ツインテール命

　　　　　　　　　　　　　　　ツインテール命　
　渡辺智美はいつも茶色がかって実は長めの髪の毛を左右でツインテールにしている、背は一五三位で目が大きく眉はかなり短い。耳は大きめで顔立ちは高校三年にしては幼い感じだ。
　その智美にだ、クラスメイト達は彼女のツインテールを束ねている黄緑色の左右一つずつのリボンを見ながら言った。
「髪の毛いつもそれよね」
「ツインテールよね」
「その髪型にしてるのね」
「似合ってないとか？」
　智美は友人達にこう返した。
「そう言うの？」
「いやいや、似合ってるわよ」
「可愛いしね」
「いい感じよ」
「それはいいと思うわ」
「じゃああれね」
　智美は彼女達の言いたいことを察して自分から言った。
「どうしていつもツイテールなのか」
「それよ」
「どうしていつもなのよ」
「いつもツインテールなのよ」
「他の髪型にしないの？」
「それはね」
　少しだ、智美はここで口を濁した。
　そしてだ、こう言ったのだった。
「まああれよ」
「あれ？」
「あれっていうと」
「これでいいと思ってよ」
　それでと言うのだった。
「それでなの」
「いつもツインテールなの」
「その髪型にしてるの」
「そうなの」
「ひょっとして」　
　ここでクラスメイトの一人がこう言った。
「彼氏に言われたとか」
「あっ、智美彼氏いるしね」
「大学の先輩ね」
「ちゃんと相手いるわね」
「いや、まさかよ」
　智美は交際相手の話についてはこう言った。
「商業科にいたらこんなに彼氏作るの苦労するとかね」
「思わなかったわよね」
「もう必死で探してアタックしないとね」
「彼氏出来ないわよね、商業科は」
「どうにもね」
「けれどね、普通科の一つ上の先輩とね」
　智美は八条学園高等部商業科の生徒だ、学年は三年生で吹奏楽部に所属していて厚生委員でもある。真面目な生徒と評判だ。
「付き合えてね」
「それでよね」
「今も続いてるのよね」
「そうよね」
「ええ、けれどね」
　ここでこう断った智美だった。
「その人に言われてじゃないわよ」
「それでツインテールじゃないの」
「そうなの」
「見て」
　智美は自分のスマホの画像を出した、見ればそこには智美そっくりの小さな女の子が笑顔で映っていた。クラスメイト達はその少女を見てすぐにわかった。
「これって智美ちゃんじゃない」
「そうよね、八条学園の初等部の制服だし」
「顔まんまそれだし」
「智美ちゃんずっとこの学園だっていうし」
「そう、だからね」　
　それでと言うのだった。
「これでわかるでしょ」
「ずっとツインテールなのね」
「そうなのね」
「今もなのね」
「そうなの、ずっとね」
　それでというのだ。
「私ツインテールなの」
「あっ、ひょっとして」
　ここで別の友人が言ってきた。