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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE121 借金のコツ

俺が初めてALOにログインし、SAO時代のステータスやらスキルやら金やら容姿やら何やらいろいろと引き継がれて色々と右往左往し、今一つ信用ならない連中と知り合い、シルフ族の凄腕少女剣士のリーファとデュエルをし、央都アルンへの道案内をデレックと約束した次の日の朝っぱらから―――

「恭史郎さんいい加減にしてくれよ!アンタに貸した金、何時になったら返してくれるってんだ!?毎月少しずつで良いから返せよ!」

「ウチの飲み代のツケも積み重なる一方で全然払ってねぇじゃねーか!毎度毎度ツケで飲みやがって!」

その二人の男の片方は、俺の祖父…もとい爺の恭史郎(きょうしろう)に金を貸したっ切りびた一文も返されず、憤慨している男だった。
そしてもう一方の男は、飲み屋を経営してるオヤジだが、爺の溜まりに溜まった飲み代のツケを請求、もはや爺を常連客などとは見なしていない態度だった。
そして、そんな金の貸し手と飲み屋のオヤジに対して爺は理不尽にも腹立たしそうな表情で―――

恭史郎「どいつもこいつもうるせぇぇぇ!!たかだか数万程度の貸した金や飲み代のツケくれーで喚いてんじゃねー!良い年の男が揃いも揃ってみみっちいんだよ!まとまった金が入ったら返すって何べんも言ってるだろーが!帰れ帰れ!」


逆切れ……!まさに圧倒的理不尽な逆切れ!正当な金銭の請求をする者達に対して小田桐恭史郎は逆切れ!それどころか相手の男達を徹底的に非難…侮辱!
一時間近い近所迷惑な言い争いの末に二人の男達は去っていき、その後姿を見ながら恭史郎は勝ち誇った表情となる! by立木ナレ


恭史郎「けけけ…ざま―見ろってんだ!何度来ても同じことだっての!この俺がそう簡単に借りた金や飲み代のツケを返すと思ったら大間違げぇだ!」

下衆な表情でゲラゲラと笑い得意気になっていた。我が身内ながら誠正真正銘、腹の底から全身に至るまで腐り果てたクズだなこの爺は……

俺「俺がSAOで死に物狂いの戦いの日々の二年間の間にアンタは何してたんだよ……まさかとは思うが、変な金融会社とか銀行から金借りたりしてね―だろうな?」

恭史郎「バーカ!バカったれが!んなわけねーだろバーカ!」

俺の問いかけに対して三度も馬鹿と言う単語を俺に言い放ちながらそれを否定する爺だった。唾がこっちまで飛んできて汚らしい事この上ない!

恭史郎「あんなところから金借りたら利息は付くわ、諦めずに何時までも取り立ててくるわ、踏み倒せねーわ後々面倒になっちまうじゃねーか!」

爺は腕を組み、まるで俺に対して金の借り方を指南するかのような態度で偉そうに語り出す。

恭史郎「いいか?金を借りる相手ってのはな……銀行とか金融会社とかデカい企業や金融機関とかじゃなくてな、個人とか自営業相手の方が圧倒的にリスクがすくねーんだよ!口約束だけで金借りれるからな!それなら金借りた証拠も残らねーし、簡単に踏み倒しが利くってわけだぜ、だははははははははっ!!」

俺「ようするに、さっきのおっさん達からの借金や飲み代のツケは支払う気ゼロってわけか……」

恭史郎「ったりめーだバーカ!良いか?借用書も書かねー、保証人も付けねー、そんな金の貸し借りってのはな……ただで金をくれてやるのも同じなんだよ!」

キレるように爺は喚き散らすのだった。


※ ※ ※


前回ログアウトした場所はインプ領の中のままだったので再びログインした俺はその場で再びログインする事になる。
ちなみに、フィールドなどの場所でログアウトするとアバターはその場で無防備状態で残されてしまう為、基本的にログアウトはSAO時代でも安全圏内とされていた町や村の中で行われる事になる。

デレック「いらっしゃ~い、俺も丁度今ログインしたところだよ」

ログインして早々にニコニコと楽し気な笑みを浮かべているデレックの顔を目の前で拝む事になった。

俺「態々俺が前にログアウトした場所で待ち構えやがって……」

デレック「ディオから少しばかしの回復アイテムを預かったからさ、君のアイテムストレージにこれをストックしなよ」

そう言いながらデレックが俺に渡したのはSAOでも何度も使ってきた回復用のポーションだった。

デレック「央都アルンはこのインプ領から北西に向かう位置にあるんだけどね、流石にまっすぐと辿り着く事は出来ないからシルフ領とケットシー領の近くにあるルグルー回廊から洞窟に入る必要があるね」

