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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE127 あたらなる瞬間移動スキル

ついに……オズマとデレックは央都アルンへ到着!そこはまさに妖精9種族が入り乱れる、ALOのテーマである種族間抗争からかけ離れた世界!巨大な世界樹が雄大にそびえ立つアルヴヘイム最大の都市であった!
そして、オズマがここを訪れた目的は無論……SAOから唯一バグの影響を受ける事無く持ち越せたふしぎな飴を使用する事であった。オズマのふしぎな飴はオブジェクト化と同時にインプの非硝石(ひしょうせき)へと姿を変え……それはインププレイヤーが使用する事でスキル『ワープビジョン』を習得させるアイテムであった! by立木ナレ



「あのインプ…今、瞬間移動したぜ!あれって何のスキルだよ!?」

「あんなスキル何時実装されたの?私もあれほしー!」

俺がこのアルンで習得したスキルはこの場にいるプレイヤー達から多くの視線、注目を集めるには十分な代物だった。
まさか俺もまたしても……SAOに続きこのALOでも瞬間移動する術を得る事になるとは思ってもみなかった。

俺「コイツがワープビジョンのスキル効果か……SAO時代のユニークスキルだった補足転移とは似てるけど勝手がやっぱり少しばかし違うみたいだな」

何度かワープビジョンの効果を試し、俺は独り言のようにそんな感想を口にしていた。今現在分かっているのはこのワープビジョンは補足転移がタゲを取っていたモンスターやプレイヤーの傍に瞬間移動するのに対して、こちらは自分の視界内で一定の距離内であればどこでもワープ可能であると言う事だった。
とりあえず今のところは一度のワープで最大20メートル以上の移動が可能である事は確定していた。そして、魔法の要素を取り込んでいるこのALOではこのスキルは一度使用するたびにMPケージを一定量消費する事も分かっていた。
更に言えば、ユニークスキルであった補足転移は単なる瞬間移動だけではなく、瞬間移動を伴ったソードスキル……言うなれば補足転移専用のソードスキルがあったのだが、そもそもこのALOではソードスキルが実装されていないので、このワープビジョンも単なる瞬間移動の能力のみとなっていた。

デレック「本当に君は次から次へとこのゲームの常識を覆しちゃうと言うか……ぶち壊しにしてくれるよね~」

デレックはヘラヘラと笑いながらこちらに歩み寄ってきた。

俺「そんな実感は全然ねぇよ、俺はこのゲームを始めたばっかりな上にALOの常識とか言うのも完全に理解しきっちゃいねーしな」

デレック「ま、現状いまの時点でね、いくら魔法要素に満ち溢れたALOで瞬間移動するスキルや魔法なんてのは存在しないってわけさ」

確かにそれは間違いないだろう、ALOに存在する魔法で姿を消す魔法、モンスターやアイテムに擬態する魔法などは既に見聞きしているが、流石に瞬間移動する魔法やスキルなどは聞いていないし、使っている者も一度も見ていない。
と言うか、そんなスキルや魔法があれば大勢のプレイヤーが習得していてもおかしくないはずだ。

デレック「けどさ、このワープビジョンのスキルはオズマがインプだったからふしぎな飴が『インプの非硝石』で習得したわけだけどさ……もしオズマがインプ以外のプレイヤーを選択してたらさ、ふしぎな飴は別のアイテムになって習得スキルも変わってたんだろーね?」

俺「多分、そうなんだろうな。インプの非硝石には確かに使用できるのはインプのみ、と書いてあった。」

最もインプ以外のプレイヤーの場合はどんなスキルを習得するのか今の俺達に確かめる術は無い。その機械が訪れるとしたら、俺以外のSAO生還者でゲームクリア時にふしぎな飴を持っていたプレイヤーがALOにログインする事だろうが――

