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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE145 黒幕現る・・・ALO最終決戦

暗闇に覆われた空間……ユイは姿を消し、キリトとアスナはまるで惑星ベジ〇タ並の重力に襲われてるかのように、キリトは膝をつき、アスナは床に伏せていた。

アスナ「キリト……くん……」

アスナがキリトの名を呼ぶ。キリトがそれに対して何か答えようとしたかと思った時だった――

「やあ、どうかな、この魔法は?次のアップデートで導入される予定なんだけどね、ちょっと効果が強すぎるかねえ?」

その甲高い声には聞き覚えがあった。確かあれはSAOの第二回リアルマネーゲームを生き延びた俺と赤眼のザザの前に黄金のローブを全身に纏って姿を現した声の主。

キリト「――須郷!!」

キリトが唸るような声で叫んだ。須郷だと……?アスナを閉じ込めた張本人にしてレクトの主任研究員にして倉崎の大学時代の後輩だった須郷が、あの時の男だったって言うのか?

「チッチッ、この世界でその名前は止めてくれるかなあ。君等の王に向かって呼び捨ても戴けないね。妖精王、オベイロン陛下と――そう呼べッ!!」

声の語尾が強く絶叫に変わると、同時にその男はキリトの頭を足で踏みつけて、その足を左右に動かしていた。
全身には緑色の長衣(トーガ)を纏い、その上に、如何にもアバターらしい感じの美形の顔がある。

アスナ「オベイロン――いえ、須郷!貴方のしたことは、全部この眼で見たわ!!あんな酷い事を……許されないわよ、絶対に!!」

オベイロン「へえ?誰が許さないのかな?君かい、この彼かい?それとも僕が1000万円をプレゼントしてやった彼かな?それともまさか神様かな?残念ながら、この世界に神はいないよ。僕以外にはね、くっ、くっ!」

笑いの混じった声で言うオベイロンはキリトの頭を更に強く踏み下ろしていた、だがどう言うわけか俺はこの場でもキリトやアスナとは違い魔法の効果を受けずに動けるので、俺は地を蹴りつけてオベイロンに一瞬にして急接近すると同時に、鞘に入った状態の剣をオベイロンに向かって振り払う。

オベイロン「おっと……!凄い早い動き……流石はSAO時代の補足転移使いのオズマ君ってところかな……?」

俺「――ッち!障壁か……?」

俺の攻撃は透明な虹色の掛かった障壁により憚られて、俺の腕に鈍い衝撃が走っていた。オベイロンにまともなダメージは行きわたっていないようでその下卑た笑みは余裕を窺わせる。

オベイロン「君の得物は中々の代物だけど、この魔法障壁を武器で打ち破るには伝説(レジェンド)クラスのウエポンじゃなきゃ話にならないなぁ~……ま、そんな武器を持ってるプレイヤーは未だにこのALOには一人もいやしないんだけどね」

俺「ようするに、仮に妖精王オベイロンと対峙しても、勝てる手段はプレイヤー側には一切無しってか――ホントアンタ、システム権限でやりたい放題だな」

この状況はヤバいと内心で冷や汗を掻きながらも、俺は強気を装い不敵な笑みを見せつける。そんな俺のハッタリが奴にどれだけ通用してるか分からないが。

アスナ「やめなさい、卑怯者!!」

アスナが叫ぶが、そんな言葉には耳も貸す事なく、オベイロンは身を屈めると、キリトの剣を鞘から抜き取り、伸ばした人差し指の上に、巨大な剣を耐えて垂直に回転させていた。

オベイロン「―――それにしても桐ケ谷君、いや……キリト君と呼んだ方が良いかな。まさか本当にこんなところまで来るとはねぇ。勇敢なのか、愚鈍なのか。まあいまそうやってはたばってるんだから、後の方かな、ククッ。僕のことりちゃんがカゴから逃げ出したって言うんで、今度こそきついお仕置きをしてあげようと急いで帰って来てみれば、いやあ驚いたね!籠の中にゴキブリが迷い込んでるとはね!――そう言えば、あと一つ妙なプログラムが動いてたな……」

