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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE116 新たなるVRMMOアルヴヘイム・オンライン

デスゲーム、ソードアート・オンラインから帰還したオズマはリハビリを得て、相変わらず以前と変わらぬ怠惰で自堕落な生活を謳歌していた……!
宝くじで手持ちの金を増やそうと目論むも敢え無く惨敗!そしてそんな矢先オズマは知ることになる、今より一年ほど前からサービスが開始されたVRMMORPG『アルヴヘイム・オンライン』……通称ALOが人気を博していると言う事を!

オズマ、ALOのゲームパッケージとアミュスフィアを購入し更に散財!残金を大幅に削る事と引き換えに再び仮想世界へのフルダイブを決意したのであった! by立木ナレ



俺「事前の下調べはこんなところかな……」

自宅アパートに戻った俺はノートパソコンで(泥棒市で格安で購入した2016年式の旧型)ALOの情報を調べていた。
俺がネットで調べた結果、このゲームには9つの妖精種族が存在すると言うのは電化製品店のテレビで聞いた通りだが、その大まかな内容は以下の通りだった。

風妖精族(シルフ)――飛行速度と聴力に長けている
火妖精族(サラマンダー)――武器の扱いと攻撃に長けている
水妖精族(ウンディーネ)――回復魔法と水中活動に長けている
土妖精族(ノーム)――耐久力と採掘に長けている
猫妖精族(ケットシー)――テイミングと敏捷に長けている
影妖精族(スプリガン)――トレジャーハントと幻惑に長けている
音楽妖精族(プーカ)――楽器演奏と歌唱に長けている
鍛冶妖精族(レプラコーン)――武器生産と細工に長けている
闇妖精族(インプ)――暗中飛行と暗視に長けている

プレイヤーなこの9種族の中から一つを選択し、選択した種族の領地内からゲームが始まるらしい。アルヴヘイムの中央には全プレイヤーの最終目標地、世界樹がそびえ立っており、根元にはアルヴヘイム最大の都市である央都アルンが存在している。
そして世界樹の上には伝説の空中都市があるとか言われているらしく、そこに住む妖精王オベイロンと謁見した種族は高位種族のアルフに転生する事が出来る。
アルフに転生する事が出来れば、システム上の滞空制限が撤廃され永遠に飛行が可能で、文字通りこの無限の空の支配者になるとの事だった。

ノートパソコンで一通りの情報収集をしていた俺の元にタバコを吹かしながら、気怠そうな表情をしたオッサンが顔を覗かせる。

時生「んだよ…オメー、またVRゲームなんてのをやりやがるのかよ?それってナーヴギアの代わりのフルダイブ機器だろ?」

俺の親父の小田桐時生だった。今日もこれといって賭け麻雀の依頼などは無いようで、暇を持て余していたこのオッサンは四六時中家の中でタバコを吸ってテレビをぼんやりと眺めているだけ、傍から見たらロクすっぽ働かないダメ親父丸出しだった。

俺「ああ、多分深夜くらいまではログインしっぱなしになると思うけど、別にまたログアウト出来なくて病院送りになるよーな事はねーだろうよ」

時生「そーかい、あんな目に遭ったってのにもう次のVRゲームたぁ、根っからのゲーマーだなテメーはぁ……俺も出来りゃ同年代のプロゲーマーの梅原みてーになりたかったよなぁ~」

