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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第43話 結成、美食連合軍!コカビエルをぶっとばせ!

 
前書き
 ようやくコカビエルと決着が付きます。 

 
side:イッセー


「ぐぅ!?……痛ぇ!」


 背中の痛みを感じながら目を覚ました俺、我ながら良く生きているよな……
 俺はとにかく体を起こして光の槍を無理やり引きぬく、背中から血が出るが筋肉で締め付けて出血を塞いだ俺はイリナを攻撃しようとしていたコカビエルを捉えた。


「させるかよ!」


 結構な距離があるためこのまま普通に助けに行っても間に合わないだろう。俺は鬼との戦いで得た力の使い方で体を動かす、すると今まで籠手が無ければ出せなかった速度で移動することが出来て難なくコカビエルの攻撃を受け止めることが出来た。



「イッセー君……?」
「き、貴様ッ!?」
「よう、コカビエル。地獄から戻って来てやったぜ」


 コカビエルはあり得ないという表情を浮かべるが俺は内心呆れていた。
 俺が死んだかどうかもちゃんと確認しない辺り野生の戦いに関しては素人だな、野生では死んだふりをして奇襲を仕掛ける動物もいるからだ。


「な、何故生きている?死んだはずじゃなかったのか?」
「素人め、野生の世界では獲物が死んだかどうか分かるまでは油断しちゃいけないんだぜ?まあ今回は怖い鬼に叩き起こされたからこうやって立っていられるんだけどな」
「何を訳の分からないことをほざいている、ならば今度こそ息の根を止めてくれるわッ!!」


 俺が皮肉を言うと、コカビエルは怒りの表情を浮かべ、空いたもう片方の腕に光の剣を生み出し攻撃しようとする。俺はコカビエルの光の剣を蹴りで砕いてやった。


「馬鹿な!?」
「俺が寝ている間に好き放題してくれたじゃねえか、コカビエル。だがもう好きにはさせない、仲間は……イリナは、俺が守る!!」
「ぐっ、今のはまぐれだ!この俺が貴様如きに……!」
「だがまずは皆の回復が先決か。悪いがコカビエル、ちょっと休んでいてくれ」
「何を言って……ぐふぅぅぅ!!?」


 あり得ないと驚くコカビエルだが、そんなことはお構いなしにと俺はがら空きになっていた奴の腹部に拳を叩き込んだ。
 先ほどまでは俺の攻撃にも耐えていたコカビエル、だが今の一撃は相当効いたのか腹部を抑えながらその場に膝を着いた。


「な、なんだ今の一撃は……!?さっきまでとは比べ物にならないぞ……!?」


 蹲るコカビエルを無視した俺はイリナをお姫様抱っこで抱えた。


「イ、イッセー君!?」
「すまないな、少し大人しくしていてくれるか?じゃないと舌を噛むぞ」


 俺がそう言うとイリナは顔を赤くしながらも大人しくなる、俺はイリナを抱えてまずアーシアの元に向かった。


「アーシア!……こんなに傷ついて……すまない」
「イ、イッセーさん?良かった、ご無事だったんですね……」
「ああ、何とか生き返ることが出来たよ。皆を守れずに死ぬわけにはいかないからな」
「私、信じていました。イッセーさんは負けないって……だから頑張れたんです」
「アーシア……」


 俺を信じていたと言い微笑むアーシア、そんな彼女が堪らなく愛おしくなりそっと抱きしめた。


「暖かいです、イッセーさんの温もりが伝わってきます……」


 すると信じられない事が起きた、アーシアの体から淡い光が出るとその光がアーシアの体にあった傷を癒し始めたんだ。
 少しするとそこには傷一つない綺麗な体のアーシアが存在していた。


「これは一体……?」
「もしかしてアーシアの神器『聖母の微笑み』がパワーアップしたのか?」
「はい、きっとそうです。イッセーさんの私への想いが神器を強くしてくれたんです!」


 神器は使用者の想いで強くなると聞いたが、ここでその奇跡が起きてくれるなんて思わなかったぜ。


「でもこれなら皆を助ける事が出来そうだ、なら早速……」
「あ、あの……」
「うん?」


 皆を連れてこようとすると誰かに声をかけられる、声がした方を見てみるとそこにいたのはソーナ会長だった。


「生徒会長か、俺になにか用か?」
「いえ、その……傷は大丈夫なんですか?」
「俺は平気だ、今から皆を連れてきて回復させる」
「あ、なら私にも何かお手伝いを……」
「心遣いは感謝するよ。でも大丈夫だ、直にすむから」
「えっ……?」