オベイロンは言葉を区切ると、左手を振ってウインドウを出して、しばらく青い発光を放つスクリーンを眺めていたが、鼻を鳴らしスクリーンを閉じる。

オベイロン「……逃げられたか。あれは何だい?そもそもどうやってここまで登ってきたのかな?」

奴の言葉からしてユイは消されたのではなく、どこかに逃げたらしいが、状況が好転したわけではない。

キリト「飛んできたのさ、この翅で」

オベイロン「――ふん、まあいい。君の頭の中身に直接聞けば解る事さ」

キリト「……なに?」

オベイロン「君はまさか、僕が酔狂でこんな仕掛けを作ったと思ってるんじゃないだろうね?」

オベイロンは指先で剣をバウンドさせながら、笑みを浮かべる。

オベイロン「元SAOプレイヤーの皆さんの献身的な協力によって、思考・記憶操作技術の基礎研究は既に八割がた終了している。かつて誰も為し得なかった、人の魂の直接制御という神の技を、僕はあと少しで我が物に出来る!sの上、本日めでたく新しい実験体を手に入れたわけだ。いやあ、楽しいだろうね!!君の記憶を覗き、感情を書き換えるのは!!考えるだけで震えるね!!」

キリト「そんな……ことが、出来るわけが……」

途方もない馬鹿げた台詞に対してキリトが呟くが、オベイロンは再び右足をキリトの頭に乗せつま先を動かす。

キリトに意識が完全に向けられて、俺の存在など全く眼中にないであろうオベイロンに対して俺はもう一度、コンマ一秒の間も置かず、鞘に収まった状態の剣で右から左への振り払いを食らわせる―――が、結果はさっきと同じ、魔法障壁が自動発動し俺の攻撃は届かなかった。

俺の攻撃を魔法障壁で防いでオベイロンはため息交じりに微笑を浮かべ、愚弄するように左手の人差し指を左右に振りながら言う。

オベイロン「やれやれ……しつこいね君もぉ~、まあ……そのしつこさと執念深さであのリアルマネーゲームを生き抜いたのは称賛に値するとは思うけどね」

俺「さっきから恥ずかしい台詞は人のいないところでやってくれ……見てる方が恥ずかしいぜ。んな事だから倉崎みてぇな下種な先輩に虐められてたんじゃねぇの?」

オベイロン「――ッ!倉崎だとぉ……!!」

倉崎の名を聞いた途端、余裕で他者を愚弄する不敵な笑みを浮かべていたオベイロンの表情が激しく怒りに歪んだ表情に変貌した。
その苦悶の怒りを感じさせる表情を俺に向けた後、オベイロンはヒステリック気味な叫び声をあげる。

オベイロン「オイッ!お前たち……どうなってる!?なぜ、コイツには例の魔法を掛けてないんだ!!」

キリト「一体……誰を……」

誰を呼ぶのだとキリトが呟こうとした時だった。俺がこの世界で見つけたら始末してやることになっていたそいつらは見知った面のまま、何の感慨深さも感じさせずに現れるのだった。

ガチャモン「いや~、僕たちも当然オズマ君も魔法の対象に含めたんだけどさぁ~」

モック「いやはやこれがどう言うわけなんでしょうかね?彼には我々のシステム権限で発動した魔法が何故だか効果が現れないみたいなんですよ~」

キリト「ガ、ガチャモン!!」

俺「ようやく出やがったか、お前らそっちの自称妖精王様の手先だったみてぇだな」

そいつらの姿を見たキリトが驚嘆の叫び声を上げていた。アスナから先程ALOにガチャモンとモックがいる事を聞かされていたが、改めてSAOで散々自分達を翻弄した奴らが再び別の仮想ワールドで目の前に現れた事への動揺は大きいだろう。

モック「あのぉ~……ガチャモンだけじゃなくて私もいるんですけどね~」

モックだけキリトに名前を呼ばれなかった事はどうでもいいが、どうやらガチャモンとモックのシステム権限を用いた一切の攻撃は俺には効果が無いようだった。
思い当たるのは倉崎が自作し、今は俺のアイテムストレージに入っているアイテムだ。これはガチャモンとモックに対して強制プログラムを発動させるだけではなく、奴ら側からのシステム権限を用いた直接的な干渉を無効化する効果もあるのだろう。

オベイロン「お前たち、僕は今からこっちの馬鹿な子供と小鳥ちゃん達のお仕置きで忙しいから、そいつの排除は任せるぞ。システム権限で直接的に干渉できないと言うのなら、間接的な手段での始末を実行しろ」

命令口調のオベイロンに対してガチャモンとモックは二人同時に敬礼を決める。奴がキリトとアスナに何をしようとしているのか――ロクでもない事なのは確かだが、俺は今からSAO時代からの因縁である連中との決着を付けなきゃならなさそうだな。

