| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

FILE138 キリトとリーファ・・・気付く!互いの正体に!

生還…かつてない程の絶望的な状況からオズマ、デレック、リーファの三名はどうにか生還した! by立木ナレ



リーファ「ハァ……ハァ……」

デレック「大丈夫?ま、数百体の守護騎士たちに襲われた挙句に身体に何本も弓矢に刺された状態で飛んだら無理もないけどさ」

リーファは石畳に身体を投げ出して荒い息をついていた。一方で俺は背後に目を向けてみると、巨大な石の扉が重々しく閉じ始めて、その奥で守護騎士たちが飛び去って行くのが見えた。

俺「これってクエスト失敗って事か?」

デレック「うん、イベントの設定時間が終了したって事だね」

ひとまず、リーファの腕の中には、黒い小さな灯を放つキリトのエンドフレイムがあった。リーファは状態を起こし、傍らに立つ巨大象の足に背中をもたれさせると、右手を振ってアイテムウインドウを開いていた。

俺「蘇生魔法で蘇生させるんじゃないのか?」

リーファ「それは無理……高位位の蘇生魔法を使うには水属性や神聖属性の魔法をマスターしている必要があるの」

デレック「ま、シルフやインプで高位の蘇生魔法を使えるプレイヤー何て殆どいないだろうね。なんせ専門じゃないんだから、けどその代わりに《世界樹の雫》を使うなんて、随分と気前が良いんだね~」

リーファ「これしかないんだもの、モタモタしてたらキリト君を蘇生できる時間がオーバーしちゃうでしょ」

リーファがそうデレックに告げると、ブルーの小瓶が出現していた。あれが蘇生アイテムの世界樹の雫らしい。
リーファは小瓶の栓を抜き、青く輝く液体をキリトのエンドフレイムに注ぎ掛けていた。その場に、蘇生スペルに似たような立体魔方陣が展開し、数秒後、黒衣のスプリガン―――キリトが姿を実体化させた。

リーファ「……キリト君……」

俺「マジでお前だったか……」

デレック「う~ん、俺は初対面だから何の感慨深さも感じないね~」

リーファはデレックの興覚めするような言葉など耳に入らない様子で、座ったまま、泣き笑いのような顔でキリトの名前を呼んでいた。
それに対してキリトは妙な哀切な笑みを浮かべて、右手をそっとリーファの手に乗せていた。

キリト「ありがとう、リーファ。……でも、あんな無茶はもうしないでくれ。俺は大丈夫だから……これ以上迷惑はかけたくない」

リーファ「迷惑なんて……あたし……」

リーファはそんなつもりじゃないと言おうとしたのだろうが、その前にキリトは立ってしまった。そして俺とデレックに視線を一瞥すると、ぎこちない笑顔を作る。

キリト「オズマも……まさかこの世界でもお前に助けられるなんてな……エギルから聞いたよ、お前があのスクリーンショットを撮ってくれたおかげで俺はここに来ることにしたんだ」

俺「まさかこんなに早く来やがるとはな……ま、お前にとっちゃ一分一秒でも早く会わなくちゃならねぇ相手だって事は分かるけどよ」

俺が呆れ気味にそう言葉を漏らすと、キリトはフッと微笑を浮かべると、くるりと振り向き――再び、世界樹内部へ広がる扉へと足を踏み出そうとしていた。

リーファ「き、キリト君!!」

愕然としながら、リーファは立ち上がっていた。

デレック「うわっ……本当にまたやる気なんだ―――」

俺「言ったろ、蘇生させた途端にまた一人で突っ込むってな」

リーファ「ま、待って……無理だよ、一人じゃ!」

キリト「そうかもしれない……。でも、行かなきゃ……」

デレック「いやいやいや……君、僕らが世界樹内部に入った頃にはとっくにDeadしてたよね?なんで次は勝てるなんて思うかなぁ~……」


背を向けたまま呟くキリトの姿に、リーファは限界まで負荷のかかったガラスの象の様に張り詰めたものを感じ、必死にかける言葉を探す……だが、喉に焼き付いたように声を発する事は敵わず、夢中で両手を伸ばしキリトを抱きしめた!――これは惹かれてると言うべきだろうか?リーファ……桐ケ谷直葉(きりがやすぐは)は兄である和人(かずと)の事を諦める為に、無理やりキリトを好きにはなろうとしているのかもと心の隅で考えていた……同時にリーファはそれでもいいともおもっていた by立木ナレ


リーファ「もう……やめて……。いつものキリト君に戻ってよ……。アタシ……あたし、キリト君の事……」

キリト「リーファ……ごめん……。あそこに行かないと、何も終わらないし、何も始まらないんだ。会わなきゃいけないんだ、もう一度……もう一度……アスナに」

デレック「アスナ?へぇ~、それがあのスクリーンショットに映ってた、オズマと彼の昔の知り合いの娘の名前なんだね~」

デレックは飄々とした表情を浮かべたままで、その名を聞いたところで特に大して大きな反応を示す事は無かった。だが、リーファは―――

リーファ「……いま……いま、何て……言ったの……?」

キリト「ああ……アスナ、俺の捜してる人の名前だよ」

そのアスナという名前をキリトが首を傾げ、口にした途端。

リーファ「でも……だって、あの人は……」

リーファは口元に両手を当て、半歩後退っていた。

デレック「え、何……何なの……もしかして吐きそう?」

俺「よく分からねぇけど、とにかく今は黙ってろって」

リーファが口元に両手を当てている姿を見て、あからさまに見当違いな冗談を口にしたデレックを俺は窘める。
そして、次にリーファの口から出た言葉は、俺にとっても完全に予想外―――そしてリーファの正体に直結する言葉だった。