俺「俺みたいにふしぎな飴をキープしてたSAO生還者なんて多分、数える程度なんじゃねーか?」

デレック「ええ~、なんでさ~?」

デレックがつまらなさそうに口を尖らせて聞いてくる。どうやら完全スキル制のALOに慣れ切っているデレックには今一つ分かりづらかったようだった。

俺「SAOはレベル制のゲームだ。んでもって最前線クラスのプレイヤーともなると、レベルを一つ上げるのにだって何日も……一週間とか掛けてレベルをようやく1レベル上がる程度のゲームなのは想像がつくか?」

デレック「まぁ、MMORPGは基本的に従来型の一人用のRPGゲームに比べてレベルアップに必要な経験値が遥かに膨大なのはお決まりだからね~……ああ、そう言えばふしぎな飴ってレベルを一つアップさせてくれるんだっけ?」

俺「そうだ、例えばレベル50で次のレベルアップまで必要な経験値が50%って状態の奴がふしぎな飴を使うとな、そいつはレベル51で次のレベルアップまで必要な経験値が50%って状態になるんだよ」

もしこれが、使用した時点でレベル51で次のレベルアップまで必要な経験値が100%の状態になると言う効果だったら、取りあえず自力でレベル51までアップさせて、レベルアップ直後の状態で使用してレベル52にした方が所得出来る経験値自体はその方が多い事になるので、そうする者が多くなるのだろうが、次のレベルアップに必要な経験値も%換算ではあるが引き継がれるので、基本的にハイレベルプレイヤーにとっては手に入れてすぐに使ってしまって何の問題の無いアイテムだった。
そして、デレックのその辺りの事情は直ぐに理解していたようだった。

デレック「そうなると、確かにSAOがクリアされた時点でふしぎな飴をストックしてるプレイヤーは少なかっただろうね」

俺「そう言う事だ、大抵の奴は直ぐに使っちまうか。或いは金をたっぷり持ってるハイレベルのプレイヤーに売りつけるかのどちらかだが……使っただけでレベルが一つアップしちまう効果とだけあって、滅多に手に入るようなアイテムでもなくてな、例外なく高価格で取引されるが、それでもSAOのトッププレイヤーは強くなるために投資を惜しむ事無くレアアイテムの取引は派手なオークションになりがちだった。」

デレック「んで、高い金を払ってふしぎな飴を買ったプレイヤーはやっぱりすぐに使うわけだね?」

俺「当然だ、使ってレベルを一つアップさせるアイテムなんだから使わなくちゃ意味がねぇ」

俺の場合は第75層のフロアボス戦のLA(ラストアタック)を決めて、ドロップしたユニークアイテムがレアアイテムが多数入ったボックスアイテムで、その中にふしぎな飴があったわけだが、その直後にキリトがヒースクリフの正体を看破するわ、エルダも自分の正体を明かすわのてんやわんや続きの状態と化し、更にそれが終わったらそのままSAOクリアとなったが為に、本来なら早々に使うはずのふしぎな飴をキープした状態になったに過ぎなかった。

デレック「ふ~ん……んで、これからどうするの?」

俺「あ?」

飄々としたニヤけ顔でデレックがいきなり要領を得ない質問をしてきた。

デレック「だからさ、オズマのALO最初の目的はこれでクリアしたわけじゃん」

俺「ああ、そうだな」

デレック「それで~、SAO時代からのステータスやら何やらを引き継いだうえに、多分ALO史上初の瞬間移動スキルを得たオズマの次の目的はどうなのかって聞いてるの!」

何故か若干苛立たし気に声をあげるデレックだった。俺はめんどくさそうな表情を作り、軽く溜息をついてから言い返す。

俺「んな事まだ決めてねーよ。VRMMOなんだからモンスターを狩りまくるなり、クエストをクリアするなり、デュエル合戦に参加するなり、幾らでもやれる事なんてあるんじゃねーか?」

