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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE144 感動の再会と圧倒的蚊帳の外

多くのプレイヤー達の協力を得て、ついにグランドクエストを突破したオズマとキリト……プレイヤーでは決して開ける事の出来ぬはずの、運営権限によって閉ざされたシステムの扉をユイの力により解放し、オズマ、キリト、ユイが転送された先は静寂な空間……by立木ナレ


俺「んで、結局ここは、どこだよ?」

ユイ「……判りません、ナビゲート用のマップ情報が、この場所にはないようです……」

ユイは困惑した顔で言っていた。

キリト「アスナのいる場所は分かるか?」

キリトが聞くと、ユイは一瞬目を閉じ、大きく頷く。

ユイ「はい、かなり―――かなり近いです。上の方……こっちです」

ユイは音も無く走り出し、俺とキリトはその後を追う。ユイの後を追って数十秒走ると、左側、外周方面の壁に四角い扉が見えてきた。これも一切装飾は無い。

ユイ「ここから上部へ移動できるようです」

俺「ここからって――エレベーターみてぇだな……」

キリトもそれを見て一瞬硬直していた。上下二つに並んだ三角形のボタンはまさにエレベータのボタンに見えてならない。

俺「とにかく、これで上に移動すりゃいいんだな?」

ユイ「はい、そこにママがいるはずです」

俺の目的は別にアスナってわけじゃないんだが、ここまできたら行けるところまで行ってやりたくなる、それに俺やキリトがこんなところまで来てしまえば、このALOのどこかでプレイヤー達の管理者を気取っているガチャモンやモックが向こうから顔を出してくれるかもしれない。

俺は三角形の上向きのボタンをタッチすると、すぐにポーンと言う効果音と共に扉がスライドしてその向こうの箱型の小部屋が出現し、俺達は一斉に乗り込んだ。
向き直ると、ドアの脇にボタンの並んだパネルがある。今度はキリトが一番上のボタンを押す。

しばらく上昇した後、エレベータはすぐに停止した。開いたドアの向こうには先ほどまでいた場所と似たような湾曲した通路だった。

キリト「高さはここで良いか?」

ユイ「はい。―――もう、すぐ……すぐそこです」

ユイはキリトの手を引いて走り出した。いくつか、内周に並んだドアの前に差し掛かったが、ユイはそれらに目をくれる事無く通過していく。
そして、何もない場所でユイは立ち止まった。

キリト「……どうしたんだ?」

ユイ「この向こうに……通路が……」

呟きながら、ユイは外周の壁を手で撫でた。するとゲートの時と同じように青い光のラインが直角に曲がりくねり壁面を伝る。
そして、ふといラインが四角く壁を区切り、音を立ててその内側が消滅した、奥にも向かんそうな通路が伸びていた。

俺「また、走り出したぞ……」

キリト「……ユイには分かるんだ……アスナの場所が……」

一層スピードを増して走りだしたユイだが、キリトはそのユイの行動に全幅の信頼と言うべきか、何かしらの確証があると踏んでいるようだった。
あのユイと言うピクシーが本当にこのALOのプレオープンで配布されたプライベート・ピクシーなのか、大いに疑問に思えていたが今はその事で話している時ではないし、俺が根掘り葉掘り聞いて知るような事でもないだろう。


オズマがそう考えている一方でキリトは否応なく、アスナと共にソードアート・オンラインの終焉の瞬間を想起していた。
アスナと並び腰掛け、浮遊城の終焉を見取り……あのトイの永遠の夕焼けの世界。キリトの耳音にアスナの声が蘇る!

『私達は、何時までも一緒』

「ああ――そうだ、俺は、戻って来たよ」

そして、視線の足許に会ったのは恐ろしく太い木の枝であった! by立木ナレ


俺「ここが世界樹の樹の上か……まさかALOを始めて数週間とか数日の俺等が真っ先に来ちまうとはな……」

しかし、俺は壁の如く屹立する世界樹の幹がひたすら伸び上がり枝分かれする光景を見て、その先に空中都市が存在しない事に気が付いていた。

キリト「ないじゃないか……空中都市なんて……」

俺「この通路が伝説の都市なわけもねぇしな……そもそもグランド・クエストを達成したってならドームを突破した時点で何かしらのイベントが発生してるはずだってのに、それも何もありゃしない」

要するに最初からグランド・クエストは絶対にクリアされない事を前提としていたので、その先にあると吹かされていた空中都市なんてのは実装されてすらいない、今後も実装するつもりなんて無いのは最早明白だった。