リーファ「……お兄ちゃん……なの……?」

キリト「え…………?」

その言葉を聞いた途端キリトは訝しそうに眉を動かした。リーファはキリトを兄と呼んだ……キリト――すなわち桐ケ谷和人を兄と呼ぶ者など、この世に一人くらいしかいないはずだ。

キリト「……スグ……直葉(すぐは)……?」

ああ、そうか。確かキリトの――桐ケ谷和人の妹の名前だ。黒髪の短髪で中学生とは思えん程にデカい胸してて……毎日兄の病室を訪れていると言うあの実に兄想い、身内想いの妹で、ウチの爺と親父達にも爪の垢でも飲ませてやりたいと思ったあの妹の桐ケ谷直葉――そうか、このリーファの現実世界での正体は桐ケ谷直葉……つまり、彼女の目の前にいるキリト――桐ケ谷和人の妹で、両者は今この瞬間まで、お互いが現実(リアル)での兄妹である事に気が付く事無く行動を共にしていたが、キリトがアスナの名を呼んだ事ですべてが一瞬にして繋がる様に悟ったようだった。

リーファ「……酷いよ……。あんまりだよ、こんなの……」

俺とデレックがこの光景を無言で無表情で場違いな傍観者の如く眺めている中、リーファはうわ言のように呟きながら首を左右に振り、キリトから顔を背けて左手を振って、ウインドウ画面を出現させていた。
そしてそれを、ほんの数秒にも満たぬ内に操作するとその場から姿を消していた。

デレック「あ~らら、ログアウトしちゃったみたいですなぁ~」

俺「お前、本当に今初めて知ったのか?リーファが――お前の妹だって事に……」

俺が目だけをキリトに向けて改めてそう尋ねると、キリトは唖然とした表情のまま震える唇を動かし、答える。

キリト「あ、ああ……彼女とは二日間一緒に行動してたけどまさか……スグがリーファだったなんて。だって、アイツは体育会系でVRゲームとかはむしろ嫌ってて……」

どうやらキリトにとっては数日間ALOで行動を共にしたリーファが実は言おうとの直葉である事だけでなく、妹がVRゲームに手を出していた事も驚愕の一因となっている様子だった。

デレック「んで、君はどうするの?」

重苦しい空気などものともせず、にこやかな表情のデレックはキリトに数歩歩み寄り、いきなりそんな事を問う。

キリト「どうするって――――」

デレック「だ~か~らぁ~。君さ、リーファに蘇生アイテムで蘇生してもらった直後に性懲りも無くまた世界樹の中に突っ込もうとしてたけどさ、君を止めようとしてたリーファはログアウトしちゃったし、この隙にもう一回挑戦してみるつもりなの?ま、結果は目に見えてるけどね~」

デレックのやや皮肉交じりの言葉にキリトの表情は険しくなり、デレックを一瞬睨みつけたかのように見えたが、すぐに的を射た事を言われていると考え直したのか、目を逸らして小さく息を付いていた。

俺「現実(リアル)でお前ら兄妹がどんな事になってるのか知らねぇけどな、どうせ一人でグランド・クエスト達成なんて無謀だって分かり切ってんだから、まずはやれる事からやってみたらどうだよ?――でなくちゃ、そのやれる事も出来なくなっちまうかもしれねぇぞ」

キリト「……ああ、俺も今からログアウトするよ……オズマも、それに君も……さっきはスグ……リーファと一緒に助けてくれてありがとうな」

俺の言葉を耳にして何かを決めたのかどうか分からないが、キリトは俺とデレックに礼の言葉を口にし、左手を振ってウインドウ画面を出現させ、リーファに続く様にログアウトしてその場から姿を消したのだった。
そして、その場に残されたのは俺とデレック――さっきのやり取りでは完全に蚊帳の外の傍観者の二人だけがその場に残された。

デレック「いや~、しっかし驚いたね~」

俺「キリトとリーファが兄妹だった事か?」

デレックはニタニタと笑みを浮かべながら首を縦に肯定する。

デレック「まぁね、前にも話したと思うけどさ。俺ってリーファとは現実(リアル)でも知り合いでさ、彼女がコソコソと周囲には内緒でALOをやってる事も知ってたわけだよ……それで、SAO事件でソードアート・オンラインに囚われていたお兄さんがいるって事もね」

俺「キリトの様子からして、リーファがVRゲームをやってる事は相当意外らしいな」

デレック「あははっ!そりゃ学校の連中が知ったらおったまげるんじゃないの?何せリアルじゃガチガチの剣道娘だもん!それが一年くらい前にクラスのゲーム好きの男子にVRゲームの事で相談してね、それが当時正式サービス開始から日が浅かったALOだったってわけなんだよ……ああ、ちなみに言うとね。リーファがVRゲームの相談をした男子ってのがオズマも見たでしょ?シルフとの親善試合の時にリーファの応援を健気に頑張ってたのに等のリーファからは邪険に扱われてたヘタレシルフのレコンだよ」

俺「ああ、あの妙にガキっぽいアイツか……てか、お前……VRゲーム内でリアルの事やたらベラベラと喋るんだな」

デレック「そうだね~、俺は現実(リアル)にいようがVRゲームにいようが、完全に分け隔てる必要なんて無いと思ってるからね~」


本来……MMORPGにおいてリアルに関する質問をするのはマナー違反の定番――ご法度なのはMMOゲーマーであれば常識中の常識にもあるにも関わらず―――デレックにとってそんな常識は無意味!軽々と破られるMMORPGのマナーであった! by立木ナレ 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