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ハイスコアガール 前世がゲームオタクの俺がラブコメを展開するのは間違っている件

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確かみてみろ!!

大野がアメリカに引っ越しても俺のやる事は変わりない。相変わらず俺の中心はゲームで回っており、ゲームのない人生は考えられないと思うくらいに俺はゲームに没頭している。あれから三年も立って俺も中学二年生になった。その三年間にも新作は続々登場して、1991年に登場したスト2から、その一年後に続編のストリートファイターダッシュが登場して次にダッシュターボに、極めつけはスーパーも登場。

スト2だけでなく、ゲーム業界は進化を続けて、特に格闘ゲームは色々な会社が新作を出して、現在のゲーム中心は格闘ゲームだ。1993年12月には初の3D格闘ゲームであるバーチャファイターが登場。格闘ゲーム黎明期のこの時代は、後の201X年において基礎ともなるゲームが続々と登場して伝説を作ったゲームも登場している。俺にとっては過去のゲームでも、その格闘ゲームの歴史の歩みを実感しているようで、俺は凄く興奮していた。


『GUILE WINS』

「よし、8連勝だ」

地元の駅近くのゲーセン。比較的に規模も大きく通行の良さからゲーマーの数も多くて対戦に困らない。10月から稼働したスーパーストリートファイター2のリュウとガイルの動きにもだいぶ慣れてきて、勝ちも安定してきた。

「相変わらずだなハルオ」

「ゲームの腕はスゲーよな」

俺の学校のクラスメートが後ろで呟く。

「ならお前らも乱入しろよ。いつでも相手するぜ」

「無理だって、俺達がハルオにスト2で敵うわけねえじゃん」

「100円を捨てるようなもんだぜ。家庭用のスト2なら相手するけど」

「だらしねえな」

そんな気持ちじゃ強くなれないぜ。CPU戦と対人戦は別物だ。沢山対戦を経験しないと格闘ゲームは強くなれないぜ。俺だって最初はへたくそで、たくさん負けて直ぐにお小遣いを消費した痛い経験をした。その経験があって対戦も強くなったと自負している……あんまり偉そうにはいえないが。

「おい、ハルオ。生活指導の沼田が見回りに来てるぜ!」

「早く逃げようぜ!」

「マジで!?8連勝してようやく温まってきてこれからって時に」

沼田。俺達の学校の生活指導の先生だ。生まれも国籍も日本人なのだけど、何故かバーチャーのとある中国人キャラに似ており、たまに中国語で話し、服装が映画に出てくる中華風の恰好であるため初対面の人間からは中国人と勘違いされがちな先生だ。

中学に入ってもゲーセンに気兼ねなく行けないのはきついぜ。こうやって先生の目を盗んでゲームをしても、色々なゲーセンにこうして定期的に見回りに来るんだから最悪だ……クソッたれ!!

ーーー。

次の日の放課後。俺は反省文を書かされた。理由は俺の担任の先生の遠野先生が、ゲームセンターに遊んでいる生徒がいないか調べられた時にクラスメートの一人が、俺がゲーセンに入り浸っているとチクられて先生に目をつけられて、言い訳を言っても逃れる事も出来ずに放課後に反省文を書かせられている。

「矢口君。いつも先生は言っていますよね。盛り場に行ってはいけませんと何度も言っているのに……とにかく反省文をちゃんと書いて提出するまで返しませんからね」

「へーい」

「ちゃんと返事をしなさい」

「はーい」

現在に至る。周りの連中がクスクスと笑っている声が聞こえるぜ。反省しようにもどうやってかけばいいのやら。ゲーセンに行くこと事態は別に後悔も反省も俺はしてないからな!(キリ!!)

「本当に反省してるの?(冷静な表情からの怒気)」

「してますよ(棒読み)」

顔に出てたかな。これから心を読まれないように気を付けよう。

クラスの連中は皆帰宅するか部活動を始める為に教室を次々と後にする。

「ハルオ。帰らないのか?」

「無理無理。反省文を書かないと帰れないんだよ」

「はは、ゲーセン狂がたたっちまったな」

「まあ、こうなる覚悟もあってゲーセンに行ってたけどな」

俺に話しかける男子生徒は宮尾光太郎。容姿端麗に聡明な性格と成績も優秀という非の打ちどころがない男子でクラスの人気者だ。中学一年の時から同じクラスで、何故か知らないが互いにウマがあったのか友人関係になった。ゲーム病とも言えるほどにゲームにのめり込んで、学校の成績も可もなく不可もなくな微妙な俺と如何して友人関係になってるのか、クラスの女子達から理解不能という評価をもらっているが、それでも女子達の人気は凄い。そのせいで男子から嫉妬もされているがな。