 困惑する生徒会長を今は無視して俺は立ち上がる、そして残像が残る速さで倒れていた小猫ちゃん、朱乃さん、祐斗、リアスさん、ルフェイ、テリー、ゼノヴィアを瞬く間に連れてくる。


「は、速い!?今兵藤君が何人にも見えましたが……」
「アーシア、回復を頼む」
「はい!」


 アーシアは頷くと癒しの光を全員に与えていく、前までは一人ずつしか回復できなかったが今はまとめて回復できるようになったのか。


「……あら、ここは?」
「わたくし達は一体?」
「傷が治っているだと?」


 目を覚ました皆はそれぞれ違う反応を見せる、どうやら無事に回復できたみたいだ。


「皆無事みたいだな、良かったぜ」
「ッ!?イッセー!貴方無事だったのね!」
「ええ、何とか死なずにすみました。心配をかけてしまい申し訳ないです」
「良かった、イッセー君が無事で本当に良かった……」


 俺を見たリアスさんが驚きの声を上げ、横にいた祐斗は安堵の表情を浮かべた。


「イッセー先輩!!」
「イッセー君!!」
「うえ~ん、師匠~!!」
「ワオン!!」


 すると小猫ちゃんと朱乃さん、そして涙を流すルフェイが俺に抱き着いてきた。
 急に抱き着かれたので俺は地面に倒れてしまう、すると俺の顔をテリーが舐めてくる。くすぐったいな。


「先輩、先輩なんですね!良かった……」
「イッセー君、無事で本当に良かったですわ!貴方がもし死んだりしていたと思うとわたくしは……」
「師匠~!!本当に良かったです~!!」
「はは、心配かけてしまったな。本当にごめんな」


 俺は三人をギュっと抱きしめて頭を撫でていく。三人を落ち着かせると今度はゼノヴィアに話しかける。


「ゼノヴィアも無事のようだな、どこか痛い所は無いか?」
「いや私は平気だ、だが君こそ大丈夫なのか?」
「ああ、もう平気だ。怖い鬼に叩き起こされたからな」
「鬼?」


 首を傾げるゼノヴィアだったが詳しい事は後で話す事にしよう、そろそろコカビエルと決着を付けないといけないからな、


「さて、どうやら敵さんも休憩できたようだしリベンジ戦と行こうじゃないか。皆は危ないからここにいてくれ。なあに、今度は負けないさ」
「あ、待って、イッセー!」


 俺がコカビエルの元に向かおうとすると、背後からリアスさんに声をかけられた。


「どうしたんですか、リアスさん?」
「私も……私も一緒に戦わせてほしいの!」
「えっ……?」


 俺はリアスさんから発せられた言葉に驚いてしまった、自分達を苦しめたコカビエルに戦いを挑むと言ったからだ。


「何を言っているんですか、あいつはリアスさん達が勝てる相手じゃありません。俺だって一度負けたんですよ」


 俺は勿論彼女を止めようとする、回復できたとはいえ体力まで戻るわけではないしこれ以上無理をさせる理由は無い。


「正直コカビエル相手に生き残れただけでも相当頑張った方ですよ、後は俺に任せてください」
「そうですわ。悔しいけどここはイッセー君に任せましょう、リアス」


 俺と朱乃さんはリアスさんにそう言うが、彼女は首を横に振った。


「駄目よ、ここで引いてしまったら今後何があっても私達はイッセーを頼り続ける事になるわ。それは共に歩むんじゃなくて唯イッセーに依存するだけの関係……私はそんなの嫌よ」
「それは……」
「無謀なのは分かっているわ、でも今ここで貴方に任せてしまったら私達はこの先ずっとイッセーがいるから大丈夫だって思い戦わなくなってしまう。私は貴方と対等の立場でありたい、ここで逃げたくないの。だからお願い、イッセー」
「リアスさん……」


