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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE136 切り札は自作チートアイテム?

オズマは再びALO(アルヴヘイム・オンライン)にフルダイブしていた。現実世界での例の写真の一件、そして隣人の倉崎が開発したステルスウィルスにレクトの主任研究員である須郷がプログラムしたAIを搭載したのがガチャモンとモックであったと言う驚愕の事実も明らかになり、ひと先ずオズマはその辺りの一連の事情をエルダへの連絡を済ませていた。 by立木ナレ


俺「あ~、ダメだな。やっぱり暗視状態になって視界が利かなくなるとワープ出来なくなるみてぇだ!」

デレック「なるほどね~、やっぱり視界に頼ってる瞬間移動スキルだから。目が見えなくなるとスキル自体が発動しなくなるって言う弱点があるんだね~」

俺はデレックと共に央都アルンの外に出て、SAOから持ち越したふしぎな飴が姿を変えたアイテムのインプの非硝石(ひしょうせき)によって習得したスキルの『ワープビジョン』の練習と実験をしていた。それによって判明したこのスキルの弱点として、視界が利いていない状態ではスキルそのものが発動しない事が明らかになった。

やはり目に見える場所に瞬間移動するスキルである為、目が見えない状態ではこうなる事は概ね想定通りだった。
その他瞬間移動したい場所が何かしらの壁などによって塞がれていればその場所には瞬間移動は出来なくなる――例えば、四方を覆う様な段ボールや箱で全身を覆われた場合は、ワープビジョンで脱出と言うわけにはいかなくなる。

デレック「ところでさ、ここしばらくリアルでなんかいろいろと調べてたとか言ってたけどさ、なんか進展はあったの?」

俺「まぁな、レクトに怪しい人間がいるって事とかな―――ウチの領主様が睨んだ通り、ALOはSAOのサーバーを丸ごとコピーしてるって推測も真実味が帯びてきたかもしれねぇな」

デレック「ふ~ん、あのアンポンタンの勘と人脈も中々侮れないんだね~。オズマの無茶苦茶な作戦で撮れたあのスクリーンショットも、そのレクトの主任研究員が絡んでるって事かな?」

俺「そこまではまだ分からねぇよ。それも含めて現実(リアル)の俺の知り合いが調べてる所だよ」

と言っても、エルダあくまで茅場からVR技術に関する事を教わっていたと言うだけなので、レクトに関して何かしら潜入捜査なんてする事が出来る術があると言うわけじゃない。
エルダ自身も自分に出来る事があるとすれば精々、レクトの企業サーバーにハッキングしてある程度の探りを入れる位だと言っていた。
プログラミングやハッキングに関しては素人の俺には分からないが、レクトの企業サーバーのプロテクトかセキュリティだったか?――ともかくそれの精度がかなり高く、エルダの腕を持っていしても迂闊に手を出す事が出来ないらしい。

俺「正直、ここから先は俺には手出し出来そうにねぇ気がするよ。所詮、ただのゲーマーに過ぎない俺に出来る事なんて高々しれてるのかもなぁ」

我ながら自虐的な言葉を口にして見ると、デレックは左手を頭に当てながら呆れ気味に口を尖らせる。

デレック「もぉ~、何らしくないこと言ってんのさぁ~?そもそもあのスクリーンショットだってオズマの突拍子の無い提案のおかげで手に入ったわけなんだからオズマの功績が小さいわけないよね?もし本当にあのスクリーンショットに映ってた女の子がオズマの現実(リアル)での知り合いだったら一大事なわけだし」

俺「ま、あのスクショの女が俺の知り合いだったとしても、最終的にそいつを助ける騎士(ナイト)様の役目は俺じゃねぇだろうな」

エギルからの連絡でキリトがALOにログインしている事が分かっている以上、奴が事実確認のためにここを訪れるのも時間の問題だろう。
アスナの事になると形振り構わない行動をとる奴なら無謀にも一人で世界樹突破なんて事も仕出かすんじゃないか―――そんな普通に考えりゃ到底あり得ないような事をやってのけるのは俺ではなくむしろ奴の方なんだろうからな。

取りあえず俺とデレックは一旦、アルンの街中に戻った。だが――階段を登り、アルン中央市街の門をくぐろうとした時だった。それは現実世界で自分が登録している電話番号に着信があった場合に、損プレイヤーにのみ聞こえるコールだった。

