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ロキを愛する冒険者がいるのは間違っているだろうか

作者:将真
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一話日下飛翔ルーガー

 
前書き
二話目です。よかったらどうぞ 

 
「ここがオラリオ……ついに来た ぞぉー‼️」

迷宮都市オラリオに一人の青年の
雄叫びがこだました。
雄叫びを放った青年はよほど
オラリオに来たのが嬉しかったのだろう。
感涙に涙を流している。
ここは迷宮都市オラリオの市壁の近くにある、オラリオへ入るために
通る関所だ。
感極まって泣き崩れる、若い男を
通りがかる人々は、ある者は笑い
ある者は不思議な者を見るような目で、またある者は目線を合わせず早足で通りすぎる。
そんな人々の冷たい対応も、喜びにむせび泣く彼には関係がなかった。

感極まった青年の名は、日下飛翔(ひしょう)ルーガー、10年前、
一人の朱髪の女神に魅せられた少年が成長してオラリオにやって来たのだ。
長い黒髪を後ろで括り、腰に二刀を
差した飛翔がこのオラリオにやって来た目的はただ1つ。
都市最大派閥が一角、ロキファミリアに入団すること。

(このオラリオにあの方がいる)

飛翔は市壁の向こうに見える
天を衝く白亜の摩天楼を見渡しながら、思いを馳せる。

 「あのぅ」

「……ん、なにか?」

そんな物思いにふける、日下に
オラリオへの入国を管理する
関所の役人が声をかけてくる。 
日下はその声で、現実に返ってくる。
「都市への入る為の手続きをしたいのですが、あなたの番なので」 

「えっ?」

そう言われた飛翔が周りを見ると、
彼の後ろには何十人もの長蛇の列ができている。
他の役人や都市の出入りを監視する
ガネーシャファミリアの団員達が、
他の順番待ちの人たちを落ち着くようになだめているのが見える。

「すみませんー‼️」

深々と頭を下げた飛翔は慌てて、
手続きを済ませるのだった。


迷宮都市オラリオ。
それは世界で唯一ダンジョンが存在する都市である。
神々が降臨する以前から存続する世界有数の大都市であり、世界一の魔石製品輸出都市で大陸の一国家よりも遥かに発展している。
ダンジョンがあることで魔石と、
モンスターによって強力な冒険者がうまれるこの都市は世界の中心と呼ばれている。
広大な面積を誇る円形状の形をしており、堅牢な市壁に取り囲まれ
都市中央には天を衝く白亜の巨搭がそびえているという他の都市には
ない独特感がある。

「え~っと目的地は黄昏の館というのか」

そんな白亜の巨搭バベルがある
中央広場の近くを日下は歩いていた。
歩きながら買った都市の案内図を
見ている日下は、北のメインストリートの方へ歩を進めていく。
彼が目指すロキファミリアのホーム
黄昏の館は、都市オラリオ最北端に
メインストリートから1つ外れた
街路の脇にあるからだ。

(ロキ様いるだろうか?
いやいきなりロキ様に会いたいなど
 図々しい)

日下の頭の中は朱髪の女神の事で一杯だった。
もしホームに運よくいたら彼にとっては10年ぶりの再会になるのだ。
(映像でみているだけとはいえ)
心が踊らぬ訳がない。
とはいえ浮かれているだけとは
いかないが
(ロキファミリアは都市最大派閥
入団試験も物凄く難しいかもしれない。
一応以前の主神であるスサノオ様の
紹介状とロキ様への土産は持って来ているが)

日下は懐にしまっている、以前の主神スサノオ直筆のロキへの、紹介状を握りしめる。
スサノオとは飛翔が以前所属していたファミリアの主神の事だ。
10年前ロキに心奪われた飛翔は、
すぐにオラリオに旅立ちたかった。
だが10年前のあの時ロキと共にいた3人の団員達の事を思いだし考えを改めた。
あの3人の冒険者達は当時子供の
飛翔ですらわかるほど、人外の猛者たちだった。
(並みの者ではロキ様のお役には立てない)
そう思った日下少年は、山にこもり
修行にはげんだ。
いずれ神の恩恵を得る前に、己を強化しようと思ったのだ。
そんな修行をしていた日下は、山で
一人の神と出会う。
白髪の老人で背中に大きな背嚢を
背負うその男神の名はあめのまひとつめのみこと。
通称一目連もしくは
まひとと呼ばれる神だった。
まひとに気に入られた日下は、
ファルナを与えるというまひとの
申し出を受けた。
まひとはファルナを与えるが、
ファミリアを形成していなかったからだ。
ステータスだけを得て眷族にならないというのは、最初申し訳なく思ったが、考えてみればファルナを鍛えてレベルを上げた方がロキの役に立てると思い決断した。
ロキと邂逅から二年が経ち、日下は12歳になっていた。
その後まひとの神友である、スサノオと出会い、彼のファミリアに改宗した。
改宗したとはいえ、眷族にはなっていない。
事情を説明して、眷族にならなくてもいいのならと言ったら、スサノオはそれでもいいと言ってくれた。
まぁ、ぼそりと同じ赤髪なら
女鍛冶師の方がと言っていたが
日下にはよく意味がわからなかった。
それからスサノオのファミリアで
経験を積んだ日下は在野では
高レベルとなる、レベル2になっていた。
まだ足りないと思ったが、十年間
鍛えた自分を信じて、オラリオ行きを決心したのだ。
オラリオ行きを伝えると主神スサノオは、改宗して欲しく無さそうだったが、団長を初めとする団員達から
の説得もあり、改宗を許して貰えた。 
さらに神ロキへの紹介状も書いてくれた。
後、神タケミカズチへの手紙も書いてくれた。
何でも神タケミカズチは主神スサノオ様とは、同じ極東の神で神友なのだそうだ。
『困った事があったら、それを持ってタケミカズチのところに行きなさい。
その手紙を見せたら、助けてくれるだろう』