俺「んじゃ、早速そこまでの道案内を頼むとするか」

デレック「オッケー、僕が先行して飛ぶからそれについてこれば大丈夫だよ。まあ途中で何度かモンスターとの戦いになったり、最悪他の領のプレイヤー達に攻撃されたりするかもしれないけどさ、それもオズマがいれば問題なさそうだしね」

そう言うのを回避するのも含めての道案内役だろうがと言う小言は取りあえず今は腹の中にしまっておいて早速俺はデレックに続きインプ領の洞窟を一歩外に出てからそのまま飛行して突き抜ける事になった。
ルグルー回廊に辿り着くまでにはまずはサラマンダー領である砂漠地帯を超えなくてはならないらしく、そこでサラマンダーのプレイヤー達と出くわせば戦闘に発展する事も有り得るとの事だった。
なんでも自分達の領地を荒らされる事を良く思わない連中らしい。


※ ※ ※


既にインプ領は遠く離れ、砂漠地帯もそろそろ抜けられるだろうと言う所までオズマとデレックは移動していた。
中立域の近くまで来ている為か、出現するモンスターのレベルはハイレベルとなりオズマが現在対峙している2体の緑色の長い身体を持つ大蛇モンスターの《スモークスネーク》もプレイヤー達の間では難敵として知られている相手だった。
長い身体を駆使した動きでプレイヤーの身体を締め付ける他、蛇でありながら火属性魔法攻撃を得意とし、遠距離からでも容赦のない攻撃を放つ相手なのだが……実はすでにオズマは2匹のスネークスモークを難なく倒している状態なのであった by立木ナレ

俺「遅いな……」

俺の全身を締め付けようと迫って来る大蛇モンスターだが、こいつは長い身体の先端の顔を攻撃すれば動きが一時的に止まる事は既に分かっていた。
デレック曰くそれがなかなか難しく、特に魔法攻撃以外ではそれが特に難易度が高いのだと言うが、実際にやってみた結果それは割とうまく成功していた。

時折デレックが闇属性の攻撃魔法での援護があり、闇のエネルギー魂を食らったスモークスネークは魔法の使い手であるデレックに攻撃の狙いを定めるが、即座に俺が斬り付けるとすぐにまた俺の方への攻撃に移らざるを得なくなるようだった。

ともかく、そんな感じでスモークスネークを全滅させて再び移動を開始、ルグルー回廊を目指すのだった。

デレック「そろそろルグルー回廊が近い、もういっぺん飛んで行ってみようよ」

俺「分かった」

頷き、俺とデレックは地面を蹴りつけて飛びあがった。間近にまで迫ってきた白い山脈はぜっへきの如く立ちはだかり、その中腹に巨大な洞窟がぽっかりとあいた状態だった。
冷気を吐き出しているような大穴を目指し、俺とデレックは羽を鳴らして加速する。

デレック「あ、少し待って!」

俺「……なんだ?」

洞窟の入口の目の前まで辿り着いたところで、デレックが急に空中で停止した。垂直の切り立った一枚岩の中央には、四角い穴が開いていた。

デレック「なんか、俺等と同じタイミングでここに来てる集団がいるみたいだね~」

俺「出くわすと不味いのか?」

デレックは小さく溜息をついて頷く。

デレック「SAOでもPKはありだったみたいだけどさ……実際に積極的にPKなんてやる奴なんていた?」

俺「そんなのは普通の神経の奴は勿論、多少頭のネジが飛んでる程度の奴だってやらねーよ」

SAOでのPKなどは現実世界の人間を殺す事に繋がるのでそれは当然誰もが忌避していた事だった。多少の例外と言えばラフコフの連中位だ。

デレック「ま、そりゃそうだよね……けどこのALOじゃ他のプレイヤーをPKしたって現実世界の人間には何ら影響もないし、そもそもがこのゲーム自体がPK推奨で圏外に出たら同種族も他種族も関係無しにPK出来るしそれで何かしらの罰則が科せられるわけでもない。PKされた方は通常のDEATと同様にデスペナルティを支払う事になるけどね」

