| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

FILE120 リアルのデレック

オズマにとっては初ログインして早々にシルフ族の凄腕プレイヤーの少女、リーファとのデュエルは苦難であった…リーファの剣技の腕前もさることながら、慣れぬ空中戦、慣れぬ魔法攻撃、オズマは先手を許し大きな痛手で被るが、自身の剣を投げつけてリーファの剣を奪い取ると言う常識外れの攻撃から一気に攻める……!反撃開始っ! by立木ナレ


俺「悪いが――これで終わらせてもらう!」

システムアシスト無しで再現した『バーチカル・アーク』に続いて俺は更に右下から斬り上げ、左から薙ぎ払い、右上から斬り下ろしの三連撃攻撃を丸腰のリーファに放った。

この動作はSAOでも幾度も使った片手直剣ソードスキルの『シャープネイル』だった。やはりシステムアシストの恩恵がない分、与えるダメージはSAO時代に比べて劣るのだろうが、それでも丸腰の相手にモロに剣を連続で叩き込めばそのダメージは相当な物だった。
先程のバーチカル・アークの二連撃に加えて更に三連撃の剣技により、ついにリーファのHPケージは完全に削り切られて、デュエルは俺の勝利という形で幕を閉じた。

シグルド「なっ……!?リ、リーファを倒しただと?あ、あんなど、どこの馬の骨ともしれんインプにだと……!?」

シグルドの表情が強張り、口元が大きく歪んでいた。だが、驚いているのはシグルドだけではなく、他のシルフのプレイヤー達もリーファが負けたのは想定外だったようで動揺が広がっているのが分かる。

レコン「そ、そんな~、リーファちゃんが負けるなんて!そんなの嘘だぁ!!」

中には泣き叫ぶ奴までいる始末だ。一方でこちら側――インプのプレイヤー達もこの結果は想定外の勝利といった様子でたった一度のデュエルに勝ったに過ぎないにもかかわらず浮かれ騒ぐ者達が次々と現れる。

デレック「おお~、オズマが勝ったみたいだね。珍しくディオの賭けが上手く行ったみたいじゃん」

ディオ「当然だっつーの!俺の人を見る目を舐めんじゃねーぞ!にしても……くく、傑作だよなあのシグルドの顔……」

ディオは自分が正しかったと豪語しつつ、シグルドの驚嘆に満ちた、震える表情を見て笑いを必死に堪えていた。
そして、火に油を注ぐとはこの事であると言わんばかりに、ディオはそんなシグルドに対して更に煽り発言をお見舞いするのだった。

ディオ「どーするよシグルドさん?シルフのメンツにかけてここは、アンタ直々にリターンマッチを仕掛ける展開ってのも、こっちとしては面白いんじゃねーかって思うんだけどな~?」

シグルド「ぐっ―――!」

シグルドの表情が敵意と苛立ちで更に歪み、今にも負の感情をぶちまける言葉を吐き散らすかと思ったが、そこは何とか自制したようで、歪んだ表情を浮かべつつもシグルドの言葉は―――

シグルド「こ、今回の親善試合は…あくまでこちら側の代表はリーファだからな…負けたからといって軍務を預かる立場の俺が代わりに出るなどと言った行為は出来ん…!」

そう返答し、シグルドは仲間に対してリーファに蘇生魔法を施すように指示を出すと、仲間の一人がリーファが倒れた直後に残ったふわふわと漂う薄い緑色の火の玉のようなものにスペルワードの詠唱を始めてる。
やがて詠唱者の両手から青い光が発生すると、火の玉を包み込み、魔法陣が展開されると、その中央の火の玉は徐々に人の形を――リーファの姿に戻ったのだった。

レコン「リーファちゃん大丈夫だった!」

元の姿に戻り蘇生したリーファに向かってレコンが泣きながら、ついでに鼻水を垂らしながら急接近してくるが、そんな彼を待ち受けていたのは心配していた相手のリーファからの左拳の拳骨だった。

レコン「いたた…し、心配したのに酷いよぉ~」

リーファ「アンタ大袈裟すぎ、別にこんな事初めてじゃないんだし一々泣き喚かない!」

レコンを叱りつけた後、凛とした表情で俺の方を振り返り、一歩歩み出てから口を開くのだった。

リーファ「トルネード・キャノンが決った時はイケる……って思ったんだけど、逆にそこから一気に逆転されて負けるなんて――多分こんな強い人と戦うのアタシ初めてだよ」

意外と穏やかな様子でそう言ったのだった。

俺「こっちだってあの痛い先手を食らった時は割と無我夢中だったんだぜ、あれに失敗したら剣術一辺倒の俺は次に打つ手なしになりかねないからな……ともかく、それだけの賭けに出なきゃ勝てないと思うほどの相手だったんだよお前は」