神タケミカズチのホームの居場所も
ついでに教えて貰った。

こうして日下飛翔ルーガーは
オラリオに来た。
朱髪の女神に魅せられてから10年
二十歳となったかつての少年は
ロキファミリア入団、そしてその後はダンジョン制覇と三大クエストの達成という大きな夢を持って、ロキファミリアのホーム黄昏の館の
入り口の前に立った。


「頼もう‼️」

入り口につくなり飛翔は大きな声を張り上げた。
ロキファミリアのホーム黄昏の館
はまるで城のような外見をした
建物である。
城のてっぺんにはロキファミリアの
旗が立っている。
その巨大な城はまさに都市最大派閥にふさわしいといえる。

「静かだな留守か?」

三度目の呼び掛けをしたが返事がなかった、飛翔は門の前で立っている。

「さてどうしたものか、勝手に入る  わけにもいかぬし」

「急ぐぞ‼️」

日下が立ち往生していると、突然
館の門が開いて、三人の男女が走ってきた。
一人は犬の耳を持つ犬人、もう一人はヒューマンの見目麗しい女性
最後の一人は兎の耳をもつ兎人だ。
三人とも美男美女だ。
ロキファミリアの団員、クルス
ナルヴィ、ラクタである。
むろん日下はその名前を知らない。
ただ身のこなしや纏う雰囲気から
ただ者ではないというのはわかる。
(あの猛者達だけでなく、これほどの強者がいるとは、流石はロキ様の 子供)
3人は猛スピードで駆けている。
ひどく慌てている様子で、その顔は
皆険しい表情をしている。
何かあったのだろう。
(っと感心している場合ではない)
やっと門が開いたのだ。
このチャンスを逃さんとばかりに
日下は目の前を走り抜けようとする
犬人の青年に声をかける。

「すまぬがロキファミリアの方と
お見受けする」
さっき呼び掛けをした時のような
大声を出す日下。

「何だ?」
犬人の青年は大きな声の呼び掛けに
気づくと振り返る。
残りの二人の女性達も素早く、
振り向いて来るが、犬人の青年が
「ラクタとナルヴィは先に行ってくれ、私は少ししてから追いつく」
と言うと、一瞬迷うような顔をするが、犬人の青年が動かないのを
見た彼女達はわかったと言って
頷くと直ぐ様走り去っていった。
ラクタとナルヴィと言うのが
彼女達の名前らしい。
犬人の青年は彼女達が走り去っていくのを見送ると、日下のところにやってくる。

「確かに俺はロキファミリアの者で
クルスと言う。
それで何の用かね?
先ほど見ているからわかると思うが、今は取り込み中でね。
すぐに現場に行かねばならないのだ」

犬人の青年クルスは早口でそう言った。

「それは申し訳ない。
では手短にいかせてもらう。
それがしは日下飛翔ルーガーと言う者。
ラキア王国出身で、ロキファミリアに入団するためにオラリオにやって来ました」

深々と頭を下げながら、日下は
クルスに自己紹介をする。

「うちに入団ですか?」

「左様、以前所属していたファミリアの主神様からロキ様に紹介状を
渡されている」

クルスに懐から取り出した、スサノオからのロキ宛ての紹介状を手渡す。
手渡たされた紹介状をクルスは困った顔をしながら受けとる。
上等な紙を使ったその紹介状は
神聖文字で書かれていたので
クルスには読めない。

「うーんご丁寧にどうも。
だが俺には入団を認める権限はないんだ。
それに今ウチのファミリアは
重要な案件に取りかかっていてなぁ。
主なメンバーは全てダイダロス通りに行って留守なのだ。
ロキも神会に出ていて居ないし


「そうですか。
  ロキ様もお留守と」

クルスからロキも居ないと聞き、
日下はショックを受ける。

(うーん簡単に会えるとは思わなかったが、まさかホームに居られないとは) 