 俺はリアスさんの言葉を聞いて、神器の中で鬼と戦った時にドライグに言った言葉を思い出した。



『俺はお前に感謝している、お前は俺にとって掛け替えの無い友人だ。でもだからこそ今は一人で立ち向かわなくてはならないときなんだと思う。いつまでもお前に頼ってばかりじゃこの先には決していけないと思うんだ』
『俺は死なないよ、ドライグ。お前やオカルト研究部の皆ともっと知らない世界を旅したいからな。だからここは俺に行かせてくれ、お前の宿主を信じてくれないか?』



(そうか、リアスさんも俺と同じ気持ちなんだな……)


 俺はドライグに俺を信じてくれと言った、それはドライグばかりに頼るのではなく自分の力で掴み取らなければならないものがあったからだ。
 そしてリアスさんも俺と対等であるためにここで俺に頼るのではなく、自分もコカビエルと戦わないといけないと思ったんだろう。


「……リアスさん、貴方も俺と同じなんですね」
「えっ……?」
「分かりました、俺はもう止めません。一緒に戦ってください」
「イッセー……!」


 俺はリアスさんに手を差し出すと、彼女は嬉しそうに微笑んでその手を握った。


「……もう、リアスには敵いませんわね」
「はい、いい所を持っていかれてしまいました」
「でも主にそこまで言わせて引き下がっては、騎士はおろか男として失格ですね」


 すると朱乃さん、小猫ちゃん、祐斗も前に出て俺とリアスさんの握った手に自分の手を重ねてくる。


「朱乃、小猫、祐斗……貴方達は無理に付き合う必要は無いのよ?」
「さっきは弱音を吐いてごめんなさい、リアス。でもあなたの言う通りだわ、わたくしもイッセー君と、そして貴方の友として対等な関係でありたい。だから一緒に戦わせてもらいますわ」
「私も恋人として、そして仲間としてイッセー先輩と……部長たちと一緒にこの先に歩いていきたいです」
「僕も同じ気持ちです、皆には返しきれないほどの物を貰った……今度は僕がそれを返す番です」
「貴方達……まったく、馬鹿な子達ばかりね」
「「「リアス(部長)に似たんですよ」」」


 リアスさんはそう言うが目には涙を貯めていた、自分の眷属が何も言わずに共に行くと言ってくれたことが嬉しいのだろう。
 大した絆だよ、本当に。


「ならば私達も加えてもらわないとな」
「うんうん、私達だってもう仲間よね♪」
「私は戦えませんが気持ちは皆さんと一緒です」


 更にゼノヴィア、イリナ、アーシアも手を重ねてくる。


「師匠、弟子である私も最後まで一緒に戦わせてもらいますからね。嫌だって言っても無理やり弟子になった時みたいに自分を貫きます」
「アオン」


 ルフェイ、そして俺の肩に乗ってきたテリーも手を重ねて全員が俺を見て頷いた。


「よし、じゃあ皆でコカビエルをぶっとばそうじゃねえか。オカルト研究部、エクソシスト、料理研究部の最強チーム、『美食連合軍』結成だ!」
『応っ!!』


 俺の声に全員が力強く頷き、コカビエルの元に向かう。


「ぐぐ……奴は一体何をしやがった……」
「よう。たっぷりと休めたかよ、コカビエル?」


 起き上がったコカビエルに俺は挑発するように声をかける、案の定コカビエルは怒りの表情で俺を睨みつけてきた。


「まぐれ当たりでいい気になるなよ。それに一人では俺に勝てないからと言ってそんな雑魚共を連れてきたのか?無様だな」
「雑魚だって?本気でそう見えるのならお前の目は鴉じゃなくて鶏と同じみたいだな」
「クスッ。イッセー先輩、今が夜だからって鳥目扱いしたら鶏に失礼ですよ」
「き、貴様ら……!」


 皆を罵倒したコカビエル、そのお返しに俺と小猫ちゃんがコカビエルを小馬鹿にするとコカビエルは顔を真っ赤にして怒った。


「それに狩りっていうのは群れで行う事もあるんだぜ、今のお前は俺達に狩られるだけの獲物に過ぎないのさ」
「随分と態度がデカくなったな、先ほど無様な負けを曝した男の発言とは思えないな」
「一人ならこんなことは言わないさ、でも今の俺は負ける気がしねぇんだ」


