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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE117 インプ領の領主

アルムへイヴ・オンラインへとフルダイブしたオズマだったが、ウインドウ画面に表示されたそのスキルステータスはどう言うわけかSAO時代のそれをほぼそのままそっくりと引き継がれていた……そしてあろう事が、その容姿すらもSAO時代と同様にリアルと同じ!……ログインして早々にオズマの身に降りかかって異常事態であった! by立木ナレ


ひとまず俺は、このインプ領のホームタウン内にいる他のインププレイヤーに何かを相談してみる事を考えた。
何時までも鏡の前で突っ立っていても仕方がないので俺はすぐそばを通りかかった、俺よりも一回り小柄の少年風のインププレイヤーの肩を掴んだ。

「わっ…急になにさお兄さ~ん?」

俺「ああ、急に悪い。俺たった今このゲームに始めてログインしたばっかりなんだけどよ」

俺に声を掛けられたプレイヤーはいきなり肩を掴まれて、微妙に驚いたように声をあげた。ひとまず俺がこのゲームにログインしたばかりだと言う事は俺が見慣れない顔で、俺の不慣れな様子からしてすぐに察したようでその後の対応は早かった。

「ああ~、分からない事を教えてくれって事だね。オッケ~、俺は初心者にはそこそこ親切な方だから、慣れないうちは色々とレクチャーしてあげるよ」

楽しげにニヤッとわらながら、そのインププレイヤーは快く引き受けてくれた。だが、俺が相談したいのはそんな普通のレクチャーとかじゃない。
まずはこのウインドウ画面をこいつに見せなくちゃならない。

俺「これを見てくれよ、さっきも言った通り俺はこのゲームにはついさっき初めてログインしたばかりのはずなんだ……」

「え……?君のスキルなんて、初めてログインしたばっかりなんだから習得してるのはインプの初期スキルだけ―――ってスッゲ!スゲェ!こんなの初めて見たんだけど俺!?」

俺のウインドウ画面を他プレイヤーでもないようを見る事が出来る可視化モードにし、そのインププレイヤーに見せると、そいつは俺のスキルの数々と熟練度の高さを目の当たりにすると、まるで滅多に拝めない神プレイを見たかのようにスゲーを連呼して驚いていたが、これはそんな風に驚くような事ではない……

俺「いや……確かにスゲーんだろうけどな。――おかしいと思わないか、初めてログインしたばっかりの俺がこんだけのスキルと熟練度とか?言っとくが、チートでステータス改竄とかは一切してないからな」

「ああ、ごめんごめ~ん。俺こんなの初めてだからびっくりしちゃってそんな事全然気にしてなかったよ~」

ヘラヘラと笑いながら両手を合わせるそのインプを見て俺は相談する相手を間違えたのではないかと不安を感じずにはいられなかった。
ひとまずコイツにだけこれ以上この話をしていてもまともな進展が無さそうなので、もっと責任のある立場のプレイヤーに相談するべきだと俺は考えた。

俺「あのよ、このインプ領でそれなりの立場にあるプレイヤーに会わせてくれねーか?そいつにこの事を説明して、どうするべきか話したいんだが……」

「ああ、それならウチの領主のディオに相談してみるよ良いよ。アイツはこのALOの運営とコネもある奴だからね、多少の融通は利くとか言ってたからさ」

俺「そんな奴がいやがるならそりゃ好都合かもな」

デレック「んじゃ、早速案内するから、こっちに来なよ―――あ、それと俺はデレックだよ」

俺「俺はオズマ――早速案内を頼むとするか」

俺はデレックに案内されてどこも薄暗い洞窟内のインプ領をしばらく歩く事になった。インプ領のホームタウンだけあって他のプレイヤーも殆どがインプばかりだった。
まともな明かりもついていない状態でも暗視に長けているインプ達はそれで困る事は無く、薄暗い洞窟内のホームタウンを自由気ままに歩いていた。

