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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE150 SAOオフ会

西暦2025年5月。東京都台東区御徒町にて《アインクラッド攻略記念パーティー》という名のオフ会が開催され、オズマもそれに参加……が、主役はオズマではなくキリト!
ワザと集合時間を遅く知らされたキリトは、明日奈(アスナ)直葉(リーファ)を伴い入店と同時に盛大な歓声で出迎えられ、スポットライトを浴びる……まさに当人にとっては有難くも恥ずかしいサプライズ! by立木ナレ


リズ「えー、それでは皆さん、ご唱和ください。……せーのぉ!」

「キリト、SAOクリア、おめでとー!」


全員の唱和と盛大なクラッカーの音と拍手。キリトはと言うと、間抜けっ面!幾つものフラッシュを浴びながらポカーンと間抜けっ面!
そして、完敗の後に全員で簡単な自己紹介の後にキリトの――自らの予定にはあり得ぬスピーチ!その後はエギル特性の巨大ピザの皿が怒涛の如く何枚も登場し、宴は最早カオス状態へ突入! by立木ナレ

俺「ここまで来るだけでもう、ヘロヘロかよ……」

キリト「仕方ないだろ、男性参加者型の手洗い祝福と、女性参加者型からのご親密な祝福に、このデリケートなリアルの身体はもうオーバーワークなんだ……」

本人が言う様に、男女問わず祝福のフルコースを受けまくったキリトは、俺が座るカウンターの席の隣に座る頃にはヘロヘロでスツールに沈み込んでいた。

ちなみに、ユッチは相変わらずキリトの事が気に食わないようで、キリトを避けるように席を立つと、ヘラヘラとした笑みを浮かべてアスナら女性陣の輪に入り込むべく駆け出していた。

俺「取りあえず、何か注文したらどうだ?」

キリト「そうだな――マスター、バーボン。ロックで」

俺「何か注文したらとは言ったが、いい加減な注文してどうすんだよ……」

メニューすら見ていないキリトのいい加減なオーダーに対して、巨体に似合わない白いシャツに黒の蝶ネクタイ姿のエギルはキリトを見下ろして、一見するとロックアイスに琥珀色の液体を注いだタンブラーを滑り出していた。

キリトはまさか本当にバーボンが出て来るとは思ってなかったようで驚いた様子で恐る恐る舐めてみたがその一口ですぐに、それは単なる烏龍茶である事に気が付いたようだった。

俺「んな事だろうと思ったよ、俺がアルコール注文した時だってそうだったよなアンタ?」

エギル「ウチは善良な店なんでね、20歳になったらまた注文してくれ」

どうやら、俺もあと4年近くはこの店でアルコールの類を注文する事は出来なさそうだ。20歳になるまでは酒は家で飲むしかないだろう。

クライン「エギル、俺には本物くれ」

キリトの隣のスツールに座ったのはこれまた似合わないスーツ姿のクラインで、何をトチ狂っているのかここは現実世界であるにも拘らず、額にあの悪趣味なバンダナを捲いていた。
クラインはタンブラーを抱えてスツールを回すと、店内の一角の女たちが笑い声をあげているテーブルをだらしない顔で見ていた。

キリト「おいおい、いいのかよ。この後会社に戻るんだろう」

クライン「へっ、残業なんて飲まずにやってられるかっての。それにしても……良いねぇ……」

鼻の下を伸ばしまくるクラインを見てキリトはため息を付きながら烏龍茶を呷っていた。一方で俺はいかにも遊び人だと思っていたクラインが実は正社員の社会人で、時に残業までこなしていると言う驚愕の事実に内心で呆気にとられると同時に、こんなクラインですら残業をしているのだと知り、ますます就職何てしたくねぇな……などと言うこの場において全く関係のない、ダメ人間的思考に浸っていた。

クライン「てか、オズマよ。やっぱり……レイナちゃんと、エルダさんは来てねぇのかよ?」

クラインが若干気遣う様な表情でレイナとエルダの事を訪ねて来る、キリトもそこは気になっているようで神妙な表情を向けてくるので俺は答える。

俺「お前らも聞いたろ、レイナは俺等があのゲームに囚われる一年近くも前から交通事故に巻き込まれて寝たきりだったんだ。そんな状態の所をエルダ――レイナの姉貴が改造したナーヴギアでログインさせてただけだから、ログアウトした今でもレイナは病院のベットで寝てるよ。エルダに関しちゃ、オフ会には参加できそうにないとだけは連絡が来た」

キリト「そっか……俺としてはエルダとは少し話したい事も有ったんだけどな」

おそらく、エルダが茅場の元でVR技術に関する技術を学んでいた事などについてキリトはエルダに聞きたいことがあったのだろうが、エルダは俺以外のSAO生還者とはおそらく誰とも会っていないのだろう。

そんな時、クラインの更に隣のスツールに別の男性が座った。こちらもスーツ姿だが、クラインと違って真っ当な社会人であると一目でわかる風貌だった。

キリト「シンカーさん。そういえば、ユリエールさんと入籍したそうですね、遅くなりましたが――おめでとう」

シンカー……そうだ、実際に会った事は無いが名前なら聞き覚えがある。確かアインクラッド解放軍の穏健派のリーダー格で最高責任者だったはずだ。
と言うか、キリトがそんな大ギルドのトップと交友関係を築いてたとは意外だな。シンカーはキリトとグラスを合わせると照れたように笑った。