「はい。そう言う訳なので
後日改めて来てもらいたいのです。
といってもウチは現在新入団員を募集してはいないので、入団出来るとは俺の口からは言えないですが」

クルスは申し訳なさそうに言いながら、頭を下げる。

「わかりました。
では改めて後日…」

「クルス何をしている?」

二人が話ていると、一人のドワーフが門前にやって来た。
館の方から来たところから、彼も
ロキファリアの団員なのだろう。
ごつい筋肉に長いコートにジーパンを履いている。
その手には酒瓶が握られており、 赤ら顔をしている事から、ドワーフの男は飲酒していたようだ。

「ドノバンさん」
名前を呼ばれたクルスは、自分の名前を呼んだ、ドワーフの男の名前を呼ぶ。

「ラクタとナルヴィとお前の3人は確か団長から人工迷宮攻略の
援軍に呼ばれたはずだろう?」

「はいそうなのですが……
実はこちらの日下さんがウチのファミリアに入団したいと」

クルスが後から来たドノバンに
日下の方を手の平で差す。

「入団希望だぁ
この闇派閥の残党共との抗争で
忙しい時に?」

ドノバンと呼ばれたドワーフは
日下の方を鋭い目で見る。

「初めまして日下飛翔ルーガーと申します。
 ロキファミリア入団したくて
まかりこしました」
ドノバンの方を向いて日下はお辞儀をする。

「入団希望ねぇ」
左手に持った酒瓶から酒を飲みながら、ドノバンは値踏みするような目で日下を見る。
「はい。レベル2で以前はスサノオファミリアというファミリアに所属していたそうです。
それと主神であった神スサノオから紹介状を書いてもらっております」クルスはさっき日下に渡された
スサノオの紹介状をドノバンに見せる。
「スサノオファミリアねぇ
聞いた事ないなぁそう言う名前のファミリアは」 

紹介状を見ながらドノバンは首をひねる。

「俺も聞いた事はありません」

「ふーん……なるほどまぁ事情は
わかった後は俺に任せろ。
お前は早く団長達の元に行け
確か闇派閥の奴らどこから
手に入れたかはわからないが、小型とはいえベヒーモスの亜種を従えているんだろう?」

「はいそうです。
来る途中でディアンケヒトファミリアに行って、対ベヒーモス用の解毒薬を、買ってもってこいとも言われてます」

「だったら急げ‼️
  ホームの留守番は
 俺に任されている」

「わかりました。
では彼の事宜しくお願いします」 

クルスはスサノオの紹介状を
ドノバンに手渡すと、急いで
先に行った二人を追いかけてゆく。
あっという間に日下の視界から
彼は消えてしまう。

「確か日下飛翔ルーガーだったな
  」

「はい」

「まぁ立ち話も何だし、館の中で
話をするか」
ドノバンはクルスから手渡された
紹介状をポケットに入れると
付いてこいと言って、館の方に
歩いていく。

その後ろ姿を日下は追った。



「まぁ座ってくれ」
テーブル席に座ったドノバンが
対面の席を手で指し示して、着席するように進めてくる。
それを飛翔はちょっと迷ったが、
言われた通りに座った。
ここは黄昏の館内にある食堂である。
何十人も座れる広さがある広い空間に、大きなテーブルや無数の席がある。
普段は大勢の人間が食事をして
さぞ賑わっているのだろう。
ただ今はドノバンと飛翔の二人の
貸しきりだ。

「元スサノオファミリアでレベル2 か」

ドノバンは飛翔が着席するのを横目にしながら、飛翔が持ってきた紹介状を読んでいる。
紹介状は神聖文字で書いているが
書いてない部分もあり、そこは
下界の住人であるドノバンでも見れた。
見れる部分には飛翔のフルネームと
年齢、今までファルナを授かってきた主神の名前と飛翔がどれだけロキの事を熱く思っているか書かれている。
その内容は恋文その物だったが、
ドノバンはその部分には目を通さなかった。
後は神聖文字で飛翔のステータスが
一部掲載されているが、当然ドノバンには読めない。
もしこの時リヴェリアかアイズの
どちらかでもいれば、飛翔のステータスを見て驚愕して、すぐさま
彼の入団を強く薦めただろう。
書かれていたステータスには彼のスキルとアビリティが書かれていて
どちらも聞いた事のないレアだったのだ。
だが運命は残酷で、飛翔に味方しなかった。
それどころか彼は、もうすぐ厳しい
苦難を強いられる事になる。

「ファルナを得たのは、十二歳
最初はあめのまひとつめのみこと
でその次は神スサノオ?
どっちも聞いた事のない名前の神だな」

紹介状を読み終えたドノバンは、
難しそうな顔をしながら、紹介状を
折り畳んでポケットに片付ける。

(……やはり紹介状だけで、すんなり入団とはいかないか)