俺「今のご時世、横スクロール式の1対1の格闘ゲームでどんだけ強くなってもプロゲーマーにゃなれねぇよ」

何せすでに過去の遺物として廃れ、レトロゲームマニアの間で細々とプレイされている程度に過ぎないからな。
ともかく俺は頭にアミュスフィアを被り、以前から自分の部屋として使っている屋根裏部屋に入り込みコンセントから延長ケーブルと拡張ケーブルを伸ばしてアミュスフィアを被り、適当に敷いた布団の上で横になり、約2年ぶりにあのキーワードを口にする――その前に本日既に3本目となるタバコを口に加えて、100円ライターで火を付けて軽く一服する事にした。
口からニコチンの煙を10秒ほど吐き出し、現実世界で生きていることの喜びをヒシヒシと実感する事になる。
SAOに捕らわれていた間も嗜好品アイテムとしてたばこや酒はあったが何れもニコチンもアルコールも含まれていない、所謂電子タバコやノンアルコール酒のような感じで実に物足りなさに悩まされたもんだ。
そんな禁欲三昧の生活だったが故に、第31層の迷宮区の安全地帯でレイナの白くか細い肢体を始めて思うが侭に貪り食った時は、これが仮想世界内だと分かっていながらも、溜めに溜め込んだ欲望を全て絵発散するが如く勢いでレイナにぶつけまくったのを未だに俺はしっかりと記憶していた。

俺「今思えば、あの時の光景はエルダの身内動画でバッチリと流されちまってたわけなんだな……」

動画自体はモノクロの手抜きクオリティだったが、最後の一枚の静止画は実写なのでエルダは一枚の静止画で掛け替えのない妹が俺のようなグータラな男に食われている光景を見たと言う事か。

俺「今度レイナの病院に行くときは、アイツに知らせずにこっそりと行ってやるか……」

今更ながらエルダと顔を合わせづらくなった俺はそんな事を呟いていたが、どっちにしろ病室に身内以外が入るには受け付けに事前に話を通さなくてはならず、そうすればいずれその事はエルダにも伝わる――要するに俺が無断でレイナに会いに行った事が知られるので結局は断念せざるを得ず、俺はこれからもレイナに会いに行くたびにエルダ()の監視下に置かれる事になるのだった。

……と、まあ――それはさておいてだ。俺は頭にアミュスフィアを装着した状態で、二年ぶりにフルダイブの為のあのキーワードを口にするのだった。

俺「リンク・スタート」

その言葉を口ずさんだ途端に、二年ぶりのあの感覚が再び俺の身に降りかかって来る。俺の意識は現実世界から瞬く間に隔離され、視覚、聴覚、全ての感覚がゲームの世界へと解き放たれる感覚だった。


※ ※ ※


今はまだ、アカウント登録ステージだった。頭上にアルヴヘイム・オンラインのロゴが描き出されている。
俺は音声の指示通りにアカウントとキャラクターをこの場で設定する事になる。青白いホログラムのようなキーボードを操作してIDとパスワードの入力を求められるが、
俺は手っ取り早く今も覚えている、SAO開始時にも使ったIDとパスワードをそのままそっくりこのALOで使う事にして素早く入力した。
そしてキャラクターネームも依然と同様《Ozuma》と入力した。

次にキャラクターの作成を指示されるが、初期段階では種族の選択があるくらいだ。容姿に関してはSAOと違い完全なランダム生成の上にキャンセルが不可とされているらしく、気に入らない容姿の場合は追加涼気を支払って再作成しなくてはならないらしい。

そして、初期段階で選択できる9種族の妖精の名称とおおよその情報は既に調べ済みで、俺が選ぶのも既に決まっている。
俺なその中から紫色の初期衣装を基調とし、暗視活動に長けた他、ステータス的には攻撃もスピードもそれなりに高い水準だと評判のインプを選択し、OKボタンをタッチするのだった。

そして――次の瞬間には床の感触が唐突に消え去り、足の感覚を失った俺は落下するように、徐々にALOの世界へと飲み込まれるのだった。
俺の身体はそのまま灰色の洞窟のような山岳地帯へ引き寄せられるように落下し続けていた。
事前の情報によればそれぞれの種族のホームタウンからゲームがスタートするので、あの洞窟がインプ領のホームなんだろう。
序盤で分からないことがあった場合はホームの同種族のプレイヤーに何か聞いてみる事にしよう。


※ ※ ※


視界が徐々に周囲の様子を映し出していく……インプのホームタウンとだけあってその内部は薄暗く、洞窟の内部とだけの事はあるのだが、インププレイヤーの特性故かそんな薄暗い洞窟の中のホームタウンだと言うのに俺の目は周囲の視界をハッキリと映し出していた。