 こんなにも頼りになる仲間がいる、今なら親父ともいい勝負が出来るんじゃないかと己惚れてしまうくらいに自信が溢れていた。


「いくぞコカビエル、お前をぶっ飛ばしてこの戦いを終わらせる!」
「やれるものならやってみろ!!」


 コカビエルは俺に向かって一直線に突っ込んできた。


「させないよ!」


 だが横から放たれたイリナの蹴りがコカビエルの顔面に直撃した。


「ぐがっ……!?先ほどとは威力が違う!?」
「当たり前だよ!今の私にはイッセー君がついているんだから!」
「小娘が……っ!!」
 

 コカビエルがイリナに攻撃を仕掛けようとしたが、そこに俺が割り込んで攻撃を防いだ。


「貴様っ……!?」
「やらせないって言っただろう?裕斗!」
「任せて、イッセー君!」


 祐斗が背後からコカビエルを斬りつけた。


「いい気になるな!」


 翼が動いて祐斗を挟もうとしたが雷の矢がコカビエルの翼に刺さり動きを封じる。


「この矢はバラキエルの娘か!?」
「ふふ、もうその翼は使わせませんわ」


 そこに小猫ちゃんが背後からコカビエルを捉えるとジャーマンスープレックスで地面に叩きつけた。


「ゼノヴィアさん!」
「任せろ!」


 そしてすかさずゼノヴィアがデュランダルを上段に構えて月牙天衝を放った。小猫ちゃんは当たる直前に素早く身を起こしてそれをかわすが、地面に倒れていたコカビエルがそれをかわせるはずもなく斬撃に飲み込まれた。


「ぐわぁぁぁ!?」
「ふっ。当たらなければどうという事はないと言っていたが、当たればちゃんと効くのだな」


 吹き飛んだコカビエルを俺が追いかけて顔面にパンチを喰らわせる。


「小猫ちゃん!」


 そしてコカビエルを小猫ちゃんに目掛けて殴り飛ばした。


「祐斗先輩!」


 向かってきたコカビエルを、今度は小猫ちゃんが祐斗の方に蹴り飛ばす。


「任せて!」


 最後に祐斗が地面に魔剣を召喚すると、コカビエルはそこに突っ込んでいく。足や腕に魔剣が刺さりさっきの俺のような状態になっていた。


「まだおねんねの時間には速いですわよ」
「今度はこれを喰らうです!」


 そこに朱乃さんの雷とルフェイの火球が降り注ぎコカビエルを焼いていく。


「ぐううっ、雑魚共がいい気になるな!」


 コカビエルはそれを耐えきり上空に跳びあがる。


「もう手加減はここまでだ!俺の全力を受けて全員消え去るがいい!」


 コカビエルは手を上に翳すと、今までの何倍もの大きさを持った光の槍を生み出してこちらに投げつけてきた。
 あんなものを喰らったらこの校舎こと全部吹き飛んでしまうな。でも……


「皆、待たせたわね」


 俺達の背後に紅いオーラを出すリアスさんが立っていた。そう、リアスさんが攻撃に参加しなかったのは力を溜めていたからだ。


「喰らいなさい!紅き滅殺の魔閃光!!」


 リアスさんの手から放たれた一撃がコカビエルの光の槍と激突した。最初は拮抗していたが徐々にリアスさんの滅びの魔力がコカビエルの光の槍を飲み込み始めた。


「ば、馬鹿な!?サーゼクスの妹とは言え唯の小娘が俺の力に対抗できるはずが……!」
「私は一人で戦っているんじゃない、皆が付いているのよ!それに眷属の前で無様な恰好を見せられる訳がないでしょう?」
「あり得ん、こんなことは認めない……!」
「消えなさい!はぁぁぁぁぁぁ!!」


 リアスさんが更に力を籠めると、光の槍は滅びの魔力に飲み込まれてコカビエル目掛けて突き進んでいく。


「う、うぉぉぉぉ!?」


 身の危険を感じたコカビエルは、その一撃をかろうじて避けた。そして紅き滅殺の魔閃光は紫色の結界に当たるとそのまま消滅してしまった。


「あれでも壊れないなんてどんな耐久しているんだ、あの結界は?」
「あ、ああぁぁぁぁっ!!?」


 紅き滅殺の魔閃光でも壊れない紫の結界に一体何者が作ったんだと思ったが、コカビエルの絶叫を聞き奴に視線を向けると片方の6枚の翼が消えていた。どうやら完全にはかわせなかったみたいだな。