俺「悪い、現実(リアル)の方でスマホに通話みたいだ」

デレック「ああ、それならすぐに出なよ。俺はここでぼんやりと立ちぼうけしながら待ってるからさ~」

俺「ああ、電話が終わったらすぐに戻る」

俺はウィンドウ画面からメインメニューを開き、指を下にスクロールして一番下のログアウトをタッチする。
始めてこのALOにログインしたばかりの頃は本来なら当たり前の存在であるログアウトボタンがある事に、それを見るたびに安心感を感じているのだったが、慣れてくりゃなんて事も無い。むしろVRゲームにログインしてる最中にログアウトボタンが無い事の方が異常だったんだよつくづく実感する。


※ ※ ※


そして、ログアウトした俺はALOから意識を失い、現実世界の自宅アパートの自分の部屋として使っている押し入れの上段で目を覚ましていた。
即座に自分の手元に置いておいたスマートフォンが通話のアラームを鳴らし続けている音が耳に響き俺は着信相手が誰かを確認する。

俺「あ?倉崎って――隣じゃねぇか!」

スマホの画面を見て、『倉崎』という文字が表記された状態になっているのを見て俺は思わず声絵をあげていた。
隣の部屋に住んでるんだから、態々電話を掛けてこなくとも直接ベルを鳴らして入ってこりゃ良いってのに、どんだけ出不精(でぶしょう)なんだアイツは――ともかく俺は通話のマークをタッチして電話に出た途端に、スマホからは倉崎の汚らしい喚き声が口やかましく響き渡るのだった。

倉崎「おっせーぞテメェ―――!!何十秒待たせやがるんだオラぁ!!」

俺「隣なんだから電話するまでもねぇだろうが……んで、何の用なんだよ一体?」

倉崎「オメーに良い(もん)くれてやっからとっとと俺の部屋に来やがれ!ダッシュだ!急げ急げ急げ!モタモタしてんじゃねーぞテメェェェェェェ!!」

倉崎は通話で意味の分からない事ばかりを一方的に喚きたてると、通話を切るのも一方的だった。正直、奴がくれる良い物など全く興味など無いし、毛頭行きたくも無かった。

俺「ホント、めんどくせーなぁ……」

が、行かなければどうせすぐにまた呼び出しをしてきやがる事が目に見えているので俺は仕方なく押し入れの戸を開けて倉崎がいる隣の神田川家に向かう事する、どうせ隣の部屋だからな。

恭史郎「だぁ―――――!!何やってやがんだカズタカイザー!!テメーに賭けてやってたってのにふざけてんじゃねーぞ!俺の3千円返しやがれェェェl!!」

俺「どこもかしこもうるせぇ奴ばっかりだな……」

押し入れの戸を開けて早々に爺さんが競馬に負けたようで、自分が賭けていた馬に対してテレビ越しに怒鳴り散らしていた。
親父は親父で眠たそうな目でゲームボーイをやっている、別に出かけると伝える必要もないだろう。

俺はさっさと部屋を出てすぐ隣の倉崎の部屋―――ではなく神田川の爺さんの部屋のチャイムを鳴らすと、チャイムが鳴り終わる前に倉崎の怒声が部屋の中から響き渡ってきた。

倉崎「小田桐のガキだな!?そーなんだな!?鍵空いてるからさっさと入りやがれぇぇ!!」

俺「ったく、ほんとなんだってんだよ」

俺は言われるがままに神田川の爺さんの自室アパートに入ると、倉崎が得意気な顔でぶんぞり帰りながら、座布団の上に腰を据えていた。

倉崎「へへ、来やがったな……取りあえずオメェのALOのアカウントのパスワードとIDを教えやがれ」

俺「いきなり呼び出して何勝手な事抜かしてんだ不潔デブが……」

ここでこのふてぶてしい男に自分のアカウントの詳細など教えてしまったらアカウントハックされるのが目に見えている。一体何を悪巧みしてやがるか奴が仮想世界の中とは言え奴が俺の姿で好き放題行動し始めたりでもした日にはどうなるか考えるだけでも悍ましい。

