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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE141 再挑戦!世界樹攻略を目指して!

クリティカル!リーファに唐突な告白を遂げたレコン……そして、告白からのキス……が、それは為される事なく、リーファのショートブローがレコンの鳩尾に直撃!告白はしたものの、初キスは成らず……残念!! by立木ナレ


リーファのショートブローを食らったレコンは腹部を抑えながら苦悶の声を上げる。

レコン「うぐぐぐううぅぅ……ひ、酷いよリーファちゃん……」

リーファ「ど、どっちがよ!!い、いきなり何言い出すのよこのアホチン!」

リーファはさっきまでの神妙で泣きそうな表情から一転して、恥ずかしさと怒りで燃え上がり、そのままレコンの襟首を掴み上げて拳で更に数発の追加攻撃をお見舞いしていた。

レコン「うげ!うげえ!ご、ごめん、ごめんって!!」

デレック「そのやり取り、リアルでは――特に学校内ではやらない方が良いと思うよ~」

リーファ「学校じゃやらないわよ!だからこうしてALOにいるうちにやれるだけやってんのよ!!」

俺「ベンチから転げ落ちちまったぞアイツ……」

リーファは取りあえず攻撃を止めると、胡坐を座り込んで項垂れていた。

レコン「あれ……。おっかしいなあ……。あとはもう僕に告白するゆうきがあるかどうかっていう問題だけだったはずなのになあ……」

リーファ「……アンタって……」

どうせ恋愛経験も女遊びの経験も無さそうな奴が何を参考にしてそんな言葉を口にしてるんだ?リーファも呆れつつも、しみじみとした口調になりつつ言った。

リーファ「……ほんっとに、馬鹿ね」

レコン「うぐ……」

デレック「ホント馬鹿だね」

レコン「え……なんで君にまで言われるの?」

デレック「バーカ!!」

レコン「うぐ……そんなバカバカ言わないでよぉ……これでも結構傷心なんだからさぁ……」

何故かデレックがバカを連呼、レコンは更に精神的なダメージを負い、不貞腐れるようにその場でへこたれていた。

デレック「うんうん、やっぱりレコンは弄られると輝きを増すタイプだね」

俺「お前が一方的に弄り役を買って出たいだけだろ……」

リーファ「――でもあたしアンタのそう言う所、嫌いじゃないよ」

レコン「え!?ほ、ほんと!?」

が、リーファの口から出たのは明るい、何かを振り切ったような声と言葉だった。レコンは再びベンチに飛びあがると、性懲りも無くリーファの手を取ろうとした。

リーファ「調子に乗んな!」

その手はすり抜けて、リーファは軽く空に飛びあがった。

俺「なんか、妙に吹っ切れたな……」

リーファ「ええ、もう大丈夫なつもりです。それにたまにはあたしもこの馬鹿を見習ってみようって思ったんです」

リーファは俺に言う、何か決意を感じさせるその表情を今度はレコンに向けて言葉を続ける。

リーファ「ここでちょっと待ってて。――ついてきたら今度はこれじゃ済まさないからね」

デレック「誰かと待ち合わせって事かな?」

リーファ「うん……多分そこで待ってるはずだから。すぐに済ませてくる!」

リーファはポカンとした表情のレコンに向かって拳を突き出し、ひらひらと振ってから身体を反転させて、そのまま世界樹の幹目に向かって飛び出していた。

俺「そっか、キリトの奴――あそこにリーファを呼び出したな」

デレック「何それ?リアルじゃ同じ家に住んでるんだからその場で直接話せば良いだけじゃないの?」

俺「普通の兄妹ならそれで済むはずなんだけどな……」

何せキリトはキリトでSAOの頃から妙に人付き合いが増えてだった。まさか身内――妹に対しても壁や距離感を作ってる事には驚き交じりに呆れるが、キリトなりに精一杯リーファと向き合う方法がリアルではなくALOで対話する事だったんだろう、無論俺には理解出来っこない考えだが。

デレック「んで、レコンはここでじっとしてて良いの?何時もの君ならさ、リーファに待てって言われるとストーカーみたいな尾行能力で付いてきて、最終的にコテンパンに打ちのめされるのがお約束でしょ?ささ、レッツゴー!」

