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デジモンアドベンチャー Miracle Light

作者:setuna
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第71話:メモリアル

 
前書き
お台場メモリアル。

しかしウィザーモンがいないからオリジナルだけど 

 
今日のやるべきことを終えた子供達はデジタルワールドからパソコン室に戻ってきた。

「ふう、腹減ったな」

「ふう、あんたってば本当に食欲魔人ね。恥知らずとは正にこのことだわ」

「うるせい、ドブネズミ。ドブネズミはドブネズミらしくヌメモンやスカモンと暮らしたらどうだ?お似合いだぜ?」

「「くたばれ!!」」

互いに殺意を漲らせて殴りかかるが、大輔が拳骨を叩き込むことで黙らせた。

「ヒカリちゃん、おやつにクリームパイ焼いてきたからみんなで食え。俺はテイルモンとブイモンに説教してくる」

「ヒ、ヒカリ…」

顔を真っ青にして首を横に振るテイルモンにヒカリは流石に可哀想だと思い、大輔に口を開こうとするが…。

「テイルモンを渡してくれればヒカリちゃんに俺の分のクリームパイをあげようじゃないか」

「はい♪」

ヒカリの心は一瞬でクリームパイに染められ、テイルモンを速攻に売り渡した。

「ヒ、ヒカリぃ!?」

絶望に顔を青ざめさせるテイルモンだが、ヒカリはクリームパイを美味しそうに頬張っている。

クリームパイに負けたテイルモン…。

「さあて、ブイモン。テイルモン…これから俺と楽しい楽しいO☆HA☆NA☆SHIタイムといこうじゃないか」

「「い、嫌だあああああ!!」」

「うーん、美味しい~♪」

「ヒカリちゃん…完全に餌付けされちゃって…」

連行されていくブイモンとテイルモンに構わずクリームパイを食べているヒカリ。

もう完璧に胃袋と舌を大輔に掌握されたと言っても過言ではあるまい。

向こうでブイモンとテイルモンの悲鳴が響き渡った。

「それにしても最近の兄さんは何をしているのやら。」

「そうですね、最近の一乗寺治の動きがよく見えないなあと思います」

「うん、兄さんは陰湿だからね。僕達にやられっぱなしのままとは思えない。きっと反撃のチャンスを狙ってるんだよ」

「賢君が言うなら間違いないだろうね。これからも油断せずに行こう」

「ただいま」

大輔がぐったりしたブイモンとテイルモンを抱えながら戻ってきた。

「そう言えば、明日の準備は出来てるか?」

「明日?うん、ちゃんと準備してるよ?」

「おやつは300円までだからな」

「大輔、バナナはおやつに入るかな?」

パタモンがバナナはおやつに入るのかと尋ねてきた。

それに大輔は不敵な笑みを浮かべる。

「パタモン、安心しろ。バナナと言うか果物はおやつに入らない」

「やったー!!」

パタモンがバナナはおやつに入らないことが分かって喜ぶ。

「そう言えば、明日の8月1日は何時も集まってましたね?」

「明日は俺達選ばれし子供にとって特別な日だからな」

伊織に説明するとヒカリが挙手してきた。

「そう言えば大輔君。手作りお菓子の制限は?」

「手作りならいくらでもOK」

「わーい」

「ヒカリちゃん、お菓子は程々にしないと体に毒だよ?」

「う、うう…と、とにかく!!明日に備えて早く帰りましょう!!」

賢の注意にヒカリは思わず呻くが、すぐに持ち直して明日に備えて帰ろうと進言。

「逃げたね」

「うう!?」

ワームモンの冷たい言葉がヒカリの心臓を射抜いた。

「まあ、とにかく明日に備えて帰るのには賛成だ。今日はこれにて解散だ」

【了解!!】

そして翌日、選ばれし子供達がデジタルワールドと繋がった日、8月1日。

全員集まって、及川宅からデジタルワールドに向かい、ハニービーモンの喫茶店でアイス珈琲を飲みながら会話を弾ませた。

「そして俺は光が丘テロの後、お台場に引っ越そうとした大輔の家のパソコンから飛び出して、大輔の家で過ごし始めたわけだ」

「あの時は一番最初の幼年期のチコモンだったけどな、懐かしい」

「前にもその話を聞いたけど、その時パニックにならなかったのか?」

「いいや全然?大輔の家族は事情を話せば普通に居候OKしてくれたぞ?」

「大輔、お前の家族って凄えな」

太一の疑問にブイモンが答えると、太一は大輔の両親の順応性の高さに恐れ入った。

「そして大輔がお台場小学校に入学して、それから数週間後にヒカリとエンカウントしちまった!!」

「あの時のブイモンはチビモンでコロモンのことを思い出したな~」

「更に更に更に!!その日を境に俺達は現実世界で起きた様々な問題に立ち向かっていったんだー!!」

ヒカリが当時のことを思い出してのほほんとして、ブイモンは何故か徐々にテンションを上げていった。

「あんたテンション高いわよ…」

眉間に皺を寄せているテイルモンを見てブイモンは嘲笑を浮かべる。

「んん?俺が当時ヒカリと一緒に困難にぶち当たったのが悔しいのか?」

「………………」

「だろうなー、俺はヒカリと長い付き合いでヒカリのことはお前以上に分かっているつもりだ。お前は俺が知らないことを知ってるのか?」

「な…ば、馬鹿にしないでよね!!わ、私だって…!!」

「じゃあ、言ってみろよ?」

「うぐ…」

ニヤニヤと笑いながらテイルモンに促すブイモン。

実はヒカリのことに関してはブイモンの方がヒカリを理解している。

悔しさのあまりに歯軋りするテイルモン。

「何だ、口だけか。所詮お前はその程度なのだ」

「馬鹿にするんじゃないわよ!!そ、その…そう…ヒカリのコンビニスイーツ制覇計画!!」

【ぶふう!!】

テイルモンの発言に全員が噴き出した。

「ちょ!?テイルモン!!それじゃあ私が食いしん坊みたいじゃない!!」

とんでもない出任せに顔を真っ赤にして怒るヒカリ。

「え?違うのか!?」

「ブイモン!?」

信じたらしいブイモンにヒカリはショックを受けた。

「パンケーキのお代わりは要らんかね~?」

「欲しい!!」

ハニービーモンにすぐさま飛び付くヒカリ。

それがテイルモンのコンビニスイーツ制覇計画の出任せに真実味を負わせていることにヒカリは気付いてるのだろうか?

