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デジモンアドベンチャー Miracle Light

作者:setuna
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第59話:デジモンカイザー

翌日の放課後、大輔達は再びパソコン室に集まっていた。

「ええ?デジタルワールドを騒がせているデジモンカイザーとやらが賢さんのお兄さんなんですか?」

「ちょっとその人、中学生でしょ?良い歳こいて世界征服ごっこ?」

「うん、情けないことにね。良い歳こいて世界征服をやり出してるんですよ。全く身内の恥もいいとこです」

「賢君…私も伊織も賢君が紳士な良い人だって分かってるから」

「はい…ありがとうございます京さん。甘やかすとああいうのが育つと言うのが良く分かりました。僕達が親になったら絶対にあんなの作り出さないようにしましょうか」

【うん】

この時点でデジモンカイザーは選ばれし子供達の反面教師となった。

「それじゃあ行くか」

【はーい】

「おー、八神に望月!武ノ内に泉まで!!卒業生が揃ってどうしたんだ?」

「え?藤山先生、どうしてここに?」

「パソコン部の顧問なんだと」

「ええ!?先生パソコン出来るの!?」

「勿論、出来ん!!」

太一の言葉に空は驚愕するが、藤山先生の次の言葉に肩を落とした。

「あ、そうだ。先生、私、少し相談したいことがあるんです。中学校生活のこと先生にアドバイスを貰いたいんです」

「俺も先生に用事があって来たんだ。俺、最近学校の授業についてけなくて…俺と芽心にアドバイスしてくれよー」

芽心と太一が見事な連携で藤山先生をパソコン室から追い出した。

去り際に芽心は微笑みを、太一はピースサインを残して。

「ありがとう芽心ちゃんに太一も。」

「さあ、急ぎましょう。太一さんと芽心さんの犠牲を無駄にしないためにも」

賢が全員を急かしてデジタルワールドに向かわせた。

D-3とデジヴァイスをパソコンに翳すと子供達はデジタルワールドに。

「今回は違うエリアか、流石に毎回同じエリアは無理か」

ブイモン達と合流するなら前回のエリアが良かったのだが、そう都合良くはならないらしい。

「ここがデジタルワールドなのね…あれ、服が変わってるわ」

「ん?あ、本当だ。伊織のも変わってる。」

「D-3を持ってる私達は変わらないけど?」

「多分、京さんと伊織君にのみ起きる現象なんじゃないかな?」

大輔とヒカリ、賢が言うと京と伊織は互いの服を見比べる。

「服が変わるなんて今の選ばれし子供はどうなってるのかしら?」

「同じデジヴァイスを持っていても違いが生じるなんて興味深いですね」

「泉先輩、私達を解析したいとか言い出さないで下さいよ!?」

「僕は人にそんなことはしませんよ!!」

「人じゃなければやるんですか…」

光子郎の言葉にツッコむ賢。

次の瞬間、全員の聞き慣れた声が響いてきた。

「ある日ー草原の中ー大輔達にー出会ったー♪」

「ちょっと止めなさいよその変なアレンジ」

森のくまさん、選ばれし子供verを歌いながら片手に友情の紋章を刻んだデジメンタル、友情のデジメンタルを持ったブイモンがやって来て、その隣のテイルモンが微妙な表情をしながらツッコむ。

ピヨモンとテントモンもパタモンもワームモンも微妙な表情を浮かべている。

「おー、ブイモン」

「おう、大輔。友情のデジメンタルを見つけたんだ。」

「え?もうか?早いなお前」

「長い間使い続けた力だからなあ、場所は何となく分かったよ、足が速いメイクーモンもいたから手に入れるのにあまり時間はかからなかったよ」

大輔に友情のデジメンタルを差し出すと、大輔はそれを受け取って懐に。

「アグモンとメイクーモンは?」

「他のデジメンタルがないかって他のエリアを探してくれてる。それにしてもどうして京と伊織がいるんだ?」

「伊織と京もD-3を手に入れたんだ。どうやら今の選ばれし子供らしい」

「な、何だってー!?伊織はともかく京が選ばれし子供ー!?…もう駄目だあ…お終いだあ…京がデジタルワールドの希望になっちまった時点で選ばれし子供の人材難が露呈しちまったあ…」

