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なんばパークス

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第四章

「さっきお話したけれどね」
「南海ホークスよね」
「そのフロアよね」
「ここ前は大阪球場で」
 ここでまたこの話をするのだった。
「南海ホークスの本拠地で」
「南海ホークスのよね」
「メモリアルコーナーなのよ」
「それが九階よね」
「そうなのよね」
「大阪球場の跡地だから」
「南海ホークスのコーナーがあるのね」
 二人で話した、そしてだった。
 直美はわりかし真剣な顔になってだ、千明に提案した。
「時間ある?」
「まあ夕方までに帰られたらね」
 それならとだ、千明は直美に答えた。
「いいわ」
「私もよ。だったらね」
「今から九階に行って」
「南海ホークスのこと見てみる?」
「そうね、ソフトバンクのことは知ってても」
 つまり今のホークスはというのだ。
「南海時代はね」
「よく知らないわよね」
「確か野村克也さんがいたのよね」
「キャッチャーだったのよね」
「それも四番で」
 このことは二人も知っていた。
「ずっと活躍していて」
「凄い選手だったのよね」
「けれどね」
 それ以外のことはというのだ。
「あの人以外って」
「これといってね」
「私達知らないわよね」
「杉浦忠?」
 直美はこの人の名前をふとした感じで出した。
「シリーズ四連投四連勝の」
「あっ、長嶋さんと大学一緒だった」
「眼鏡かけたね」
「アンダースローで凄いカーブとシュート投げてたのよね」
 千明もその人のことを話した。
「確か」
「ゲームでも出てたわよね」
「とんでもない能力でね」
「あの人も有名よね」
「野村さん並にね。けれど」
 この二人のことは思い出せた、だが。
 二人共彼等以外の選手達のこともチームのこともこれといって思い浮かべることは出来なかった、それでだった。
 直美は千明にだ、こう言ったのだった。
「じゃあ時間あるし」
「ここの九階行って」
「見てみる?南海ホークスと大阪球場のこと」
「そうね、そうしてみましょう」
 千明も頷いた、こうしてだった。
 二人でその九階まで向かった、流石に九階にまでなると人が多いなんばパークスもその人が少なくなってくる。そしてだった。
 その九階に行くとだ、日に照らされた中にだった。
 南海ホークスの選手のことやチームのこと、それに大阪球場のことが写真と文章付きで何かと細かく説明されていた。
 そこでだ、大阪球場が何時まであったかということも書いてあってだった。直美は千明にこんなことを言った。
「私達まだ子供だったわね」
「五歳かそれ位よね」
 千明もその文章を読んで直美に応えた。
「大阪球場なくなったのは」
「それ位よね、五十年近くあったのね」
「昔はここに古書街とかあったのは聞いてたけれど」
 大阪球場のその中にだ。
「スケート場とかもあって」
「レストランとかもね」
「私達が子供の頃まではあったのね」
「私行ったことないけれど」
「私もよ、けれどね」
 それでもというのだ。 
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