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デジモンアドベンチャー Miracle Light

作者:setuna
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第76話:アルケニモンの憂鬱

大輔達の夏休みが何事もなく無事に平穏に終わった。

ダークタワーを破壊しながらキメラモンの攻撃で滅茶苦茶なった町や村を元通りにする作業を今も続けているのを遠くで見つめる赤い服の女、アルケニモン。

「ふう…あいつらよくやるわねえ。直してもあのクソガキの癇癪で壊されるだけだろうに」

感心半分呆れ半分に子供達の作業を見つめるアルケニモン。

もう既に分かると思うが、アルケニモンは治に対して忠誠心なんぞ欠片もない。

生まれたばかりであんな悪趣味な薄暗い基地の中に押し込められてきたのだから当然ではあるが。

「さあてと、あんたらに恨みはないけど…暴れさせてもらうよ。行きな、サンダーボールモン。」

ダークタワーに髪を1本差し込み、形状を変化させる。

そしてダークタワーの形状をサンダーボールモンの形に変化させると大輔達の方向に突撃させる。

「さてと…高みの見物と行こうかしら」

サンダーボールモンは地中にいる伊織とディグモンに襲い掛かる。

対抗するディグモンだが、動きが鈍重なディグモンはサンダーボールモンのスピードにはついて来れずに吹き飛んだ。

「ダークタワーデジモンの力はそこらの同世代を上回るか。後は何本くらいで次の世代を作れるか実験しないといけないね」

アルケニモンはダークタワーデジモンの性能をある程度チェックした後、この場を後にした。

「ど、どうして襲って来るんだ!?まさか一乗寺治がまた!?」

「伊織、ディグモンじゃ勝てないだぎゃ。エレファモンにアーマー進化だぎゃ!!」

「はい、アーマーチェンジ!!」

「アーマーチェンジ、エレファモン!!タスクミサイル!!」

ミサイルを放ち、サンダーボールモンを撃ち落とそうとするが、サンダーボールモンは見た目通りの素早い動きでミサイルをかわした。

「小さくて当たらんだぎゃ…なら、ニトロタービンウェーブ!!」

両耳のタービンから巨大台風並の衝撃波を起こす。広範囲に渡って攻撃出来るこれならばかわせまい。

エレファモンの狙い通り、衝撃波をサンダーボールモンは避けきれず掠めてしまう…が。

「あ…あれは…?」

エレファモンの攻撃でサンダーボールモンの中身が露出したのだ。

それはまるでダークタワーのような。

「何ですかあれは…?一乗寺治の新兵器なんでしょうか…?だとしたら、生き物でない以上、手加減は不要ですね…エレファモン!!」

「とどめだぎゃ!!タスクミサイル!!」

エレファモンのミサイルが見事に動きが鈍ったサンダーボールモンに直撃し、粉砕した。

伊織はダークタワーのあった方向を見つめる。

「…あそこにあったはずのダークタワーが消えている。キメラモンの次はダークタワーをデジモンにしてデジタルワールドを滅茶苦茶にするつもりですか。一乗寺治め…!!」

伊織は未だにデジタルワールドを滅茶苦茶にしようとする一乗寺治に怒りを覚えた。

「おーい、伊織。大丈夫か?何があった?」

爆音を聞いて駆け付けた大輔が伊織に尋ねる。

「…大輔さん。皆さんに警戒するように伝えた方がいいかもしれません」

「何だって?」

「一乗寺治が再び動き出しました。今度は多分ダークタワーを使って」

選ばれし子供達の新たな戦いが始まろうとしていた。

そしてアルケニモンもまたサンダーボールモンの破壊に気付いた。

「サンダーボールモンがやられたようね。やっぱり成熟期では相手にならないようね。早く完全体を作れるようにならなくてはね」

予想より早く倒されたことにアルケニモンは面倒そうに次のダークタワーのあるエリアに向かう。

ダークタワーデジモンのサンダーボールモンの話を聞いて、これからのことについて話し合っていた大輔達。

「本当にデジモンじゃなかったのか?伊織?」

「はい、エレファモンの攻撃が当たったら体が砕けて中身が真っ黒い塊だったんです。色がダークタワーに似ていたし、近くのダークタワーも消えていたから間違いないと思います」