「失礼すぎるわよあんた!!」

「世も末ね…」

「テ、テイルモンも酷い…」

頭を抱えるブイモン。

テイルモンもこの世の終わりと言いたげな表情で空を見上げた。

「まあ、基本的に京を数に数えなきゃどうということはねえ。取り敢えず、今の俺には勇気と友情のデジメンタルがある。ある程度は臨機応変に…」

「……みんな、伏せて!!」

突如、賢が叫ぶと全員が反射的に伏せた。

激しい羽ばたきの音を響かせながら、カマキリのような姿のデジモンのスナイモンが襲いかかって来たのだ。胴体にあの黒い輪をはめている。

「早速襲いかかって来やがった!!」

スナイモンはすぐに小回りを利かせてこちらに飛びかかってくる。

「きゃああああ!!」

京が頭を抱えて悲鳴を上げ、賢がデジモン達に指示を飛ばす。

「みんな、攻撃を!!」

「ネバネバネット!!」

「マジカルファイアー!!」

「エアショット!!」

「プチサンダー!!」

「ブイモンパンチ!!」

「ネコパンチ!!」

スナイモンはブイモン達の一斉攻撃をかわし、直接攻撃のブイモンとテイルモンを弾き飛ばした。

「痛え!?」

「くっ、初期化さえ無ければ…」

「調子に乗りやがって!大輔、アーマー進化を!!」

「ああ、デジメンタル…」

大輔が起動台詞を言い切る前に地割れが発生し、大輔は不意を突かれたこともあり、亀裂に落ちてしまう。

「ドリモゲモン…!?」

「ホネホネブーメラン!!」

「ぐあっ!?」

ブイモンも亀裂の中に落下し、大輔は咄嗟に掴もうとするが叶わず、やがて大輔も落下してしまった。

京の叫び声が意識を失う直前に聞こえた。

「…………ちっ」

目を覚ました大輔。

周りを見渡すとブイモンが自分と同じように崖に拘束されていた。

「ブイモン、大丈夫か?」

「おう、畜生…やられちまったなあ…」

「初めまして不法侵入者君」

「「誰だ……………」」

声のした方向を見遣ると大輔とブイモンは敵意が一瞬で失せ、憐れみの表情を向けた。

「何だい?その表情は?」

「「…………歳を考えろよ、一乗寺治。」」

まず服装があまりにも痛い。

あれは小学生がギリギリセーフな見た目だ。

黒い服装に黒マントに黒いサングラス、中学生では完全にアウトな格好。

「……どういうことかな?後、僕はデジモンカイザーだ」

「あんた自分の格好を鏡で見たか?正直見た目があまりにも痛いんだけど?」

「デジモンカイザーってネーミングもかなり恥ずかしいし、見た目もアレで…」

「貴様ら…僕を本気で怒らせたいんだな?」

「見た目がアレ過ぎて迫力が全然ないな。まず服装を見直してから出直して来い」

治の怒りの形相を見ても大輔とブイモンから注がれるのは憐れみの視線。

だって見た目がアレだもん。

「もういい!!お前達のような奴らと少しでも会話してやろうとした僕が愚かだった!!今すぐ僕のしもべにしてやる!!」

黒い輪が出現し、ブイモンに向かってゆっくりと迫る。

「えー?俺はあんな自己中変態仮面のしもべなんか絶対やだー」

「自己中極まりないな。ミミさんの我が儘がいかに可愛らしいのかが分かるなおい…まあ、あんな変態仮面と比べられてもミミさんが迷惑だろうな。うん、後でミミさんにメールで謝ろう。な、ブイモン?」

