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夢幻水滸伝

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第七十三話 荒波を見てその十一

「まさに」
「鬼の様に強いですね」
「そうぜよ」 
 まさにというのだ。
「神星の脅威は相当ぜよ」
「そうですね」
「わしは地の星、おまんは人の星」
 正岡は自分達の星の話もした。
「この違いはあるぜよ」
「厳然としてですね」
「しかも向こうは神星だけじゃないぜよ」
「星の方は十人でしたね」
「そうぜよ、それだけいるぜよ」
「神星のお二人も含めて」
「これは大きいぜよ」
 正岡もわかっていた、このことが。
「だから相当に強いぜよ」
「我々が二人であるのに対して」
「だからぜよ、付け入るぜよ」
 正面から全力同士でぶつかるのではなく、だ。そうした戦いになれば勝ち目がないと確信しているのだ。
「そうするしかないのう、関西相手には」
「四国を統一しても」
「そうぜよ、まあこれだっていう人達じゃったら」
「降ってですね」
「それで国と民を安らかにして」
 そしてだった。
「わしはわしのやることをやっていくぜよ」
「そうお考えですね」
「そうぜよ、わしは天下への野心はないきに」
 天下統一だの自分が頂点に立つ様なことには興味がないというのだ。
「恰好よくないたいと思っちょってものう」
「権力にはですね」
「興味がないぜよ」
 こう言うのだった。
「どうにものう」
「では名誉や富は」
「金持ちにはなりたいが」
 しかしと言うのだった、名誉は最初からなかった。
「やっぱりのう」
「ご自身よりもですね」
「国と民が豊かになればじゃ」
「そちらの方がですね」
「ずっといいぜよ」
 こうした考えだというのだ。
「わしはのう」
「やはりそうですね」
「それがわしの望みぜよ、そもそもわしは神具もじゃ」
 神器とも言われるそれぞれの星の者達だけが使えるこれもというのだ。
「短筒も含めてじゃ」
「どちらも戦向けではないですね」
「万国海法にしてもじゃ」
 こちらもというのだ。
「戦向けではないぜよ」
「短筒は戦用の武器ですが」
「武器でも弱い方じゃろ」
 こう考えているのだ。正岡自身は。
「使うわしの性格もあってのう」
「戦よりも政ですね」
「そうぜよ、だからどうしてもぜよ」
「正岡さんはですね」
「戦には勝てん、だからじゃ」
「貿易をしていかれたいですか」
「そちらの政を中心にな」
 そうしたいと言うのだった。
「やっぱりのう」
「そうなのですね」
「そうぜよ、あとわしは尊敬しちょる方がおる」
「坂本龍馬さんですね」
 笑ってだ、織田は正岡の言葉に応えた。
「左様ですね」
「わかるか」
「はい、外見や神具がそのままですから」
「ははは、尊敬しちょる人になれて何よりじゃ」
「馬人であるのもですね」
「龍馬じゃからのう」
 龍に馬だ、一説によると彼が生まれた時に首から背中に毛が生えていて鬣の様だったのでこの名になったらしい。そして夜に龍が見えただのいう話もあるらしい。
「馬人になれて最高じゃ」
「こちらの世界で」
「まっこと満足しているぜよ」
「高知生まれだけあって」
「ずっと龍馬さんが好きでじゃ」
 それでというのだ。
「今もじゃ」
「お好きですね」
「そうぜよ」
 まさにというのだ。
「わしは」
「やはりそうですね」
「好きっていうか尊敬しちょる、そしておまんもな」
「拙僧は実家がお寺でして」
 織田も織田で答えた。 
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