飛翔は目の前にいるドノバンの
態度を見るに、自分の入団は難しいと思う。

(都市外では珍しいレベル2と言えども、天下のロキファミリアでは
ありふれた存在か)

飛翔は目の前で腕を組んで考え込んでいる、ドノバンの様子をうかがう。

食堂に案内されるまでの移動中に自己紹介を飛翔は受けていた。
目の前のドワーフの名はドノバン・
ウォード。
現在33歳のレベル4で2つ名は
守護者(ガーディアン)
若い頃は遠征で特攻隊長を引き受けていたが、何年か前の遠征で
片足を失ってからは、前線を退いて、後輩の面倒や、黄昏の館の
留守番などをしているそうだ。
 
(天下のロキファミリアには、レベル2などお呼びでないのかもしれない……が諦める訳にはいかない‼️)

飛翔は実力が足りないと思われるなら、やる気だと思い熱くロキへの想いを語った。



「それがしが、ロキファミリアへ
入った暁には三大クエストの制覇
それを達成したのちは、ダンジョン制覇を成しロキ様の名を地上及び
天界の隅々にまであまねく広げたいと思っております。
雑用でも何でも致します何卒
それがしをロキ様のファミリアに
入団させて頂きたい‼️」

「おう……夢を持つのは良いこと  だ」

 (うぜぇーこいつ)

顔をひきつらせながら、土下座をしてロキファミリアへの入団を乞う
飛翔をドノバンは鬱陶(うっとう)しそうな眼で見下ろした。
当然土下座している飛翔には見えない。

(それにしても、団長に憧れてとか
リヴェリア様のお役にとか言って
来るやつは結構いたが、ロキを慕っては始めてだな)

土下座する飛翔をドノバンは観察する。
年は二十歳の若者、ラキア人と極東人のハーフらしいが、父親の血が濃すぎるのか、黒目ぐらいしか極東人の特徴は見当たらない。
本人もハーフらしさが、ないのを気にしており、私にあまり似てないと嘆く母のせめて慰めと、父母両方の姓を名乗る事にしているらしい。
名前の最後につくルーガーは母の名字だそうだ。
顔は俳優でもやれそうな程に整っており、美男美女が多いロキファミリアでも、ひけはとるまい。
背も190メドルはある長身で
長い金髪の髪を一纏めに括っている。
腰に差している二本の刀は、東洋の武器に疎いドノバンでもかなりの業物だと一目でわかる物だ。

「まぁ……とりあえず頭を上げて
座ってくれ。
そのままじゃ込み入った話は出来ねぇし、何より落ち着かん」

「これは‼️失礼を」

ドノバンに注意された飛翔は
素早く飛び上がり着席する。

「お前さんの気持ちはわかった」

飛翔が着席したのを確認したドノバンは話を再開する。

「では入団を‼️」

自分の思いが伝わったと思った飛翔が席から立ち上がって、前よりになってドノバンにせまる。

「まぁ待て」
せまる飛翔をドノバンは手の平を
開いて落ち着けと止める。

「わしとしては、今時珍しい見所のある若者と思った。
ガレスさんに口を聞いてやっても良 い」

「ガレスとはまさか……重傑(エルガルム)殿
ロキファミリア三大幹部の」

「あぁそのガレスさんだ。
実はわしはガレスさんとは同郷でな


「それはありがたい‼️」

目の前のドワーフがロキファミリアの大幹部と親しいと聞いた飛翔は
期待に眼を輝かせる。

「ただガレスさんは忙しい身の上だ。
それにいかにガレスさんとはいえ
新入団員は一人では決められない。
後二人の大幹部の承認が必要だ。
主神様がスカウトしてきた場合は
例外だが、基本的には3人の承認がいる」

「その承認を得るためにはどうすれば?」

「簡単な事だ力を示せばいい」

「力とはつまり模擬戦でもするということですか?」

(うーん重傑殿に紹介して貰えると聞いた時にはやったと思ったが、
そう簡単にはいかぬか)
飛翔はやはり一筋縄ではいかないと
思い一瞬弱気になる。

「模擬戦それも悪くないが、
  別の方法だ」

「別のとは?」

ドノバンからの答えを飛翔は
じっと待つしかなかった。

★★

(こいつ……うぜぇと思ったが
マジでロキに惚れてるのか)

真剣な表情でこっちをじっと見ている入団希望者をドノバンはどうするかと考える。

(レベル2か、レベル3かもしくは治癒師とかなら、上も喜ぶだろうし、俺の手柄になるだろうが……)