デレックは呆けた表情で空を見上げていたレコンを炊き付けるように唆すが、レコンは慌てる事無く、首を小さく横に振って、何時もの高い声ながらも物静かな口調で言った。

レコン「僕も出来ればさ……そうしたいんだけどね、今のリーファちゃんさ、何って言うか……これからすごく重要な事を、ケジメを付けに行ってる感じでさ……」

しどろもどろな様子ながらも、レコンは言葉を途切れさせる事無く、そのまま最後まで言い切る。

レコン「と、とにかく今回はここで静観する!リーファちゃんが自分で折り合い付けるのを信じて待つ!」

デレック「そ~んなこと言っちゃってさぁ~……ホントは、気になって仕方なくて仕方なくてしょうがない癖に~」

レコン「だ……だから……信じて待つんだって!」

デレックは嫌な笑みを浮かべながらレコンの頬を指でツンツンとつつき、唆すような事を言うが、レコンは頑なに決意を新たにしようとしていた。

デレック「ほらほら、今ならまだ間に合うんじゃないの?リーファの事が気になるっていうなら、ここは殴られるの覚悟で付いてくのもありなんじゃないかな?」

レコン「うぅ……!だ、ダメだ……ぼ、僕は決めたんだ!リーファちゃんはちゃんと自分ですべて折り合いをつけて、戻ってくる頃にはまたいつものリーファちゃんに戻って何時ものように―――」


レコン……耐える!必死に……悪魔の如く囁くデレックの言葉による誘惑に耐え続ける!普段の姿からは想像もつかぬ鋼の精神!
そして、リーファを信じるレコンはその先の言葉を力強く発する!! by立木ナレ


レコン「―――いつものように、僕を叩いたりなじったりしてくれるはずだから!!」

デレック「……え?……えぇ~……」

俺「何か、薄ら寒い性癖にでも目覚めた見てぇだな……」

リーファが自身の事を殴ったり、言葉責めする光景を想像しているのか、レコンの表情はそれまでにない程に明るく、生き生きとしていた。
デレックもさっきまでニヤニヤと悪巧みでもしているかのような笑みから一転して、レコンの新たなる性癖の目覚めに表情を青褪めさせていた。

俺「キリトでもリーファでも良いからさっさと帰ってこい……」

ハッキリと言ってこのメンツでこのまま一緒にここにいるのはメンドクサイ!早い所キリトやでリーファが戻ってきてこの面倒な雰囲気を物色してくれ……


※ ※ ※


それからキリトとリーファがゲート守護象前の広場に戻ってくるまでそう時間は掛からなかった。二人の姿―――と言うかリーファの姿を見たレコンは真っ先に駆け寄ったが、リーファの隣のスプリガンのキリトの姿を見て表情を目まぐるしく変えた挙句、首を唸りながら言った。

レコン「えっと……ど、どうなってるの?」

リーファはにっこりと笑い掛けながら答えた。

リーファ「世界樹を攻略するのよ。この人と、アンタと、あたし……それとデレックとオズマさんの三人で」

レコン「そ、そう……って……ええ!?」

顔面蒼白になるレコンの肩をリーファがポンと叩き、頑張ってね、とだけ言ってから改めて眼前の巨大な石扉を見上げていた。
一方でデレックは、キリトに対してバカを見るような目付きを向けて、やる気の無さそうな声で言った。

デレック「あのさ……さっきは君一人で挑戦して見事に玉砕粉砕したわけだけどさ。まさか、一人じゃなくて5人なら何とかなるなんて思っちゃいないよね?」

キリト「はは……確かに、今度は俺だけじゃなくてお前らを巻き込んで心中とかになりそうだな……」

キリトも痛いところを付かれている自覚はあるようで、苦笑いを浮かべながら両手を広げてヒラヒラさせていた。

俺「言っとくけど、勝算がないなら付き合えねぇぞ。全員でDEADしちまったら、誰があんなところに漂うエンドフレイムを蘇生させてくれるってんだよ?」

キリト「そうだな……」

キリトは何かを思いついたように顔を上げて、

キリト「ユイ、いるか?」

誰の名を呼んだのか知らないが、その言葉が終わらない内に、中空に光の粒が集まり、小さな少女のような姿を模したピクシーが姿を現した。
コイツは――確かさっき索敵スキルで微かに姿を確認した、プライベート・ピクシーって奴だろうか?だが、プライベート・ピクシーはプレオープンの際に抽選配布されたNPCでつい最近始めたばかりのキリトが持っているはずがない。