俺がそう言い返すとリーファは微笑まし気に微笑を浮かべるが、そんな会話に水を差すようにシグルドの怒声がこちらまで響き渡るのだった。

シグルド「何をしてるリーファ!もう用は済んだのだから撤収だ!急いでスイルベーンに戻るぞ!」

リーファ「あ、ごめんね……うちのリーダー今きっと機嫌最悪で待たせると余計にイライラして何言ってくるか分かんないからここまでだね」

俺「ああ、そっちの意味でもご苦労さん。」

リーファ「うん、次勝負する時は絶対に勝つから、それまで絶対に他の人に負けちゃダメだよ!」


こうしてリーファを含むシルフの一団は飛び去って行ったのであった。屈辱感に表情を歪ませ続けているシグルドの背中を見たディオは終始上機嫌で大爆笑!上機嫌で笑い転げていた! by立木ナレ


ディオ「ククク……シグルドの野郎、泣きそうな仏頂面で『軍務を預かる立場の俺が代わりに出るなどと言った行為は出来ん』とか言ってやがったけどよ~、本当は自分までオズマと戦って負けちまったら示しがつかねーから逃げたんだぜ!ぜってーにちげーねよなぁ?」

酒を飲みながら大笑いしながらインプ領のプレイヤー達に対して同意を求める馬鹿丸出しの男に俺は近づき、例の約束の話をさせなくてはならない。

俺「お楽しみの所悪いがな、俺との約束を忘れてねーだろうな?」

ディオ「おう、オメーも一杯飲んだらどーだよ?」

俺「ああ、一杯飲ませて貰ったら話を再開させてもらうぜ」

俺はディオから差し出されたグラスに入った酒―――発泡酒を一気に飲み干した。するとディオは手拍子をしながら『良い飲みっぷりじゃねーか』と笑いながら囃し立てるのだった。

これはこれで美味い酒だったがこのまま酒盛りを謳歌するつもりはない。

デレック「領主様ぁ~、あんまり焦らせるとオズマがイライラ気味の様子だからさっさと約束の話をしてあげた方が良いと思うよぉ~」

ディオ「わーってる、わーってるっての!スゲー気分が良くなっちまってるが、約束は忘れねーよ!」

ディオは左手を縦にヒラヒラと振りながら笑い転げていた。

ディオ「んじゃ、頼むぜデレック」

デレック「ほいほ~い、オズマをアルンに案内するお役目、承りましたぁ~」

俺「…………」

余りにも適当に、呆気なくそれは決定した。まるで遊ぶ約束でもしたかのような軽いノリでディオはデレックにアルンへの案内役を命じて、デレックもそれをまるで軽い雑用でも引き受けたかのような感じに引き受けたのだった。

俺「お前、アルンまでの道のりはちゃんと分るんだよな?」

デレック「任せてよ!アルンには何回も言った事あるんだからさ、それに僕もオズマが持ってるそのふしぎな飴だっけ?それでオズマがどんなスキルを習得するのか気になるからね」

ニコニコ笑顔でデレックは安請け合いしていた。本当にこいつを信頼して大丈夫なのかどうかという不安を感じずにはいられなかったが、ひと先ず明日、同時刻に俺は再びALOにログインしてデレックと待ち合わせる約束をしたのだった。


※ ※ ※


埼玉県川越市にあるとある公立中学校。午後一時半過ぎ、すでに学校内では5時間目の授業が始まっており学校内は静寂ではあった、一年生と二年生は授業中で、すでに自由登校の3年生で学校に来ているのは高校入試直前のゼミナールを受講している者達であり、校内を気楽に歩いているのは推薦入学が決まっている者達―――あるいは、この坂倉愛人(さかくらあいひと)の様に受験や進路を堅苦しく考えず楽観的に…日常の一部程度に捉えている者くらいであった!by立木ナレ

愛人「お、リーファとレコンも推薦決まってるのに何を学校来ちゃってんの?推薦組がこの時期に学校に来てると、まだ進路決ってない連中に皮肉言われるから控えた方が良いんじゃないの~?」