「答えられるなら、構わないが
お前さん回復魔法とか使えたりするか?」

一応相手のステータスがわからないので確認をドノバンは取る。

「いえそれがしは、魔法には恵まれておりません。
一応3つのスロットル全て埋まってますが、どれも何の役にも立たない魔法です回復魔法なんて便利な魔法は使えません」

「そうか……悪かったなぁ聞きにくい事を聞いて、最近ウチのレベル3のヒーラーが殉職してなぁ。
お前さんがヒーラーならガレスさんにも薦めやすいと思って聞いちまった」

「さようですか。
ヒーラーなら入団しやすかったのですね。
 無念です」

「まぁ、レベル2のヒーラーなら
亡くなったヒーラーの代わりは無理でも、足しにはなるし、育てて
後釜にするって事もできるんでなぁ」

「ではヒーラーでない、それがしでは入団できないと」

「そう早合点するんじゃねぇよ。
さっきも言ったろガレスさんに
薦めやすいから聞いただけだ」

そこまで言ったドノバンはテーブルに置いてある酒を飲む。
この酒は飛翔が席に座った時点からテーブルの上に置かれていたが、
下戸(げこ)の飛翔は飲めなかったため、触れないようにしていた。

「ぶはっ……やっぱ火酒は旨い
おっとすまんなぁ、ドワーフたるもの酒は水と一緒でなぁ。 
適度に飲まんと調子がでんのだ」

「いえお気になさらず。
レベル4のそれもロキファミリアの
冒険者が時間を割いて頂いてるのですから」

目の前で酒を喰らうドワーフを飛翔は待つ。

「ウチは主神が大の酒好きでなぁ。
良い酒は常に置いてある、ガレスさんを始めご相伴に預かる、団員も多い」

酒瓶片手に、この火酒はドワーフの
秘伝の高級酒だとドノバンは説明する。

(そういえば、ロキ様は神々の中でも屈指の酒豪。
それがしも飲めるようになった方が良いのか?)

「まぁ副団長を始め飲めない
団員もいるがな。
後絶対飲ませられないって団員もいるが」

「飲ませられない団員ですか?」

「それについてはわしの口からは
これ以上は言えないなぁ。
 個人情報なのでな」

「これは失礼を」

(まぁ幹部の一人が酒飲むと
酒乱になって剣片手に暴れるなど
あまり話せはしないがな)

(飲めない方もいるのなら、飲めないままでも良いのか?
とはいえロキ様が飲めと言うのなら
飲むが)

ドノバンは金髪の美少女を頭に思い描き、あの時の豊穣の女主人での悪夢を思いだし、飛翔はロキに酒を勧められた時の対応を思い描く。

(ってまだ入団もしてないのに、
 何を考えているのだ)

妄想を飛翔は慌ててやめる。

「それで話は戻りますが
力を示すとはどうすれば?」

「何簡単な事だ。
五千万ヴァリス稼いできな」

「五千万ヴァリスですか?」

飛翔は突然巨額の金額を提示され
驚く。

「五千万ヴァリスだ」

もう一度ドノバンは言って、飛翔に
確認させる。

「金を払えば入団させてくれると言うことですか?」

飛翔は失望を隠せない顔で
ドノバンを睨む。

「おいおい、ウチのファミリアが
金で入団させてるとでも思うのか?


「いえ、ロキ様に限ってそのような事は」

「当たり前だ。
ウチのファミリアはそんな、底の浅いファミリアじゃねぇよ」


(まぁ金より容姿とか、巨乳とかでえらんでるからな)

そんな裏事情はおくびにも出さない。

(それにしても五千万ヴァリスと聞いて、やめときますとは言わないんだなぁ)

ドノバンは飛翔の反応に心の中で
暗い笑みを浮かべる。

(いくら天下のロキファミリアとはいえ、五千万ヴァリスの大金払えと言われたら、怒って断るのが普通だ。
なのにこいつは何故五千万ヴァリスがいるのか聞いてくる……こいつは)

ドノバンは自身の頭脳を高速回転させて思考する。
ドワーフで脳筋と思われがちだが、
実はドノバンはインテリなドワーフだった。
筋肉を鍛えるのと同じくらい、読書を好む。
共通言語だけでなく、テルスキュラの言葉や魔法帝国の一部で使われている魔法言語などにも彼は精通していた。

 (つまりこいつの言ってることはマジって訳だ。
ロキに惚れていてどうしてもロキファミリアに入りたいんだこいつは
まぁロキに惚れてるってのは全く理解できないが……団員とは違って
我がファミリアの主神様は女性の魅力にかけるからなぁ)

ドノバンはさっき飛翔が約一時間もかけて、話したロキへの熱い想いの
丈を聞かされたのを思い出す。

(ロキ云々はどうでもいい。
それよりこの日下と言ったか、やつのロキの事を語る時の眼は、まるでフレイヤファミリアの団員達の眼にそっくりだ。
ウチの主神様は美神じゃねぇはずなんだが、奴らと変わらない敬愛を
ロキに持っていると計算すると)

