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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE140 リーファの悲しみ・・・それを癒す者?

スプリガンのキリト、そしてシルフのリーファは現実(リアル)において兄妹である事が判明した……リーファは感情的になるあまりその場でログアウトし、キリトもそれを追うようにその場からログアウト……オズマとデレックの二人がその場に残されたのであったby立木ナレ


デレック「俺も今回こんな形で初めて実際に世界樹の内部に入ることになったけど―――まさか、あそこまでの鬼畜仕様だったとはね~」

俺「とんでもねぇガーディアンの大群だったな。ありゃ確かに大規模なパーティーを組んだところで数で押し切られるのが想像つくぜ」

キリトとリーファの二人――あるいはそのどちらかが戻ってくるまで俺とデレックはそんなやり取りを続けていた。
まだキリトとリーファがログアウトしてから精々10分も経過していないので、今頃は現実世界の、自分達の自室で重苦しいやり取りになってるんだろうな。

「ああ――――!デレック君!それにあの時のインプだぁ――――!!」

そんな矢先だった。キリトの声でもない、リーファの声でもない、如何にも自分は頼りないヘタレですと言わんばかりの……声変わりすらしていないんじゃないかと思いたくなるような高い声が俺達の名前を良いながら叫んだのは。

俺「何かこっちに飛んできやがるぞ~」

デレック「あ、レコンだよ」

その名を聞いて、俺は親善試合でリーファとのデュエルで、健気にリーファを応援していたシルフのプレイヤーを思い出していた。
そのレコンはどこかぎこちないノロノロとした飛行でこちらに飛んできて―――

レコン「うおっとっと!」

着地しようとして、足のバランスを崩し、その場でふらふらとしていた。俺はため息を付きながらレコンの手を掴んで支えようとしたが、それよりも先にデレックがレコンに急接近し―――

デレック「なーに、馬鹿な事やってんのぉ~~~~」

レコン「わぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ダイブするように身体ごとレコンに突っ込み、レコンは情けない悲鳴をあげながら盛大に転倒していた。

俺「……何してんだよ……お前は……」

デレック「ははは……いやね、レコンって見ての通り弄り甲斐のあるヘタレキャラだからさ、レコンが目の前で隙を見せたら取りあえずこういう事やっとかなきゃなんだよ!!」

レコン「そんな迷惑なやり取りはいらないよ!!」

レコンは半泣きの顔でその場で勢い良く立ち上がりながら叫ぶように声をあげていた。だが、すぐに表情を切り替えて、レコンは俺達に問い詰めるように迫る。

レコン「いや……そんな事よりも二人とも、リーファちゃん知らない!?確かスプリガンのプレイヤーとここに来てるはずなんだけど……」

デレック「うん、来たよ。ついさっきログアウトしちゃったけどね~」

レコン「えぇぇぇぇぇぇ!!」

分かり易い位に驚いてる様子だった。デレック程じゃないが、ここまで分かり易い位にヘタレ丸出しな態度を出されると、俺も多少弄りたくなるのも頷ける気がしてきたな……

俺「まあ、すぐに戻ってくるかもしれないしな。リーファに用があるならその辺で待ってればいいんじゃないか?」

レコン「わ、分かりました!どこからログインして出て来ても分かる様に飛びながら探しますね!」

俺「ご苦労なこった」

レコンは相変わらずぎこちない動きで飛びあがり、分かり易い位に周辺を見渡していた。当然、央都アルンの街中でそんな事をしていれば言うまでも無く他のプレイヤー達からの視線を集め、中にはレコンに対して奇異の視線を向けるものすらいる……

デレック「ね、アイツって傑作でしょ?」

俺「確かに見てて哀れに思えるくらいの傑作だが、だからってあんまり弄ってやるなよ」

デレック「うん、俺は基本的に笑いで済む範囲内で弄ってるから」

デレックの言う笑いで済む範囲内の弄りと言うのがどの程度かは知らないが、コイツの事だからリアルの学校内ではレコンが気が付かない様な、狡猾なやり口で弄っている可能性が高いな。

デレック「って、あれ?そんなこと言ってる傍からリーファいるじゃん」

俺「あ……」

デレックはドーム前広場の片隅のベンチに腰を下ろしているリーファを発見し、指を差していた。その表情から伺えるのは恐怖、困惑、悲痛……ともかく様々なマイナスな感情が入り混じったような様子で、俯いたまま目を閉じている状態で、容易に声を掛けられそうにない雰囲気を放っていたのだったが―――