太一が微妙な表情を浮かべながらパンケーキを頬張っているヒカリを見つめていた。

そして2日後、この日はテイルモンの友人のウィザーモンが亡くなった日であるため、大輔が3年前に使用していた奇跡のデジメンタルが安置されている神殿に向かう。

「な、何か凄い威圧感」

「近付くのが少し怖いですね…」

京と伊織は神殿から放たれる神聖とも言える圧倒的な威圧感に気圧されていた。

「あれだ。あれが3年前に俺達を助けてくれたヒーローの魂が入った奇跡のデジメンタルだ」

神々しい黄金の輝き。

金色という、見ようによっては成金趣味的な色であるにも関わらず、奇跡のデジメンタルからは汚らしさを一切感じさせない。

それどころか神々しく、美しい輝きを放っていた。

「ウィザーモン…」

ウィザーモンと深い関わりを持つテイルモンを先頭に、テイルモン程ではないにしろウィザーモンに救われた大輔とヒカリ、ブイモンが花束を置いた。

「ウィザーモン…」

「お前のおかげでデジタルワールドは救われたのにまた危機が起きてる。皮肉なことに大輔達と同じ人間の子供の手でな。まあ、安心しろよ。俺達がボコボコにして叩き出してやるから」

ブイモンが奇跡のデジメンタルの中で眠るウィザーモンにそう告げると踵を返した。

テイルモンもいくつか言葉を投げかけた後一礼して踵を返す。

その時、テイルモンは頭に暖かい温もりを感じて振り返ったが、そこには奇跡のデジメンタルしかない。

しかしテイルモンは微笑んで前に進んだ。

更に翌日、ゲンナイから通信が入った。

「久しぶりじゃのう」

「おー、爺さん生きてたか。死んでなくて何より…チッ」

「ブイモン、今お主舌打ちしたじゃろ?まあよい。お主達にプレゼントをやろうと思ってのう」

【プレゼント?】

ゲンナイの言葉に全員が疑問符を浮かべた。

「プレゼントはデジメンタルじゃよ。奇跡のデジメンタルが2つ。運命のデジメンタルが1つ」

「運命のデジメンタル…もしかして奇跡の対か?」

「正解じゃ、新たな選ばれし子供達のパートナーデジモンは古代種の因子を強く持っとるから完全体への進化がしにくい。そこでそこの2体には奇跡のデジメンタル。ブイモンには運命のデジメンタルを宛てがおうと思ってのう」

「成る程成る程。確かに奇跡のデジメンタルなら特別な古代種以外を完全体のアーマー体に進化させられる。でもまさか昔のようなパズル状態で渡したりしないよな?」

「流石にそんなことはせんわ。あの時と今とでは技術が復活しとるのも大きな理由じゃが」

「だよなーデジメンタルを立体パズルで送られてそれを1から組み立てて組み立てて組み立てまくって何度殴ってやろうかと思ったか分からんわ!!」

「気の遠くなるような作業だったなー」

何度全身の色が失せて真っ白になったブイモンの姿を見たことか。

どうやら奇跡のデジメンタルには自分達の知らない苦労の末に作られた物のようだと太一達は悟った。

「でも本当に出来たのかー?正直言って爺、あんた胡散臭くて仕方がない」

正直、ゲンナイのすることには何かあるのではないかとブイモンは疑ってかかる。

「失礼なことを言うでない!!わしは何時でもお前達のことを考えて行動しとる!!」

【嘘つけえぇえええっっっ!!!!】

ゲンナイのこの発言にはゲンナイの縁深い選ばれし子供達とパートナーデジモン達全員の心が本当に1つとなった。

「では行くぞ…受け取るのじゃ、奇跡を生み出し、運命を覆す究極のデジメンタルを!!」

【おお!?】

画面から黄金の輝きが迸り、全員が目を閉じた時。

「「「痛あ!?」」」

京と伊織とブイモンの悲鳴が響いた。

視力が回復した時、どうやら出現したデジメンタルが額に直撃した模様。

「では頑張るんじゃぞ」

そして画面からゲンナイが消えた。

「あの爺…いつかぶっ飛ばす」

ブイモンの呟きが妙に耳に残った。












おまけ

「痛てててて…あんの糞爺…!!」

頭に出来たタンコブを擦るブイモン。

「全く、あの爺さんは良く私達のことを考えてなんて言えるわね!!」

「全くだよ!!あの時の怒りを僕達は忘れてないぜ!!」

「そうだよう!!」

一番の被害者であるブイモン、テイルモン、ワームモン、パタモンの怒りは凄まじい。

「そうだそうだ!オイラはブイモン達に八つ当たりされたり…」

【それは笑ったゴマモンの自業自得】

「ありゃあ!?」

ゴマモンも怒るが、それは自業自得だとあっさり一刀両断された。 
 

 
後書き
エレファモン、ピーコックモン、ゴールドブイドラモンをブイモン達に追加。 
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