デレック「えー、けどオズマって何となくさ~」

気のせいか、微妙に俺を馬鹿にしてるんじゃないかと思えるような目付きでデレックは言う。

デレック「明確な目標とかが無いとすぐにグータラになっちゃうタイプって気がするんだよね~。んでもって自分から率先して何かしらのやり甲斐とか目的とかを見いだせないタイプ?」

俺「言ってくれるじゃねーか……」

だが、中々痛い指摘を付いてきやがるな……SAO時代はとにかく生きて生還すると言う目的があり、尚且つゲーマーとしてのプライドもそれなりにあったから常に攻略組の主力であり続けようとし、そうあり続けたわけだが、今このALOに置いて俺はこれといった目標は立ててなどいない。

んでもって俺はデレックが鋭く指摘した通り、自分から何かしらの目標を率先して立てるタイプでもなく、現実(リアル)での日常では特にそれが強く、結果的に怠惰で自堕落でいる事を好むと言った感じなのだろう。

デレック「ま、俺も俺でオズマを央都に案内するって言うお役目は完了したわけ、オズマがこれ以上ここで特にやる事なんてな~んにも見つかりそうにないからインプ領に帰るとか言うなら、帰りも付き合うけどそうするの~?」

デレックの煽り気味なニヤけ顔と口調が妙に鼻に付いた俺は……それに対抗するかのように、巨大にそびえ立つ世界樹に目を向けて気が付けばこう言い返していた。

俺「あるじゃねーか……この央都アルンじゃなくちゃ出来ねーデカい目的がよ……!」

デレック「え……そりゃまー、アルンじゃなくちゃ受けられないクエストとかもいっぱいあるけど、オズマってそこまで調べてないでしょ?」

今度は俺が鼻でデレックを笑ってから、呆れてると言わんばかりの態度を見せながら言い返す。

俺「おいおい、1年間もALOやってて忘れちまったか?耄碌(もうろく)してんじゃねーぞ……何のためにここに世界樹があると思ってんだよ?」

デレック「何の為って……ALOのグランドクエストの為だけど?」

俺「ああ、そうさ……ここにはあるじゃねーか。ALO最大にして最終目標がな!」

俺がそう言い放つとデレックはバカを見る科のような目付きで数秒間沈黙していた。

デレック「あのね……なんでサービス開始から一年間も経ってるのに誰もクリア出来ないと思ってんの?世界樹の樹の上に辿り着くには、世界樹の中から入って大量のガーディアンモンスターの群れを突破しなくちゃならないんだよ?それはもう、何度も何度も大御所隊のパーティーが何度も組まれて挑戦しては失敗を繰り返してるって話したよね?んでもって、今更説明するまでもないけど、滞空時間の問題で飛んで行くなんて絶対に無理だしね。この樹の一番下の枝にだって辿り着けやしないよ」

確かに、今まで何度も飛行した経験だけでも、一人の飛行時間じゃこの巨大な世界樹の辛うじて地上からでも見える一番低い位置の枝にも辿り着く事は不可能だと言う事は分かる。
だが―――それはあくまで一人分の飛行時間に限っての話だ。

俺「デレック、まずは頭数を揃えるぞ」

デレック「頭数って何のさ?」

俺「決ってるだろ、世界樹の上の妖精王とやらの元に辿り着くための人員だよ」

デレック「だ~か~ら~、大御所隊のパーティーを何度も組んで失敗してるって―――」

俺「そんな大規模なパーティーを組む必要なんてねーんだよ」

デレックが呆れ気味に声をあげるが、俺はそれをハッキリとした自身の元の発言で打ち切った。デレックも俺がまた何か仕出かすのじゃないか?と思ったのか、呆れ気味の表情はあの興味あり気な表情へと変化していた。

俺「デカい奴から小さい奴まで均等な数を揃えるんだ……そうすりゃ辿り着けるんだよ、サル山の天辺で俺等を見下ろしてやがる妖精王様にな!」



 
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