キリト「……許されないぞ……」

俺「誰をだよ……んな事よりか、さっさと行かねぇか?お前の娘とやらも、そうしたがってるみたいだからな」

ユイは気遣わしそうな顔をキリトに向けながら、右手を軽く引っ張っていた。

キリト「ああ、そうだな。行こう」

俺達が走る太い枝の、少し上空に閉口して伸びる別の枝から、円筒の上部がすぼまったオーソドックスな形の鳥籠がぶら下がっていた。
それを確認すると、キリトが走る速度を保ったまま、横目で俺の方を見ながら言った。

キリト「おいオズマ……あれってお前が肩車飛行で撮影させたスクリーンショットの……」

俺「ああ、お前もそれならエギルの店で見たと思うが、多分あれだな」

キリトとユイは既にあの中にアスナがいると確信しているようだった。金色の鳥籠の中も既にはっきりと見えている。一つの大きな植木と、様々な鼻の鉢が白いタイル張りの床を彩っている。中央には、豪勢なバカでかいベット。更に純白の丸テーブルと、背の高いイスに腰かけ、両手をテーブルの上で組み合わせ、祈りでもしてるかのような姿勢で頭を垂れている女が一人。

その瞬間、その娘が顔を上げると――それはまさしくスクリーンショットで見た時と同じ顔……むしろその顔は鮮明にハッキリとアスナである事が分かる。
アスナの表情はキリトを捉えた瞬間、両手が口元を覆い、その瞳からは輝くような涙を零していた。

キリト「―――アスナ」

ユイ「ママ……ママ!!」

キリトとユイは同時に叫んでいた。

俺「ドアがあるぞ、これってロックが掛かってやがるのか?」

壁よりも少し密な格子で作られた四角いドアがあり、その横のロック機構らしき小さな金属板を見てそれはそう思った。
これをどうやって外すのだろうと俺は一瞬思ったが、それは次の瞬間に杞憂であると証明される。

ユイがキリトの手を引きながら、ドアの直前で右手を身体の左側に振り上げると、その手を青い光が包み、直後い右手は右側に払われて、同時にドアが金属板共々拭き飛び消滅した。

ユイ「ママ――!!」

アスナ「――ユイちゃん!!」

ユイはそのまま一気に、入り口から鳥籠に駆け込み、アスナも椅子から立ち上がると、そのまま唯に駆け寄ると同時に抱きしめていた。

ユイ「ママ……」

アスナ「ユイ……ちゃん……」

二人の涙が次々と零れ落ちて、消えていく。キリトは走る勢いを緩めると、そっとアスナに歩み寄ったが数歩手前で足を止めていた。
そして、アスナが瞬きをして涙を払い落とし、正面からキリトを見て――その名を呼んだ。

キリト「――キリト君」

アスナ「……アスナ」

キリトは両手を広げて、アスナの胸に抱かれたユイの身体ごと、アスナを包み込んでいた。

キリト「……ごめん、遅くなった」

アスナ「ううん、信じていた。きっと―――助けに来てくれるって……」

お互いにそれ以上の言葉は不要だったのだろうか。二人はどちらかともなく目を閉じると互いの肩口に顔うずめていた。
そんな家族三人?の感動の再会の場面を目の当たりにした俺は思わず言葉を漏らしていた。

俺「……俺、場違いじゃねぇか?」


オズマ……圧倒的蚊帳の外!!キリト、アスナ、そしてユイ……三人の感動シーンを目の当たりにしているただの傍観者……ただそれを目の当たりにして突っ立ているだけ!!最早この三人の視界に、オズマと言う第三者の存在はまるで映っていなかった! by立木ナレ


キリト「さあ、帰ろう。現実世界へ」

抱擁を解いたキリトがそう口にした。ホント、さっさとこんな俺にとっちゃアウェーな場所からはおさらばしたいところだ。

俺「もうお互いのぬくもりを味わう時間は終わりで良いのか?」

アスナ「え……オ、オズマ君!?ど、どうして――――」

俺「やっぱり気が付いてなかったのかよ……」

アスナはようやく俺の存在に気が付いたようで、俺に気が付いた途端、さっきまでの自分の姿をバッチリと見られていた事からの羞恥心か顔色を赤く変貌させて、分かり易く狼狽える。
キリトも今更俺に泣きそうな顔を見られていたのを気にしているのか、バツの悪そうな苦笑いを浮かべていた。