俺のそんな疑問を他所に、ピクシーは両手を腰に当て、憤慨したように唇を尖らせた。

「もー、遅いです!パパが呼んでくれないと出てこれないんですからね!」

キリト「悪い悪い。ちょっと立て込んでて」

パパ……?パパだと?キリトの事をパパだと?って事は母親――ママはアスナか?このピクシーがNPCなのは間違いない。デレックが言うにはプライベートピクシーは高度なAIを持っているので柔軟な会話が出来ると聞いたので、こんなやり取りもできるんだろうが……それにしてもAIを持ったNPCに自分の事をパパとか呼ばせるって―――これはこれでキリトもまた妙な趣味を持ってやがるんな……俺が口をポカンと開けてキリトの左手にちょこんと座っている『ユイ』と呼ばれたピクシーを呆然と眺めていると、その前にレコンが瞬時に首を伸ばし、食い付かんばかりの勢いでまくし立てた。

レコン「うわ、こ、これプライベートピクシーって奴!?初めて見たよ!!うおお、スゲエ、可愛いなあ!!」

ユイ「な、なんですかこの人は!?」

リーファ「こら、怖がってるでしょ」

デレック「いや……むしろこのピクシーの方こそ何なのッて感じだよ……確かにプライベートピクシーは高度なAIで制御されてるとは聞いたけどまさかここまでとはね……」

俺と同様、唖然とするデレックの横でリーファはレコンの耳を思い切り引っ張りユイから引き離していた。

リーファ「コイツの事は気にしないでいいから」

キリト「……あ、ああ」

呆気にとられた様子のキリトは、瞬きを繰り返すと、改めてピクシーのユイの顔を見た。

キリト「……それで、あの戦闘で何か解ったか?」

ユイ「はい、あのガーディアン・モンスターは、ステータス的にはさほどの強さではありませんが、湧出パターンが異常です。ゲートへの距離に比例してポップ量が増え、最接近時には秒間銃二体にも達していました。あれでは……攻略不可能な難易度に設定されているとしか……」

何だこのピクシー?キリトの世界樹内部での戦闘時にも付き添っていたらしいが、それでこんな戦闘分析なんてしてやがったのか?ナビゲートなんてもんじゃねぇだろ……本当にこれって普通のプライベートピクシーなのか?

キリト「ふん」

キリトはそんなピクシーの詳細な説明を聞いても、特に驚く事なく、顔をしかめながら言った。そして、しばらくユイとキリトの複雑な話し合いは俺を置いてけぼりにしそうな程にややこしいレベルに達し―――キリトはしばらく黙考したが、やがて顔を上げた。

キリト「……すまない。もう一度だけ、俺の我侭に付き合ってくれないか。ここで無理をするよりは、もっと人数を集めるか、別のルートを探すべきなのはわかる。でも……なんだか嫌な感じがするんだ。もう、あまり猶予時間が無いような……」

俺「お前、アスナがあそこにいるかもしれないからって、焦り過ぎちゃいねぇか?急がなくちゃならねぇ理由に心当たりがあるのか?」

キリト「それは……なんとなくだけど、アスナが今すぐにでも……俺が来るのを待ってるんじゃないかっていう虫の知らせってのか?」

俺「釈然とした事ばっかり言いやがって……」

何のメリットも無い上に、成功率は遥か圧倒的に低い上に、キリトが世界樹攻略を急ぐ理由も今一つ釈然としない。こんな事に付き合う道理はハッキリ言って皆無ななのだが―――

俺「もう一度って言ったな……?」

キリト「ああ、次やってダメだったら……ひとまず次の挑戦は見送るよ……」

等とキリトは言っているが、次にやってダメで俺やデレックがウンザリしてこの場から去ったとしてもこいつは最悪また一人でもう一度―――いや、何度でも性懲りも無く挑戦し続けるだろう。

リーファ「解った。もう一度頑張ってみよ。アタシにできることなら何でもする……それと、コイツもね」

レコン「え、ええ~……」

リーファに肘で突かれたレコンは、困ったような情けない声を出したが、リーファの為と割り切ったのか渋々了承していた。

デレック「ま、これはこれでつまらなくなさそうだしね。もう一回くらい付き合いでやってみても良いじゃないのオズマ?」

俺「ったく……ホントにあと一回だけだからな」

こうして、僅か5人だけでの世界樹攻略が決定した!一方で俺は――これもキリトに劣らず釈然としない理由なのだが、これを機にALOのどこかに潜んでいるガチャモンとモックと対峙する可能性を僅かながら当てにしているのだった。 
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