ガチャモン「オッケーボスぅ~。と言うわけでキリト君、ボスは大学時代は倉崎っていう先輩の格好の虐めのターゲットだったけどさ、それが今じゃ一蹴まわって裏ではマフィアのボスもドン引きのサディストだからね、付き合うのは骨が折れると思うけどよろしくしてあげてね~」

モック「ぐほほッ!アスナさん、我々のボスの婚約者である貴方ならきっといいお嫁さんになれますですぞ!現実世界での夫婦の営みの予行練習だと思い……ボスの童貞を是非あなたの処女で―――」

オベイロン「さっさとしろぉ!仕事が遅いと二人とも後でデリートするぞぉ!!」

余計な事まで口走るガチャモンとモックに対してオベイロンはまたしてもヒステリック気味な喚き声をあげる。直後にぜぇぜぇと息を切らすオベイロンに対してガチャモンとモックは視線を一瞥させて、俺はその間に倉崎によって渡された自作アイテムを使用していた。

何かのディスクのようなアイテムを使用すると、それは俺の剣に吸い込まれるように消滅し、俺の剣の刃には青色に発光する、無数の細かいアルファベットが表示されていた。

ガチャモン「さてと、それじゃ……オズマ君にはどう言うわけか僕らのシステム権限で直接干渉できないから――ブロック発動!!」

俺「なに……!」

ガチャモンの叫び声と同時に俺とガチャモン&モック。そしてオベイロンとアスナとキリトを遮るような巨大な壁が出現していた。
その壁や横にどこまでも続き先が見えず、縦にも暗闇全体を覆う様に出現し、完全にキリト達と分散させられていたようだった。

モック「おやおや?いつの間にかオズマさんの剣に妙なコードが刻まれてるみたいですけど、これは一体何なんでしょうかね~?」

俺「オメェらを修正する為のちょっとした仕掛けって奴だよ。実際に食らって見りゃ分かると思うぜ」

ガチャモンとモックはお互いに顔を一瞬見合わせた後、すぐに俺の方にその変化の無い顔を向きなおし。

ガチャモン「それじゃ、僕ら側のシステム権限で直接干渉の出来ない君の相手はこいつにしてもらうとしようかな?」

モック「おおッ!ガチャモ~ン……あ、あれを呼び出すってんですか!?」

ガチャモン「呼んじゃうよぉ~。準備は良いかいモック?」

モック「合点承知の助ですぞ!……あ、そ~れ!」

俺「さっきのオベイロンより恥ずかしいぞテメェら……」

ガチャモンとモックは同時に両腕をクロスするように×印を作ると、今度はまるでポ〇モンのZ技のポージングの様にダサい動きを披露、いい加減に付き合いきれるかと思った俺が奴らに斬りかかろうとした直後だった。

ガチャモン&モック「「召喚魔法発動!!……いでよ、マキシマム・ザ・フェニックスぅぅぅぅぅ!!」」

俺「って、召喚魔法かよ!!」

俺が叫んだ時には既に魔法陣の出現と同時に、俺とガチャモン達の間に阻む様に全長が2メートル近くありそうな、全身を紅蓮の炎に身を包んだ、神話とかゲームとかによく出てくる、不死鳥が姿を現し、黄色い光を放つ、敵意と悪意が入り混じった眼光を俺に向けてくるのだった。

モック「ぐほほッ!このマキシマム・ザ・フェニックスは既にデータ上はこのALOには存在済みでしてな。一対一での戦闘イベント用のボスを想定して設計されているわけですがね、あんまりにも強力過ぎて、今現在のALOのプレイヤー達の力では最強格のプレイヤーですら勝てる可能性が極めて低いとの事で実装を見送られている危険度SSS級クラスのモンスターですぞぉ~」

ガチャモン「くすす、オズマ君。下手したらこのフェニックスの紅蓮の炎はね、エルダさんの焼き土下座の時以上にあっちっちな熱エネルギーかもしれないよぉ~」

俺「お前ら……ペインアブソーバを切ってやがるのか……!」

奴らの態度から俺は本能的にそう確信した。ペインアブソーバは仮想世界内での痛覚を一定のレベルに制限する、VRゲームにおいて決して欠かす事の出来ないシステムであり、それが失われれば、どんなVRゲームもゲームとしての体裁を為さなくなってしまう。

ガチャモン「さてと……それじゃ始めちゃいましょっか!オズマ君の全身を焼き焦がすフェニックスによるハラハラドッキドキな……SAO時代から続く最後の公開処刑ゲームをね!!」 
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