レコン「んも~~~~、捜したよリーファちゃん!」

リーファ「……れ、レコン!?」

リーファにとっても予想外の事だったようで、唖然として顔を上げていた。

デレック「あ~あ、本当に空気読めないよね君って奴はさ~」

俺「お前も大概人の事言えねぇだろ……」

リーファ「あ、デレックにオズマ君も……」

デレックがレコンに対して呆れながらも微笑を浮かべて近づくので、俺もそれに続いて歩み寄り。この場にはリーファ、レコン、デレック、そして俺の4人が集まった事になった。

俺はリーファに対して何を聞くべきか――なんと声を掛けるべきか少し迷っていると、レコンは両手に腰を置き、自慢そうに言い始める。

レコン「いやー、地下水路からシグルドがいなくなったんで隙見て麻痺解除してサラマンダー二人を毒殺して脱出して、いざダンナにも毒食らわせてやろうと思ったらなんかシルフ領にいないし、仕方ないんで僕もアルンを目指そうと思って、アクティブなモンスターをトレインしては他人に擦り付けトレインしては擦り付けでようやく山脈を超えて、ここに着いたのが今日の昼前だよ。一晩掛かったよ、マジで!」

リーファ「……アンタそれはMPKなんじゃあ……」

レコン「細かい事はいいじゃんこの際!」

デレック「はははっ!レコンも中々エグイことやるじゃんか~。俺もレコンの残虐非道なMPKを是非とも見てみたかったねぇ~」

リーファの指摘を全く気にする様子の無いレコンと、それを楽しみ笑い転げるデレックだった。と言うか、聞かなくちゃならない事がさらに増えそうだな。

俺「そっちで一体何が起こってたんだ……?シグルドなら俺も覚えてるけど、奴が地下水路にいるだとか、サラマンダー二人を毒殺したとか」

と言うか、レコンの言い草だとまるでシルフの同族であるシグルドにも毒を食らわせようとしていたようにも感じざるを得ない。
俺の問いかけに対してレコンはまたしても得意気な様子で語り始める。

レコン「それはですね……近日実装すると言う噂の転生システムに関する取引が絡んでるんだよ」

デレック「ああ、種族を変更できるってあれだね……ってもしかしてシグルドってサラマンダーになりたがってたの?」


レコンの話はこうであった――シルフ族で軍務を預かるシグルドは勢力的にサラマンダーの後塵を拝する状況に苛立ち、その上でサラマンダーと密約を交わし、サラマンダーへの種族変更を対価に、シルフ及びケットシーの領主を売り渡すことを画策していたとの事―――が、その目論見はキリトやリーファの介入により崩れ去り、既にシグルドはシルフ族の領主であるサクヤの権限によって領を追放されているとの事だった。 by立木ナレ


リーファ「あ、あの、オズマ……さん」

レコンとリーファから一連の説明を聞いた後、リーファは妙に他人行儀と言うべきか、目上の人間に対して話す様な口調で俺に対してさん付けで声を掛けてきた。

俺「ん……どうした?」

リーファ「あの……あの時、お兄ちゃんの知り合いの小田桐弭間っていう人が……お兄ちゃんが入院していた病院に来た時に……その人の事をオズマって呼んだんですけど――もしかして」

俺「ああ、そりゃ現実(リアル)の俺だよそれ。」

リーファ「あ……やっぱりそうだったんですね……キャラクターネームが同じな上に顔も似てるからやっぱりと思ったけど……まさかお兄ちゃんの友達のオズマさんだったなんて」

俺「別に友達って程の関係でもねぇけどな……」

どうやらリーファは俺がキリトが入院している病院に、デレックの金の一件で訪れた時にキリトが何度か俺の事をSAO時代の名で呼んだ事から、俺が小田桐弭間であると今確信したようだった。
最も俺の方はあの時、キリトの事をリーファ――桐ケ谷直葉の目の前でキリトとは呼ばなかったので、キリトが兄である事には気が付かなかったわけだが。

デレック「なんか、世界って狭いんだねぇ~。俺達どころか、オズマもリアルのリーファと会った事あるなんてね~」

レコン「それよりもさリーファちゃん。あのスプリガンはどうしたの?もう解散?」

デレックが俺とリーファに面識があった事に対して呑気な声でそんな感想を口にし、レコンが今更リーファの傍にキリトがいないことに疑問を持ったらしく、周囲を見渡しながら言った。

