| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

FILE124 シグルドの弁明・・・ルグルーの地下鉄

これは一体……どういうことなのだろうか?ルグルー回廊でオズマとデレックを襲撃したサラマンダーの一団であったが、オズマらはこれを撃退!まさに圧倒的勝利!……ところが、索敵スキルによってその場で隠蔽スキルで身を隠していたプレイヤーを発見、それはなんと……シルフ領の幹部プレイヤーであるシグルドであった! by立木ナレ


デレック「んで~、何時もシルフの手下を何人も引き連れてるシグルドさんが一人ぼっちでなにをしてるんのかな~?」

デレックは微妙に脅し染みた口調でシグルドに詰め寄り、隠蔽(ハイド)で姿を隠していたシグルドを問い詰め始めていた。
シグルドは焦りを感じているのか目を大きく見開いて、デレックから目を逸らしていた。

俺「近くで俺等がサラマンダーの連中とやりあってるのも見てたんだろ?それをなんでまた隠蔽しながら高みの見物してたんだろうな?」

シグルド「お、俺も……襲われただけだ」

シグルドは目を逸らしながらそう答える。

俺「襲われたってのはさっきのサラマンダーの連中にか?」

シグルド「そ、そうだ!俺もシルフ族のパーティーを組んでルグルー回廊で狩りをしていたら連中に襲われたんだ!」

デレック「うん、シルフとサラマンダーの関係を考えるとそれは不思議な事じゃないよね」

叫び散らすようなシグルドの言葉に対してデレックはあり得なくはない話だと認めていた、確かにサラマンダーとシルフは事ある毎にPK合戦を繰り広げるような対立関係なのでそれはおかしなことではない。

デレック「んで、君のお仲間――もとい、手下たちはどうしちゃったのさ?」

シグルド「決ってるだろ……やられたんだ!俺以外全滅だ!」

デレックもそれくらい分かっていて聞いたのだろう。シグルドは苛立たし気に怒鳴りつけるように声を荒げていた。

俺「アンタだってシルフ族の腕の立つプレイヤーだってのに一方的にか?」

シグルド「それは……」

シグルドは一時的に言葉を詰まらせていた。何か答えにくい内容を含むのか、10秒ほど焦りを感じさせる表情で口元を歪ませながら、ようやく小さく口を動かすのだった。

シグルド「こ、今回は……俺を含めて3人の少数パーティーだったんだ……しかも向こうにはシルフ狩りの名人として知られるサラマンダーのプレイヤーがいたんだ!」

デレック「シルフ狩りの名人のサラマンダーって――ああ~、カゲムネの事だね?」

シグルド「そ、そうだ!そのカゲムネもいたんだ!」

俺「誰だそれ……?」

俺だけ話に置いてけぼりになりそうだったので、勝手に話を進めつつあるデレックに俺は尋ねる。

デレック「さっきオズマが撃退したサラマンダー部隊の指揮をとってた奴だよ。ほら、最終的に大きな声で『てった――――――い!』って叫んでた奴」

俺「そこまでデカい声じゃなかっただろうが」

取りあえず誰がシルフ狩りの名人のカゲムネかは分かったが、デレックのやかましい大声に対してしかめっ面になるのを抑えられなかった。

シグルド「と、とにかくだ……奴らの執拗な追跡を逃れる為に隠蔽(ハイド)で身を隠していただけだ……別に何もおかしくないはずだ!」

そう言われてしまえば、シグルドのやっている事は別におかしくない様な――おおよその筋は通ってるようにも思えた。
どちらにせよ、シグルドがここで何をしていたところで俺達の目的には何の関係も無い事は確かだろう。

俺「足止めして悪かったな。んじゃ、サラマンダー連中に気を付けて自分の領に帰りな」

シグルド「ああ、言われずともそうつもりだったさ……」

シグルドは俺達が来た道とは別のルートでそのまま走り去って行った。飛行速度の高さがウリのシルフ族だがALOでは屋内では飛行が出来ない仕様である為、薄暗いルグルー回廊を一人でモンスターの相手をしながら戻るのは一苦労するかもしれないが、奴もシルフ族の軍務を預かるらしい実力者なのでここから出るくらいは一人でどうとでもなるだろう。