「ゲーセンに行くのもいいけど、たまには俺とも遊んでくれよ。付き合い悪いぞ」

「悪い悪い。今度の日曜日はお前のリクエストに応えるよ」

「絶対だからな」

「いいから帰れよ。女子達がお前を待ってるぜ」

俺は宮尾にそう呟く。教室は俺しかいなくなった。何か学校の教室って何故か知らないが、普段が賑やかなせいか静かなぶん独特な雰囲気があって若干恐怖があるんだよな。そんな事より、はあ~この反省文を書き終わる頃にはだいぶ遅くなってるからゲーセンに行くのは無理だな。

そもそも地元の駅前ゲーセンで俺が入り浸っている事がバレたからしばらく行けねえな。ゲームの種類も豊富で対戦の人数もそこそこ多いから結構気に入ってたゲーセンだったんだけど。

「はあ~明日からまた隣町まで行くしかねえかな「あの~」うお!」

一人かと思ったら後ろから声をかけられたビックリした。後ろにいたのは俺と同じクラスメートの女子の日高だ。

「早く教室を閉めたいんだけど」

「今日の日直は日高だったな。悪いな」

日高小春。端麗な顔立ちと同世代の女子以上に発育したとある部分を含めて、同学年の中でもトップクラスの美女だが、あまり目立たない大人しい性格と人付き合いが苦手な事もあってクラスではあまり目立っていない。俺も同じクラスの女子で名前を知っている程度だけど。

「直ぐに書き終わるから」

「そうして。私も早く帰りたいから」

一人だと時間も気にしないで書いてればいいけど、流石に日高がいるとは思わなかったから急いで書かねえと、流石に俺のせいで帰りが遅くなったら悪いしな。

ーーー。

「まさかここまで吹雪くとは……すまん日高」

「ううん。私は気にしてないよ矢口君」

気合で反省文を書いて遠野先生に提出して何とか認めさせた。だけど誤字がある事を指摘されて何回もやり直しをさせられたけどな。しかしようやく反省文を提出して帰る頃は凄い吹雪で、とてもではないが家まで自力で帰れるレベルじゃなかった。

「これは自力で帰るのは無理だな、なあ、近くに俺の行きつけの駄菓子屋があるけど、そこに避難しないか日高」

「え、でも買い食いしていいのかな?」

「気にすんなよ。どうせこんな吹雪の中で生徒指導の先生が巡回するわけねえだろ」

学校の規則を破って大丈夫なのと気にする日高。しかし、雨具もないまま吹雪の中を帰るのもキツイ事もあって日高も俺の案に乗ってくれた。

吹雪く中を歩いてキツかったが、行きつけの駄菓子屋の戸塚商店にたどり着く事が出来た。

「ここのおばちゃんは基本的に優しいからしばらく居ても平気だぜ日高」

「私。駄菓子屋来るの初めて」

「マジで!?」

「買い食いは校則違反だよ」

そこまで真面目だったのかよ。校則違反でも少しくらいは良いという気も起きなかったのか。確かに日高は基本的に真面目で評価されてる女子だもんな。そのせいで人付き合いが微妙で、あまり男子や女子からも声をかけられていないで目立たない存在だったからな。

よし、少し趣向を凝らして見るか。

「駄菓子屋のお菓子は安くて俺達のような学生の財布にも優しい。だけど一番に戸塚商店に俺が足を運ぶ理由は何だと思う?」

「わからない。何で矢口君」

「そいつはアーケード筐体があるからだ」

テーブルタイプのアーケード筐体が二つある。そのゲーム内容は既にスーパーが出てる中で二作前のバージョンのスト2ダッシュと、馴染みがあるファイナルファイトが遊べるからだ。

「スト2は三回もバージョンアップが行われてるんだぜ。特にダッシュはスト2人気に更に押し上げた名作なんだぜ」

ストリートファイター2ダッシュ。初代ストリートファイターがリリースされて一年後に登場した初のバージョンアップ版である。前作以上に対戦ゲームとしての側面を重視しており、ゲームバランスの調整、初代では不可能であった同じキャラを使用可能な同キャラ戦や、バイソン、バルログ、サガット、ベガの四天王キャラの使用を可能とし、各キャラの必殺技も調整されて、格闘ゲームブームを加速させた名作である。

「そうなんだ」

「何だ知らないのか日高」

「私。ゲームやらないから」

「マジかよ。でも流石にFCくらいは持ってなくてもプレイした事くらいはあるだろ」

「ううん。一度もない」

何だろうな。ここまで無趣味な奴も逆に珍しいな。

「ならダッシュをプレイしてみろよ日高」

「え!?」

日高が驚いた表情に変わる。

「でも私、ゲームをプレイした事ないよ」

「上手い人間以外がゲームしちゃいけない何てルールはねえよ。ハマるハマらない以前に、やってみないと分からない事もあるからな。試しにやってみろよ」

「う、うん」

日高はダッシュをプレイする。初めてのゲームでレバーとボタンを確認しながら動かしていた。その初々しいレバーやボタン操作に初心者にありがちな行動に懐かしい感じがするな。なお、日高が選んだキャラクターはザンギエフだった。