倉崎「良いから教えやがれってんだ!テメーには俺様のプレゼントをくれてやるにゃテメーのアカウントのIDとパスワードが分からなくちゃ話にならねーだろうが!!」

俺「どういう事だよ……?」

倉崎「いーか!オメーがSAOでみた俺が開発したステルスウィルス……ガチャモンとモックは今はALOにいやがる可能性がたけぇんだよ!!」

俺「まあ、確かにその可能性は充分あり得るな」

奴らがSAOに潜り込んでいたのはSAOのデータを漁り、得る事によってSAOのサーバーをコピーして容易にALOを作り出す事が目的だったと思われ――SAOが既に消え去った今は奴らの活動拠点はSAOとサーバーを共通するALOである事は充分考えられる事だ。

倉崎「俺がオメーにくれてやるって言うプレゼントはな……そのALO内で使える俺が自作したアイテムなんだよ!」

俺「自作したアイテムって―――チートしろってか!?」

倉崎「別に良いんだよんな事はぁ!チートアイテムっつてもステルスウィルスにしか効き目のねぇアイテムだから問題ねぇ!!」

本当に大丈夫なのかという不安を感じずにはいられない一方で、ステルスウィルス……すなわちガチャモンとモックにしか効き目の無いアイテムとは何なのか?それはひとまず聞いておく価値がありそうだった。

俺「どんなアイテムなんだよ、アンタが自作したALOのアイテムってのは?」

倉崎は待ってましたと言わんばかりに得意気な――傍から見たら気持ち悪い下卑た笑みを浮かべて、調子付いた口調で話を再開するのだった。

倉崎「へへへ、コイツをガチャモンとモックに対して使ってやれば奴らのプログラムを上書きしてな、俺があらかじめアイテムに組み込んでおいたアイテム強制プログラムだけをひたすら実行するようになる―――つまりだ、須郷の童貞野郎の命令を聞かなくなっちまうってわけよ!!」

俺「その自作アイテムを使う事によって、ガチャモンとモックは須郷の命令を聞かなくなるんなら……確かにその効果はデカいな」

倉崎「だろ?どーせあの野郎は俺が開発したステルスウィルスに色々と頼ってやがるだろうからな!それがいきなり自分の命令に従わなくなりゃパニくって無様な醜態を晒すのが目に見えてるぜ!ひゃははははははっ!!」

倉崎の言う事が事実ならその自作アイテムは万が一、ALO内でガチャモンやモックが目の前に現れた時に重宝するだろうが倉崎が須郷が自分が売ったステルスウィルスを活用して好き放題していると知ったのは昨日だと言うのに何故こいつは―――

俺「この自作アイテム……たった一日で作りやがったのかよ?」

流石に僅か一日でこんなのを作り上げるのは無理があると思い俺はその辺りを聞いてみる事にする。すると倉崎は多少めんどくさそうに表情を歪ませるが、軽い舌打ちをしながら説明を続ける。

倉崎「あんなぁ、こいつは元々な、俺がステルスウィルスを作ったと同時に作っておいた強制プログラムだったんだよ。仮にステルスウィルスが俺の思うように動かずに暴走しちまった時に備えてな――最も、この強制プログラムもステルスウィルスに高度なAIが搭載されてる事で初めて効果が出るわけだが―――」

俺「ああ、須郷がガチャモンとモックに適合する優秀なAIを作って組み込ませたから初めて使えるってわけか?」

倉崎「そーいうこった!コイツの存在は須郷の野郎にはウィルスを売る時にも伝えてなかったからな!んで、この強制プログラムを一晩で手を加えて改造してALOの自作アイテムにしたってわけだよ!」

俺「ようするに大本自体はとっくの昔に作られてたってわけか」

倉崎「分かったらとっととテメーのアカウントのIDとパスワードを教えやがれ!そこにアクセスして自作アイテムを転送するからな!」

俺「後でパスワードくらいは変えとかなくちゃならねーな……」

実際に俺がALOでガチャモンとモックに再び再会してしまうかは分からぬが、ひとまず俺はそのアイテムを得る為に止む終えず倉崎にアカウントのIDとパスワードを伝える事にした、無論倉崎に勝手にアカウントを使われぬように、早いうちにアカウントのパスワードは変更しなくちゃならないだろうが……



倉崎が提供する対ガチャモン&モック用の自作アイテムとは一体!?そして実はこのころALO内では……オズマのSAO時代のライバルとも言えるキリトが央都アルンへと辿り着いているとはオズマは知る由も無かった……by立木ナレ 
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