デレック「領主のディオはどーせ領主専用の部屋でエロい本眺めて鼻の下伸ばし、ブリッジオナニーてるだろうから、すぐい合えると思うから安心して」

俺「会えたとしても、その人柄聞いただけで一気に安心できなくなってきそうなんだけどな……」

ゴツゴツとした石の階段を登りながら、デレックがそう楽し気に語るが、デレックといい、そのディオとか言う領主といい、あまりロクな人間じゃない気がしてならなかった。
そのまま階段を登り、壁際に曲がるとそのまま真っ直ぐと歩き続けると、紫色の扉が姿を現した。扉の前には分かり易く『領主の間』と書かれており、そこに領主のディオがいる事は大体わかった。

デレック「とうちゃーく。そんじゃ早速入るとするね」

俺「ノックしなくて良いのか?」

デレック「いーのいーの、ノックしてからだとアイツ出てくるの遅いんだから全くもぉ~」

そう言いながらデレックはウインドウ画面を開いていた。何かのアイテムを使うつもりらしくデレックはスムーズな動きでウインドウ画面を操作すると銀色の先っぽが尖った鍵がオブジェクト化していた。

俺「勝手に開けるのかよ……」

デレック「良いの良いの、俺は領主の部屋に入って良いことになってるからさ」

という事はデレックは領主内ではそれなりに領主に近い地位か立場のプレイヤーなのかもしれない。デレックは鍵穴に鍵を差し込むと、それだけで領主の部屋の扉は小さな音をガチャンと発生させながら、ゆっくりと開いたのだった。
そして、扉が開いた途端に部屋の中からバカ丸出しの騒ぎ声が聞こえてくるのだった。

ディオ「うっほぉ―――!!や、やべーなこりゃ……モザイクなしなんて良いのかよ!?ALOは18禁のゲームじゃねーんだぞ!」

デレック「ほ~ら、早速やってるやってる。アイツが領主のディオだよ」

俺「俺等にも気が付いてねーみたいだな……」

デレックが言った通り、その長身で紫色のコートを羽織った男はブリッジした状態で何かしらの映像を食い入るように凝視し、股間に手を当てていた。
相当夢中になっているようで、俺達が扉を開けて入ってきたことに全く気が付く様子が無く、バカ騒ぎを続けていた。

ディオ「やっべぇ!やべーぞこりゃ――!とろっとろじゃねーかよ!あ~くそったれぇ~!リアルでぶち込みてぇ~」

俺「本当にアイツで大丈夫なんだろうな……」

俺はあの領主とか言う男はおろか、目の前のデレックすら信用する気が薄れて、疑惑の目をデレックに向けてそう尋ねるがデレックは『いしし』とへらへら笑いを続ける。

デレック「まーまー、何事も物は試しさ。さっきも言った通りアイツはALOの運営とちょっとしたコネがある奴だからさ」

と言われても俺の不安は拭えなかった。特に前方でバカ丸出しでブリッジオナニーに夢中になっている領主の姿を見れば見るほど不安は大きくなるばかりだった。
そんな馬鹿丸出しの領主にデレックは駆け足で向かうと、その駆け足の勢いでデレックは領主に急接近すると同時に―――ブリッジの態勢を続けていたディオに左足蹴りを食らわせていた。

デレック「なにやってんだよバーカ!相変わらず気持ち悪いなぁ~」

ディオ「ぐっへっ…!!て、てめ―――な、なんっつー事してやがるんだデレック!つか、何勝手に開けてやがるんだよ!」

デレックに蹴飛ばされてディオはようやく自分の領主部屋に他のプレイヤーが入って来ていた事に気が付き、蹴られた衝撃と、馬鹿丸出しの姿を見られて動揺し狼狽えまくっていた。

デレック「ちょっと相談だよ。こっちの初心者さんの事なんだけど、色々と凄いんだよこれが」

ディオ「あ~ん?んだよ人がせっかく楽しんでたところだってのによぉ~……」

領主のディオは忌々しげな表情をデレックに向けて愚痴を漏らす。ひとまず俺はディオに歩み寄りながら自己紹介をしておくことにした。

俺「始めまして領主さん。ほんの10分くらい前に初めてALOにログインしたオズマって者なんだけどさ、俺のウインドウを可視化モードにしてあるからそれを見ながら相談に乗ってくれねーか?」