ドノバンは自分の次の言葉を固唾を飲んで待っている、飛翔に笑みを浮かべる。

(こいつは久しぶりのカモだ。
 それもとびっきりの)

カモだと確信したドノバンは
悪巧みを実行に移す事に決める。

(ロキがそんなに大好きならロキの為とか適当言ったら、うまくいく   なぁ)

ドノバンは頭の中で立てた、詐欺の段取りを言葉に出した。

「まぁまず何故五千万ヴァリス必要なのか言わせてもらう」

空になった火酒の酒瓶をドノバンは
机に戻す。

飛翔は大事な話をこれから話すのだと思い背筋を伸ばす。

「この五千万ヴァリスは、ウチのファミリアのためひいては、ロキ様の為の五千万ヴァリスだ」


「ロキ様が五千万ヴァリス欲しいのですか?」

「ああそうだ」

(食らいついたな。
恋は盲目とは良く言ったものだ)

「さっきも言ったが、最近の闇派閥との抗争で、ウチは団員を失った。
数年ぶりの死者にロキは心を痛めてなぁ。
せめてあの世でも寂しくないようにと、慰霊祭を行いたいと言ってるの さ」

「慰霊祭ですか?」

「そうだ。それをガレスさんが
仕切りを任されてるんだが、どうしても予算が後五千万ヴァリス足りないんだ」

ドノバンは淡々と嘘八百並べて、
巧みに飛翔の心を誘導していく。

「実は現在ウチに入りたいと
言ってきてる者が何人かいる」

「ロキファミリアなら引き手数多は
当然でしょう」

飛翔はさもありなんと、納得顔で
話を聞き続けている。
主だった団員及びロキが留守の 
黄昏の館は恐ろしく静かだ。
たまに庭の方で、まだまだサポーターなどを任されている、二軍の居残りメンバーが鍛練をしている
声が聞こえたりはするが。

「まぁそうなんだが、問題は
そいつら全てレベル3なんだよ
幹部の推薦も受けている 
とはいえ三大幹部の団長、副団長
ガレスさん達じゃないがな」

「つまり、レベル2のそれがしでは
そのレベル3には劣ると」

「そうなるな。
幹部の推薦も受けている以上
彼女らが枠を埋めてしまうだろう。
ウチが女性の団員数の方が多いのは知ってるよな?」

言葉を選びながら巧みに、揺さぶりをかけて、時に真実を交えるドノバン。

「つまりこのままだと、亡くなった
団員の補充はそのレベル3の方達で
事足りると」

「そういうことだ。
レベル2はお呼びじゃねえ」

首を左右に振りながら、突き放す言葉を飛翔にドノバンはぶつけた。
ぶつけられた飛翔は顔を俯け、
拳を握りしめる。

(よしよし、このままだと入団できないとショックを受けてるなぁ)

ショックを受けている飛翔の反応を
見たドノバンは手応えを感じる。

(ウチに定員数なんて、ねえっての
まぁ、大半の入団希望者はベートに
睨まれた瞬間ビビってやめたり、
またはアイズに戦おうとか言われて
辞退してるけどな)

「お呼びでないそれがしが、
入団するには五千万ヴァリスいると」

「ガレスさんは義理堅いドワーフだ。
五千万ヴァリスの寄付で、慰霊祭を
出来たとなると、団長と副団長に
頭を下げてでも、その寄付者が入団を望むなら頼み込んでくれるだろうなぁ。
ロキ様も亡くなった子らの冥福を
祈れる祭りが開けてお喜びになるだろう」

ドノバンの話を飛翔は耳を傾けて、
しっかりと聞く。

(もう一押しだな)

ドノバンは大金を手に入れるため、
丁寧に嘘話を続ける。

「慰霊祭が開けたら、ロキ様のやけ酒も収まるかもしれないなぁ」

「やけ酒ですと?」

「あぁ、子供を失ったロキは
毎晩一人涙を流しながら、浴びるように酒を飲んでいる。
ガレスさんも何度も付き合い、その度に慰霊祭を開きたいと、頼んでいるそうだ」


「何とロキ様がそのような
……慈愛溢れるロキ様の事無理もありません」

涙を浮かべながら、飛翔は目頭を押さえる。

「ぶっ……ああっそうだな
ロキは慈愛溢れる自慢の主神だよ」

(危ねぇ吹き出しそうになった。
あの365日飲んべえの貧乳女神が
慈愛溢れるって、頭わいてんのかよ)


「まぁ神だから体は大丈夫何だが、
心は病んでいるだろうなぁ。
団員達の中にはショックで天界に
送還されるのではと、言う者達もいてなぁ」

「ロキ様何とお痛わしい」

飛翔は酒に溺れ、心が病んでいるロキの姿を脳裏に描く。

「何とか慰霊祭を開きたいと
幹部を始め、皆思ってるんだが
どうしても五千万ヴァリス足りないんだよなぁ。
ガレスさんも金策に走ってるんだが
集まらなくてなぁ。
大派閥と言っても、ギルドのミッションだの遠征だので、実際は
ファミリアの財政は火の車でなぁ」