俺「ったく……揃いも揃って俺をハブにしやがって」

キリト「いや、ホント悪かったって……ユイ、ここからアスナをログアウトさせられるか?」

俺に申し訳程度に悪いと言ったキリトは、ユイに一番重要なアスナのログアウトに就いて聞くと、ユイは眉を寄せて、首を横に振る。

ユイ「ママのステータスは複雑なコードによって拘束されています。解除するにはシステム・コンソールが必要です」

アスナ「コンソール……」

俺「って、なんだそりゃ……」

そんな言葉すら知らない俺だったが、アスナは緊張した声で言う。

アスナ「わたし、ラボラトリーの最下層で多分それらしいものを見た。……あ、ラボラトリーって言うのは……」

キリト「あの、白い何もない通路の事か?」

アスナ「うん。……あそこを通ってきたの?」

キリト「ああ」

頷いたキリトに向かって、アスナは気がかりそうに顔をしかめる。

アスナ「何か……ヘンなモノ、いなかった?」

キリト「いや、誰にも会わなかったけど……」

アスナ「……ひょっとしたら、須郷の手下と……それとガチャモンとモックががうろついているかもしれないの。その剣で斬れれば良いんだけど!」

キリト「えっ……須郷、それにガチャモンとモックだって!?」

アスナが須郷という名前、更にガチャモンとモックの名を出した途端にキリトは驚愕の声を上げていた。

俺「須郷って確か―――ALOを運営してるレクトとか言う会社の主任研究員とか言う奴だったか?そいつがアスナをここに閉じ込めてるってか?」

アスナ「ええ。――それだけじゃないわ、すぐはここで恐ろしい事を……」

アスナは憤りを滲ませるような顔で何かを言いかけたが、すぐに首を振った。

アスナ「続きは、現実に戻ってから話すわ。須郷は今、会社に居ないらしいの。その隙にサーバーを押さえて、皆を解放しいないと……行きましょう」

俺としてはガチャモンとモックがやはりここにいると言うのなら倉崎から渡された自作アイテムを食らわせてやるつもりだったのだが、キリトはいち早くアスナを戻したい一心だろうし、優先すべきはアスナの方になりそうだった。
倉崎には悪いが、ガチャモンとモックには会えなかったと言っておいて、この自作アイテムも運営に知られぬうちに処分して――誰か見てやがる。

不意に俺は背後からそんな気配を感じていた。SAO時代にモンスターではなく、隠蔽スキルで身を潜めているラフコフとかのオレンジプレイヤーに狙われたかのような感覚だ。
キリトもそれを察したのかアスナの手を離し、背中の剣の柄を握っていた。

だが――キリトは一歩も動かない。それどころかアスナも同様の状態のようだった。

俺「お前ら――急にどうした?」

キリト「く、空気が重い……!」

何故キリトとアスナが動けないのか分からぬまま、今度は鳥籠を満たしていた夕日が闇に包まれていた。

アスナ「――な、なに!?」

アスナが叫び、キリトが振り返ってアスナとユイを抱き寄せようとしたようだが、やはりキリトはそれ以上動かなかった。
やがて完全なる暗闇に覆われるが、それでもどう言うわけかキリト、アスナ、ユイの姿はハッキリと見えていた。それ以外が完全な暗闇と言う状態―――まるで異空間に放り込まれたかのようだった。

キリト「ユイ―――」

キリトがユイの名を呼んだ直後に――

ユイ「きゃあっ!パパ……ママ……気を付けて!何か……よくない物が……!」

その言葉が言い終わる前に、ユイの体の表面を電光が這いまわり、一瞬強くフラッシュした直後にユイの姿は消えていた。

キリト「ユイ!?」

アスナ「ユイちゃん―――!?」

二人は同時に叫ぶが、答えは無かった。

俺「何だよ全く……ようやくこれで終わりかと思いきや、余計に面倒な事になってきちまいやがったか……?」

濃い、リアルブラックの闇の中に取り残されたオズマ、キリト、アスナ……キリトは必死に手を伸ばし、アスナの身体を引き寄せようとし、アスナも手を差し出そうとしたが、2人の指先が触れ合う瞬間、凄まじい重力がキリトとアスナを襲い……キリトは膝をつき、アスナはその場で倒れ込む!by立木ナレ

俺「お前ら……ホントどういうことだこりゃ……!流石にゲーム内のイベントだなんて思えねぇぞ……!!」

そんな中、唯一自由に動く事の出来るオズマ!オズマは本能的に察する、このALOのすべてを管理する者達の悪意が自分達を襲っているのだと! by立木ナレ 
 

 
後書き
次回、ようやくオベイロンとガチャモン&モックとの対決の予定です。 
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