俺「ようするに……いきなりそいつらから襲われる事も十分あり得るし、そうなったとしても文句は言えねーと言いたいわけか?」

デレックはケラケラと笑いつつ『ご名答』と前置きしてから話を続ける。

デレック「特に経験値やお金稼ぎの効率の良い狩場や、イベントとかで期間限定でレアアイテムが大量発生するようになってる場所なんてのはプレイヤー間でリソースの奪い合いでPK合戦とかなんてザラにあるからね……んで、今はまさに、ルグルー回廊では期間限定イベントで出現するモンスターから獲得できるレアアイテムの出現率が通常の2倍になってるんだよね~」

俺「つまり、その集団もそのチャンスに賭けてレアアイテム狙いでパーティー組んでやって来たってわけか……」

デレック「俺が見た限りだと総勢で10人以上のケットシーのレイドパーティーだったね。流石にその大人数相手だとオズマの桁外れの実力でもヤバいんじゃないの?」

確かに、リーファとのデュエルはまだ一対一の対人戦……SAO時代でも慣れた戦い方だったので何とかなったが、一度に複数のプレイヤーを相手にする対人戦はSAO時代での経験と言えばせいぜい二年間の間に数回程度のPK集団……ラフコフの奴らと交戦した時くらいだろう。

第一俺の目的はいち早く央都アルンに辿り着く事なのに、こんなところでDEHTしてしまったらその場合はインプ領のホームタウンに逆戻りになってしまう。

俺「なんとか、そのケットシー集団をやり過ごせねーかな……」

デレック「あ、でもアイツら丁度出てくるところだよ」

俺「本当か?」

言われてルグルー回廊の大穴を覗いてみると確かに徐々に大人数の猫耳プレイヤーの集団がゾロゾロと見えてくるのが分かった。

デレック「んじゃ、闇系の隠匿魔法を掛けるからじっとしてて。一定時間姿を消せるけど、熟練度の関係であんまり動くと効果が途中で切れちゃうから姿が消えてもじっとしててよ」

俺「分かった」

デレックはその場で俺の額に手を添えると闇属性の隠匿魔法の詠唱を始めていた。紫色の幾何学的な文様を周囲に纏わせながら割と長めの詠唱時間の後にデレックが魔法名を叫ぶと、俺の姿はその場で透明になったらしく、俺の目にしか見えないステータスメニューには隠匿状態を示すアイコンが点滅していた。

俺「一応俺、隠蔽スキルの熟練度もMaxだったんだが、態々闇系の隠匿魔法を掛けてもらう必要あったか?」

デレック「あるね、スキルの隠蔽魔法も確かに役に立つけどさ、詠唱無しで瞬時に発動できるメリットがある分相手の索敵スキルで見つかり易いんだよ――あ、俺もそろそろ自分に隠匿魔法かけなくちゃっと」

デレックが自分に隠匿魔法を掛けて、俺の視界から姿を消した頃に、ケットシーのプレイヤーの集団は大穴の中からゾロゾロと姿を現したのだった。

「アリシャさまぁ~、今日も大した収穫は無かったですけど……明日もこのメンツでルグルー回廊で狩りするんですか~?」

ケットシーの一人がダルそうな声を掛けたのは小柄で金髪の幼い見た目の少女プレイヤーだが、敬語で話されているところを見ると、奴がこの集団のリーダー格なのかもしれなかった。

アリシャ「勿論だよぉ~、せっかく通常の2倍のレアアイテム出現率なんだから、チャンスを生かさなくちゃ損なんだよぉ~」

妙に独特と言うか……お気楽のような楽観的のような口調でそう言っていた。

「二倍といいましても、元の出現率がかなり低いから実際のところは2倍になっても大して変わらないんじゃないんですかね~?」

アリシャ「それでも、このチャンスを逃したらルグルー回廊でしか手に入らないレアアイテムを手に入れるのが更に難しくなっちゃうんだよ~。それにもうすぐサクヤちゃん達との会合も控えてるし、手土産は豪勢な方がより良い関係を気が付けるってもんなんだよ~」

「まあ、俺達としてもシルフとの同盟は何としても成功させたいですからね~」

話の内容は俺にはどういうことなのか全てを把握する事は出来ないが、ケットシーはシルフ族と何かしらの同盟を結ぶ約束をしているらしく、アリシャとか言うあの娘はその手土産を得る為にここを訪れているような口調だった。

そして、ケットシーの集団は俺達に気が付く事は無くあっという間に全員が去って行ったのだった。 
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