「お、俺の……俺の翼が……」
「ボサっとしている暇なんてないんじゃないかな?」
「な、なに?」
「いっくよー!」


 コカビエルの前にイリナが現れ、コカビエルは慌ててイリナに攻撃を仕掛けた。だがイリナはそれを難なくかわすと縦横無断に動き回りコカビエルを攻撃していく。


「円舞、『桜吹雪』!」


 コカビエルを翻弄しながら攻撃していくイリナ、するとコカビエルとイリナの周囲に魔法で作られた板が現れた。


「今だよ、テリーちゃん!」
「思い切り暴れてくださいまし!」
「頑張ってください!」


 どうやらあの魔法の板はルフェイ、朱乃さん、アーシアが協力して生み出した物らしい。テリーは魔法の板を足場にすると、イリナと同じように動き周りコカビエルを爪で裂いたり牙で噛みついて攻撃していく。


「あはは、テリーちゃんやるね!」
「グオン!」


 テリーは当然だと言わんばかりに力強く吠える。


「このっ!」
「あっ……」


 だがその隙をついたコカビエルがイリナを捕えようと腕を伸ばした。俺はそこに割って入りイリナの代わりにコカビエルに捕まった。


「馬鹿め、自ら死にに来るとは愚かな奴だ。今度こそ息の根を止めてやる!『鴉の早贄刺し』!!」


 コカビエルは地面に向かって光の槍を投げつけると、先ほど俺に喰らわせた技の体勢になって地面に向かって急降下していく。


「さあ、死ぬ覚悟はできたか?」
「意気込んでいる所に水を差すようで悪いが、さっきまでと違って勢いが足りてないぜ」
「何を言って……」
「こんな技じゃ俺は倒せないって言っているんだ!」


 俺はコカビエルの腰に両足を回して組み付く、そして両手のクラッチを外してコカビエルに頭突きした。


「ぐわっ!?」
「翼を片方失って技の勢いが落ちたみたいだな、自分の技の弱点ぐらい把握しておくものだぜ」


 俺はコカビエルの背後に回り込んで奴の首に片腕を添える。


「来い、小猫ちゃん!」


 俺がそう言うと俺とコカビエルの前にイリナと小猫ちゃんが現れた。


「イリナさん、お願いします!」
「任せて!」


 小猫ちゃんはイリナの足に乗ると、彼女はボールを蹴る様に小猫ちゃんを勢いよく飛ばした。


「行きますよ、先輩!」
「ああ、決めるぞ小猫ちゃん!」


 そして勢いの付いた小猫ちゃんは、俺と挟み込むようにコカビエルにラリアットを喰らわせた。


「「猫龍(ねこどら)クロスボンバー!!」」
「ごはぁっ!?」


 俺達の一撃を受けて思わず血反吐を吐くコカビエル、だがまだ終わりじゃないぜ!


 俺と小猫ちゃんは落ちていくコカビエルに『小猫バスター』を二人でかけていく、そして勢いよく地面に着地した。


「「猫龍(ねこどら)ダブルバスター!!」」


 あまりの衝撃に地面に大きなヒビが入り校庭中に広がっていった。


「どうだ、これが俺と……」
「私のツープラトンです!」
「お、俺は……この世界の頂点に、立つ者……がはぁっ!!」


 俺達がコカビエルを離すと奴は地面に大の字で倒れ伏せる。もう立ち上がることは無いだろう。


「終わったな……」
「やりましたね、イッセー先輩!」


 倒れ伏すコカビエルを見る俺に、小猫ちゃんが勢いよく飛びついてきた。


「私達、本当にコカビエルに勝てたんですね!」
「ああ、これも小猫ちゃんや皆のお陰だな」
「そんな……イッセー先輩がいてくれたからですよ」
「それでも一人じゃ勝てなかった。ありがとうな、白音」
「にゃ!?……はにゃ~ん♡」


 俺は彼女の頬にキスをして小猫ではなく白音として彼女にお礼を言った。すると彼女は顔を真っ赤にして幸せそうに抱き着いてくる力を強めた。


「イッセー君!」
「おっと」


 そこにイリナも駆け寄ってきて俺に抱き着く。そして他の皆も傍にやってきた。


「良かった!私、イッセー君が死んじゃったんじゃないかとずっと怖かった……でも生きていてくれたんだね!」
「約束したからな、グルメ界の事をちゃんと話すって。それに……」
「それに?」
「……大切な幼馴染を死なせたくなかった。それだけだ」
「えっ……?イッセー君、それって……」
「イッセー先輩、アレを見てください!」


