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【完結】猫娘と化した緑谷出久

作者:炎の剣製
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猫娘と強化合宿編
  NO.077 戦闘と失うもの

 
前書き
更新します。 

 


洸汰を守るためにマスキュラーと戦闘を開始した出久と爆豪。

「おら、いくぜぇ!!」

マスキュラーはその剛腕と筋線維増強による驚異的なスピードを生かしてまずは一番前に立っている爆豪へと腕を振るってきた。
普通に殴り掛かってくるのなら受け止めるかするものなのだが、爆豪の天才的直感はすぐに最悪の光景を幻視する。

「デク! 上に飛べ!!」
「う、うん!」

爆豪は爆破を使い瞬時に空中に飛び、出久も洸汰をその手に抱きながらも脚力強化で同じように空へと跳ぶ。
次の瞬間、マスキュラーの振り下ろした拳が三人がいた場所に着弾して盛大に爆発を起こした。
地面は盛大に爆発し岩石が塵となって崖の下へと落下していく。

「ちっ! なんて威力してやがる! あんなもんを受けたらたまったもんじゃねーぞ!」

思わず悪態を吐く爆豪。
出久も同意のようで激化する中で頷いていた。

「逃がさねぇぞ!」

技後硬直もほんの数秒で回復させたマスキュラーは空に向かって跳ぼうと足に力を込める。
それを察した爆豪は、

「やられてばかりじゃねーぞ、筋肉だるまぁ!!」

腕をマスキュラーに構えてこの二日間ばかりではあるが鍛えた個性の影響も吟味して、瞬時に汗腺を拡大させて最大火力の爆破を放つ。
サポートアイテムの籠手がないから放つ回数に制限があるが、オールマイト級にヤバい奴と判断した爆豪は切り札をすぐに切った。
爆破はマスキュラーに着弾して盛大に火柱を発生させた。
その間に出久と爆豪の二人はなんとか地面へと着地する。

「かっちゃん、腕大丈夫……?」
「ああ。まだいける……」

二人は視線を火柱が上がった個所から外さずにそう会話する。
油断も慢心もできない相手。
生死がかかっているから余計に神経を尖らせる。

……洸汰はそんな爆豪と出久のやり取りを無言で聞きながらも思った。

「(俺はバカだ……こんなに出久お姉ちゃんと爆破の兄ちゃんは信頼しあってるのに、あん時……爆破の兄ちゃんの事を邪険に扱っちゃった……後で、謝らないと……)」

出久にはもちろん、爆豪にも後でちゃんと謝ろうと誓った洸汰であった。
そんな思いとは別としてマスキュラーは火柱が収まった中で一切火傷もケガもせずに歩いてくる。
その表情は余裕に満ちていた。

「爆破の個性か……いいもん持ってるじゃねーか。まぁ少し力不足みたいだがな」
「んなバカな……! 今の俺の最大火力だぞ!?」
「ほう……それはいい情報だ。これくらいなら俺の個性で十分防げるってことだな?」
「チッ!」
「かっちゃん、洸汰君をお願い!」

そう言って出久が爆豪の前に出て爪を展開する。

「女……今度はおめぇか。かかってこいよ。俺は別にフェミニストじゃねぇ。男女関係なく殺すときは遠慮なく殺す。それが俺の楽しみだからな」
「御託は十分です。行きます!!」

脚力強化、爪の伸縮化、爪の硬質化。
三つの個性を同時に発動してマスキュラーの周りを高速移動をして時には壁をも伝い、跳ねていきながらも鉄をも切り裂く切り裂き攻撃をマスキュラーに与えていく。
次々と筋線維による肉壁が切り裂かれていくマスキュラー。
だが多少苦悶の表情はするもののまだ余裕がある。
ある程度防御に回っていたマスキュラーだったが、一言。

「軽いな……」
「んな!?」

高速移動もしている最中でマスキュラーはなんと出久の腕を勘で掴んでさらにはそのまま壁へと放り投げて出久を叩きつける。

「……そういえば、お前は情報によれば勝手に体も個性で治っていくんだったよな……? ちぃとサンドバッグにでもなれやぁ!!」
「ッッッッッ!!」

壁に叩きつけられた出久はなんとか腕を交差させて防御の体制に入るが、マスキュラーはそんなものは関係ないといわんばかりに何度も……そう何度も出久に向けて岩壁をも破壊するほどの拳を見舞った……。
それに晒された出久はたまったものではなかったために、何度も激痛による悲鳴を上げる。
壁が邪魔をして抜け出せないから余計にひどい。