「そうか…あのナルシスト変態仮面はまた性懲りもなく暴走しているのか」

賢が辟易したように呟くと、京が隣で同情するように見つめる。

とにかくまた一乗寺治が動き出したようだから全員に警戒するように伝えることにした。

しばらくしてミミからSOSが届き、内容確認後に全員がデジタルワールドに行くとゴーレモンがダムを破壊しようとしているらしく、サジタリモンが向かっていく。

「どう?伊織君?ダークタワーかい?それとも普通のデジモンかい?」

ダークタワーデジモンが出て来た以上、あれがダークタワーデジモンかそうでないのかを見極めなくてはならない。

だからダークタワーデジモン第一発見者の伊織に賢が尋ねるのだが。

「わ、分かりません。僕が知ることが出来たのは攻撃を当てて中身が見えたからですし」

「なら、中身が見えるくらいにボコボコにすりゃあいいだけの話だ!!」

「もし本物のデジモンだったらどうすんのよ!?」

「その時はその時だ。ダムを壊そうとしてんだ。再起不能レベルにボコボコにしたって文句言われねえよ!!サジタリモン!!」

「任せとけ、くたばれメテオギャロップ!!」

飛び蹴りがゴーレモンに炸裂し、吹き飛んで地面に激突する。

ぎこちない動きだが、起き上がろうとするゴーレモンにサジタリモンはダムからゴーレモンに向かって飛び出し、腹部に拳を叩き込んだ。

「………む!?」

サジタリモンが拳を叩き込んだ腹部に亀裂が入り、黒い物体が露になる。

「あれがダークタワーデジモンか。かなりの衝撃を与えればダークタワーを覆う外郭が壊れるか…ダークタワーデジモンだって分かった以上。容赦は無しだ!!」

サジタリモンは矢筒から矢を1本抜き取り、ゴーレモンに狙いを定める。

「くたばれ、ジャッジメントアロー!!」

勢い良く放たれたクロンデジゾイド製の矢は岩石で出来ているゴーレモンの体を容易くぶち抜いてゴーレモンを粉砕した。

【やった!!】

「う…ううん…」

「あ、パルモン。大丈夫?」

「ミミ!!あいつはゴーレモンはダークタワーが…」

「大丈夫よサジタリモンが倒してくれたわ。あれはダークタワーが変化した姿だったようね」

「ええ…みんな、信じられないかもしれないけど話を聞いて?私が見たことを全て話すから」

【?】

パルモンの言葉に疑問符を浮かべる子供達。

しかし、パルモンの言葉に目を見開く。

「あのゴーレモンは人間…しかも大人が作った物なの」

【ええ!?】

「本当なのパルモン?」

「ええ、間違いないわ。女の人が髪の毛をダークタワーに差し込んだらダークタワーがゴーレモンになってたの」

「ダークタワーをデジモンにな…そいつは一乗寺治の関係者なのかな?」

「やれやれ、あの変態仮面はまだ諦めてないんだね」

「性格悪い癖に諦めの悪さだけは一人前よね」

大輔の呟きにタケルと京は言う。

「はあ、本当に疲れる野郎だ。」

「あんたと意見が合うとはねー。本当に疲れる奴だわ。あの変態仮面は」

ブイモンとテイルモンも言いたい放題だが誰も止めない。

止めてくれるようなお人好しはいない。

「と言うよりあいつのために動くような奴がいたのが俺には驚きだよ」

「何か不満そうにブツブツ何か言ってたけど?」

「成る程、人望無いね相変わらず」

大輔が不思議そうにするが、パルモンが女もといアルケニモンがブツブツ文句言いながらやっていたことを伝えると賢が呆れたように呟いた。

「はあ…疲れるわ。何で私があんなクソガキのためにダークタワーデジモン作って暴れさせないといけないのよ…次は10本のダークタワーで試してみようかしら?」

治に対して愚痴を言いながら次はダークタワー10本でダークタワーデジモンを作ろうという発想に至ったアルケニモンであった。 
 

 
後書き
アルケニモンは治からの指示なんてどうでもいいです。デジタルワールドのダークタワー使い切ったらマミーモン連れて逃げ出す気満々です。  
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