(ザンギを選んだ。女子の初心者なら女性キャラの春麗を選ぶ事が多いのにな)

ザンギの女性プレイヤー。何だろうな……日高は大野と違うのに何処か大野を思い出すな。今頃アイツは如何してるんだろうな。

「え、え~とこうして」

日高は初めてのゲームで悪戦苦闘だ。典型的なレバーやボタンをめちゃくちゃに押してプレイしている典型的なガチャ戦法だった。まあ、ゲームを初めてプレイする初心者はだいたいこんなもんだろうと思ったけ。だけど、日高のプレイに俺は驚いた。

『ハア!』

「あ、何か技がでた」

おいおいスクリューパイルドライバー。素人のガチャ戦法は波動拳や昇龍拳が出せるレベルなのに、ガチャで一回転が出せるなおい。

その次はザンギのヘッドバットで対空している。動きは完全に素人のガチャ戦法そのものだが、何故か的確に攻撃をヒットして流れを掴んでるように思えた。俺がそう思っていた時に、また奇跡は起こった。

『ハア!』

またスクリュー!ガチャ戦法で玄人でも難しい一回転コマンドを二回も成功させてる。偶然にしては上手く行きすぎだろ。何だろうな……まるでゲームセンスの塊を見ている気分は、三年前の大野と同じレベルのゲーマーにあった気分だよ。

「や、矢口君……もう変わって。何か怖くなってきた」

何言ってんだよ。俺にはないゲームの才能を見せておいてよく言うよ。本当に今日はじめてゲームをプレイした初心者のプレイ内容じゃないだろ。自覚してない日高に代わって俺がザンギの続きをプレイした。基本的にザンギは使わないが、それでもゲームクリアが出来ないほど慣れていないわけでもないので、苦戦はしながらもベガを倒してエンディングまで到達した。

「どうだ。ザンギのエンディングはシュールだろ。ザンギのエンディングはロシア大統領と一緒にコサックダンスを踊るんだぜ」

「確かにシュールだね。ゴルバチョフ大統領がコサックダンスしてるなんて」

ザンギのエンディングを見て日高も苦笑いだ。ゲームクリア後には吹雪も収まって雪が少し降っている程度になった。そこから俺達は自分の家に帰宅する事になった。

「どうだ日高。初めてゲームをやった感想は?」

「うん。何か凄いとしか言えない。でも、私は後ろで見ている方が好きかな」

「そうか。でも俺は少し残念なんだよ。あそこの駄菓子屋のおばちゃんが歳で、もうすぐ店を閉めちまうんだよ。小学生の頃から世話になったおばちゃんだから元気つけに出来るだけ通ってはいるんだけど」

「……そうなんだ」

日高の表情が微笑んだように思えた。何でだろう?

「矢口君って本当にゲーム好きなんだね」

「まーな。俺がゲームをやらない何て選択がない程にな」

「あーいうゲーム機械なら私の家にあるよ」

「本当か?何があるんだよ」

日高の話を聞く限りだと家が商店で親父さんがゲーム機の導入を決めたそうだ。日高はゲームタイトルを知らないが、断片的な内容だが、聞く限りは俺が知ってる名作が沢山あるそうだ。しかも日高の家の場所が俺の家から比較的に近い。日高の家に行く理由が増えたなと俺が言うと、日高がまた微笑んだように俺は思えた。
 
 

 
後書き
簡素ゲーム用語

ストリートファイター2ダッシュ 初代スト2の初のバージョンアップタイトル。話の説明通りに前作以上に対戦ツールを重視したバージョンであり、初代のスト2以上にスト2ブームを後押ししたバージョンであり、同キャラ戦もこのバージョンより可能となり、対戦相手が自分が使用しているキャラを使用できないという問題を解消した。

ストリートファイター2ダッシュターボ スト2の二番目のバージョンアップ版。一年も待たずにリリースされたバージョンアップ版であり、スト2ブームを更に後押ししたバージョンであり、ターボより新たな新規プレイヤーも多数が参加した。その特徴は必殺技の追加やゲームバランスの更なる調整もあったが、何よりも初代やダッシュ以上にゲームスピードが大胆に上昇して、テンポアップした戦いが可能となった事も人気が上がった事である。

スーパーストリートファイター2 ダッシュターボの次にバージョンアップしたスト2。今作より新キャラのキャミィー、Tホーク、フェロン、ディージェイの4人が追加されて、グラフィック、サウンドも新たに作り直された。この時よりカラーも追加され、コンボ数の表示や特定アクションのボーナスの追加など、新たな要素が多数追加されて、次作のXに繋がる基礎が多数追加されたのが本作である。

同キャラ戦 ストリートファイター2ダッシュより追加された機能であり、同キャラ使用不可という初代スト2の問題を解消したシステムである。特に同キャラ戦は同じキャラを使用するため同性能のキャラで対戦するので、キャラの相性によって負ける事がなく、プレイヤーの実力が最も試される対戦カードである。 
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