ディオ「んだよ初めてログインして早々に何を見てくれってんだぁ~?何事も聞く前に自分で試しなさいって親教師に言われなかったかのかオメーはよぉ?」

眉をひそめた状態のディオがめんどくさそうにしながら俺を適当にあしらおうとしているが、こればかりはこのゲームに詳しいプレイヤーにまずは見てもらわなくちゃならない。
それでもどうにもならなければ、運営にGMコールをして、俺が何も不正をしていない事をハッキリと明言してから事情を明かすしかないだろう。



そしてオズマは、デレックに説明したことを領主のディオにも順を追ってウインドウ画面に表示された多数のスキルと鍛え上げられた熟練度を見せた状態で説明したのだった。
するとディオはめんどくさそうな目付きを一転させて、興味を惹かれたのかオズマの話をしばらく静聴し続けたのだった by立木ナレ


ディオ「オメー…オズマとか言ったよな?自分のスキルがこうなってるのに何か心当たりあるんじゃねーか?」

俺「なんだよ、さっきの馬鹿丸出しの間抜けっぷりに反して勘が良いんだな」

引き締まった表情と鋭い視線を向けて的を射た発言をしてきたディオに対して俺は先ほどの光景を引き合いに題してそう言い返す。
ディオは小さな声で『うっせ―』といい返していた。

俺「ぶっちゃけて言うとな……俺はSAO生還者なんだよ」

デレック「え、そーなの?それって2年間も命懸けのゲームだったソードアート・オンラインから生きて帰ってきた人たちだよね?」

俺が思い切って本当の事をスパッと告げると、デレックは意外そうな表情を見せながら、口を細めていた。
だが、ワーワーと大声で騒がれたり、質問責めを食らうよりかは全くマシな反応だった。

俺「まーな、2年間もログアウトも出来ねー命懸けのデスゲームからようやく戻って来たってのにまたVRMMOの世界に飛び込んだ変人だとでも思ってくれ――んで、この初心者(ニューピー)離れしたスキルの数々とスキル熟練度はSAO時代のそれをそっくりそのまま引き継いじまってるんだよ……ついでに言うと、アバターの容姿もSAO時代と同じで髪の色が紫になってる以外はリアルのまんまだ」

ディオ「成程な――だとしたらそりゃ多分だがな。このアルムへイヴ・オンラインが……ソードアート・オンラインのサーバーを実は丸ごとコピーしてるって言う噂と関係があるのかも知れねーな」

俺「ALOがSAOのサーバーを丸ごとコピーだと?」

ディオの言葉に俺は驚嘆の声を抑える事が出来ずにそう聞き返していた。

ディオ「あくまで噂の範疇ではあるがよ、あり得なくもねーんだよこれが。オメーもどこまで知ってるか分からねーがな、ALOを運営してるレクトはSAO事件で解散しちまったアーガスからサーバーの維持管理を任されたからな……実際にSAOをこの目で見た事のねー俺は断言できねーが……基幹プログラム群とグラフィック形式は完全に同一だったとしても不思議じゃねーと思うぞ」

俺「…………」

言われて見れば、さっきからこのインプ領をしばらく歩いてみて感じたことがある。何と言うか、その辺りにあるオブジェクトやプレイヤーのアバターのグラフィックがSAOに余りにも似過ぎていて、SAOに戻ってきてしまったかのような違和感を何度か感じていた。

デレック「成程ね―――つまりディオの考えとしては、ALOとSAOのサーバーが同一である事が原因で、オズマのSAO時代のスキルと熟練度が引き継がれたかもしれないって言いたいわけだね?」

ディオ「あくまで俺の仮説だがな―――オズマ、念の為にマネーストレージとアイテムストレージも確認してみろ」

俺「ああ、分かった」

俺もディオの説明を聞くと、引き継がれたのはスキルや容姿だけではないのかもという考えは生まれていたのですぐにそれの確認を実行に移した。
すると案の定マネーストレージに表示されている金額は初期金額では到底あり得ない数字が並んでいた。

その一方で俺達が更に驚愕させられたのはアイテムストレージの方だった。アイテムストレージを開いた途端に、その異様な意味不明……解読不可能な文字列の数々が俺達の前に目まぐるしく表示され、更なる混乱や疑問をもたらす事になるのだった。


 
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