※ ※ ※


そして、オズマとデレックはルグルー回廊を渡り二人の眼前には、巨大な石造りのゲートが遥か地下空洞の天井までそびえ立っていた!
そこは鉱山都市ルグルーの城門……ルグルー回廊はまだ完全に抜けてはいないのだが、ここは途中の補給などを行える貴重な安全圏内!まさにルグルー回廊唯一のオアシスであった!by立木ナレ

デレック「あらら、リアルの時間はもう深夜12時手前だってさ~、オズマはこれから大丈夫なの?一応、アルヴヘイムが本格的に賑わい始める時間帯はこれからなんだけどね~」

俺「平気だよ、もう後何時間か位全然問題ない。」

何せ俺は学校にも行っていない、定職にも就いていない、気が向かないときは家でダラダラと過ごしたり、外をブラブラとしてるだけのグータラ者だしな。

デレック「オッケー、そう来なくっちゃ!俺も今は自由登校って奴でね、学校なんて幾らでもサボり放題だからオールでいけるよ!あはははははっ!!」

デレックは親指を立ててゲラゲラと口やかましく大笑いしていた。自由登校がどうとか言っているが、それはつまりリアルのデレックは学生だが、幾らでもサボり放題だとか言ってる辺りさほど勉強熱心ではない学生である事が想像が付く。

取りあえず俺とデレックは城門をくぐり、さっそくNPCの楽団の演奏と、幾つかの槌音が聞こえてきた。SAOでも何処かの街や村に入った時は大体こんな感じだし、やはりディオが言っていた通りSAOのサーバーを丸ごとコピーしたのがALOであると言う説は信憑性が有るのかもしれない。

俺「街の規模はインプの首都よりは狭いみたいだな」

デレック「そりゃそーだよ。各種族のホームタウンは例外なく広大なんだよ。それに比べてこの鉱山都市はあくまでルグルー回廊の補給地点的な役割だからねぇ~」

俺「お前はここにはよく来るのか?」

デレック「いや、そもそもそう頻繁にルグルー回廊を通ったりはしないからねぇ~。ALO始めてから一年経つけどここに来るのはこれで4度目だね~」

デレックとそんな話をしながら、中央の目抜き通りを挟む様にそびえ立つ岩壁に、武器防具店や各種の素材、酒や料理などを商う店やら工房が密集していた。
プレイヤーのカスも思ったよりは多く、初めて目の当たりにする種族のプレイヤー達が談笑しながら行きかっていた。

俺「アイツらは今まで見てきた妖精種族とは違うよな……?」

デレック「ああ、あの連中は鍛冶妖精族(レプラコーン)音楽妖精族(プーカ)だね。レプラコーンは戦闘よりも鍛冶職に向いてる種族でプーカは歌唱、楽器演奏に長けた種族だよ」

プーカと言うのはどんな需要があるのか分からないが、レプラコーンはリズベットあたりが仮にALOを始めたら、十中八九の確率で好んで選択しそうな種族だな。

俺「取りあえず酒だ酒!リアルじゃ親父に一日一本までだって言われてるからな……せめて、ゲームの世界では好きなだけ飲みまくるぞ!」

酒を売っている店を見た時点で俺はすぐにでも酒を飲みたい衝動に駆られてそう声に出した。するとデレックは若干意外そうな表情を浮かべて口を開く。

デレック「父親から一日1本までなんて言い付け守ってるの?オズマがそんな親の言いつけを聞くなんてな~んか、想像付かないな~」

俺「一応、未成年の身分だからな。20歳になるまでは酒はビールで一日一本、タバコは一日三本までって中学の頃から言われてんだよ」

俺がめんどくさそうにしながらそう言うと、デレックは数秒間の沈黙の後―――

デレック「未成年だったんだ……て言うか、未成年の息子にお酒やたばこを制限付きで認めてるってどんな父親だよ……」

俺「ま、ロクな人間じゃねーのは認めざるをえねーな」


それはオズマも大差ないのである!そしてあろう事がオズマ……豪遊!酒を飽きる事無く次々と飲み!酒の摘みを片っ端から口に入れ……悪魔的な豪遊!結局そのままオズマは寝落ち!デレックは目の前で呆気なく寝落ちしたオズマを見て、『こりゃお手上げだよ……』と呆れながら呟いた直後にメッセージを残してログアウト……結局この日はルグルー地下都市で切り上げとなったのであった! by立木ナレ