「だな!!」

「今すぐしもべにしてやる!!」

輪がブイモンに迫るが、大輔は声を張り上げた。

「友情のデジメンタルを忘れてるぜ自己中仮面。デジメンタルアップ!!」

「ブイモンアーマー進化、ライドラモン!!」

D-3とD-ターミナルが奪われていたが、友情のデジメンタルは残っていたために友情のデジメンタルでアーマー進化し、電撃で輪を破壊した。

「欲張りすぎは身を滅ぼすぜ変態仮面?ブルーサンダー!!」

電撃弾は治に直撃はしなかったが、衝撃で吹き飛ばされ、大輔のD-ターミナルとD-3が治の手元から離れた。

「「あ、やべ」」

場所が遠すぎてD-ターミナルとD-3の回収が間に合わない。

D-3が大破したらどうなるんだと思った瞬間。

「キャーッチ!!」

「大輔さん、助けに来ました!!」

「京、伊織!!サンキュー、助かった。そいつらが?」

「はい、僕のパートナーのアルマジモンが知識のデジメンタルでアーマー進化したディグモン、そして京さんが乗っているのはホークモンが愛情のデジメンタルでアーマー進化したホルスモンです」

「ほら、これ」

「サンキュー、京。今度駄菓子屋のアイス奢ってやる」

「ストロベリーね!!ところであれがデジモンカイザー?…変な格好ね…」

「…中学生なのにあんな格好をして恥ずかしくないんでしょうか?」

生暖かい目で見つめる京と伊織。

良く周りを見渡すとタケル達もおり、哀れな存在を見つめる目で治を見つめていた。

酷い目に遭っていたピヨモン達もパートナーがいることで余裕が出来たのか蔑むように見つめる。

特に賢は明後日の方角を見遣り、治の存在を否定していた。

「とにかく、さっさと叩き潰して現実世界に連れ帰ろうぜ。正直目障りだし」

ライドラモンが大輔の元に向かうと戦闘体勢に。

「スナイモン!!ドリモゲモン!!モジャモン!!僕の邪魔をする奴を全てデリートしてしまえ!!」

スナイモン達に指示を与えると治はすぐさま逃げ出した。

「あ、あいつ逃げましたよ!!」

「待ちなさいよ!!」

「待て、今は雑魚掃除だ。モジャモンはライドラモン。空中のスナイモンはホルスモン、地中のドリモゲモンはディグモンに任せた。体の輪を破壊すれば正気に戻る」

京と伊織が追いかけようとするが、それを止めて冷静に大輔がそれぞれに指示を出す。

「さあて、よくも俺に骨をぶつけてくれたなあ?少し痛い目に遭っても文句言うなよ!!」

少し脅すつもりで殺気混じりで言うとモジャモンは怯えた表情を浮かべる。

「(少しやりすぎたかな?)まあいい、ライトニングブレード!!」

高速で移動し、角に帯びさせた電撃刃ですれ違い様に輪を粉砕した。

「あ…あれ…?わしは…」

「おい」

「ん?ひぃいいい!?」

正気に戻ったモジャモンは凶悪な笑みを浮かべてにじり寄るライドラモンに悲鳴を上げた。

ホルスモン達がスナイモンとドリモゲモンを倒すまでライドラモンのいじめは続いた。

「アホ」

ホルスモン達が敵を片付けるとライドラモンからブイモンに退化させると大輔が呟いた。

「良いじゃんか、人の頭に骨ぶつけやがってさ」

「それであんたの頭も治れば良かったのにね」

「うるさいハツカネズミモン。ハツカネズミモンはハツカネズミモンらしくチーカマでも食ってろ」

「よし、喧嘩ね。あんたここでボコボコにしてやるわ」

「上等だ!とりゃあああ!!」

「たああああ!!」

2体が同時に蹴りを放とうとした瞬間、大輔は2体の頭を掴んで放り投げた。

あまりにも鮮やかな動きに光子郎達はこの2体の喧嘩を止めるのに慣れてるんだなと思ったとか。

後に現実世界に戻ると、ブイモン、テイルモン、パタモン、ワームモンだけでなく、アルマジモンとホークモンの幼年期までついて来ちゃったのであった。 
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