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麗しのヴァンパイア

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第八十八話

第八十八話  ビクトル=ユゴー
 華奈子は美奈子が今言ったビクトル=ユゴーという作家について尋ねた。
「ああ無情書いた人って言ったけれど」
「その通りよ」
 美奈子もすぐに答えた。
「他にも色々書いてるわよ」
「そうなの」
「華奈子はああ無情しか知らないの」
「あの作品のアニメあったから」
 それでというのだ。
「知ってるけれど」
「他の作品は知らないのね」
「そうなの。どんな作品があるの?」
「嵐の九十三年とか」
 美奈子はこの作品の名前も挙げた。
「ノートルダムのせむし男とかね」
「せむし男ってあれよね」
 華奈子はこの言葉は知っていた、それで考える顔になって述べた。
「背中が曲がった」
「そう、その背中の人が主人公なのよ」
「そうした作品もあるの」
「そうなの、けれど華奈子ってせむし男って知ってるの」
「前お母さんに昔の漫画読んでる時に教えてもらったのよ」
 そのせむしについてというのだ。
「今はあまり使われていないっていうけれど」
「私もこの前図書館でノートルダムのせむし男見て知ったのよ」
「そうだったの」
「華奈子はお母さんに教えてもらったのね」
「そうなの、この前ね」
 こう美奈子に話した。
「それで知ってるけれど」
「そのことはわかったわ」
「そういうことでね、ただ結構書いてる人なのね」
「フランスじゃ凄い有名人らしいわ」
 実際に祖国では文豪として有名である。
「日本で言うと夏目漱石かしら」
「ああした感じなの」
「もう誰でも知ってるね」
「そうした人なのね」
「政治家でもあったそうよ」
 議会で議員を務めてもいた、ナポレオン三世の時代はこの人物に反発して他国に亡命していたりもしていた。
「かなり長生きした人で一文字だけの作品も書いたそうよ」
「一文字だけでってのも凄いわね」
「あのびっくりの文字ね」
「『!』ね」
「そう、『!』の文字だけで書いたの」
 このことは本当の話だ。
「やたら長い作品が多いらしいけれど」
「逆に一文字だけなの」
「そう、大長編とは逆にね」
 そうもしたというのだ。
 美奈子は華奈子にユゴーの話もした、このフランスの偉大な文豪のことも。


第八十八話   完


                2018・9・12 
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