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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE151 新生ALOの始まり

その夜、俺は再びALOにログインしていた。この新生ALOでは全ての種族に対して、従来であればアルフに転生しなければ得る事が出来なかった、滞空時間の制限解除が為され、俺は早速それを試す為に空を飛び回っていた。

デレック「それで~、結局……オズマがSAOから引き継いだキャラデータは新しい運営体に引き継がれた事も有って、晴れて正式に認可されてるって事なんだね?」

俺が軽く休憩していると、隣に飛んできて声を掛けてきたのは、このALOで初めて出会い、俺が央都アルンへ向かう道中への案内役に加えて、キリトの付き合いで始まったグランド・クエストでも力を貸してくれたこの世界の相棒的な存在のデレックだった。

俺「なし崩し的にそうなったって感じらしいな、今の新しいALOを運営してる企業がレクトから委託されたゲームデータ、その中にはSAOのキャラクターデータも含まれてるから、運営は元SAOプレイヤーに新ALOでのアカウントを作成する場合に外見を含めたキャラクターを引き継ぐかどうか選択するようにして対処したって事だろ」

どちらにせよ、俺にとっては二年間に及ぶプレイで育て上げたオズマのキャラデータを引き継げたのはありがたい事だった。
そしてそれは俺だけでなく、アスナ、シリカ、リズベット、エギル、クライン等も同様でキャラデータの引継ぎによってステータスは勿論、外見も各種族ごとの特徴は付加されているが、基本的に現実の姿と同様の外見を持っていた。

デレック「けどあのスプリガンってつくづくおかしな奴だよね~」

デレックはゲラゲラと声を大にして笑いながらそう言った。おかしなスプリガンは言うまでも無くキリトの事だった。

デレック「アイツだってものすんごいステータスだったはずなのにさ、それを引き継がずにあっさりと初期化しちゃったなんてもったいないよね~」

俺「だから、今も一から鍛えなおししてるところだ……」

キリトが何を思って、SAO時代のキリトを敢えて残さずに、新たなスプリガンのキリトを選んだのかは知らないが、それは俺が考えても恐らくその真意は理解出来やしないだろう。
茅場から託されたザ・シードを拡散し、この新生ALOの誕生に一役買った功労者だったが、そいつはその恩恵を受ける事を敢えて断ったのは皮肉な話だったが。

ちなみに、強制プログラムによって須郷のありとあらゆる禁断の情報をネット上に流しまくったガチャモンとモックだが、奴らは強制プログラムが終了する直前にALOのサーバーにアクセスしていたエルダによって回収された事が本人の口から語られた。
俺からしてみれば奴らの大元であるステルスウィルスの処遇は別に大して興味が無いのだが、流石に須郷のような人間はもとより、開発者の倉崎に渡すのもロクな事にならない事は目に見えているので、エルダの方に処遇を任せる事にしておいた。

デレック「ま、めんどくさい裏話は俺には関係ないからいっか」

デレックはあっけらかんとした表情でそう言い切ったのだった。そして俺の方に顔を向けてヘラヘラと笑いながら言葉を続ける。

デレック「取りあえず、今日の二次会ってもうすぐなんじゃないの?遅刻して後でぐちぐち言われたくなかったら今から飛んで行った方が良いと思うけど~?」

俺「そうだな、お前も興味あるなら来ても良いんじゃねぇの?別にSAO生還者だけの集まりってわけでもない、実際にリーファだってオフ会に参加してたし二次会にも来るみたいだしな」

そして、俺はひとまず一足先に待ち合わせ場所に向かって飛んだ。


※ ※ ※


リズ「遅ーい!何で毎度毎度ギリギリの時間なのよ!」

俺「毎度毎度同じこと言うよなお前……」

ようやく、大勢の見知ったプレイヤー達が集まっている場所に辿り着くと、開口一番でオフ会の時にも言われた言葉を同じ相手から発せられた。
レプラコーンのリズはそれからも『アンタはSAOでもそうだった』だとか説教を始める。

クライン「ま、許してやろうじゃねぇの。オズマはSAOじゃキリの字程じゃねぇが功労者だからよ、重役出勤って奴よ!」

俺に説教を更に垂れようとしていたリズをサラマンダーのクラインが笑いながら宥めてきた。現実(リアル)じゃ重役どころか定職にも就かず学校にすら通っていない身ではあるが、リズはクラインに宥められるとすぐにヒートダウンして『ま、ゲームの世界くらいは重役扱いさせてやるわ』と嫌な笑みを俺に見せながら言った。
リアルの俺の有様を知ったうえでの皮肉なんだろうな。

俺「んで、キリトとリーファはまだ来てないのか?」

相変わらずオフ会の時と同じ様にワザと遅い時間を伝えられているのかと思ったのだが、そうでは無いようでケットシーのシリカが心配気味な表情を浮かべながら返事をする。

シリカ「それが……2人ともすでにログインしてらっしゃるみたいなんですけど。リーファさんがまだこちらに来ないので、キリトさんがお迎えに言ってるんですよ」

アスナ「きっと、2人で話したい事も色々あると思うから、もう少し待ってましょう」

エギル「お、もう始まったみてぇだぞ!」

巨漢のノームのエギルが空の一角を指差しながらそう声を上げた。すると他の連中も一斉に身体の向きを変えて夜空を見上げていた。

クライン「おおっ!ついに始まるぜ!」

リズ「もぉ、アンタ騒ぎ過ぎ!けど、ワクワクするのはアタシもなんだけどね……」

俺「…………」

目を凝らすとその現象は始まった。月の右上の縁が――僅かに欠けた。だが、これは月食などではないし、そもそもALOに月食なんて現象は起きない。

だが、月を侵食する黒い影は更にその面積を増やしていくが、その形は円形ではなかった。まるで三角形の楔が食い込むかのような―――そしてさらに、重々しく響くゴーン、ゴーンという音。

