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なんばパークス

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第一章

               なんばパークス
 今や大阪の観光名所の一つとなっている。
 南海線難波駅から降りてすぐになんばパークスに来てだ、椎葉千明は一緒にいる岡田直美にこう言った。
「いや、ここに来たらね」
「色々遊べてね」
 直美は千明に笑顔で応えて言った。
「楽しいのよね」
「遊ぶのに苦労しないわね」
「食べるお店も一杯あって」
「六階か七階に行ったら」
 それでというのだ。
「食べ放題のお店も結構あるし」
「困らないのよね」
「ここにいたら」
 それこそというのだ。
「遊んで食べて」
「楽しく遊べるからね」
「今日も来たわね」
「いや、あれよね」
 直美は千明に笑顔で言った、二人共大阪のある会社に勤めていて休日はよく一緒に遊んでいる。それで今日はなんばパークスに来たのだ。見れば直美は背は一五三位で奇麗な黒髪を伸ばしていて目が小さく色白である。千明は背は一五八位ですらりとしたスタイルと面長の顔である。目はやや吊り目で癖のある感じの黒髪が長い。二人共ラフなジーンズとシャツでバッグを持っている。メイクはどちらもあまり濃くはない。
「ここに来たら退屈しないし」
「いい場所よね、ただね」
「ただ?」
「いや、ここ昔球場だったのよね」 
 千明はここでこの話をした、なんばパークスの立体的な入り口を二人で進みながら直美に言ったのである。
「そうよね」
「ホークスのでしょ」
 直美もすぐに答えた。
「福岡ソフトバンクホークスのね」
「あのチーム昔は南海が親会社だったのね」
「南海ホークスよね」
「もうかなり昔だけれど」
「それで南海ホークスだった頃は」
「大阪が本拠地で」
 南海が関西の私鉄で親会社の本社が難波にあるからだ。
「大阪球場が本拠地でね」
「ここ大阪球場の跡地なのよね」
「それは私も知ってるわ」
 千明は自分から言った。
「生まれる前の話だけれど」
「私もよ、それでホークスが福岡に行って」
「親会社がダイエーになって」
 そして今はソフトバンクが親会社だ。
「それで大阪球場もね」
「なくなって」
 肝心のホークスが福岡に移った、その為だ。
「今はね」
「なんばパークスがあるのよね」
「この通りね」
 直美はその高い建物を見上げた、まるで大阪を睥睨するかの様な高さだ。ここはホテルもあってそのホテルを見上げているのだ。
「今はね」
「いや、大阪も時代によって変わるのね」
「そうね、球場からね」
「今じゃビルだから」
「面白いわね」
「若し球場だったらよ」
 直美はこうも言った、自分達の左手にある広告は一瞥するだけだった、それよりも庭園を思わせる自分達の周りを見ていた。
「私達行ってないわよね」
「そうよね、私達野球は阪神だから」
「南海はね」
「パリ―グだからね」
 千明は直美の横で彼女にどうかという顔で述べた。
「それじゃあね」
「行くことなかったわね」
「この辺りは通っても」
 それでもというのだ。
「大阪球場だと行かなくて」
「球場のところにあるお店には行っても」
「それでもね」
 球場ならばというのだ。 
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