 俺はイリナの質問に答えようとするが、傍にいた小猫ちゃんがコカビエルの方を指差して何かを伝えようとしていた。


「ぐっ、がぁぁぁぁっ!?」
「な、なんだ?」


 コカビエルは苦しそうに胸を抑えて絶叫を上げていた。俺は直にコカビエルの元に向かい状態を確かめる。


「おい、コカビエル!何があった!」
「あ、あいつめ……俺をハメやがったな……!?」
「質問に答えろ!」


 俺はコカビエルに何が起きているのか聞くが、奴は俺の声は聞こえていないようで苦しそうにしている。


「アーシア、コカビエルを回復してやってくれ!このままじゃ死んじまうぞ!」
「わ、分かりました!」


 アーシアはコカビエルに回復の光を使うが一向に回復する様子はなかった。


「駄目です!回復が効きません!」
「一体何が起こっているというの……?」


 アーシアは回復が効かないと苦難の表情を、リアスさんは何が起こっているのか分からないという表情を其々浮かべていた。


「コカビエル、一体何があったんだ!お前にグルメ細胞を渡した奴は一体誰なんだ!?」
「……あ……ああ……ジョ……」


 俺はせめてコカビエルに何とか黒幕の事を聞き出そうとした、だが奴は何かを呟く前に身体が灰になってしまい跡形も無く消えてしまった。


「コカビエルが灰になっちゃった……」
「何が起きたというのだ……」


 イリナとゼノヴィアも唖然とした表情を浮かべていた。


「イッセー、これは一体何が起きたの?」
「俺にも分かりません。グルメ細胞が体に適応しなかった場合、体中のエネルギーを奪われてミイラのようになってしまったという話は聞いて事がありますが、こんな風に灰になってしまうような現象は初めてです」


 リアスさんは俺なら何か知っているんじゃないかと思い質問をしてくる、だが俺にもコカビエルに起きた現象は分からない。


「あ、イッセー君。結界にヒビが……!?」
「なんだと?」


 祐斗の声を聴き空を見上げると紫の結界にヒビが入っていた、それは直に広がっていき結界は跡形も無く消えてしまう。何でこのタイミングで……?まさかコカビエルが死ぬと解除されるようになっていたのか?


「……おいおい、これは一体どういう状況だ?」


 だが俺達が驚いたのは結界が壊れた事ではなく、その結界の上に佇んでいた3人の人影だった。


「コカビエルを討伐するためにここに来たのですが……どうやら終わってしまったようですね」


 白い翼と白いマントを着た金髪の男性が俺達を一瞥する。


「まさか……」
「ミカエル様……?」


 イリナとゼノヴィアがポツリと男性の名を呟いた。


「コカビエルの馬鹿の気配が消えたと思ったら結界も消えちまったな。それにそこにいるのはサーゼクスの妹か?悪かったな、俺の部下が迷惑を迷惑をかけちまった」


 ラフな格好をした金と黒の混じった髪の男性がこちらに声をかけてきた。


「あれは……」
「神の子を見張る(グリゴリ)の総督、アザゼル……」


 祐斗は信じられないようなものを見たという表情を浮かべ、朱乃さんは複雑そうに男性の名を声に出した。


(教会と神の子を見張る者のトップが揃ってお出ましか。そしてあの紅い髪の男性が……)


 ミカエルとアザゼルの間にいた紅い髪の男性は、笑みを浮かべるとリアスさんに声をかける。


「リアス、遅くなってしまいすまなかった。この結界を破ることが出来ずに結局君達に戦わせてしまった」
「サーゼクスお兄様……」


 そしてサーゼクスと呼ばれた男性は、今度は俺の方に視線を向けてくる。


「それと初めまして、かな?妹達が世話になったようだね。兵藤一誠君」
「……」


 ……どうやら最高に面倒な状況になってしまったようだな。



 
 

 
後書き
 次回、エスクカリバー編は終わります。次はアイスヘル編に入るか少し日常回を入れようか考えています。 
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