には勝てず、この世界でいう英語――いわゆる外国語で話し掛けてみた訳だ。

「・・・・・・・・・・・・・・は?」
効果はテキメン、エミヤはまるでどこぞの宇宙人にあってしまった一般人の様に固まってしまっていた。

「いや、あのその・・・・・・ア、アイキャンノット・・スピーク・・・イングリッシュ?」

「「・・・・・。」」
俺はその様子に思わず、吹き出しそうになって顔を逸らした。
キャスターの方は、からかった俺を呆れた様子で見ていたがな。

「ち、違ったのか・・?でも、俺英語苦手だしな・・・え、えーと・・・」

「オーケー、冗談だ、冗談だから。俺達は日本語喋れるから。ただ、からかっただけだ。
 とりあえず落ち着け。取り敢えず、これを飲んで気を落ち着けろ。」
俺は懐からある果物の果汁を水で割った物を注いだコップを差し出した。

「あ、ああ・・・有難うございます。――――って、ウマ!?何だ、この飲み物!?」
エミヤは夢中でその薄く黄色く色付けされた飲み物を、貪るように飲み干していた。

「マスター、さっきから全く話が進んでいないのですが?」

「スマン。まさかここまでからかいがいのある奴だとは思わなかったんだ。取り敢えず、コイツが落ち着くまで待とう。」

5分後――――

「・・・・・・・・・(うっとり)。」

「・・・・・・・・・・・(イラ)」

15分後――――

「・・・・・・・・・(うっとり)。」

「――――――――永過ぎるわ!!?」
スパ―――――――ン!!

「あっちょんぶりけ――――――――――!?」
ドガアァァァン!!

俺は思わず懐のスリッパで、思いっきり突っ込んでしまった。
その勢いで、エミヤは玄関を突き破って家の中に頭から突っ込んで行ってしまったぞ。

「マスター・・・流石に今のはやり過ぎなのでは?」

「だよな・・・・嘗てないほどにイイ感触だったからな(汗)」
ギャグ補正で大丈夫だったと思いたいが・・・・思いっ切り全力だったからな・・・
最悪、頭蓋骨骨折位しとるかもしれん。

「あいてて・・・・一体何が・・?」

「おお、無事だったか。兎に角、話があるので家の中に入って良いか?」

「ああ、じゃあ上がってくれ――――――――って、違うだろ!?玄関が崩壊してるし、
 それにあんた、今俺の頭殴ったよな!?」

「まあまあ、兎に角中に入ろう。」

「ちょっ!?ま、待って――――!?」
俺は有無を言わさず、エミヤを家の中に連れ込んだ。


正直な所、騒ぎを聞き付けた周りの住人が集まりだしてて、後始末が面倒な事になりそうだったしな。














(士郎サイド)

「――――要するに、あんた達は魔術師と契約したサーヴァントで、聖杯戦争とかいうのを終わらせようと、日本に来た・・・って事か?」

「ま、概ねそんな所だ。俺達には聖杯に望む事なんてないし、あっても逆に災いの種になるだけだろうしな。
 じーさんの依頼もかねて、聖杯戦争のシステムそのものをぶっ壊すつもりだ(ボリボリ)。」

赤髪の外国人――シリウスというらしい―――が、ちゃぶ台の上にあった煎餅を齧りながら、
大まかに説明してくれた。

本当なら違和感ありまくりなんだろうけど、不思議と緑茶をしばいているのが良く似合っている。

「で、この家を拠点として使いたいって?」

「そういう事だ。勿論、見返りは十分に用意するし、この家が被害に合わないように対処させて貰う。
 ――――――それで、返事は?」

「いいぞ?俺にはあんた達が悪い人間には見えないし、飽く迄も聖杯を悪用するつもりは無いんだろ?」

「そのつもりだ。」

「ならいいさ、俺は構わない。それに見返りもいらない。」

「・・何?見返りがいらないってのは、どういう事だ?」

「それは・・・俺の気持ち的な物なんだよ。俺は困っている人を助けたいだけだし、
 見返りを貰うのは納得出来ないんだよ。まるで俺が報酬目当てであんた達助けてるみたいじゃないか!」