※ ※ ※



俺「起きたらもう朝でデレックからのメッセージが残ってるだけとはな……」

目を覚ました俺の目の前に既にデレックはおらず、奴は俺に『次は夜の9時に落ち合うで良いよね?』とだけメッセージを残していた。
デレックがログインしている状態では返信したところで届かないが、向こうからそんな時間指定のメッセージを送って来るのだから、少なくとも向こうはその時間帯にはログインしているのだろうと考えて俺はその時間帯にログインする事を決めていた。

そして今俺は、真昼間の山谷の街中をフラフラと何をするわけでもなく歩いていた。今日も相変わらず平日の真昼間である事を感じさせないほどにその辺りに働きもせずに酒を飲んだくれてるオッサンや、ゴミの山の近くで寝転がっているホームレスはここでは全く珍しくない。

俺「なんか上手い賭け事にありつけねーかな~」

この前は宝くじに手を出して盛大に惨敗だ。あの時の負けを取り戻す何かがないだろうかと俺は考えていた。
パチンコはダメだ、店の中のガラガラっぷりを見る限りだと今日はおそらくあたりが出難い日である可能性が高い。

俺「ったく、やっぱり何か働くっきゃねーのかなぁ……」

「あったりめーじゃん!!」

俺「―――っ!!」

俺の独り言に対して、唐突に後ろから大声での返答が俺の耳に響いた。だが、その聞き覚えのある声―――その声の主は俺が良く知っている人物だ。

俺「(あたる)……俺の入院中もデカい声出して看護師に叱られた事から何も学んじゃいねーな」

充「ああ、ありゃ美人の看護師さんに叱られたくってワザとやったことだからな!だはははははっ!!」

俺の後ろで馬鹿笑いをしているのは俺の小学校時代の同級生(正確には中学でも同級生)の柏木充(かしわぎあたる)だった。
この山谷でノミ屋を経営している夫婦の息子で、コイツ自身も未成年でありながら実家のノミ屋でバイトしつつギャンブルを嗜む無法者だった。

俺「お前、確か今は浅草にあるって言う定時制の高校に通ってるとか言ってたな?」

充「そそ、俺の場合は授業は午前中だけだから午後は暇で暇でよぉ~。あんまりにも暇だから今日の7時からカラオケで合コンやるんだけどさ、弭間(はずま)はどう?女子達を集めるにはやっぱりこっちにもイケメンが一人くらい必要でよぉ~」

充は両手を合わせて懇願してくる。今日は夜の9時からデレックとALOでの約束がある、そして合コンが7時からとなると俺は2時間も参加できない事になる。


実際のところオズマは―――合コンへの興味はあった!この二年間オズマはSAOに囚われ続けていた為、SAO以前にキープしていた手軽に手を出せる少女たちの大半とは疎遠となっており、そろそろ新しい少女をキープしておきたいと考えていた所であった!by立木ナレ


俺「9時に用あるからよ、それまでに上がっても良いか?」

充「良いって良いって!弭間は女子達を呼び集めるキーパーソンなんだからよ!取りあえず写メ取らせてくれよ、このイケメンが参加するって女子達に伝えて誘き寄せるからよ!」


そしてこの男……充も気が付いていなかった!より多くの女子達を集める為にオズマを使うわけだが―――そんなオズマが合コンの場にいる事によって自分が更にモテなくなってしまうと言う想像に容易い事に全く!by立木ナレ

俺「んで、7時にカラオケだな~?」

充「おう!結構可愛い女に声かけてるから期待してろよぉ~」

だが、俺はこの時は想像していなかった、そのカラオケでの合コンの場に……決して合コンと言う場で鉢合わせたくない一番の女子と鉢合わせてしまう事になる等とはこの時の俺は思ってもいなかった……

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