「出久お姉ちゃん!!」
「てめぇ! デクから離れやがれやぁ!!」

爆豪は敵わないと分かっていても、それでも幼馴染が傷つけられる光景を容認できなかったために、そしてトラウマが顔を見せ始めてきたために必死の形相でマスキュラーに溜めでも何でもない爆破を繰り返してなんとかマスキュラーを吹き飛ばす。

「デク!!」
「う……」

そこには両腕がボロボロになって防ぎきれなかったのか血を流している出久の姿があった。
だが、それもオートヒールで少しずつであるが回復していっている光景を見て、一応は安堵をする爆豪。

「(そうじゃないだろ!!)」

個性で傷は治るという甘えが爆豪の中の自分を叱咤した。
そんなのは関係なく出久が傷つくことだけでも業腹物なのだからこれ以上出久を戦わせることはできない、と爆豪は決断した。
すぐに洸汰のもとへと出久を運んだ爆豪。
そしてマスキュラーを睨みつけて宣言する。

「これ以上デクを傷つかせねぇ! ここでてめぇをぶち殺す!!」
「かっこいいなぁ……。だが、力不足は否めねーぞ?」
「んなこたぁ関係ねーんだよ! てめぇは今、ここで、俺にぶち倒される! もう決定事項なんだよ!!」
「ば、爆破の兄ちゃん……」
「ガキ。デクを頼んだぞ!」
「う、うん……!」

爆豪の覚悟の表情を察した洸汰は力強く頷いた。

「いいぜ。かかってこいよ! 俺も本気の義眼でいくぜ……ッ!」

そう言ってマスキュラーは懐からいくつもの義眼をあさり出して、今本気になれる義眼を装着する。

「ここからはお遊びはなしだ。てめぇの覚悟に免じて本気を出してやるよ!」
「かかってこいやぁ!!」

爆豪はそう言って雄英体育祭で対出久に放った時のとある技の構えを取る。
遠慮など一切不要。殺す気でいかなければあの化け物には敵わない。
後先考えるより今の全力を出し切る!
その思いで爆豪はマスキュラーへと駆けていき、そして体を回転させながらも放つ。

榴弾砲・着弾(ハウザーインパクト)!!」

盛大な爆風を放ちながらもマスキュラーへと突撃していく。
そんな爆豪に対してマスキュラーは一切手を加えないシンプルな手……本気でぶん殴る事をしてきた。
そして二人の攻撃は着弾したと同時に地面は盛大に爆発を引き起こす。
洸汰はそんな光景を見て、ただ一言、

「すげぇ……」

と言葉を漏らした。
だが、爆風によって盛大に起きた粉塵が晴れてくる事によってどういう状況か見えてきたことによって洸汰の表情は盛大に引き攣る。
そして出久も目を覚ましたのかその光景を見てしまった。
……爆豪の榴弾砲・着弾(ハウザーインパクト)が瞬間的な爆破だとするならば、マスキュラーの拳は幾重にも重なる筋線維による強固な壁。
それを崩せなかった以上は爆豪の攻撃は受け止められるのが現実であった。

「ッ!?」
「そんなものかよぉ!!」

思いっきり弾かれてしまった爆豪はもうそれは両腕が酷使によって痺れてしまっていた。
ただでさえ昼間での個性強化による皮膚への虐め抜きが祟っていたためにもうこれ以上は腕が壊れるかもしれないところまで来てしまっていた。
それでなんとか後ろに下がろうとした爆豪であったが、

「逃がさねぇぞ!!」

マスキュラー手が手刀の構えを取って爆豪へと振り下ろしてくる。
このままでは肩から胴にかけてまで手刀で叩き切り殺されてしまうと悟った爆豪はなんとかまだ使える限りの爆破を放った。
だが……それは遅すぎた。
マスキュラーの手刀が爆豪の右腕の肘部分をまるで叩きつけるように直撃した……。


「あっ……」



―――爆豪はどこかスローモーションのような感覚に陥る……。



―――なにかの喪失感が脳内を占める……。



―――舞う鮮血……視線を泳がせれば……なぜか宙を舞っている己の右腕……。



―――出久と洸汰の己の名を叫ぶ声……。



―――その声もどこか遠くから聞こえてくるような感覚……。



―――最後に見た光景は右肘の付け根から無くなっている己の右腕……。



―――それを見届けて爆豪はそのまま気を失った……。



…………それはまさに最悪の光景だった。
果たして爆豪はこのまま息絶えてしまうのか?
出久達はどうするのか……?

 
 

 
後書き
不穏な終わり 
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