「・・・・だが、見たところお前は学生みたいだし、アルバイトをしている様子も無い。
 食費などの生活費位は必要になるんじゃないのか?」

「うっ!?・・・でも・・・」

「でももかかしもあるか。俺達とてこの歳になってニートだなんて嫌に決まっているだろう。
 報酬は2人分の家賃+食費として払う。これは決定事項だ、異論は認めんぞ!」

「しかしなぁ・・・・」

「それとも何か?お前は困っている人間の嫌がる事をやろうってのか?」

「うう・・・」
正論だけに反論のしようが無い・・・

「シリウス様、彼を虐めるのはそれくらいにしておいた方がよろしいですよ?」
今まで沈黙を守っていたキャスターが、何故か俺を庇ってくれた。

・・・というか、ただ単に会話に割り込むタイミングが取れなかっただけって感じもするけど。

「借りにも、彼は家主になるわけですし。」

「ま、飽く迄も借りにもだがな。」

「何か酷くない!?」

「え~~では、部屋割りを決めようか?」

「あっさり流された上に、話が勝手に進んでる!?」

「人間諦めが肝心よ?シリウス様のペースに嵌ったら、一昼夜は抜け出せないでしょうからね。」

「怖っ!?・・・・・わ、分かった割り切る様にする。その方が精神衛生上良いみたいだし・・・・」
つ、疲れる・・・精神的にも肉体的にも。

兎に角、シリウスは俺の隣の部屋、キャスターはシリウスの部屋の更に隣の部屋と決まり、
それぞれが各々の部屋の整理に勤しんだ。

・・・・それにしても、シリウスのあのタンスや机は何処から持って来たんだろうか・・?















(シリウスサイド)

この家の家主――シロウ(エミヤだと他人行儀で嫌だから、名前で呼んでくれと言われた)の許しを得て、
俺はこの屋敷の周囲に探知・防御・迎撃の順に結界を張っていく。

わざわざ結界別にしていくのは、結界の修復速度を早める為だ。
勿論、結界の強度は最高クラスの物を施したが・・・万が一の場合に備えて、
それぞれ別々の地脈に施した術式から魔力を吸い上げ、結界が破損・崩壊した場合自動で復元する様にしたのだ。

これならば、もし俺やキャスターが此処から離れている時に結界が破壊されても、
自動的に復元し結界内に侵入した敵を、結界外に転送、または捕縛出来る。

そして、その中で魔法を使おうとすれば、強制的に俺が所有する“例の庭園(アイツらの巣)”に転移してもらう事になる。
最近、アイツらも暇を持て余しているだろうし、丁度いい運動になるだろう。

話を戻すが―――ここの家主であるシロウは魔術の事は多少知ってはいる様だが、
いかんせん色んな意味でヘッポコだ。

目出度く、本家(専門家)からもド三流の称号を承っていた。

で、キャスター曰く、シロウの魔術に対する知識は極端に偏っており、基本の時点で赤点状態なのだそうな。

そんなシロウに敵魔術師の迎撃は困難だし、ましてやサーヴァントの迎撃なんぞ出来るはずもない。
瞬殺されてしまうだろう。

そういう訳で、シロウには特別に俺の特製アミュレットを貸してやる事にした。
そう、飽く迄も貸しだ。やる訳じゃあない。

というか、くれてやるって言っても首を縦に振らなかったから、貸出すって事で漸く納得させたのだ。

まったく、面倒臭い奴だな・・・すっげえ頑固だし。

このアミュレットは俺の血を媒介にして、持ち主の周囲に防御結界を張ると同時に結界の外数メートルの範囲を地面ごと吹き飛ばす。

言わば、爆裂陣(メガ・ブランド)と防御結界の効果を足した様なものだ。
当然、威力はサーヴァントを殺傷できる位には強化してある。

一先ずこれでシロウの身の安全は確保出来るだろう。

「―――で、腹が減ったから、今現在キッチンを借りて料理を作っている訳だが・・・
 シロウ、お前中々料理が上手いじゃないか?」

「俺はサラダとご飯位しか作って無いけどな。それに、
 ものの数分でこれだけ料理を作った人間には言われても、嫌味にしか聞こえないぞ?」

「素直に賞賛してるんだがな。俺の場合は必要に迫られての結果だ。」

あの2人は食べる専門だったし、料理に関してはからっきしだったからな・・・
一応弟も居たんだが当時はまだ小さかったし、必然的に俺が作る羽目になった訳だ。

それにあの2人は食べるスピードが半端なく速かったし、
親父は兎も角お袋は味にも五月蝿かったからな・・・

調理のスピードも早くしなければならないし、味にも気を配らなければならなかった。

最初の頃は相当苦労したぞ・・・

「まあ、俺の方も爺さんが料理・・というか、家事全般がからっきし人だったから、
 自然に身に付いたんだ。」

「・・・・そうか。」

ガシッ!
俺達は無言のまま、互いに硬い握手を交わした。

「・・・お互い苦労するよな。」「ああ・・・」

俺達は今までの苦労を思い出し、暫しの間感傷に耽って立ち尽くしていたのだった。












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