デレック「あ、そうそう!結局あれからどうなったのさ~?」

リーファ「ええと……」

リーファは言葉を選び迷っている様子だった。レコンへの説明の他、デレックが聞いているのはお互いにログアウトした後――現実での自宅で兄妹でどんなやり取りを交わしたのかを聞いているのだろう。
だが、リーファは器用な言葉など結局思いつかなかったのか、彼女の口から出た言葉は――

リーファ「……あたしね、あの人に酷いこと言っちゃった……。好きだったのに、言っちゃいけない事を言って傷つけちゃったの……。あたし、馬鹿だ……」

デレック「……あ、そう……」

俺「……………」

リーファのその言葉から、恐らく和人(キリト)直葉(リーファ)はお互いにログアウトした直後に、直接何か言葉を交わしたのかもしれないが、やはり穏やかには済まなかったようだった。リーファとしてはSAOから帰還して日の浅いキリトが再びフルダイブをしていた事に対しても納得のいかない部分もあったのかもしれないが、その心情、リーファがどんな思いを抱いていたのかまでは俺には想像は付かなかった。

リーファ「ゴメンね、変なこと言って。忘れて、あの人とは、もう会えないから……帰ろう、スイルベーンに……」

デレック「え、2人はもう帰っちゃうの?けどさ、ここでトンずらしたところでさ、結局は現実では家で―――んぐ」

俺「少し黙ってろって」

俺はその先の言葉をデレックが口にする前に左手で塞いでおいた。おそらくデレックが言おうとしたのは、現実では結局同じ家に住んでいるので、どのみち毎日会う事は避けられないと言おうとしたのだろうが、それを事情を知らないレコンの前で言うと更にややこしくなりそうだ。

が――リーファはレコンの顔を見た途端に仰け反る事になった。

リーファ「な……なに!?」

デレック「うわっ!なんか茹で上がってるんですけど!!」

レコンの顔はデレックの表現通り、ゆで上がったように顔が紅潮し目を見開いて、口をパクパクとさせていた。
結局、デレックが余計な事を言うまでも無く面倒な事になるんだな―――俺が内心でそうため息を付いた直後、レコンはリーファの両手を取り、握り締める。

リーファ「ななななんなの!?」

レコン「リーファちゃん!」

デレック「とにかく少し声のボリューム下げなよ、かなり遠くにいる連中にも聞こえそうな勢いだし」

そんなデレックの警告は意味を成すことなく、レコンは緊張しきった声で言葉を続ける。

レコン「り、リーファちゃんは泣いちゃダメだよ!いつも笑ってないとリーファちゃんじゃないよ美栗僕が、僕が何時でも傍にいるから……リアルでも、ここでも、絶対一人にしないから……ぼ、僕、僕、リーファちゃん……直葉ちゃんのこと、好きだ!」

これって告白か?愛の告白って奴なのか?現実世界で顔見知りの二人がALOで愛の告白だと?カップル生誕だと!?んな事仕出かすのはてっきりキリトとアスナの組み合わせ位だろ?
んでもって俺の隣ではデレックが口を抑えて身体を震わせており、あからさまに笑いをこらえているのが目に見えて分かる。

リーファ「あ、あの、ちょっ……ちょ……ま、待っ……」

なんだこれは……?愛の告白の直後―――告白した側が返事を聞く間もなく……キスしようとしてるのか?
それにしちゃ鼻は膨らんでるわ、唇は気持ち悪く伸びてるわ、あからさまにキスの経験ゼロですって感じだな……

デレック「さて、いくか二人のファーストキス!?」

そんなわけあるか。

リーファ「待ってって……言ってるでしょ!!」

レコン「ぐはぇ!!」

リーファはそう叫ぶと同時に身体を捻り、ショートブローをレコンの鳩尾に叩き込んでいた

デレック「あ~あ、いかなかったか~!」

俺「むしろこの流れでいかねぇだろ普通は……」

デレックは親指をパチンと鳴らしてなぜか悔しそうにしているが当然の結果だ。圏内なのでレコンは殴り飛ばされたとしてもダメージが発生する事は無いが、ノックバックは発生するので、レコンは1メートルほど吹き飛び、ベンチに落下していた。
そしてそのまま腹部を両手で抑えて苦悶の声を上げていた。

俺「おいおい、さっきまで神妙なやり取りしてたってのになんで急にギャグ展開なんだよ……」

デレック「ま、これはこれで面白いから良いんじゃないの?これって動画撮っておいたら結構再生回数稼げそうだしね」

俺「絶対にレコンの方が叩かれまくるだろ……」
 
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