直葉「うるさい!学校でそう呼ぶなって言ってるでしょ!さっきまで長田君に散々言ってたのに今度はアンタにまで言わなくちゃならないなんて……それと、私は剣道部の顧問の先生に一日おきに道場に顔出すように言われてるの!」

愛人にリーファと呼ばれて憤慨したのは愛人の同級生の桐ケ谷直葉(きりがやすぐは)であった。彼女はこの学校の女子剣道部員の中でも群の抜いたエースであり、全国大会でベスト8まで勝ち抜いた実力により、4月からはさいたま市の強豪女子高へのスポーツ推薦が決定していた。
それ故に彼女はALOにおいてもシルフ族の剣士リーファとして、シルフ族の中でも屈指の実力者となっていた。

慎一「あ、デレック君……じゃなくて愛人君も来てたんだね。僕はその―――リーファちゃんが練習で怪我しない気になっちゃって――うわっ」

直葉「さっきその名前で呼ぶなって言ったばっかりでしょ!と言うか、一々アタシの練習とかアンタが見に来るな!」

愛人「あははははっ!レコンってば学習しないねぇ~、リーファはALOって言うかVRMMOやってる事自体周囲にあんまり話してないんだからゲーム内の話をこっちでしたら竹刀で殴りかかられるって何べんも――おっと」

直葉「あんたも学習しなさい!」


直葉の怒りの竹刀の一振りが慎一の目の前に振り下ろされ、更に愛人にも振り下ろされるが、その反応はまるで違い、慎一は何度でもビクッと驚くのに対して愛人はまるで動じる事は無く、それがまた直葉の神経を逆なでする事になっていた。 by立木ナレ


直葉「て言うかさ、アンタはまだ内定取れてないんでしょ?毎日毎日ALOに何時間もログインしてゼミも受けないで大丈夫なわけ?」

愛人「良いって良いって。今の僕の成績なら第一志望の高校も合格ほぼ確定だって進路の先生にも言われてるからさ。」

直葉「そりゃそうよね……アンタの受ける第一志望って偏差値40も無い上に7年連続で定員割れしてる所なんだから」


得意気に余裕をかます愛人に対して直葉が呆れ気味に皮肉を口にするのだった。愛人は決して成績が優れているわけではなく、と言うかむしろ主要5科目は全て平均点を下回っている程度のレベルなのだが。愛人曰く高校なんて卒業すればどこも同じという考えの元、何の躊躇も無く彼は担任や進路指導の教師の『今からでも真剣に勉強してもう少し上の高校を目指そう』等と言う言葉にも耳を貸すことなく、県内で最も偏差値の低い、誰でも簡単に確実に入れて当たり前の―――それこそ名前だけ書けば合格できるとまで言われている公立高校の受験を決定したのだった。 by立木ナレ


慎一「あ、それと愛人君さ、昨日の親善試合の事なんだけどさ……あのインプのプレイヤーって何なの?」

直葉「あ、それアタシも興味ある。何ナノあの人?戦った感じだとあの人、何となく魔法の詠唱とかに慣れてない感じがするんだけど、でも剣技や近接戦闘は凄過ぎ!あんな人と戦うの初めてだよ、なんであんな強い人がいるのに今までの親善試合には出てこなかったのよ!?」

愛人「あ、オズマの事ね……彼はまぁ、ウチのダメ領主が密かに温存していた秘蔵っ子って奴?シグルドに悔しい顔させたくてついに投入したってところかな?」


今一つ要領を得ない、納得のいかない愛人の説明に直葉は訝しむ様な表情で眉をひそめているが、シグルドの悔しがる顔を見て、気が晴れたと言うディオの気持ちは僅かながら共感できる部分があったのでそれ以上の詮索はなかったby立木ナレ


愛人「そんじゃ、俺は忙しいからもう帰るね~」

直葉「遊んでばっかりの癖に何が忙しいのよ!」


実際に愛人はリアルでは暇人の遊び人に過ぎぬが、ALOでは領主のディオから様々な役目を担う事が多い領内の主要プレイヤーの一人で今晩もオズマを央都アルンへと送り届ける役目が待っているのであった。
愛人(デレック)はオズマと言う異端の新参者に強い興味を惹かれていた―――デレックにとってオズマの存在は余りにも革新的! それは言うならば、それまで当たり前のように80年代のハンディタイプ携帯電話を使っていた者がある日突然スマートフォンを得たような感覚!次元のまるで違う者に触れるかのような感覚であった! by立木ナレ
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