飛翔に対してドノバンは同情を誘うようにガレスが金策に苦労していて
それでも主神のために頑張っているのだと強調する。
そうやって長話をしたかいが、
やっと形となってドノバンの前に現れる。

「あいわかりもうした‼️」
 飛翔が強い意思を宿した眼を
しながら、毅然と立ち上がり
ドノバンを見据える。

「ロキ様の思いわかりもうした。
五千万ヴァリスであの方がやけ酒を
止め笑顔になれるなら、安いもの。
その五千万ヴァリスそれがしが
用立てましょう」


「本当か?
 五千万ヴァリスっていやぁ大金も大金だぞ」
ドノバンは内心ガッツポーズしたい気持ちを抑えながら、飛翔を信じられないような眼で見る。
勝算はあったとはいえ、あまりに上手くいきすぎているので、戸惑ってしまいそうになる。


「男に二言はありません。
ロキ様の為なら一億ヴァリスでも
稼いでご覧にいれましょう」

「そこまでして、ウチのファミリアに入りたいのか?」

「無論。
ステータスも持たない非力な身では
あの方の力になれないと思い、ファルナこそ得ましたが、ファルナを得ただけでファミリアには加入しておりません。
加入するならロキファミリアと誓い、我が人生全てロキ様の為に捧げる所存です」

「レベル2でウチに入ったら
下っ端のサポーターや雑用をすることになるんだぞ?
他のファミリアならレベル2なら
結構優遇してくれるぞ」

飛翔の態度から、ひるがえす事はないと思いながら、思惑に気づかれないように、一芝居ドノバンはうつ。

「新人ならば当然の事です。
それにあの方が天界に送還されでもせぬ限り他のファミリアに入団する気はありません」

(マジかよ……訂正だ。
これは極上のカモだ。
上手くすれば五千万ヴァリス以上引き出せるかもしれねぇ)

ドノバンは近く手に入る大金を
目の前に見た気がした。
ドノバンには飛翔が金のなる木のように思える。

「そうかよしわかった。
そこまでウチのファミリアを思ってくれるなら、五千万ヴァリス寄付してくれたら、お前さんを幹部にするようにガレスさんに掛け合おう」


「それがしがロキファミリアの幹部ですか?」

「ああ。
ロキへの献身それに
ロキへの敬愛。
どれもウチの団員には欠けているものだ。
ガレスさんには有望な若者がいると伝えておく」

「ありがたいウォード殿」

飛翔は頭を深々と下げた。
幹部の地位とかあまり欲しいとは思わない飛翔だったが、幹部になれば
ロキにより尽くせると思った彼は
ドノバンの言葉に胸を踊らせた。
飛翔にとってロキは全てにおいて優先するのだ。
もしロキに死ねと言われても、彼らは寸刻も迷わないだろう。

「後は五千万ヴァリスを用立てて
使える人材だと証明して見せてくれ。
そうすればガレスさんも団長と副団長を納得させられる」

「わかりもうした」

「とはいえ、すぐに用意できる大金じゃねぇのはわかる。
そこでとりあえず、頭金として
1000万ヴァリスを先に入れてくれないか? 」


「一千万ヴァリスを」

「そうだ五千万ヴァリスを即金で用意するのは無理だろう。
だから分割だ、ただ時間が掛かりすぎると、お前さんの本気が疑われる。
そこでとりあえず今日から14日以内に一千万ヴァリス用意してもらいたができるか?」

「二週間で一千万ヴァリスですか?」

五千万ヴァリスを払うと決めた飛翔だったが、時間を区切られるとは
思わなかったが、本気を疑われると言われては否やはない。

「ウチのレベル3は7日で一千ヴァリス稼げるやつもいる。
お前さんはレベル2だから、その倍の日数あれば出来ると思ったんだが……」

「わかりもうした。
14日で一千万ヴァリスですな。
ではとりあえずこれを納めてくだされ」

そう言って飛翔は自分が持ってきて食堂の棚に置いていた、自分の背負って来ていた背嚢から無数の硬貨の入った袋を取り出す。

「一千万には届かぬが、餞別として
以前のファミリアの先輩と主神から
貰いました。
四百万ヴァリスございます」

「……おおっ、こいつはすまねぇなぁ」

大笑いしそうになるのを、唇を噛んでこらえながら四百月ヴァリスを
ドノバンは受け取る。

「とりあえずこれで残りは600万ヴァリスを14日以内ですなぁ」

「あぁそうだ。
そうそう。この事はロキには直前まで内緒にしたいんだ
神々の言葉で言うところの、サプライズってやつだ」

「サプライズですか?」
聞いた事のない言葉だと飛翔は思う。

「あぁ何でもこれをやると、神々は
めちゃくちゃ喜ぶらしい
ロキも大好きだ」


「わかりました。
本来なら金の目処がたつなら すぐに知らせたいところですが、ロキ様が大好きならば仕方ありません」

「あぁそういうわけで、今後の支払いは、こちらから連絡する。
ホームでやり取りするとロキにばれるからなぁ。
すまんが住んでる所を教えてくれねぇか、こっちから遣いの者を送らせてもらう」