影は月全体をすでに完全に覆いつくしていた。そしてゲッコウガ三角形の影の輪郭を浮かび上がらせて、一気に大きくなり近づき、円錐形のような物体になっていた。

リス「懐かしいわね……」

シリカ「そうですね、まさかまた本当に……」

シリカとリズが完全に姿を現した浮遊物を見て感慨深そうに呟いていた。

俺「ああ、ま~た現れやがって……」

一方で俺は、忌々しいと言うか、あまり思い出したくない物をまたしても見てしまったような気分だった。

オズマが溜息をつく原因となったその浮遊物、それはまさに……浮遊城アインクラッドであった!そう、新生ALO最大の大型アップデートが今日ついに実装されると言う発表が為され、それがこのSAOの部隊となった浮遊城アインクラッド!オズマにとっては忌々しい象徴でもある――だが! by立木ナレ

リズ「アンタ、文句言ってる割には結局来たって事は、今度こそ百層までクリアしてやるって考えてるんじゃないの?」

リズは全てお見通しだと言わんばかりの微笑を浮かべてそう言った。

俺「キリトが茅場の正体を暴かなきゃ、本来ならそうなってたはずだしな……あの城はムカつくけどよ、ゲームとして楽しむ分には望むところだ」

俺のその言葉が周囲の連中を先導する合図になったかのように、俺がアインクラッドに向かって飛び立つと、その後ろから次々と後に続くように飛んでくる者たち。

アスナ「あ、キリト君にリーファちゃん!」

俺達が飛んで行く先に、キリトとリーファを発見し、青い髪のウンディーネのアスナが声を上げていた。

ユイ「ママ、いきましょう!」

そしてその肩からは小さなピクシー状態のユイがいた。

クライン「おーい、遅せぇぞキリト!」

俺のすぐ後ろからクラインが大声でキリトを呼ぶ。

クライン「ほら、置いてくぞ!」

クラインの叫び声を残し、気が付けば既に俺の後ろには大パーティー規模のプレイヤー達が次々とアインクラッドめざし飛んで行く。

シルフとケットシーからは領主のサクヤとアリシャを筆頭とした、あのグランドクエストに手を貸してくれた合同部隊の者達。
リーファの方を見ながら手をぶんぶんと振るレコン。ちゃっかりといいとこ取りを狙っていたディオ率いるインプ族たちの中にはデレックもいた。
俺は一旦降下し、ワザとキリトの隣に付いてから一言言ってやった。

俺「お前、キャラデータリセットしてすっかり弱くなっちまったからな。しばらくは俺が守ってやってもいいんだぞ?」

キリト「抜かせ、丁度いいハンデってところだよ!」

相変わらず口の減らない、可愛げのない奴だナ……まあ、キリトに可愛げがあっても気持ち悪いだけだ、アインクラッドの第一層のフロアボスはまんまとこいつにLAボーナスを掻っ攫われた事だし、今回は俺が同じことをやってやるとするか!



※ ※ ※



丁度その頃、現実世界の東京都の某所にある留置所にて!by立木ナレ

刑務官「面会だ須郷!」

刑務官に面会である事を告げられて、牢の中から監視されたまま出された須郷は力なく、フラフラとした足取りのまま刑務官に面会室に案内される。

須郷「僕は……僕は悪くない……アイツだ―――全部、全部茅場が悪いんだぁぁぁ!!」

刑務官「黙って歩きなさい!」

須郷はこうして逮捕された今現在も、自らの罪を茅場に擦り付けるなどの醜い足掻きを続けるが全て無意味……すでに裁判を待つだけの身であった!

刑務官「ここだ、入れ」

須郷「…………」

一体誰が?どんな理由で自分に面会などを求めたのだろうか?須郷はそんな疑問を抱えたまま面会室に入れられ、その中の、透明なアクリルの仕切りの先に座っている、太り気味の体形の、如何にもふてぶてしそうで、不潔そうな面構えの男を見た瞬間、須郷は全身から血の気が引くのを感じたのであった!

倉崎「須郷ちゅわ~ん。元気だったでちゅかぁ~?」

須郷「く、く、倉崎……先輩……?」

そう、倉崎!大学時代に自分を散々後輩いびりの対象としていびり続け、何れ復讐する為の手始めとして彼が開発したステルスウィルスを格安で買い取り、倉崎がそれに気が付き自分の元に赴いた際には徹底して見下してやり、ようやく少しは溜飲が下がったと思っていたはずだったが……ここにきて倉崎が面会!圧倒的不吉な予感! by立木ナレ

倉崎「喜べ須郷ちゃん!俺は後輩思いの先輩だからよぉ~、不詳の後輩を俺は見捨てねぇ!これから時間があったらちょくちょく面会に来てやるから楽しみにしてやがれよ、ぎゃははははははっ!!」

須郷「嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 
 

 
後書き
これにてフェアリィ・ダンス編は完結です。本来であればすぐにファントム・バレット編なのですが、ファントム・バレット編である12月まで7カ月ほどの空白があるのでしばらくはオリジナルのストーリーを展開したいと思います。 
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