| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

異世界転移した最強の俺、追放されたSSS級冒険者(美少女)を拾う

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

接触-5

 そこでサラにエリカが、そのボスらしきものに向かって剣を振り下ろす。
 だがそこでそのボスらしき男はそれを紙一重で避け、

「なかなかやるな。SSSランク冒険者が」
「ええ、“殺さないように”手加減するのは大変だわ。生け捕りにして暗s宝色々と聞きたいし」
「この……いい気になるなよ子娘が!」

 そう叫んでボスらしき人物が今度は大きな斧に、炎の魔法をまとわせる。
 赤く燃える斧がエリカの方に向かうも、エリカの剣が氷をまとい、

「攻撃を受け止めるだけが戦いじゃないの」

 そう告げて軽く剣を受け流してエリカがボスらしき人物のすぐ目の前にまで走り寄る。
 そしてお腹のあたりに剣戟を加え、壁にたたきつけた。

「ぐわっ」
「……一度気絶までさせておいた方がいいかしら」

 そこでその様子を見ながらエリカがそう告げてそちらに向かって襲い掛かろうとした時……俺は何かが現れたのに気付いた。
 すぐさま振り返りざまに、その人物と敵の攻撃の備える。
 つまりは風系統の結界を張ったわけだが、その人物はそれすらも予測していたのか、もしくは俺達と“まだ”戦うつもりがなかったのだろう。

 そのままそのボスらしきものの前に近づいていき腕をつかみ、

「……やはり荷が重かったか」

 などと呟く。
 そこでエリカが、

「貴方は、誰?」
「……」

 だがエリカの声にはその敵の男は沈黙するのみで、何かを言う気配もない。
 自分の情報を少しでもこちらに渡さないための措置でもあるのかもしれない。
 だがこの男の不気味さにエリカも気づいているのだろう。

 手を出して良い物なのか迷っているようだった。と、

「……なるほど、さすがは……SSSランク冒険者に、特別な能力を持つ者か」

 そう男が呟く、
 どうやら俺に特別な能力があることは知られているが、異世界人であるのはまだ分かっていないらしい。
 この状況ではルーシーが女神だということも知られていないだろう。

 だがこの不気味な気配は何だろうと思う。
 しいて言うなら、“魔王”という自然発生的な害悪に、“意思”等をなくしたような……“特徴”をなくしたものによく似ている。
 “無個性”。

 感じる魔力の存在がまるで空気のように無味乾燥したものに感じるのだ。
 不気味な存在、下手に触るのは“危険”だと、無意識のうちに俺はそう判断した。
 おそらくはエリカもそうなのだろう。

 そう俺が思っているとそこでエリカが、

「……気持ちが悪いわ。貴方は何?」
「……分かるのか。さすがはSSSランクというべきか」

 そう面白そうに笑ってそこで、俺が張っておいた転移が出来なくなる結界が音を立てて壊れていく。
 耳障りなノイズが走ったような音が聞こえたのもあるが、弱いとはいえこの転移を封じる魔法を破られるのは俺としては予想外だった。
 と、そこで、

「だが私としてもお前たちは不愉快だ。SSSランクのお前はまだしも、そちらにいる少年、お前からは得体のしれない気配を感じる」
「……それはどうも」

 とりあえず俺は無難な答えを返す。
 それにその新たな敵は沈黙して……無言のまま、その敵であるらしいボスを連れてこの場からいなくなったのだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