「わかりました。
そのときにお金を渡せばいいのですね」

「そうだ。
とりあえず14日目に遣いの者を
送るつもりだが、もしそれより早く金の都合がつくと言うのなら
モルドーって冒険者がいる。
そいつにドノバンと連絡を取りたいと言ったら、わしと連絡が取れるようにしとくまた、わしからの遣いも、そのモルドーが担当する」

ドノバンは、モルドーのファミリアのホームとモルドーの写真と 後
ロキファミリアのエンブレムの入ったナイフを渡す。

「モルドーに会ったらそれを見せればいい。
ただし、まだ正式な団員ではないからそれ以外の用途には使わないでくれよ。
他人に見せるのもなしだ」

「わかりもうした」

飛翔はドノバンの説明をうんうんと頷いて聞く。

「色々と手間が掛かってすまんなぁ。
でもいくら入団希望者とはいえ、
野良冒険者に無心したとなると
ガレスさんの名声に傷がついちまうんでなぁ。
ロキにも内緒にしないといけないし
事は慎重に運ばないといけないんだ」

申し訳なさそうに、手を合わせて
ドノバンは詫びる。

(五千万ヴァリスを騙しとるんだ
慎重にいかないとなぁ)

それからドノバンは細部のすりあわせをする。
飛翔を信用させるため、自分の名前で領収証を書いてやる。
仮に見つかってもドノバンと飛翔の個人的な金銭のやり取りとごまかすためだ。
次に飛翔の住所を聞き、念のために地図も書いてもらう。

(まぁバレそうになったら、絞れるだけしぼって、腕前の最終確認とか言ってダンジョンで始末すれば
いいしなぁ)

ドノバンは地図を一生懸命書いている飛翔を見下ろしながら、とりあえず四百万ヴァリスでカジノで遊べるなと思った。

「住んでいるのは、都市北西部第7区にある集合住宅かまた随分と辺鄙(へんぴ)なところに住んでるんだな」

「まだ契約しただけで、  
入居はまだですが」
飛翔は恥ずかしそうにしながら
言う。

「まぁ、五千万ヴァリス寄付すれば、幹部としてこの黄昏の館に住めるまでの仮住まいだし、安さが一番だな」

「1日でも早く、入団出来るように頑張ります」

飛翔は強い意思を込めて宣言する。

「そうかい。
じゃあこの四百万ヴァリスと紹介状はガレスさんに渡しておくぞ」

「お願い致します後、1つお願いがあります」 
頭を飛翔は深々と下げる。

「何だ言ってみろ」

「それがしが入団した後は、寄付金を集めた事はロキ様を始め、他の団員の方には秘密にしていただきたい」

「何故だ?」

「金でロキ様が喜ぶのは構いませんが、それでロキ様や他の幹部の方々に恩を売るつもりはないからです」

「自分の手柄を誇らないのか?
この金策が上手くいけば、ガレスさんは大助かりだし、他の幹部達にも大きな借りを作れるぞ」

「金の縁は金が切れれば無くなります。
それがしはそのような浅い縁など
入りません。
先程も言いましたが、ロキ様への献身は冒険者として成す偉業で果たす所存」

「そうかわかった。
寄付金の話はガレスさんとわしの
秘密にさせてもらおう」

「お願い致します」
ドノバンから、約束を取り付けた飛翔は、ではそれがしはこれでと、言って黄昏の館を後にした。

その後ろ姿が見えなくなるのを
ドノバンは腹を抱えて笑いそうになるのを堪えながら見送る。
(マジかよ何もかもが、上手く言ってるぞ、大金も手にはいるし、
運が向いてきたぁ)

ドノバンは飛翔の後ろ姿が見えなくなったのを確認した後
空に向かって両拳を突き上げた。
「やったぞぉー今日はグランカジノで夜通し遊べる。
この間の負けを取り返すぞ」

ドノバンは早くグランカジノに行きたい気持ちを抑えながら、出払っている団員達の帰りを待つのだった。


こうして飛翔はありもしない
慰霊祭の為の寄付金を集める事になった。

だが彼の心は五千万ヴァリス払えば、愛しいロキの眷族になれると
弾んでいた。
 

その熱い思いを胸に秘め、目指すはダンジョン。

「後4600万ヴァリス‼️」

飛翔はダッシュでバベルへの道を駆け抜けるのだった。




 
 

 
後書き
最後まで読んで頂きありがとうございました。
 
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