シンカー「いやまあ、まだまだ現実になれるのに精いっぱいって感じなんですけどね。ようやく仕事も軌道に乗ってきましたし……」

クライン「いや、実にめでたい!くそう、俺もあっちで相手見つけとけばよかったぜ。そう言えば見てるっすよ、新生MMOトゥデイ」

身を乗り出したクラインが発したMMOトゥデイと言う言葉に俺は反応し言葉を挟む。

俺「MMOトゥデイって……あの、ネットゲーム総合情報サイトの事だよな?この人ってそれになんか関係あるのかよ?」

シンカー「あはは、そんな風に言われてるんですね……まあ、私が管理人を勤めさせていただいております」

シンカーは照れた笑みを浮かべながらそう言った。何気に結構な大仕事をしてる人間がいたんだな。MMOトゥデイなら俺もよく見ていた。

シンカー「いや、お恥ずかしい、まだまだコンテンツも少なくて……それに、今のMMO事情じゃ、攻略データとかニュースとかは、無意味になりつつありますしねえ」

キリト「まさしく宇宙誕生の混沌、って感じだもんな」

キリトは頷くと、シェイカーを振っているエギルを見上げていた。

キリト「エギル、どうだ?その後――種の方は」

エギル「すげぇもんさ。今、ミラーサーバがおよそ五十……ダウンロード総数は十万、実際に稼働している大規模サーバが三百ってとこかな」

俺はエギルから渡されたコーヒーを一杯一気に飲み干すと、憎々しい茅場晶彦……ヒースクリフの顔を思い浮かべながらキリトに声を掛ける。

俺「世界の種子か……死んだはずの茅場の奴から、ALOで妙なもんを貰っちまったらしいな……」

キリト「ああ、奴は現実世界では死んだはずだが……脳データを電子化してネットワークを通じて仮想世界を彷徨ってたらしい……それで、《ザ・シード》を俺に託した……フルダイブ・システムによる全感覚VR環境を動かす為のプログラム・パッケージらしい」

俺「複雑な事は俺にはさっぱりわからんが、ようするに仮想世界を創りたいと思ってる奴は、そこそこのサーバー用意して、パッケージをダウンロードさえすりゃ……それで仮想世界を一つ作れるって事か?」

キリト「ええ……まあ、そんなところかな?」

キリトは俺のざっくばらんとした理解の仕方に呆れているのか、引き攣ったような表情を浮かべていた。
まるで自分はもっと詳細に理解してるとでも言わんばかりじゃねぇか……まあ、キリトの場合はゲームに長けているだけでなく、実際にこの手のコンピューター類の知識やプログラミングに詳しいらしいが。

シンカー「私達は、多分いま、新しい世界の創生に立ち会っているのです。その世界を括るには、もうMMORPGという言葉では狭すぎる。私のホームページの名前も新しくしたいんですがね……中々、これ、という単語が出てこないんですよ」

クライン「う~~……む……」

クラインが腕組をして眉を寄せて何かを考えこんでいる様子だったが、十中八九クラインから気の利いた名前が出てくる事は無いだろう。

キリト「おい、ギルドに風林火山なんて名前つける奴のセンスには誰も期待してないよ」

クライン「なんだと!言っとくが新生・風林火山には加入希望者が殺到中なんだぞ!」

キリト「へーえ。かわいい女の子がいるといいな」

クライン「ぐっ……」

キリトに痛いところを付かれて言葉に詰まるクラインだった。俺はそんなやり取りを横目で眺めながらエギルに言った。

俺「で、二次会の予定ってのは今夜の十一時、イグドラシル・シティ集合で良いんだっけか?」

エギル「ああ、ここにいるメンツの殆どが来る予定だぜ。お前も来るんだよな?」

俺「ま、どうせ暇だしな……」

俺とエギルが話し終えると、キリトはエギルに声を潜めて何か声を掛けていた。一体また二人で何の秘密の話をしてるのか知らないが、俺と同い年の男子と、一回り年上の黒人マッチョのヒソヒソ話になんてまるで興味が湧かん……

リズ「おーいキリト、こっちこーい!」

そんな途中に、リズベットが大声で喚き、手を降ってキリトを呼んでいた。そして何が起きたのかは知らないが、そんなリズの足許ではユッチがひざまづいた姿勢でリズに背中を踏まれていた。

キリト「……あいつ、酔ってるんじゃないだろうな……」

エギル「一パーセント以下だから大丈夫だ。明日は休日だしな」

キリト「おいおい……」

俺「にしたってあの光景は何だよ……なんでユッチは踏まれてんだよ?なんでリズは踏んでるんだよ?なんでユッチは踏まれて嬉しそうな顔してるんだ……」

キリト「それは何とも言えないな、ていうか今からあそこに行かなくちゃならないのは気が滅入るな……」

キリトはブツブツ言いながら立ち上がった。これは長い夜になりそうだった。 
 

 
後書き
次回でようやくフェアリィ・ダンス編は完結です。あともう一話お待ちください 
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