俺「取りあえずウインドウを見てみるとするか」

この辺りの操作はSAOとさほど変わらないようだった。だが、先程のチュートリアルによると、メニューの呼び出しは左手で行う事を説明されたので、その動作は左手を使って行う事になる。

すると半透明のメインメニューウインドウが開き、そのデザインはSAOとほぼ同じだった。ひとまず右に並ぶメニューを見てみると、その一番下には《log out》と表示されたボタンが光っていた。
分かり切っている事だがここはログアウト不可能のデスゲーム等ではないのだから、プレイヤーの任意でログアウトできるのは当然だろう。
にも拘らず真っ先に確認してしまったのはどうしても2年間の生活のあの感覚が染みついてしまっているからなのだろうか。

俺は改めてウインドウを操作し自分のステータスの確認をしようとした矢先、妙な事の気が付くのだった。

俺「これって……正確に表示されてるんだよな?」

ウインドウ最上部には、俺のキャラクターネームであるオズマと言う名前とインプと言う種族名が表示され、その下にはHPとMPの数値が表記されており、どちらもいかにも初期ポイントらしい数値だった。
と言うか、このゲームはなんでもレベル制を採用していない完全スキル制であるがゆえに、基本ステータスはそれほど上下する事はなく、あくまでスキルやパラメーター調整で自分好みにそれぞれ高いステータス、低いステータスに調整、振り分ける事になるらしい。

が、妙なのはその下にある習得スキルの欄だった。これは流石に初期状態では空欄だろうかと思ったのだったが、様々なスキル名が8個も表記されていた。
インプ族の初期スキルにしては数が多すぎる、ランを開いて詳細を確認してみる事にするか。

ズラリと並んでいるのは《片手剣》やら《納刀術》、《攻撃時回復》等の戦闘系のスキル以外にも《隠蔽》、《聞き耳》のようなサポート系のスキルまであり、更にそのスキルの熟練度は殆どが900を超えており、片手剣と隠蔽に至ってはMAXの1000に達している状態だった。

俺「待てよ……これってやっぱりSAOの?」

そしてそのスキルの種類と熟練度の数値は俺の記憶を引き出す事になる。あの二年間を一度もログアウトする事無く過ごす羽目になったソードアート・オンラインの事を――そして、今目の前に表記されているスキルの種類と熟練度と全く同じなのだった。

ユニークスキルだった《補足転移》を始めとした幾つかが無くなっているのは、このALOと共通していないと言う理由が考えられる。
どちらにせよ、既にゲームとしては消滅したはずのソードアート・オンラインのオズマのスキルステータスがこうして今はALOに存在している事になる。

これは流石に明らかに異常事態だ、始めてログインしたばかりの俺がこんなスキルステータスだと知れれば、何かしらの不正を行っていると誤解されかねない。
ここはGM(ゲームマスター)にコールしてこの状況を説明するべきか?だが、俺は一切何も不正な操作などしたわけではないのだ、つまりこれが何かのバグなら俺ではなくゲームシステムの方に問題があるとしか言いようがない。

ともかく、近くにいる他のインプのプレイヤーにこの状況をどうにか説明しようと思い周囲を見渡していた時だった。
ホームタウンのオブジェクトアイテムの一種なのか、高さが2メートル以上はありそうな大きな鏡が立てかけてあることに気が付き、その鏡に映し出される自分の姿を見て俺は更に目を疑う事になるのだった。

俺「んだよこりゃ……引き継がれたのはスキルのステータスだけじゃないってのかよ……」

髪の色はインプ族の特色から紫色になっており、背の高さもSAO時代に比べて高く成長した姿であるのだが、その鏡に映った姿は紛れもなくSAO時代と同様……リアルの俺の姿そのままそっくり同じ姿を映し出していたのだった。


オズマ――ALOにログインして早々に不可思議な事態に見舞われる!何故?SAO時代のスキルとリアルの容姿が引き継がれてしまったと言うのか……?
この異常な状況下を打破するには一体どうするオズマ!? by立木ナレ

 
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